ボーイッシュぽいもの

 

「あけおめー!!」
「おめでとう、せめてお年始の挨拶くらいは正しく使いましょう。」
……いやそうじゃない。えーとこの子は誰だ。
「やだなあ、忘れちゃったの?」
こちらの怪訝な顔を見たのだろう、少女に言われて、
記憶を巡らす。
そもそもこんな理想的にボーイッシュな少女は知り
合いにいないはずだ。
寂しくてその手の派遣でも呼んだかとも考えたが、
そんな覚えはないし財布だって余裕はない。
一人手酒で飲んでた酒は、寂しさを紛らわすように
ペースが早く、周り方も相応、てなもんでかなり頭
が痛かったりする。
ただまあ詰まらん酔い方には自信があって、今日だっ
て呑んでる間の記憶がない訳じゃない。何なら紅白の
結果でも言ってみようか。紅だな。ごめん見てない。
……うん、正気だ。正気は保った事を確信した上で問う。
「どっから入ってきた?」
盗み見たアパートの玄関には確かにダブルロックが掛かっていたし、
窓だって無駄に高い柵があり、まあ不可能ではないだ
ろうが目の前の少女がそこから侵入してきたとは考え
がたい。二階だし。
「えーと、入ってきたっていうか、出てきたっていうか」
「おう」
「キミの脳から?」

そうかそうか。

 
「キャーって、なんで服脱いだのに寝るのー!?」
「裸で寝るのは習慣だし、自分で発信した電波と会
 話する趣味は無いの。」
それでも律儀にオヤスミと呟いて目を閉ざした。
なにやらやかましいがまあいずれ収まるだろー、電
波だし。ということで放置する事に決めて寝返りを
打った。少女の声は背中に向くことになる。
「ねぇちょっと待って、起きてってば!話聞いてよ!!」
昨今の電波にはどうも触れることすら出来るらしい。
布団の上からゆすり起こそうと電波女は試みるが、
この状態でそんなことをされたところで、リズミカ
ルな振動は誘眠の意味しか持たない。
「もー……しょうがないなあ……」
嘆息。
「そうそう、しょーがないからさっさと帰れ帰れ。」
言葉の尻に、大欠伸。本格的に寝入ろうと布団を引
きあげようとしたが、女の手に阻まれる。
疑問に思う間もなく、何かが布団の中に滑り込んで
くる。そして俺の首に回される細長く、柔らかさと
堅さとを兼ね備え、仄かに暖かいもの。
反射的に目を見開いたとき、すでに俺と彼女の唇は
触れ合っていた。
「……!!」
柔らかなものが口腔を侵す。

 
少女の舌が歯茎を撫で、
無意識のうちに開いていた歯の隙間を抜けてくる。
狭い空間の中で舌は俺のそれに絡みつく。甘い感触、
とでも言うのだろうか。自分のものとは比較にならない柔らかさで少女の舌
になぶられると、拒み難い悦楽が頭を支配する。そ
れは中心に向かう左手も同様で、あからさまに充血
していくのが解る。
ついに彼女の手がそこにたどり着いたとき、
(……やばい)
そう感じたが、惚けた体に彼女の手は力強過ぎた。
振り解く間もなく、少女の細く冷たい手が一撫でし……

…………………
…………
……



「……えーとホラ、私巧いから」
「……」

気まずい沈黙。

481 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/01/01(月) 10:32:44 ID:nbZIcD3L
本番無しでごめん。
最終更新:2008年03月26日 22:29