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「──ぐぉ、う……」
 思わず呻き声が出た。進まない。進まないのだ。先程までサクサク進んでいた文章がぴたりとその流れを止めた。
 俺が某巨大掲示板で官能小説もどきを書き出してこれでもう一年になる。一年の間に大量の叱咤激励や様々な作品を読み、少しはマトモなものが書けるようになってきた。
 正直、最初の作品などを今読むと死にたくなる。誤字脱字、文章としての読みにくさ、独りよがりな説明文の嵐。それでももらえた「GJ」を糧に、ココまで書いてきたのだが──
「糞ッ」
 思い入れがありすぎると言うのも厄介なものだ。オタクは夢想家故に、自らの思い入れで妄想を縛る事もある。それが既存のキャラクターであろうが、妄想上のキャラクターであろうが。
「ここでコイツが折れてくれるわけがねぇ………」
 頭をかるくがしがしと掻いて煙草に手を伸ばした時に──
「未だそんなものを吸っているのか、君は」
 いるはずのない他人の声に俺は固まった。

「………誰だ」
「さぁ、誰だろうな。元々名前なんか私には無い。あえて言うなら『禁断少女』とか呼ばれているな」
 背後からヒトが近づく気配がする。いや、外見なんか見なくたってわかる。そう、『禁断少女』はその妄想を産み出した奴の理想の具現化なのだから。しかし──
「『少女』は無いんじゃないのか」
「君の趣味が年上だからな。全く、それにしても──相変わらず煩悩の塊だな、君は」
 そう言いながら『彼女』が背後からす、と手を伸ばしてマウスを操作する。
「しかしよくもココまで同じような趣向で書き連ねたものだな。一体どれだけの妄想が詰まっているんだ、君には」
 たわわな胸が背中にあたっている。スーツ姿の右腕が見える。ここまでご都合主義ならあとは見ずともわかろうものだ。眼鏡をかけてて、吊り眼で、気が強い。髪型はまとめ髪だろうな。そんで地は方言だ。
「……なぁ、やっぱりそういうことなのか?」
「ふふ。そういうコトだよ。私が呼ばれた以上、私はそういうコトしかしないんだ」
 椅子に座った状態で後ろから抱きしめられ、片方の手がジーンズの上から撫で擦っている。そう、──わかっている。禁断少女って奴は、溜まった精を抜く存在らしいのだから。

『禁断少女』──このエロビデオのタイトルみたいな存在が語られだしたのはいつだったろうか。何でも自慰行為を禁止してれば出てくるだの、いや書き手のもとにしか云々だの、質が悪い都市伝説みたいなものだ。
 煩悩のままに筆を綴る連中の一種の救いであろうか。それが故か、その外見は千差万別、唯一つ共通するのは「精を抜く」というこの一点。煩悩のままの姿で現れ、煩悩のままに精を抜いていく。
 どこのイメクラか、という話ではある。ありえないにも程がある話ではある。そもそも打ち間違いから出たキャラクターであると聞いた事もある。
 別に何だってかまわないしどうだって良かった。俺は根がどスケベだからか、一度だって禁欲をした事は無い。自慰したければ自慰をする。そして小説モドキも書き上げる。だから多分一生縁が無い筈だ。
 しかしどうしたことか、今も耳元で怪しく笑っているこの女は俺のもとに来てしまった。大前提である、「禁欲者へのご褒美」はどこへいったのだろうか。
「ふふ……なんで私が来たのか、わからないだろう?」
「あぁ。一昨日もキッチリ出してるからな。そこに転がってるエロDVDで」
「ふむ……『巨乳オフィス・淫猥な残業』か。どーにもありきたりなタイトルだな」
「だから安心できるんだがな」
 ここまで話して、俺はようやく彼女をしっかりと見た。いや、正直に言おう。さっきまで見る度胸と心の準備が無かったのだ。
「うぉ、ぁ……コイツはまた」
「ふふ?どうした?」
「いや、すげー素敵だ。ビバ俺の妄想」
 そう、そこには、間違いなく俺の好みの塊がいた。スーツ姿にまとめ髪、眼鏡をかけていてオマケに洒落にならんプロポーションの良さ。泣き黒子まで完備とは気が利いている。
「さて、それじゃ始めさせてもらうよ」
 言うや、俺の股間を再び彼女の右手が撫で擦る。
「いや待て、ソイツは歓迎するとこだが……何で来てくれてるんだ、本当に」
 そう。その一点が疑問だ。
「ふう、君も無粋だな?私からサセておいて、それで中断してまで説明しろと?大体、そんなのどうでもいいだろ?所詮私は妄想の一部なんだ」
「あー……まぁ、いいか。うん、ところでな」
「何だ、まだあるのか?」
「あぁ。俺、攻められるより攻めるほうが趣味なんだ」
 言うや、俺は彼女の肩を掴んで床へと押し倒した。

 
「ちょ、ちょっと待て……!!き、君はアレか、知らないのかもしかして?私達はその、口ですることはあっても……」
「知らん。俺の妄想の産物なんだろ?なら今から徹底的に可愛がってやる。大丈夫だ、弱いトコは全て知ってる」
「そ、そりゃそうだろうな、君の考えたとおりなんだから!!そ、そうじゃ無く……てッ……ンむ……ぁ……」
 強引に胸を揉みしだきながら唇を奪う。形の良い眉が八の字になる光景に、更に興奮が増す。そのまま舌を入れて相手の舌を絡めとる。段々と女の身体がびくんびくんと震えだす。
「ぷは……最高だな、アンタ」
「お、お気に召して幸いだよ……ん、ンッ!!」
 強がるのも俺の趣味だ。首筋に、耳たぶにキスを降らす。声も無く身をよじろうにも、それは俺の身体が上にのっているから無理だ。耳元の熱い吐息が、徐々に官能の色を強く帯びてくる。
「ず、ずるいな君は全く、私の弱いところばっかり知っているんだ……」
「ああそうだ。ていうか弱いところしか知らない。所詮ご都合主義だからな」
 スーツをはだけてワイシャツのボタンを外していく。大きな胸が外気に晒され、上に浮かぶ汗がキラキラと光る。激しく上下するそれを再び両手で鷲掴む。
「ら、乱暴にしないでッ……」
「どうかな。メチャメチャにしたいのも事実だからな」
 一瞬怯えたような目がぞくりと来る。
「ちょ、待って……あかん、痛いのイヤ……」
「安心しろ、痛くはしねえよ……そういうところを知ってるからな」
 口調が関西弁になっている。ここまで俺の好みのままだともうどう言っていいかわからん。とりあえず徹底して貪るのみだ。
「や、そこ、ウチ弱いッ……」
「知ってる」
 ブラをずらし、乳首を口に含んで先端を舌でくじる。はぁはぁと大きく息をつく彼女に、更なる快感を叩き込む。
「や、やぁぁ……そこ、あかんッて……」
 胸を刺激しながら右手が内股に忍び込む。ストッキングと下着の二枚の上からでも、既に秘所が湿り気を帯びているのがわかる。
「もう濡れてるんだな?エロいなぁ、アンタ」
「あ、あんたのせいやんかぁ……ンっ、あ、や、やぁ!!駄目、やって、ソコ……弱……ァァ!!」
「なあ、もうイキそうだよな?俺の趣味なんだもんな?もうイキそうでイキそうで必死だろ?」
 俺が囁く言葉に、顔面を真っ赤にしながらこくこくと頷く。紅潮した顔、目尻の涙、八の字の眉。全てがそそる。
「なら、イッちまいな。俺が女がイくときの顔が大好きだって知ってるよな?」
「あ、あかん、本当、イって……まぅ……い、イイっ……あ、あ、あああッ!!」
 びくん、びくんと一際大きく身体を痙攣させ、俺の腕の中で彼女は達した。はぁ、はぁという荒い吐息が、俺の股間を痛いぐらいぎちぎちにさせていた。

 

「な、何てコトすんねん……」
 はぁ、はぁと呼吸を乱しながらも恨めしげに彼女は俺を見る。
「何てコトって……いやその……」
「う、ウチだけがイってもうたやろ?そしたらアンタ、もう一生書かれへんよ、ああいう小説」
「は?」
「う、ウチはな、あのテのモノに対する妄念が集まって出来たようなモンや。せやから『誰か一人のモノ』にはなれへん。せやのにアンタは一方的にイカせてもうた……」
「そ、それが悪いのか?」
「今、ウチは『アンタだけのモン』になってもうてる……アンタの妄想の具現たる精液をもらってへんのに、イクだけはイッてもうたからや。そしたら、もう『禁断少女』でも何でもない」
「……はぁ。そしたら何なんだ」
「た、唯の妄想みたいなモンや……アンタ一人のな。アンタの煩悩の塊や、せやからウチがここにいる限りは」
「書けない、か。別にいいや」
「は?」
 彼女の目が点になる。
「妄想でも何でもいいや。要は書けないかわりにアンタもココにいるしか無いわけだよな?何度でもイって見せてくれるんだよな?」
「ちょ、ちょう、アンタ!!」
「知ってると思うけどさ、俺女がイく時の顔みるの大好きでな。あと三回はイって見せてくれ」
「や、ちょう待って!!あ、あかん、あかん、て、そ、そんなッ……」
 再び唇を奪って舌を絡めとる。大きな胸を揉みしだきながら両方の乳首をしごく。
「は、ぁあッ……か、かんにんしてッ……あかん、てッ……」
「やー妄想ってのは素晴らしい。もう身体中ガクガクで力入んないよな?」
「な、何でアンタそんなに……ッ、違和感無く犯せるねんッ……ふぁ、ぁッ……ふ、普通やったらッ……、とまど、うッ……ぁ、ああ!!」
「さぁなー。俺がイタイからじゃねぇの?とりあえずココとか責めてみようかな」
 言うや俺は彼女の股間に顔を埋める。既に下着だのは消えてなくなっている。ビバ妄想。
「ちょ、ちょうッ、あかんッ、ひぁ……ぁあ!!」
 舌で入り口を刺激しながら先端を軽く挿入する。彼女がのけぞり、その拍子に豊かな胸がぶるん、と跳ねるのが見えた。左手を伸ばして胸を掴み、乳首をしごきながら舌と右手で秘所を責め続ける。
「ふぁ、ああ!!やぁ、アカン、あかんて、ほん、まにッ、また、イって……!!」
「イキやすいんだよな、凄く。それが悩みの種、って設定だからな。特に──」
 舌の先を入り口から陰核に変える。未だ包皮に包まれたままのそれを舌先でつついてやるだけで──
「は、ぁぁぁぁあ!!」
 電気に打たれたみたいに、彼女は声を上げながら二度目の昇天を迎えた。

 
「はぁっ、はぁっ……、こ、こんなんやったら来るんやなかったわ……」
 恨めしそうな顔でこっちを見る。その顔が更に劣情を誘うのだが、それがわかっていないのだろう。
「なぁ、本当に何で来てくれたんだ?俺はこの通り、自分の欲求には素直に生きてる人間なんだが」
「あ、アンタ、色々なところに小説書いとるやろ?」
「……?ああ」
「それも、活気が無いところが多い。そンである程度賑わったら姿を消す」
「そうだな、それが多い」
「それがな、女神様の目に止まったんや」
「は?」
 女神ときた。それはアレか、SS書きの女神とか言う奴か。まあ禁断少女とやらがいるくらいだ、おかしくも無いか。
「そンで、アンタみたいな書き手がいると全体的な活性化に繋がっていくから、特別なご褒美として……」
「行って来い、か」
「なぁ、お、お願いや、アンタのん、頂戴?ウチ、このままやったら……」
 いや、実はそうやってジーンズの上からなでられてるだけでも出しちまいそうなんだが。ハッキリ言って俺、早漏だし。
「出したら、消えちまうんだろ?アンタ」
 再びやわやわと胸を揉みながら俺は尋ねる。
「んぁ、あっ、せ、せやかて、ずっとこうしてるわけにもッ、いかんやろ?ん、んぁっ、お、お願いや、ごっつう気持ちよくしたるから……ッ」
「……ん」
 実は俺も既に限界だ。二度も目の前で好みの女がイっているのだ、いい加減出したくて仕方が無い。俺が頷くと、彼女は淫靡に優しく微笑んで俺の股間をなで上げた。
 ベルトをカチャカチャと外すと、既に下着を押し破らんばかりに元気な俺の息子が先端を塗らして挨拶する。
「随分苦しそうやね……」
 下着をずらして、ぶるんと立つ肉棒にそっと彼女は手を添える。そのままゆっくりと手コキを始める。
「……く」
「ふふ、散々いぢめてくれはって……ウチかてアンタの弱いトコ、沢山知っとるよ……」
「く、ぅ……ッ」
 やわやわと袋を揉みながら竿をゆっくりと擦られる。そのまま先端に口付け、舌が尿道をくじる。
「う……くぁ……」
「ヒクヒク言っとる……もう、今すぐにもイキたそうやん……」
 しゅ、しゅと手が上下する。急速に股間が爆発しそうになる。畜生、一回イッちまったらコイツは消えちまう、のに……
「大丈夫、アンタ滅茶苦茶しはったから、一回出したくらいじゃウチは帰れへん……安心して、イってまい」
 その言葉に、何かが切れる。
「う、うぉッ……く、ぅあ!!」
 びゅる、びゅると白濁液が俺の肉茎からあふれ出る。それを上気した瞳で見つめながら、彼女は舌で舐めとり始めた。
「……ん、んっ……コレが、ウチや何かを文章で犯してるモトなんやね……ヘンな味や……」
 もう、そこまで見たのが俺の限界だった。
「え、ちょ、きゃぁっ!!」
 強引に肩を掴んで押し倒すと、そのまま胸にしゃぶりつく。
「あ、あぁッ、あかん、優しゅうしてっ……ふぁ、あ、ソコ……っ!!」
「悪い、もう我慢出来ねぇ。挿れちまうけど、いいな?」
「え……ん。ええよ、アンタやから……特別や」

 
 纏めていた髪が解けて、床に広がる。汗ばんだ肌の上で、眼鏡が少しずれている。大きな胸が、呼吸と共にふるふると震える。まさに完全に理想形だ。俺は自らの逸物に手を添えると、彼女の秘所にあてがった。
「ん……」
 ぎゅ、と目をつむる彼女。そのまま、ゆっくりと腰を押し入れていく。
「ぁ、ぁ、っ、あっ、ん、んん……!!」
 正直、俺の逸物のサイズは大した事は無い。だが案ずる無かれ、こういう時はお互いのサイズはぴったり一致と相場が決まっているのだ。
「う、ウチのなか……アンタで一杯や……ぁっ……」
「動くぞ」
「ん、あ、あっあっあっ!!や、激し、そんな、いきなりッ……ああ!!」
 遮二無二腰を打ち付ける。視覚と触覚と聴覚と嗅覚、嗅覚にいたるまで五感全てが俺を馬鹿みたいに唯ひたすら生殖行動へと走らせる。
「あ、ぁあっ、や、アカン、あ、ああ……ふゥあ!!」
「わ、悪ぃ、さすがにまだイキたくないから……な!!」
「え、ちょ、ちょうッ、や、そ、そんなカッコ……!!」
 正常位から即位へと変え、すべすべした脚を抱えるようにしながら更に突く。そのまま後ろに回り、豊かな胸を掴みながら突き、上に載せる。
「は、恥ずかしい……こんなんッ……や、そ、それアカンっ!!」
 抱きかかえるようにして突き上げながら、右手を股間に這わす。出入りするところと陰核を指で刺激する。
「ああッ、ふぁああ……!!い、イク、イって……まうッ!!」
「俺も、げん、か……く、うぉ、で、出るッ!!」
 一瞬の弛緩の後、急速に締まる彼女の蜜壷。背後から抱きしめながら、俺は彼女の中に思い切り放出していた。

「全く、何て男だ。普通私達が呼ばれて、ここまで酷いことをされるなんて無いぞ」
「酷いコトって……あんあん感じてたやん」
「あ、あのなぁ君は!!感じてればレイプは犯罪じゃないとでも言うつもりか!?」
「んーにゃ。でもコレはレイプじゃねーだろ」
 抱きしめて髪を撫でながら、ぶーぶーという彼女と軽口を叩いていた。
「なあ、やっぱり」
「ああ。もうすぐかな、私は消えるよ。否、戻ると言った方が良いかな」
 やっぱりな。そりゃ中に出してまでこっちにいてくれる道理は無いわな。
「すげー気持ち良かった。アンタ最高だったよ、またエロいのが書けそうだ」
「ふん。一回精を抜くだけの仕事なのに、なんで三回もイかされて、おまけに中に出されなきゃならないんだか。もう二度と来ないからな」
 だがお互いにわかっている。恐らくは俺がSS書きを止めない限り、そしてコイツが「禁断少女」と呼ばれる事を忘れ去られない限り、どこかで俺達はまた会うのだ。ソレが他人が書いた物語の中であろうとも、だ。
「それじゃあな。最低のどすけべ小説家」
「ああ。最高の『禁断少女』だったよ、アンタ」
 そう言って、俺は眼を閉じる。そして──

 
パソコンのモニターからの薄明かりで目が醒めた。寝ちまった上に随分と卑猥でご都合主義な夢を見ていたような気がする。どうにも、最近頭の中がピンク色で困る。
 と──、突然、筆がサクサクと進みだす。先程まで詰まっていたのが嘘のように俺の指がキーボードの上を走り出した。コレじゃ丸で──
「禁断少女のおかげで、か?」
 くすり、と鼻で笑う俺の脳裏に、一瞬物凄い良い女の顔がちらつく。──もう忘れかけているけど、さっきの夢の断片だ。
「よし。コイツを書き上げたら」
 次はあの女をネタに書いてみるかな。何とかおぼろげながら未だイメージは残っているし。よし、それじゃ一服入れて──

『未だそんなものを吸っているのか、君は』

 どこかでそんな言葉を聞いたような気がした。少し戸惑った後、結局煙草を咥えて火を点ける。構うものか、俺は俺のやりたいようにやる。過疎スレに投下するのも、活気が出たら去るのも俺のスタイルだ。
 禁断少女とやらがオナ禁をしている人間の下にくるというなら、それはきっと自分のしたいことの為にスタイルを崩さぬ人間へのご褒美みたいなもんなのだろう。
 まあ最も、俺は少女は好みじゃないのでお姉さんの方が良いんだがな。

 カチカチとキーボードの音、じりじりと煙草のフィルターが焼ける音。夜はまだ明けない。明日は休みだ、精々今夜のうちに作業を進めるとしよう。