神が施したそれは最後の一人になれば願いが叶うと言われている。
所謂聖杯と呼ばれる願望器を手にするために争う聖杯戦争とやらに参加しているらしい。
別に望んだわけではないのに気付けば鎌倉なら場所に居たというオカルトな話であった。

「っつーかなんで鎌倉なんだよ、こんだけぶっ飛んでる話しならもっとファンタジーしろや」

ビルの一室にある夜のクラブを彷彿とさせる空間でソファーに座っている青年は声を出した。
テーブルの上にあるグラスがこれまた雰囲気を創造するのに一役買っているようだ。
グラスを飲み干すと、もう一度声を出した。

「大仏様が願い叶えてくれんのか? 俺そんな神とか信じてねーけどそこんところ大丈夫か?」

「あたしも特に神とか気にしてないから大丈夫っしょ”」

要らぬ心配をしていた青年の問に答えるのは抜群のプロモーションを放つ女性。
名はアサシン、此度の聖杯戦争にて青年のサーヴァントとして導かれた英霊である。

英霊。
その存在は過去に伝説を刻んだ、所謂逸話を持った存在である。
青年と話している女性もまた逸話を持っており、その実力は並の人間では到底及ばない。

「そっかそっか、なら問題はねえってことだな姐さんよぉ」

「そうそう。勝てばいいだけだから」

「オーケー。ま、俺に願いとかねえし? 別に関係ないけどな。七夕もシカトしてたし」

「……それまじ?」

青年に願いは無いらしく、笑って言い放っていた。
気付けば鎌倉に居て、お伽話の英雄が隣に居て、願いを叶えるために殺しあう。
(頭悪すぎんだろ、言葉が足りなすぎって話しよ。なんで殺し合ったら願いが叶うんだよ魔界の王とか決めるんじゃねえんだぞ)
説明不足感が否めない、と言うか真実である。
(バトルロワイヤルとかじゃねえんだから説明しろっての……はぁ)
心の中で溜息を憑く青年の未来は眩しくない。
元からまっとうな人生を送っているわけではないが更にハードモード突入である。
『元の世界ではまだやり残している案件があるのにも関わらず』

「じゃあマスターは聖杯戦争どうすんの?」

「願いが無けりゃ帰れるのか? なら帰りてえんだけど」

「多分無理じゃない? それに願いが無いなら帰れ(死ね)って話だと思うぞ」

笑いながらも突き出された言葉は冷徹である。
英霊曰く願いを求めている参加者に殺し合いを止めろ、何て台詞を吐いてはいけないらしい。
青年はそんなことを言うつもりはないし、勝手に殺し合ってろカスと言うタイプだ。
愉快犯が混ざっていい環境ではないらしい。

「おー怖い怖い。ならいっちょ前に元の世界に帰るってことにしとく」

「それでいいんじゃない? 戻るにも何かしら必要だと思うし! さーて、これでお姐さんもやる気が出るぞー!」

ガオー。
獅子のように身体を上に伸ばしたアサシンはそのまま酒を飲み干した。
足元を見れば空き瓶が数本転がっており、相当な酒豪で在ることが伺える。
百獣の王なる瞳は退屈そうにしている狼に狙いを定めた。


酔っているのかわざとなのかは不明だが瓶を持ちながら青年の隣に座るアサシン。
肩を組み顔を耳元に近づけ囁くように何かを告げ始めた。

「お姐さんの前であまり嘘は憑かない方がいいよ?」

「……死人ってのはマジで関わりたくねえ奴らだな」

「ってことは既に死人と戦ったことでもあるのか?」

「お前絶対酔ってないだろ……あぁそうだ。腐れナチ共が歴史無視して来てたんだよ」

それは過去の存在。
英霊と呼べるかは不明だがその存在は現代社会には不要だった。
奇妙な術を使い目的のために街を血塗れにするクソッタレの阿呆共。
ベルリンだのカリオストロだの座だのラインハルトだの。
聞き飽きたそれらと交戦する直前に青年は鎌倉に呼び出されていた。

「腐れナチ共ねえ……結構な大物じゃん」

「全くだよ。チビるっつーの……だからよぉ、俺は元の世界に戻るから力貸せ酔いどれ淫乱獣女」

懐に仕舞いこんでいた銃を取り出し中身を確認する。
銃弾は詰まっている、戦闘が起きても問題はない。
ならば聖杯戦争とやらを速攻で終わらせて蓮の所に帰らないといけねえ。
あのイカれたシュライバーを相手にしなきゃならないからな。
あー帰らないほうが幸せなんじゃねえかな……なんて、な。

「解ったか? とりあえず邪魔する奴はバン。バンバンすっから」

「誰が酔いどれ淫乱獣女だコラ!」

肩を組んでいるその腕に力を込め青年の骨に圧迫を仕掛ける。
軋む音が夜の一室に良く響いている。まるで彼らだけが取り残されているように。
青年はギブ、と小さく呟きそれを聞くとアサシンは力を弱めた。

「お姐さんに任せんしゃい。マスターを元の世界に帰してついでに手伝ってやる!」

立ち上がりとびきりの笑顔で宣言するアサシン。
その笑顔は本当に暗殺者なのか疑うほどに眩しく輝いていた。
手伝うと宣言しているが、出来るのか? と青年は尋ねた。
すると勢い良く、知らない! と返されてしまった。

「調子のいい英霊だなおい……つっても俺はお前の逸話とか聞いたことねえけどな」

「それが一番だよ。なにせこちとら暗殺家業の闇に姿暗ます夜の執行官だからね!」

「日本語適当過ぎんだろ」

くだらない話に適当に笑いながら夜が過ぎていく。
この空間だけを切り取るならクラブで酒を飲んでいる馬鹿共にしか見えない。
だがこれは聖杯戦争であり、闇の世界にて行われる儀式である。

青年とアサシンは両者共に光の道を歩んでいない。
どこか頭の螺子がぶっ飛んでいる異常者と言っても差し支えないのだ。
殺す時は殺すし、そこに倫理観は無く、常に現実を優先出来る存在だ。


遊佐司狼には倒すべき相手が居る。
それは因縁とも運命とも呼べないが倒すべき相手が居る。
それを殺さなければ世界に明日を夢見る資格は無いらしい。

好奇心の赴くままに首を突っ込んでいたが話が大きくなっていた。
刺激的なのは大歓迎だがこうも巻き込まれるとはお笑いものである。
いや、最初から決まっていたのかもしれない。
話が出来過ぎている、役者が揃い過ぎている。

ナチの亡霊共が都合よく自分の街に現れるだろうか。
自分や蓮、神父に先輩が都合よく同じ場所に留まっているだろうか。
導かれているのではないか、最初から運命はこうなるように決まっていたんじゃないか。

くだらねえ。
結局はカリオストロとラインハルトの掌の上か。
ふざけんな。
手始めに聖杯ぶんどって帰ってやる。どうせお前らも絡んでんだろ。
それで白騎士のイカれた狼狂人を殺してやる。
あいつは今も俺を待っている……ってのはないか。

けどよ。
運命なんて信じるつもりはないけどよ、俺は舞台の役者なんだよな。
だったら俺の役はなんだ、ヒーローって柄ではないし悪役はテメェらだよな――。



レオーネには具体的な夢はない。
彼女が願うのは腐った悪共をこの世から排除することである。
その願いは儚く漠然としていて達成するのは正直に言って不可能だ。

それこそ聖杯なる願望器でないと難しい。
だが彼女はマスターである遊佐司狼に総てを譲ろうとしている。

本来魔術の知識など欠片も持ち併せていない彼女だがサーヴァントの今なら解る。
遊佐司狼の存在は普通ではなく、特別な何かに覆われている。
それは魔術師の潜在や魔力量の多さなどではなく、異様なる存在。

彼に纏わりついてる魔術のような物は認識さえさせてくれない程に闇。
術者の契約を結んでいる今だからこそ解る謎の感覚である。
絶対に外からの干渉を許さない絶大的な運命力と言うべきだろう。

(自分で何言ってるかわかんない……けど)

この青年は何かを背負い込んでいる。
自分でも気づいていないだろう。
それは一人の人間に背負い込める大きさを簡単に凌駕している。

(これはあたしが頑張ってあげないと潰れちゃうかもね。
 マスターは普通なら潰れないと思うけど聖杯が変に絡むと全く展開が読めなくなる――だから)

聖杯は碌でもない。
レオーネの信条に『死んだ人間は生き返らない』。
死んだ存在は天に昇り、現代には絶対に戻ってこない。
亡くした人間を何時迄も悲しんでも何も生まれないのだ。瞳は前に付いている。
背中ではなく前だ、ならば進め、死んだ人間の魂を背負え。

彼女の信条であり生き様を真っ向から否定する聖杯は気に入らない。
故に彼女はこの状況に心を許さずマスターを守る獣として振る舞う事を誓う。

「お姐さんに任せな!」

「耳元でうるせえ」


【マスター】
遊佐司狼@Dies irae -Acta est Fabula-


【マスターとしての願い】
元の世界に戻ってシュライバー殺してラインハルトも殺す。だろ、蓮?


【参戦時期】
マリィルートにてシュライバーと最後の戦いをする前。


【weapon】
銃『デザートイーグル』、手榴弾、液体窒素、バイク。


【能力・技能】
痛覚、味覚、嗅覚が麻痺している代わりにそれ以外の感覚が発達し、アドレナリンが大量に分泌されるという異常体質になってしまっている。
これらの異常体質と持ち前の度胸と頭の良さ、更にはデジャヴってる間は何をやっても死ねない(通称無敵モード)状態となる。
彼は生身ながらサーヴァントと変わらない存在と戦ってきた。


【形成】
血の伯爵夫人『エリザベート・バートリー』、その発動は人体融合型。
ハンガリーはチェイテ城に居を構えていた、悪名高き血の伯爵夫人『エリザベート・バートリー』
獄中で書き記したとされる拷問日記が素体。
生前のバートリーが為した数々の凄惨たる非道が書き連ねられているこの日記の能力は
「日記に記された数々の『拷問器具』を何らかの形で現界させ利用する」 というもの。
彼は現界の他に自分の体の一部を拷問器具へ変化させる方法も使用する。
また、聖遺物なる性質上サーヴァント相手にもダメージを与えることが可能であるが過信は禁物、あくまで彼は人間である。


【人物背景】
とある存在の自滅因子。


【方針】
邪魔する奴殺してさっさと帰ろうぜ。


【クラス】
アサシン

【真名】
レオーネ@アカメが斬る!

【属性】
混沌・善

【ステータス】
筋力:C 耐久:B 敏捷:A 魔力:D 幸運:D 宝具:C

【クラススキル】
気配遮断:A
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を絶てば探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】

直感:B
つねに自身にとって最適な展開を“感じ取る”能力。
視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。

黄金率(悪):D
身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
他者から金銭を盗む場合、手段はどうであれ優位な判定を得ることが出来る。
生前スラム育ちだったアサシンは盗みを行っており、生き抜く上で重要な業である。

路地裏の英雄:A
生前スラム育ちだったアサシンの生き様がスキルとなって反映されたもの。
闇及び路地裏を始めとする狭い空間や人気のない場所で本来以上の実力を発揮出来る。
また、琢磨しいその精神は干渉を全て遮断し、同ランクの戦闘続行を兼ね備える。

【宝具】
『百獣王化ライオネル』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~100 最大補足:20人
ベルト型の帝具であり使用者を獣化させ身体能力及び治癒能力を向上させる。
発動時アサシンは筋力及び俊敏の数値に上方修正が行われる仕組みになっている。
獣の力を得ることによって戦闘だけではなくある程度索敵も可能となっている。
また、生前帝具を噛み千切ったことから、敵宝具の核を噛み千切ることによって破壊することが出来る。
無論、核がない宝具には無効であり、実現は不可能と考えていい。

『獅子は死なず』(リジェネレーター
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
ライオネルの奥の手でありその力は圧倒的治癒力の魂現。
身体に受けた傷ならば魔力が許す限り瞬時に治癒する能力を得る。
止血程度なら殆ど魔力を消費すること無く治癒出来るが、失った身体を復元することは不可能である。
別途手術等を行うことで復元することは可能である。
性質上正面からの戦いには強いが因果律を伴う一撃との相性は悪い。
令呪などの外部因子が無い限り、運命に逆らうことは難しい。

【weapon】
基本的に殴る、蹴るなどの野蛮な戦闘スタイルを主としている。

【人物背景】
スラムで生まれ育った美女。
悪事を働く屑共をスラムで裁いていた所をナイトレイドと呼ばれる暗殺集団にスカウトされる。
その後は権力を悪用している大臣を殺すために蔓延る悪を殺していった。
基本的に面倒見がよくスラムでも愛されている。また、抜群のプロモーションから人気も高い。
優しい彼女であるが殺しのスタイルは殴殺である。
とある一つの結末では銃に撃たれながらも大臣をその拳で殺害することに成功した。

【サーヴァントとしての願い】
マスターを守る。

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