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   クリスマス禁断少女、略してクリ禁少女。


 そのとき俺はスランプだった。
 SSと呼ばれる短い自作小説を、とある掲示板の一角で書くようになって数ヶ月。
 最初の頃は、自己満足の駄文を形にしては書き込んだ。
 初めてGJと言われたときには転げ回って喜んだ。
 そうするうちにそこそこ「GJ!」の数も増えていき、かなりのペースで書き込んでは、
一人で悦に浸っていた。
 ――以前は、だ。
 それが今ではすっかり書けなくなった。
 一行書いては、二行目が浮かばない。
 三行書いては、全削除。
 相変わらず、構想だけはポンポン浮かぶんだぜ?ただ、それを書き上げるだけのモチ
ベーションが続かない。
 そんな調子が、もうずいぶんと続いていた。
 そもそもスランプと言う言葉すらおこがましい。それほどの才能なんて元から俺にはあ
りはしないのさ。
 だから、情熱が冷めた。飽きた。その程度の言葉がぴったりしっくり収まった。
 それでも、それを認めたくないという未練もあって、今日もまたテキストエディターに
向かっては、悶々としている俺が居るのだった。

「うう゛ぁ~、書けねえ……」
 一人暮らしの部屋に俺の独り言がむなしく響く。俺は吸いさしのタバコを灰皿に押しつ
けてコタツに潜り込んだ。いつしかすっかり日も暮れていて、部屋では台の上に置いた
ノートパソコンの画面光だけが白々しく輝いている。
 今日はクリスマスイヴ。こんな大切な日にも俺は一人で部屋にこもり、しかも何の成果
もないままに過ごしてしまった。まったく、こんなんじゃまるで……
「ただの引きこもりだね」
 唐突に声をかけられて俺はコタツから飛び起きた。声の質は女の子のようだが、断じて
俺には訪ねてくれる彼女はいないし、妹なんかも居やしない。
「だ、誰だ!?」
 俺はちょっと見苦しいくらいに泡を食って、照明のリモコンに手を伸ばす。
 部屋にはくすくすという笑い声が木霊する。
 照明の光が暗がりに慣れた瞳に突き刺さる。視界が真っ白に染まる。
 その白の世界には見知らぬ少女がいた。

「こんばんは」
 コタツを挟んで俺の正面に佇む少女はにっこり微笑んで普通に挨拶をした。
「ああ、こんばんは」
 俺たちはちょっと間の抜けた挨拶を交わした。本当はもっと他に言うことがあるはずな
んだが、少女の姿に俺はずいぶん呆気にとられた。
 部屋にいたのはミニスカサンタルックの少女だった。
 どうやら人間ってのは想像の遙か斜め上を行く現実に遭遇すると、ただ呆然としてしま
うものらしい。
 俺は改めて少女を見る。年は高校生くらいだろうか、ショートカットのサラサラヘアー。
顔立ちは瞳がくるくると大きくて、かなりカワイイ。服装はキャミワンピースタイプのミ
ニスカサンタ衣装にアームウォーマー、ご丁寧なことに白いニーソックスまで履いている。
正直なかなか俺の好みのドンピシャだ。
「ええっと、君は……?」
「私は困っている人の元に贈られたサンタさんのプレゼントです!」
 眩しいほどの笑顔で応える彼女に、俺はようやく納得のいく現実に落ち着くことができ
た。この場に必要なもの。それはきっとあれだ。
 暖かい笑顔と緑の救急車。

「ちょ、ちょっと待って!私はそんなんじゃありません!」
 少女は俺の考えを察したかのように慌てて否定した。
「うわ、な、なんだ?俺、口に出してた?」
 少女は首を振って否定する。んじゃあ、ずいぶん勘の良い子だ。
「それに緑の救急車なんて存在しないんですよ。都市伝説です」
「あれ?そうだっけ?」
 このおかしなサンタ少女のおかげで俺は1つ賢くなった。
「この世の中にはそういった嘘の都市伝説がいっぱいです。特にインターネットの世界に
はよくできた嘘がたくさんあります」
「で、俺みたいな単純な奴が騙されるわけかい?」
「うん」
 ちょっとムカツク。
「都市伝説なんてほとんどは嘘っぱちです。おもしろ半分に作られたお話です。でもね、
ごく稀に本当のことがあるんです。それが私です」
 と少女は得意げに胸を反らした。
「はあ……」
 俺は気の抜けた返事を返しながら、別のことを考えていた。
 意外に胸大きいな、と。
「な、何考えてるんですかっ!」
「あ、ごめん」
 またもやナイスなタイミングでつっこみを入れられてしまった。やっぱり勘の鋭い娘だ。
もはや俺は笑って誤魔化すしかない。
「って、まだ私のこと分からないんですか?」
「うん。全然。どこかで会ったっけ?あ、町で俺を見かけて一目惚れしたとか?」
 自分で言っておいてなんだが、一番ありえないシチュエーションだ。案の定、彼女はや
れやれといったオーバーアクションで否定する。
「私のスレッドとか読んでくれたでしょう?」
「はあ?」
 何を言ってるんだろう。さっきから少女の言葉はつかみ所がない。それでも俺はつたな
いヒントを頼りにして懸命にパズルを組み上げる。それはなんだかSSのプロットを繋げ
る作業に似ていた。スレッド……都市伝説……ん?SS書きの所へ現れる少女……
「あああああああああああ!!ま、まさか!」
「はい」
「き、き、き、禁断少女!!」
 少女はにこにこ微笑んでいた。
 俺の頭の中で完成したパズルはもっともありえない答えだった。

 彼女の正体が分かったからと言って、俺の疑問は深まるばかりだ。そもそも俺はオナ禁
なんて殊勝なことはしてないぜ?
「今日は特別サービスです。えっと……そのもにょもにょ禁……をしなくても今年がんば
ったSS書きさんへのご褒美としてやってきました!」
「えっ?なにをしてなくてもって?」
「ですから……オ…オ……もにょもにょ禁……」
「んん?なに禁だって?聞こえないよ?」
「んもう!分かってるくせにーっ!」
 驚かされた仕返しにと、ちょっとばかり意地悪をしたら、俺はすっかり怒られた。
 なかなか禁断少女って可愛い奴だ。
「とにかく、今夜は特別なの!サンタさんからのプレゼントなんです!」
 どうやら最近のサンタは良い大人にもプレゼントをくれるらしい。粋な男だぜ。
「それに、最近調子が悪いみたいだから、元気づけようと思って」
 そうい言って少女は何気なく俺の隣にちょこんと座ってコタツの上のノートパソコンを
のぞき込む。思いがけず急接近した彼女からはとてもいい香りがした。
「ほらね、今日も一行も書いてない」
「いや、それは、あれだ。今からちょうど書こうとしてたのさ。だから真っ白なだけであ
って、2時間もすればサクっと一本……」
「嘘でしょ。私には貴方の考えてることが分かるんです」
 これにはちょっとびっくり仰天だ。彼女はなんでもお見通しというわけか。それならば
さっきから感じている勘の良さってのも納得できる。さすがは禁断少女、只者じゃないぜ。

「それで、ええっと、結局、君は何しに来たんだっけ?」
「だーかーらー!貴方を元気づけるために来たんですっ!」
「はあ……」
 元気づけるって、どういうことだ?ま、まさか……あんなことや、こんなことを……な
んせこの子は噂に名高い禁断少女だ。やっぱりちょっと俺は不謹慎なことを期待してしま
う。エロSS書きの性ってやつだな。
「うん、それももちろん大丈夫です」
 またもや俺の考えを読んだらしい禁断少女は苦笑いして、恥ずかしそうに俺を見つめる。
顔も仕草もなかなか可愛らしい。
「ホントに本気?……実はドッキリでしたとか言うんじゃないか?」
「言いません!……んと、じゃあ、これで信じてもらえますか?」
 そして彼女は優しく俺にキスをしてくれた。唇は柔らかく、頭がしびれるくらいに心地
良い。これは夢か幻か、どこまでも現実感のない状況だった。それでもいいじゃないかと
俺は何も考えるのをやめた。そもそもこんな夢と現実の境界線で生きてるのが、俺たちS
S書きだろう?
 とにかく全てを振っ切るくらいに最高のキスだった。

 俺たちは結構長い間口づけしていた。彼女の唾液は蜜のように甘い。俺は夢中で舌を絡
ませる。
 唐突に彼女の手が俺の太ももに添えられた。その手が少しづつ上へと登ってくるものだ
から、たまらない。見た目は清純な少女がとる艶めかしい仕草に、俺は息が詰まるほどの
興奮を覚えた。
「私にさせてもらえますか?」
 上目遣いに問いかけてくる彼女に、もちろん俺に嫌とは言えない。むしろお願いします。
 彼女の指が手際よく俺の下半身を裸にしていく。
「もう、すごいことになってますね」
 まったく彼女の言うとおりだった。俺のものはすっかり大きく立派な姿をさらしている。
 サンタ服のアームウォーマーから覗く、彼女の白い指先が俺の敏感なところをなぞる。
それだけで背筋にぞくりとするような快感が走る。
 やがて彼女は俺の横からうずくまるようにして、俺の下腹に顔を近づける。癖のない髪
がその表情を覆い隠すと、俺のものは彼女の温かい口の中に包まれた。
「ん……んぅ……」
 彼女の口から漏れる、悩ましげな吐息までもが俺を熱くさせる。彼女は巧みな動きで的
確に愛撫していく。
「ふう……やばいくらい気持ちいいよ」
 俺もここでされるがままになっていては男が廃るとばかりに、彼女の下半身に手を伸ば
す。サンタ服のミニスカートをたくし上げると中からはシルクでもレースでもない、木綿
の少女らしい下着姿が現れる。どこまでも俺のツボを押さえた姿だ。
 俺は彼女のおしりに触れる。木目の細やかな素肌はすべすべだ。俺はその感触をもっと
楽しみたくて執拗になで回す。我ながら、ちょっと変態オヤジのようだ。
「あん……」
「もっと色々触っていい?」
 彼女は首だけでコクリと頷く。俺は下着の上から彼女の大事なところへ指を這わせる。
意外にもそこはもうしっとりと湿り気を帯びていた。
 俺は指でまさぐって小さな突起を見つける。今度はそこを重点的に刺激した。
「んんっ……はぁぅ……そこ……」
 彼女の吐息が熱を帯びてくる。
「ここが、なに?」
 彼女の敏感なそこを二本の指で挟むようにして、こね回す。
「ぁぁぁっ……そこ……気持ちいいです」
 俺のテクニックに彼女のあそこはぐっしょり濡れていた。下着の上からでも嫌らしい水
音が聞こえるくらいだ。流石は俺。妄想SSで鍛えたテクニックは伊達じゃあない。
 ともかくもこれでお互い準備はオッケー整ったわけだから、俺の我慢は限界だった。
「お、俺、もう……!」
 と、これからガバチョと襲いかかろうとしたところで、逆に彼女にのし掛かられて、俺
はあっさり押し倒されてしまった。
「あれ?」
「ダメです。最後まで私にさせてください」
「は、はい……」
 ちょっと情けないぜ。

 俺は床に見事に押し倒されて、その上に彼女が馬乗りになっている。格闘技で言うとマ
ウントポジションを取られたってヤツだ。これじゃあ、俺も手が出せない。
 だから彼女は意地悪な笑みを浮かべて俺を見下ろしている。
「ふふふ……この状況、何か覚えがありませんか?」
「えっ?ん??」
「女の子に押し倒されて騎乗位でエッチ……」
「……あ、それは俺が最初に書いたSS……?」
「はい、そのシチュエーションでしてあげますね」
 さっきまでの清純さはどこへやら、いまではすっかり立派な小悪魔だ。
 俺は両手を頭の上で押さえつけられて身動き一つとれやしない。彼女は片手で器用に自
分のショーツを脱いでいく。
「入れ……ますね……」
 彼女は俺のものに指をあてがって、自分の中へ導いていく。残念ながら繋がる部分はサ
ンタ服のスカートに隠れて見えないのだが、それが逆に想像をかき立て劣情を煽る。
 やがて先端が生暖かいものに触れ、ゆっくりと包まれていく。
「ん……くはぁ……」
 彼女が切なそうに眉根を寄せる。そしてスカート中では俺の全てが飲み込まれた。
「く……ぅ……奥まで……届いてます」
「苦しい?」
「大丈夫……です……動きますね」
 彼女の腰がゆっくり動き、俺のものが粘膜に擦り上げられる。最初は緩やかに、だけど
も徐々にその反復運動は速度を増していく。
「あ……んっ!……や……!」
 彼女の漏らす吐息が確実に喘ぎ声に変わっていく。いつしか彼女は俺の腕の拘束も解き、
夢中になって乱れ動いている。俺の方もずいぶん興に乗ってきて、下から腰を突き上げる。
「っっっ!ううっ……だめ……それ……奥にごつごつ当たって……!」
「気持ちいい?」
「は、はい……っ!……あああっ!」
 俺たちは狂ったように激しい注挿を繰り替えす。部屋にはお互いの体がぶつかる音と粘
り気のある水音が響き渡る。
「だめっ……あああっ……私、もう……いっちゃう!」
「ん、俺も……そろそろ……」
 俺は長いストロークで腰を打ち付ける。その度に頭の芯まで痺れるほどの快感が波のよ
うに押し寄せてくる。
「いくっ……あああああああっ!!」
 彼女が絶頂を迎え、きゅうっと締め付けられるのと同時に俺もありったけの精を彼女の
中に放った。それは何度も何度も脈動して、彼女の中を満たしていった。

 事を終えた俺たちは重なるように抱き合ったまま、息が上がってしばらくまともに話す
こともできなかった。
「どうでした?自分で書いたSSのエッチって」
「すごい、良かったよ。なかなか俺の妄想も、捨てたもんじゃないな」
「でしょう?ちゃんとGJ貰ってたじゃないですか。また、書いてくれる気になりまし
た?」
「んん、どうだろ。俺なんかより上手い書き手はたくさんいるからな……この前、書き込
んでいた新規参入の人なんか俺より多くGJ貰ってんだぜ?」
「でも!貴方の妄想は貴方にしか書けないんですよ!」
 俺はちょっと彼女に感心した。
「ありがとう、良いこと言うじゃん」
 つまり、周りのことは気にせずに書けということなのか。
「それに、貴方のSSに触れた人はとても楽しんでいるんですよ。貴方が自分で思ってい
るよりもずっと」
「それはどうかな?」
「いいえ、私には分かるんです。GJ一つ一つに込められた強い思いが」
 人の心を読むという不思議な少女が言う言葉には奇妙な説得力があった。確かにGJな
んて二文字は味気ないけれども、うまく言葉にできない色んな思いが詰まっているのかも
しれないな。
「……ん、なんか書ける気がしてきた。ね、いつまでココに居られるんだい?」
「えっと、日付が変わるくらいまでは」
「よし、んじゃあさ、温かい紅茶を入れてくれない?」
「はい!」
 俺は一本、たばこに火をつけ、エディタを立ち上げた。真っ白なウィンドウは俺の言葉
を待っている。長らく忘れていた感覚だ。
 時計を見れば12時までにはまだすいぶんと時間がある。
 だから、頼むぜ、俺の指よ。
 彼女が居なくなる前に、SS一本書かせてくれよ。