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 暑い日が続いている。日中は風が強く吹いていたが、夕方には収まっていた。
 二階にあるこの部屋の窓から外を見れば、近所の家の明かりが見えるだろう。
 俺は視線をカーテンからディスプレイに移す。そこには書きかけのSSが表示されている。
 読み専だったのだが、ある事が切っ掛けとなり、SSに挑戦しているのだ。
 それはある掲示板で、偶然見つけたスレに原因があった。
 そこで禁断少女……もとい、素晴らしい作品群に出会ったからだ。
 いざ書いてみると、想像以上に難しかった。作者の苦労を実感し、頭が下がる思いだ。

 オナ禁してから既に一週間経つが、いまだに禁断少女らしい人物は現れていない。
「駆け出しの元に来るはずもないか……」
 大きく伸びをした後、メールをチェックする。相変わらず、出会い系の怪しいメールばかりだ。
 ふと、その中に『禁断少女』という差出人名を見つける。
「これは!?」
 はやる気持ちを抑え、ゆっくりと唾を飲み込む。


 メールを開くと、本文には『今夜、貴方の元に伺います』と一行だけあった。
 返信ボタンを押し、『突然部屋に現れても困るので、玄関から来て下さい』と入力する。
 俺は細かい事は気にしないのだが、登場は自然なほうがいいと思ったからだ。
 メールを送信してから後悔する。
「新たな手口に引っ掛った?」
 俺の不安をよそに、送ったメールは配信不能というエラーで返って来た。
 そうだよな。そんな都合のいい話があるわけない。少し期待していた自分に苦笑する。

「もう九時か。腹減ったな」
 両親が旅行に出かけているため、食事はコンビニの弁当などで済ませていた。
 最近、この辺りに怪しいヤツが出没するらしいので、夜はあまり外に出たくなかった。
 男が襲われることはないと思うが、変質者に間違えられても困る。
「まだ何か残ってたかな?」
 自分の部屋から出ると、階段を下りて食堂へと向かう。
 食堂の入り口には、幾つかの洗濯物――体操着や下着など――が無造作に置いてある。
 これらは昼間、隣りの家から飛んできた物だった。留守だったので、返していない。


 戸棚を漁るとカップラーメンが一つだけ残っていた。
「今夜はこれでよしとするか」
 ヤカンに水を入れ、お湯を沸かすことにする。
 自分の席に腰を降ろすと、頬杖をついた。

 禁断少女はその人が想い描く姿で現れるらしい。性格や性癖なども合わせてくれるのだろうか?
 実は隣りの家に住む少女に好意をもっている。彼女は今年高校生になったばかりだ。
 小さい頃はたまに遊んだこともあるが、最近はそんな事もなくなっていた。
 まあ、挨拶くらい交わすが、それ以上は望むべくもない。
 今朝見かけた時、彼女は長い髪を揺らしていた。その笑顔には、まだあどけなさが残っていた。
 もっとも体の発育は順調なようで、何度か風呂場を覗いて確認済みだった。
 どちらかというと、髪は短い方が好みなんだが……。

 もし、俺の元に禁断少女が現れるとすれば、彼女の姿で来てくれるのだろうか?
 格好はもちろん制服で……いや、夏だから違ってても許すぞ。


 いきなり襲ったら、嫌がってビンタくらいされるかな? 従順なだけじゃ、イマイチ面白くない。
 ヒールで踏み付けられたり、鞭で打たれてみるっていうのはどうだろう? ローソクは?
 手錠なんか掛けられて、激しく罵られるとかは?
 責められた事などないのだが、そんな経験をしてみたいと思っている。頼む、体験させてくれ!
 幼さの残る子にそんなことをされたら、ギャップで萌え狂ってしまうかもしれない。

 ヤカンが沸騰したことを知らせてきたので、火を止めにいく。
 カップラーメンの蓋を開け、湯を注ぐ。
「ちっ」
 お湯が線より多く入ってしまった。今にも溢れそうだ。まあ、いいか。
 カップラーメンをテーブルまで持っていき、時計を見る。長針は4を指していた。
 箸を用意し、椅子に座る。あと少しで食べられるぞ。
 不意に呼び鈴が鳴った。
「誰だ? こんな時間に……ま、まさか!」
 俺は食堂から玄関へと続く、真っ直ぐな廊下を小走りで進んでいく。

 玄関のドアを開けると、隣りの家に住む少女が立っていた。髪型は俺好みのショートカットだ。
 白い半袖ブラウスにチェックのスカートを穿いている。両手は後ろに回されていて見えない。
 さり気なく胸の辺りへ目をやると、ブルーのブラジャーが薄っすらと透けていた。
「こんばんは。あの、回覧板です」
 彼女はそう言うと、両手で回覧板を差し出した。
 マジか!? 俺の所にも、ついに禁断少女がキター!!
 彼女に見えないよう、小さくガッツポーズをする。
 この際、制服姿でなくてもいいじゃないか。俺は細かい事は気にしないのだ。
「どうしたんですか?」
 彼女はちょっと首を傾げる。
「い、いや何でもないよ。ありがとう」
 回覧板を受け取ると、それをゲタ箱の上に置く。
「失礼します」
 彼女は一礼して、背を向ける。
「上がっていきなよ」
 その背中に、慌てて声をかけた。焦らす作戦だろうか?
「えっ?」
 彼女が振り向いた。
「ジュースぐらい出すよ」
「でも。わたし、帰りま……」
 彼女の視線は、俺から廊下の奥、食堂の方へと向けられていた。


「いいからいいから。遠慮することないって」
 そう促すと、彼女は指を口元に持っていき、何事か考えているようだった。
「……じゃあ、少しだけ」
 彼女はそう言うと、玄関の中に入ってきた。ゆっくりとした動作で靴を脱ぐ。

 俺は食堂へと続く廊下をゆっくり進む。彼女は後ろから付いてくる。
「わざわざ俺の所に来てくれるなんて、感激だな」
「あの、なんのことですか?」
「またまた。俺、一週間も溜まってるんだ」
 急に立ち止まって振り返る。彼女も慌てて止まると、二人は向き合った状態になる。
 俺が彼女を見つめると目が合った。しかし、彼女はすぐに視線を逸らした。
 次の瞬間、俺は彼女のスカートをめくった。青いパンツがちらりと見える。レース付きだ。
「キャッ!」
 小さな悲鳴と共に、両手でスカートを押さえる姿が愛らしい。
 た、たまらん!
「ちょっ、ちょっと何を――」
 抗議しようとした彼女をその場に押し倒し、馬乗りになる。
 手で腕を抑えつけ、強引に唇を奪おうと腰を浮かせ、前のめりになった。
「や、やめて下さい」
 顔を背けた彼女が言う。

「嫌がる姿もいいね」
 彼女の耳元で囁く。
「ひ、人を呼びますよっ!」
 顔を戻して言う彼女の声は、少し震えているようだった。
 俺は左手で無理矢理ブラウスを襟元から引っ張ると、ボタンが幾つか飛んだ。
 レース付きのブラジャーが露になる。柔らかそうな膨らみは目の前だ。
「い、いやぁー!」
「嫌よ嫌よも好きのうちって――」
 頬に平手打ちを喰らった後、股間に鈍痛が走る。
「ってー!」
 彼女の蹴りが入ったのだ。床で転げる俺を無視し、彼女は一目散に駆け出す。
「ちょ、まてよっ」
 俺は手を伸ばすが、彼女は振り向きもせず、玄関から出ていった。
 なんとか立ち上がり、ぴょんぴょんと跳ねる。
「ぅああ、マジ痛え……」


 暫くして、気を落ち着かせた俺は食堂に戻った。
 時計を見れば、もう五十分を過ぎている。
「完全に延びちゃったな」
 席に着き、水分を吸ってしまった麺を食べ始める。
「さすがにちょっと強引すぎたかな」
 自分の衝動を抑えきれなかったことを反省する。
 何も逃げ出すことはないじゃないか。まだ抜いていないんだから、すぐに戻ってくるだろう。
 そういえば、なんで持ち物が回覧板なんだ? まあ、いいか。俺は細かい事は気にしないのだ。
 殆んど残っていない汁をすすった。
 パトカーのサイレンが近づいて来るような気がする。
「ん? 近くで何かあったのかな」
 変質者でも出たのだろうか? のん気にそんな事を思う。
 カラになったカップと箸をテーブルの上に置くと、ゆっくり背もたれに寄りかかった。

 それから一時間後――。

 明かりの点いた家の玄関先に、人影が立っていた。
 呼び鈴を何度となく鳴らしているが、誰も出てくる気配がない。
「おかしいなぁ」
 髪の短い、制服姿の少女が首を傾げる。手には膨らんだ学生鞄を持っていた。
「確か、ここで間違いないと思うんですけど……」
 少し玄関から離れると、ゆっくりと辺りを見回す。
「急でしたけど、苦労して集めたんですよ、コレ」
 そう呟いて持ってきた鞄に目をやると、ため息を吐く。
 玄関前に行き、もう一度呼び鈴を鳴らす。
 少し待ってみたが、やはり誰も出てこない。
「せっかく来たのに……もう知らないです!」
 少女は頬を膨らませると、その家を後にするのだった。

-完-