鎌倉の空には星が見える。
鎌倉の工業はそれなりに発展しているためか山岳地帯で見たときほど見映えはよくない。
しかし何気ない日常の裏、この地で行われている血で血の洗う闘争の合間に見るそれは「資格」を得た者達にとってどれほど輝いて見えた者であろうか。
そしてこの星空の元でも、ある二組の主従が街の外れにて激突した。

暗い暗い雑木林の中、点在する木々の中心で、スーツに身を固めた男は現代の人間には理解できない言語で呪文を唱えた。
すると詠唱が終了すると同時に周辺に落ちていた落ち葉達が踊るようにして舞い上がり、前方で弧を描いて半径20メートルほどの円陣を作ると、瞬時にその中が火の海と化した。
周る落ち葉から中心へと紅蓮の炎が渦となって殺到し、中心から空へと火山のように打ちあがった。

「たたみかけるぞ!」

煌々と輝く男の行使した魔術を見て、己がサーヴァントを鼓舞する。
それを聞いた槍兵のサーヴァントは肯定の意を返したが、顔を立てに振るだけで目線は炎の中にいるはずの敵一点に注がれていた。
輝いて闇夜を照らしている炎の中から、ゆらりと黒い影が蠢き、こちらへ向かってくるのが見て取れる。
そしてその影がはっきりと人の形を成したときには、ランサーもそのマスターである男も「ちっ」と舌打ちをした。

炎から出て来た剣士の英霊は炎に包まれたというのに涼しそうな顔でランサーと対峙していた。
その長髪を爆風で揺らしながらも、全くダメージを与えていないことは確かであった。

「やはり最優と称されるセイバーのサーヴァント…私のとっておきの魔術も通用しないか」

ランサーは下唇を噛むマスターを庇うように敵へと疾走し、宝具である槍の間合いギリギリの距離からその鎧ごとセイバーを貫かんとする。
いとも簡単に長剣で払われたが、あくまで牽制目的の突きだったためにセイバーに肉薄されるまでの猶予ができ、態勢を立て直す。
その結果、振るわれた剣を槍で受け止めることに成功した。

「貴様…何者だ。普通のサーヴァントとは違う異質なものを感じる…。
何故貴様から魔力を感じない?おかげで我がマスターが貴様の情報を視認するまで正体を見破れなかったぞ。そしてこの鋼の剣…」

槍の柄と剣の刃のせめぎ合いの最中、ランサーはセイバーに問いを投げかけた。
元々、セイバーに先に気付いたのはランサーではなくそのマスターであった。
本来サーヴァントは互いの気配を感知できるが、この剣士からはその気配がほとんどなく、正体を見破ることにすら手こずった。
おかげで準備が整わないうちに戦闘にもつれこんでしまった。
元々はマスターがセイバーをサーヴァントと看破するや否や、先手必勝とばかりにランサーをけしかけたのが原因だ。
最初はNPCかと思い、向こうがこちらに気付いた様子もなかったので力を蓄えるまでやり過ごすという選択肢もあったのだが、嘆いてばかりいられない。


「あいにくだが、私はそういう体質だったのでな」

セイバーは剣を押し付ける力を緩めずに淡々と答えた。
セイバーの宝具は鋼鉄の剣。
あまりランクの高くないただの鋼鉄の剣であるはずなのに、ランサーの槍と打ち合うどころか優勢に立てるほどの威力を有していた。
ランサーはこのままだと押し切られて敗北すると察し、持ち前の敏捷で飛び退いて難を逃れる。
が、実はランサーは一旦退くと見せかけて、跳んだ先にある木を蹴って木から木へと飛び移り、セイバーを攪乱し背中を定めて後ろから槍で仕留める―――つもりだった。

「!?!?」

すると、ランサーが着地するはずの木の幹に何かが猛スピードで飛来し、着弾すると同時に大爆発を起こした。
その威力は絶大で、ランサーのいた場所には大きなクレーターが穿たれている。
攻撃をもろに食らった木は残骸すら残っていない。

「…クロめ、念話が使えないなら使えないなりに合図くらい送れとあれほど――」
「仕方ないじゃん。あの一瞬が絶好のチャンスだったんだから」

セイバーの隣に浅黒い肌をした少女が林の奥から現れる。
先が破けた赤い外套を着用してはいるが、隠す場所は申し分程度にしか隠しておらず露出度は高い。
それでいて日本での小学生くらいには幼い外見をしており、セイバーと比べると一際小さく見える。
クロエと呼ばれた少女は先ほど放った攻撃が命中したと確信しているのか、口の端を釣り上げて笑みを作っている。

セイバーのマスターの名は、クロエ・フォン・アインツベルンといった。
「弓兵」のクラスカードを核として受肉化したもう一人のイリヤスフィ-ルであり、
聖杯の器とは別の道を歩んだイリヤスフィールの本来の姿でもある。
その生い立ちから、ある弓兵の英霊の能力を扱うことができる。

「バカな…!なぜマスターである小娘がなぜ宝具を…!?」

ランサーが土煙から姿を表す。その身体には焦げ跡が刻まれている。
クロエが放った攻撃は『壊れた幻想《ブロークン・ファンタズム》』と呼ばれている。
一撃の威力を高めることの代償に宝具を使い捨てることになる、言わば宝具の爆弾。

「あら、まだ生きていたのね」
「当たり前だ。お前の知る黒化英霊とやらとは違う」

少し意外そうにするクロエを横目に、セイバーが剣を再び構える。
ランサーは寸でのところでジャンプの軌道を逸らし、『壊れた幻想』の直撃は辛うじて免れていた。
それでも傷を負ったのは確かで、直撃でもすれば無視できないダメージを受けていたに違いない。
ランサーがサーヴァントという存在でなければその攻撃は必殺の威力となっていただろう。

「ひ、ひるむなー!」

戦況を眺めていたランサーのマスターが後方で怒号を飛ばす。

「これからでかいのを打つ!その間にマスターの方を今すぐ殺せ!」

言い終わると、男はすぐに魔術を発動した。
それはとっておきを遥かに超える大魔術といっていいものだ。
男はただ見ていただけではなく、この時のためにランサーが前線で戦っている間に詠唱を済ませていたのだ。
最初に放った炎の渦より遥かに大きな炎がランサーの前方に広がり、雑木林の大半を包み込んだ。
ほとんどの木々は炭と化していき、その規模の大きさと威力の高さを物語っている。

(あの術師がなかなか前に出てこないとは思っていたがこんな布石を用意していたのか。
戦闘を仕掛けてきたときのことはさておき、聖杯から資格を得ただけあって知性って言葉の意味を少しはわかってそうだ)

Aランク…すなわち最高ランクの対魔力を持つセイバーはこれほどまでの魔術を食らっても平然としていた。
炎に包まれて周囲が見えない中、セイバーは考えを巡らせる。

この魔術はセイバーへの目くらましも兼ねている。
敵の狙いはセイバーのマスター。
流石のクロもこれを食らっては無事では済まないはずだから転移術とやらを使って避けるはず――。
成程、敵マスターが咄嗟に独りで回避したところを攻撃する魂胆か。
どうやら自分達が巻き込まれないようにランサーより向こう側は火が回っていないらしい。
ならばクロが転移で移動する先は――。

「っと…危ないわね――」
「……そこかっ!!」
「っ!?」

焼き払われたのはランサーの前方全体だけだったため、クロエはランサーの背後に転移して窮地を脱した。
しかし、それを見逃すランサーでもなく、瞬時に振り返ってマスターの命令を遂行せんとクロエへ槍を突き立てる。
ランサーの持ち前の敏捷の前にクロエは対応することができず、その槍は心臓を貫くと思われた。

が、槍はクロエを突くことなく、クロエの前に立ちふさがったセイバーの剣に弾かれた。
一瞬でランサーの攻撃を見切り、彼の鋼の剣を勢いよく振り、ランサーの態勢を大きく崩す。
所謂「ディフレクト」と呼ばれる回避技だ。
この技はセイバーの卓越した剣技の腕前あってのものだった。


「悪いわね」
「礼を言っている暇はないぞ。今がチャンスだ!クロ、俺に続け!」


――――――天地二段。

バランスを崩したランサーに対しては隙を晒すことを考慮せずに済む。
それを見越したセイバーは大きく跳び上がり、上空からランサーに剣を振り下ろす。
元々のセイバーの剣の威力に位置エネルギーとセイバーの筋力を上乗せした破壊力は抜群の一言。
着地してランサーを真っ二つにしたと同時に、そこから剣に遠心力を持たせてさらにランサーの胴体を一文字に斬り払った。
天と地からの攻撃を連続で放つこの奥義は「天地二段」の名がこれ以上なく相応しい。


その間にクロエは一定の間合いを飛び退き、投影した剣を弓につがえる。

「――バイバイ」

セイバーは背後から聞こえたこの声を合図と認識し、瞬時に横へ身体を移動させる。
これで身体を4分割されたランサーまでの射線に遮蔽物はなくなった。


――――――壊れた幻想。

先ほどランサーへ見舞った矢《剣》よりもさらにランクの高い宝具を投影しての『壊れた幻想』だ。
クロエの持つ矢に魔力が収束し、そしてランサーへと向けられる。
放たれたそれは逸れることなく直進し、ランサーへと直撃した。
人間の作るそれを凌駕した規模の宝具爆弾は着弾し思わず耳を塞ぎたくなるほどの轟音を鳴らした。
クロエは、舞い上がる煙の中でランサーを構成する魔力が霧散していくのが感じ取れた。
トドメの技にするには相応しい絶技だったといえよう。

何よりも見事であったのは、咄嗟の連携である。
態勢を崩したランサーにセイバーが「天地二段」でその場から動けなくなるほどの重傷を負わせ、
動けないところをクロエが狙いを定めたとっておきの「壊れた幻想」で穿つ……。

この敵を一撃で粉砕しうる連続攻撃に名をつけるならば―――



―――『天地幻想』という名が最も相応しいであろう。



「う、嘘だ。ここで終わりなんて…そんなの嘘だあああああぁぁぁ――」

男はランサーの消滅を確認すると取り乱した様子で林のさらに奥へ走り去っていった。

「…逃げた、か」
「セイバーは魂喰いできないから、追う価値はないわね」

サーヴァントを失ったマスターは他の主従の餌食になるか、消滅する。
死を免れられなくなる以上、あの男も長くはないだろう。



◆ ◆ ◆



―――クロエ達の勝利です



―――クロエのHPがアップ



―――クロエの弓レベルがアップ



◆ ◆ ◆




先の戦闘が終わってから、クロエとセイバーは帰路についていた。
深夜の鎌倉の路地で二人は歩を進める。
クロエの服装はカジュアルな私服へと姿を変えていた。

「はー、思ったより魔力使っちゃったわねー」
「まあ、少しは楽しめたな」
「セイバーってさ、魔力の節約ってできないの?燃費はいいみたいだけどさ」
「言っただろう?俺は術不能者だ。知ってのとおり魂喰いどころか霊体化すらもできん」

クロエに与えられたセイバーの真名は、ギュスターヴ13世といった。
アニマ――生命力や魔力、魂の総称――を使って術(=魔術)を行使するのが当たり前の世界で、
生まれつきアニマを全く持たない「術不能者」として生まれ、幼くして国を追放されたフィニー王国の王子である。
術の力は当時の社会の隅々にまで浸透しており、
例えば石で作った包丁に「斬る」力を帯びた術をかけて物を切るという、基本的な道具の使い方にまで及んでいる。
そんな使えて当たり前の術を一切使えない「術不能者」は、王家として失格であるだけでなく、普通の生活すらままならないレベルなのである。
無論、ギュスターヴ以外の術不能者も差別対象であり、出来損ないと貶されることも少なくなかった。

「不便ね」

魔力の節約手段がやはり見つからず、クロエは思わずため息をついてぼやく。
ギュスターヴは聖杯に「術不能者」の一面をも具現化され、サーヴァントとしての基礎能力が全て封印されているのだ。
アニマ(魔力)を持たずに生まれたという逸話上、その身に秘める魔力も0に等しく、ランサーがギュスターヴの気配を感じなかったのもこのためだ。

「人の目を盗んで通りすがりのNPCとキスするのって結構大変なのよ?
折角魔力補給やるために外出したっていうのに、逆に魔力使うことになるなんて」

基礎能力を抑えられているためかギュスターヴは少ない魔力消費で存在を維持できるが、
クロエの方も肉体が魔力でできているために魔力を消費しており、互いに魔力に対して細心の注意を払わねばならないのが現状だ。
ギュスターヴが霊体化できない以上、魔力補給の手段はクロエがもう一人の自分とよくしていた唇と舌を交じり合わせる行為しかない。
今は消滅の危機に瀕するほどではないが、安心はできないだろう。
余談だが、クロエ曰くギュスターヴからの魔力補給は「空のペットボトルを一生懸命吸い込んでる感じ」らしい。

「生前は不便どころじゃなかった。俺の世界は術が使えて当たり前だったんだ。
そんな中で俺は術が使えなかった。だから自分の力で出来ることを探して、鋼に出会った」

周囲からは「出来損ない」と蔑まれ、荒れていた時期もあったが、ある物との出会いがギュスターヴを変えた。
それは、金属。
金属は術の方が便利であることに加え、術の力(=魔力)を遮断して妨げてしまうこともあって、使われていなかった。
しかし、術を使えない彼にとって、それは一切の欠点にならなかった。
むしろ戦いにおいては敵兵の術を遮断するという強力な盾として活用でき、金属で加工した武器は石剣や木刀とは比べ物にならない破壊力で、敵兵の脅威となる。
そこに着目した彼は「鋼鉄で武装する」という当時誰も考えもしなかった方法で覇権を握り、東大陸の覇者となる。
彼は「鋼の13世」と呼ばれ、その世界の歴史のターニングポイントとなる人物としてその後の時代にも語り継がれている存在なのである。


「この剣は、俺がその時代を生きた証だ」

ギュスターヴがランサー戦でも使用した宝具、『その名を刻む鋼の剣』をクロエに見せる。
ギュスターヴが49年の生涯をかけて鍛え上げた剣だ。
時刻は夜だというのにその剣筋からは光が反射してクロエの瞳を照らす。
ただの鋼鉄の剣のためランクは低いが、その威力は折り紙付きだ。

「これが、ねぇ」
「…何をしている?」

ギュスターヴがクロエへ目線を移すと、自分の宝具に酷似した二回りほど小さい剣を片手に持っていた。
クロエの使う魔術の一つ、投影。彼女は一部だけだが聖杯の能力を有しており、過程を省いて望んだ魔術を行使できるのだ。
アーチャーのクラスカードの力もあって、記録している宝具を性能が落ちるものの投影できる。
クロエの持つ剣は他ならぬギュスターヴの宝具を投影した、差し詰め『偽・ギュスターヴの剣』といったところか。

「…クロ、その剣は俺が鍛え続けてきた、言わば俺の夢でもあり、魂そのものだ。そう簡単に作ってくれるな」
「…うわっ!?」

ギュスターヴは顔に幾分か不機嫌な感情を含みながら、剣で勢いよくクロエが投影した宝具だけを叩く。
するとどうだろう、何と剣先からヒビが入り、最終的に偽・ギュスターヴの剣は魔力とともに粉々になってしまった。

「ちょっと、何するのよ!というか、今の何!?」
「俺の剣の逸話の具現だ。俺も詳しくは何があったか知らんが、どうもこの剣は覚えているらしい」

どうやらギュスターヴの宝具は、相手の宝具を破壊する効果があるらしい。
ギュスターヴの死後にあったことなので彼自身も詳細は知らないが、
その剣は誰にも壊せないはずのクヴェル(遺物)、エッグを破壊したことから宝具を破壊する概念が付与されている。
ランク詐欺もいいところだ、とクロエは思った。



◆ ◆ ◆



鎌倉某所、安アパートの一室のドアが開かれる。
元々、別世界から鎌倉に放り出されたクロエだが、暗示魔術を活用してなんとか自分とギュスターヴの戸籍を手に入れていた。
過程を飛ばして行使できる魔術は、ほとんど使う機会は無いものの暗示魔術とて例外ではない。
そのおかげで住居を得ることもできた。


「相も変わらずこのアパートはボロボロだな。昔を思い出す」

母と共に住んだ貧民街の家を思い起こすギュスターヴをよそに、クロエは少しツヤがかった肌を撫でながら靴を脱いで居間に入る。
ここに来るまで約二名の女性がクロエの餌食となったと言えば、帰ってくるまでに何があったかは想像に難くない。

「…明日も仕事か」

ギュスターヴは窓の外を眺めながら呟いた。
彼が「仕事」といったのは、そのままの意味だ。
本来はマスターが何とか職に就いて金銭面と衣食住を確保せねばならないが、
クロエはギュスターヴのサーヴァントに気配と正体を悟られないという性質を逆手に取り、敢えて堂々と働かせる方法を取っていた。
ギュスターヴの戸籍もとっておいたのもそのためだ。

「明日もよろしくね、『パパ』」
「…こういう役はフィリップやフリンの方が適役なんだがな」

クロエが意地の悪そうな笑みを浮かべながらギュスターヴに声をかける。
ギュスターヴは鎌倉にある鍛冶工房に勤めており、同僚や上司には『ギュス』と名乗っている。
クロエはギュスの娘ということで通っており、これらも全て暗示魔術の賜物だ。
当初は「人遣いの荒いマスターだ」と愚痴をこぼしていたが、
ギュスターヴと鍛冶技術は切っても切り離せない関係にあるので現在はギュスターヴ自身も楽しんでいる。




「だが、本当にいいのか?――この聖杯戦争を『壊す』など」

居間の壁にもたれかかりながら、ギュスターヴはかつて知らされたマスターの願いをもう一度確かめる。
クロエの願いは、「聖杯戦争を壊す」こと。
しかしそれは、聖杯を獲るべく戦う者達を、最悪の場合40体以上のサーヴァントを相手取ることになる。
決して楽な道ではないだろう。

「…元々わたしが何のために生まれたのかは、前に話した通りよ」

1歳も迎えていない頃に、母・アイリスフィールによってイリヤの中に封印された、聖杯の器として生まれる前から調整されていた記憶。
それが人格と肉体を得た存在が「クロエ」である。

「わたしは生まれる前から聖杯の器になるために調整され続けてきた。本当ならそれに沿って生きるべきなんだろうけど…
私は『生きていたい』。イリヤやみんなと一緒に生きて、自分の思うものに成りたい」

かつて消滅しかけた時に、クロエは「生きたい」と願った。
それはクロが聖杯の能力にかけた切実な願い。
クロエの世界では現実になることのなかった聖杯戦争の中でも、それは変わらない。

クロエは続ける。

「イリヤの友達――ミユも、本当は人間として生きたかったはずなのに、平行世界に連れ戻された」

美遊・エーデルフェルト。当初はイリヤと共に敵対していたが、クロエがイリヤの従妹として迎え入れられてからは一緒に泊まるなど浅くない付き合いだ。
だが、その正体は平行世界で誕生した「生まれながらに完成された聖杯」だった。
8枚目のクラスカードから成った黒化英霊を倒して美遊を救い出したのも束の間、何者かに平行世界へ連れ去られてしまった。
「戻りたくない」という美遊の悲痛な叫びは、クロエにも届いていた。

「あの時、なんとなく感じたわ。聖杯戦争は悪夢しか生まないって。だから、改めて言うわ。この聖杯戦争を『壊す』」
「……面白い。ならば俺も付き合おう、お前の運命に」

術至上主義の時代を終わらせ、鉄の時代を切り拓いたギュスターヴ。
人がいかにあるかは、生まれやアニマで決まるのではないことを、身を以て示した。
そんなギュスターヴが、クロエの意志を拒む理由はなかった。


【クラス】
セイバー

【真名】
ギュスターヴ13世@サガフロンティア2

【パラメータ】
筋力A 耐久A 敏捷C 魔力EX 幸運EX 宝具D

【属性】
中立・善

【クラス別スキル】
対魔力:A
Aランク以下の魔術は全てキャンセル。
事実上、現代の魔術師ではセイバーに傷をつけられない。
装備している鋼鉄製の防具は魔力を遮断する機能を持っており、対魔力のランク上昇に貢献している。

騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
術不能者:A++
先天的にアニマ(生命力や魔力、魂の総称)を持たず、魔術を扱えない者。
ランクはその身体に秘めるアニマがどれだけ希薄かを示す。
セイバーは通常の術不能者とも違い、アニマを全く持たない極めて稀有な人物であり、魔力の値も0である。
しかし、それにも関わらず彼は肉体を魔力で構築したサーヴァントとして現界しているという矛盾から、
数値化することができなかったため魔力のランクはEXである。
このスキルを持つ者は、霊体化、念話、魂喰い、気配察知などのサーヴァントに共通する能力を使えない。
ただし、魔力がないに等しいゆえに他サーヴァントに気配を悟られなかったり、
攻撃手段が物理攻撃に限られ、基本的な機能が抑えられている分燃費自体は非常によかったりとメリットがないわけではない。

星の開拓者:EX
人類史のターニングポイントになった英雄に与えられる特殊スキル。
あらゆる難航・難行が、「不可能なまま」「実現可能な出来事」になる。
セイバーは術不能者という境遇に屈さず、鋼とその技術で覇権を握り東大陸の覇者となり、新しい時代をもたらした。
それと同時に、人々に人間は自分の意志で、自分の思うものに成れるということをその生き様で知らしめた。
このスキルはセイバーの歴史に刻んだ偉業がどれほど大きいかを物語っている。

カリスマ:A
大軍団を指揮する天性の才能。
Aランクはおおよそ人間として獲得しうる最高峰の人望といえる。

軍略:B
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。

鍛冶:A+
金属製の武具を作成するスキル。
しかるべき設備さえ整えば、魔力を消費せずに強力な武具を作成できる。
セイバーの住んでいた世界では金属はアニマ(魔力)を遮断する効果を持っており、作成した武具にはBランク相当の対魔力が付与されている。
作成した武具は、マスターや同盟を組んだ主従にも装備できる。
彼の作成した剣の最高傑作が、宝具『その名を刻む鋼の剣』である。


【宝具】

『その名を刻む鋼の剣(アニマ・オブ・ギュスターヴ)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
セイバーがその生涯をかけて鍛えた鋼鉄の大剣。
彼の住む世界では最高峰の切れ味を破壊力を併せ持っていた、まさに人類最強の剣であるといえる。
実際のところは何の変哲もないただの鋼鉄の大剣であるために宝具のランク自体は高くないが、
その威力自体は本物で単純な打ち合いならば『約束された勝利の剣』や『無毀なる湖光』にも太刀打ちできる。

セイバーが統治領の南端の砦で死亡した際に、崩れ落ちた砦にはこの剣だけが残されており、その後も多くの物語に影響を与えたという逸話から、
セイバーの消滅後もこの剣は残り、マスターの存在の楔となって聖杯から「脱落」と見なされなくなる。
後述の宝具破壊などで剣が折れるとその効果を失い、消滅へのカウントダウンが開始される。

また、最終的にこの剣が人類種の敵に成り得た意思を持つ遺物『エッグ』を破壊したという逸話から、敵の宝具を破壊することができる。
実体さえあれば、武器であろうが鎧であろうが英霊そのものであろうが破壊可能。
ただし、宝具破壊判定に成功しないとその宝具を破壊できない他、
Aランク以上の宝具を破壊した場合、この剣も同時に折れてしまう。
宝具破壊判定は敵の宝具のランクが上がるにつれて判定の成功域が狭まっていく。

からっぽで出来損ないと言われたギュスターヴ13世。
アニマ――魂を持たぬ男はその意思をアニマという形でなく鋼の剣に残した。
たとえアニマを持たなくとも人は形を変え、その思いを残すことができるのである。
鋼鉄の剣で鉄の時代を切り拓いたギュスターヴの思いが、魂が、アニマが、この剣にある。

【weapon】
  • 『その名を刻む鋼の剣』

  • 連携攻撃
仲間の技から技へ連続で攻撃を繋げ、絶妙な連携で敵を撃破する。
うまく決まった際は、技の名前が複合されたものへ変更される。

例:
「残像剣」+「偽・偽・螺旋剣」=「残像螺旋剣」

「壊れた幻想」+「ベアクラッシュ」=「壊れたクラッシュ」


【人物背景】
『鋼の13世』と呼ばれる、一代で東大陸のほぼ全土を統一するまでに至った覇王。
フィニー王国の王、ギュスターヴ12世の長男として生まれる。
アニマを持たない『術不能者』として生まれ落ちた、『人間のクズ』。
継承の儀式に失敗し母とともに亡命した後も荒れていたが、唯一の理解者である母の説得で改心。
母の没後、異母弟との王位継承戦争に勝利し、儀式を行なっていないため王を名乗ることはないが、
事実上のフィニーの最高権力者となる。49歳の時、何者かに砦を襲撃され、炎の中、還らぬ人となった。
側近のフリンは術不能者だが、彼の下に集ったほかの有能な仲間たちには優れた術者が多い。
死後もその活躍は語り継がれ、デーヴィド曰く『人は自分の意思で何にでもなれる事を証明した』偉大な人物。
ただし、そんな彼も母が、仲間が、親友が、部下がいなければここまでの偉業は成し得なかったことを明記しておく。

ナ国のとある金物屋との親交から鋼鉄に対する興味と造詣を深めていき、
自作した鋼鉄の短剣によって盗賊を撃退するなど、その生涯には鋼がつきまとう。
『術不能者』でも扱え、アニマ(魔力)を遮断する鋼鉄の兵器利用を提案し、鋼鉄兵団を実用化した。
事実、鋼鉄兵団は術者に対して絶対的なアドバンテージとなり、敵軍を圧倒した。
『鋼の13世』と呼ばれるようになった由来もこの逸話による。

霊体化できない代わりに気配を悟られないことを利用して鍛冶工房に勤めており、「ギュス」と名乗っている。
クロエは彼の娘という設定で通っている。

【サーヴァントとしての願い】
クロエの運命に付き合う。

【マスター】
クロエ・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ

【マスターとしての願い】
悪夢しか生まない聖杯戦争を止める。
生き残る。

【weapon】
投影した宝具など

【能力・技能】
現界の触媒であるアーチャーのクラスカードによって英霊化の状態にあり、身体能力は人間以上。
アーチャーの能力である投影魔術を苦もなく発揮し、その戦闘能力は高い。
アーチャー同様に『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』を使いこなし、刀剣で壁を作るなど機転が利き、状況判断にも優れている。
また、願望機の機能の一端として(そこに行きたいという願望を叶える事によって)転移も使える。
カレイドの魔法少女とは違い、変身前に着用している衣服の変換も可能。
魔術師としてのイリヤスフィールであるため、詠唱もなく投影魔術を行使でき、戦闘のセンスに優れる。
さらに投影のほかにも魔術を使える様で、鎌倉での戸籍も暗示魔術によって得ている。

しかし、その肉体は魔力によって維持されており、何もしなくとも常に消費されているため、枯渇する前に何らかの方法で魔力を補給しなければならない。
クロがキス魔なのは対象から魔力を奪うため。
キス以外にも魔力補給の手段はあるらしいが、それを耳打ちしたイリヤには「変態」「不潔」と罵られ、拒否された。
なお、一般人に比べイリヤからの魔力供給は10倍ほど効率がいいらしく、日常的に多くの人にはお見せできないやりとりを行っている。

【人物背景】
もともとは、まだ赤ん坊だった頃に、アイリによって力と共に封印された「本来のイリヤの人格(生前から施された魔術的処置により、赤ん坊ながら自我と様々な知識を有していた)」。
イリヤが危機におちいった際、封印が一時的に解かれ、危機を回避した後に再封印される、というプロセスを経るはずだったが、
円蔵山の地下大空洞の地脈逆流時に危機を回避しようとした際、地下に眠っていた『大聖杯の術式』の力により「弓兵」のクラスカードを核として受肉化した。
顔の造りはイリヤと同一だが、「弓兵」のクラスカードを触媒に現界している影響のためか、 イリヤと違って肌が浅黒く、髪もより銀に近い色合いになっている。
当初は髪型も一緒だったが、クロエと名乗るようになってからは左側頭部の髪をまとめたものに変えている。
アーチャー化すると髪は後ろにまとめたものに変化。
基本ラインは一緒だが、イリヤがアーチャー化したものと衣装も異なる。
封印中もイリヤとは記憶を共有していたらしく、分裂直後でも美遊といった周囲の人々のことは把握している。
性格の基本骨子はイリヤと同じだが、「もしイリヤが魔術師として育っていたら」という存在であるため
「stay night」本編のイリヤに近い性格で、小悪魔的な言動が多い。
キス魔で同性に対して非常にアグレッシブで、イリヤの周囲の女子5人のファーストキスを奪った。
封印の反動か、「日常」や「家族の愛情」といったものに飢えており、
最初にイリヤの命を狙ったのもそれを手に入れるための手段であって、イリヤを憎んでいたというわけではない。
家族として暮らすようになってからは、義兄・衛宮士郎に積極的に迫っては、イリヤと喧嘩する。
ちなみに、イリヤとどちらが姉でどちらが妹かを争っているが、決着はついていない。

【方針】
聖杯戦争を止める。

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