「量子力学II」(2008/07/22 (火) 05:58:13) の最新版変更点
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=2007年=
==第1問==
調和振動子なので猪野先生のプリントでも見てください。
==第2問==
要するに、さっさと行列表示してしまえば楽なわけなんですけど、|↑>を(1,0)、|↓>と(0,1)と同一視してしまえば、
:<math>\begin{align*}
\hat{S}_{+}\begin{pmatrix}\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}&\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}\end{pmatrix}
\end{align*}=\begin{pmatrix}\begin{pmatrix}0\\0\end{pmatrix}&\begin{pmatrix}\hbar\\0\end{pmatrix}\end{pmatrix}</math>
あと同様に<math>\hat{S}_-</math>も行列表示して、<math>\hat{S}_x, \hat{S}_y</math>の行列表示をすればよい。あとは、この固有値、固有ベクトルを求めて、固有ベクトル(''s'',''t'')を''s''|↑>+''t''|↓>とすればOK。
==第3問==
縮退のない摂動の問題は、
*エネルギーを摂動パラメタ(''λ'')の冪級数に展開する
*状態ベクトル(or波動関数)もパラメタの冪級数に展開する(ただし0次の項は無摂動Hamiltonianの注目している固有状態)
*状態ベクトル(or波動関数)の1次以上の項を無摂動Hamiltonianの固有状態でさらに展開する
*Schrödinger方程式にぶち込んで、''λ''の必要な次数をとってくる
*両辺を無摂動Hamiltonianの注目している固有状態と内積を取るとその次数のエネルギーシフトの係数が分かる
*無摂動Hamiltonianのそれ以外の固有状態と内積を取ると、その次数の状態ベクトル(or波動関数)の補正の展開係数が分かる
と、やることはワンパターン。ただし、縮退がある場合(この問も当然そう)は、
*与えられた基底に対して永年方程式を解くなどして、<math>\langle\varphi_m|\hat{H}_1|\varphi_n\rangle=0(m\neq n)</math>となるような線型結合を新しい基底とする
という操作がまず加わる(H<sub>1</sub>は摂動項)。
===1.===
この問に即すと、<math>\frac{\partial}{\partial x}=\frac{x}{r}\frac{\partial}{\partial r}</math>(''y''も同様)
:<math>\hat{L}_z\psi_0=\hat{L}_z\psi_z=0</math>
は明らか。即ち''' ''ψ''<sub>0</sub>, ''ψ<sub>z</sub>''は摂動の影響を受けない'''。
即ち、''ψ<sub>x</sub>'', ''ψ<sub>y</sub>''の線型結合を適当に取ればよいが、永年方程式を解かなくても、''x'', ''y''の反対称性から単純な線型結合
:''ψ''<sub>±</sub>=(''ψ<sub>x</sub>''±''iψ<sub>y</sub>'')/√2
とすればよいことが期待でき、実際このとき
:<math>\int dV\psi_+\hat{L}_z\psi_-=0</math>
となる(計算には<math>\hat{L}_z\psi_x=-\psi_y, \hat{L}_z\psi_y=\psi_x, \int dV\psi_i\psi_j=\delta_{ij}(i,j=x,y)</math>を用いるとよい)。ちなみに永年方程式は以下になる。
:<math>\begin{vmatrix}\int dV\psi_x\hat{L}_z\psi_x-E&\int dV\psi_x\hat{L}_z\psi_y\\
\int dV\psi_y\hat{L}_z\psi_x&\int dV\psi_y\hat{L}_z\psi_y-E\end{vmatrix}</math>
ここで、Scrödinger方程式の''λ''の1次を取り出すと
:<math>\hat{L}_z\psi_i+\hat{H}_0\sum_{j\neq i}c_{ij}\psi_j=E_1\psi_i+E_0\sum_{j\neq i}c_{ij}\psi_j\ (i=+,- \& j=0,+,-,z)</math>
ここで非摂動Hamiltonianのエネルギー固有値はすべて''E''<sub>0</sub>だから、両辺第2項はキャンセルするので、両辺第1項のみが残る。
''ψ<sub>i</sub>''と内積をとって、
:<math>\int dV\psi_i\hat{L}_z\psi_i=E_1</math>
エネルギーシフトは±2''ħλ''である(実はこれは対角化された行列要素の対角成分であるから、固有値そのものであり、既に永年方程式の解として求めている)。
===2.===
対称性より、摂動に関与するのは''x'',''y'',''z''すべてに対して偶の''ψ''<sub>0</sub>と''ψ<sub>x</sub>''の組み合わせのみ(そのほかは全て摂動の行列要素の積分が正負でキャンセル)。
永年方程式は
:<math>\begin{vmatrix}c_1-E&c_2\\c_2&c_3-E\end{vmatrix}</math>
だから、エネルギーシフトは
:<math>\lambda E_{\pm}=\lambda\frac{c_1+c_3\pm\sqrt{(c_1-c_3)^2+4{c_2}^2}}{2}</math>
分裂後の固有状態は
:<math>(c_1-E_{\pm})\psi_0+c_2\psi_x</math>
==2005年==
===第1問===
====1.====
並進演算子
:<math>\hat{T}(a)=\exp\left(-a\frac{i}{\hbar}\hat{p}\right)</math>
に対し(このような基底の取替えを行う演算子は基本的にユニタリ)
:<math>T^\dagger\hat{H}T^\dagger=H</math>
を''a''微分、
:<math>\hat{T}^\dagger\left[\frac{i}{\hbar}\hat{p},\hat{H}\right]\hat{T}=0</math>
より<math>[\hat{p},\hat{H}]=0</math>
====2.====
可換ということは同時対角化可能、つまり双方に共通の固有関数を用いて世紀直交基底を作れる。ただし、例えば自由粒子においてexp(''ikx'')+exp(-''ikx'')はエネルギー固有値''(ħk)''<sup>2</sup>/2''m''の固有関数だが、運動量の固有関数ではないので誤っている。
====3.====
Heisenberg描像で考えたら分かりやすい。
:<math>\frac{d}{dt}\hat{A}(t)=[\hat{H}(t),\hat{A}(t)]=0</math>
であれば、
:<math>\langle A\rangle=\langle\psi|\hat{A}(t)|\psi\rangle=0</math>
これは''ψ''がいかなるベクトルであろうと成立するので誤っている。
===第2問===
調和振動子、もう飽きたでしょ。
===第3問===
動径分布、つまり''r''<sup>2</sup>がかかっていることに注意。このせいで、必ず''r''=0で値が0になるので紛らわしい。これを除いた節の数が''n''-''l''で、これが同じ波動関数は''n''が大きいほど外側に来るので、順に10, 21, 22, 33, 32, 31
=2007年=
==第1問==
調和振動子なので猪野先生のプリントでも見てください。
==第2問==
要するに、さっさと行列表示してしまえば楽なわけなんですけど、|↑>を(1,0)、|↓>と(0,1)と同一視してしまえば、
:<math>\begin{align*}
\hat{S}_{+}\begin{pmatrix}\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix}&\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}\end{pmatrix}
\end{align*}=\begin{pmatrix}\begin{pmatrix}0\\0\end{pmatrix}&\begin{pmatrix}\hbar\\0\end{pmatrix}\end{pmatrix}</math>
あと同様に<math>\hat{S}_-</math>も行列表示して、<math>\hat{S}_x, \hat{S}_y</math>の行列表示をすればよい。あとは、この固有値、固有ベクトルを求めて、固有ベクトル(''s'',''t'')を''s''|↑>+''t''|↓>とすればOK。
==第3問==
縮退のない摂動の問題は、
*エネルギーを摂動パラメタ(''λ'')の冪級数に展開する
*状態ベクトル(or波動関数)もパラメタの冪級数に展開する(ただし0次の項は無摂動Hamiltonianの注目している固有状態)
*状態ベクトル(or波動関数)の1次以上の項を無摂動Hamiltonianの固有状態でさらに展開する
*Schrödinger方程式にぶち込んで、''λ''の必要な次数をとってくる
*両辺を無摂動Hamiltonianの注目している固有状態と内積を取るとその次数のエネルギーシフトの係数が分かる
*無摂動Hamiltonianのそれ以外の固有状態と内積を取ると、その次数の状態ベクトル(or波動関数)の補正の展開係数が分かる
と、やることはワンパターン。ただし、縮退がある場合(この問も当然そう)は、
*与えられた基底に対して永年方程式を解くなどして、<math>\langle\varphi_m|\hat{H}_1|\varphi_n\rangle=0(m\neq n)</math>となるような線型結合を新しい基底とする
という操作がまず加わる(H<sub>1</sub>は摂動項)。
===1.===
この問に即すと、<math>\frac{\partial}{\partial x}=\frac{x}{r}\frac{\partial}{\partial r}</math>(''y''も同様)
:<math>\hat{L}_z\psi_0=\hat{L}_z\psi_z=0</math>
は明らか。即ち''' ''ψ''<sub>0</sub>, ''ψ<sub>z</sub>''は摂動の影響を受けない'''。
即ち、''ψ<sub>x</sub>'', ''ψ<sub>y</sub>''の線型結合を適当に取ればよいが、永年方程式を解かなくても、''x'', ''y''の反対称性から単純な線型結合
:''ψ''<sub>±</sub>=(''ψ<sub>x</sub>''±''iψ<sub>y</sub>'')/√2
とすればよいことが期待でき、実際このとき
:<math>\int dV\psi_+\hat{L}_z\psi_-=0</math>
となる(計算には<math>\hat{L}_z\psi_x=-\psi_y, \hat{L}_z\psi_y=\psi_x, \int dV\psi_i\psi_j=\delta_{ij}(i,j=x,y)</math>を用いるとよい)。ちなみに永年方程式は以下になる。
:<math>\begin{vmatrix}\int dV\psi_x\hat{L}_z\psi_x-E&\int dV\psi_x\hat{L}_z\psi_y\\
\int dV\psi_y\hat{L}_z\psi_x&\int dV\psi_y\hat{L}_z\psi_y-E\end{vmatrix}</math>
ここで、Scrödinger方程式の''λ''の1次を取り出すと
:<math>\hat{L}_z\psi_i+\hat{H}_0\sum_{j\neq i}c_{ij}\psi_j=E_1\psi_i+E_0\sum_{j\neq i}c_{ij}\psi_j\ (i=+,- \& j=0,+,-,z)</math>
ここで非摂動Hamiltonianのエネルギー固有値はすべて''E''<sub>0</sub>だから、両辺第2項はキャンセルするので、両辺第1項のみが残る。
''ψ<sub>i</sub>''と内積をとって、
:<math>\int dV\psi_i\hat{L}_z\psi_i=E_1</math>
エネルギーシフトは±2''ħλ''である(実はこれは対角化された行列要素の対角成分であるから、固有値そのものであり、既に永年方程式の解として求めている)。
===2.===
対称性より、摂動に関与するのは''x'',''y'',''z''すべてに対して偶の''ψ''<sub>0</sub>と''ψ<sub>x</sub>''の組み合わせのみ(そのほかは全て摂動の行列要素の積分が正負でキャンセル)。
永年方程式は
:<math>\begin{vmatrix}c_1-E&c_2\\c_2&c_3-E\end{vmatrix}</math>
だから、エネルギーシフトは
:<math>\lambda E_{\pm}=\lambda\frac{c_1+c_3\pm\sqrt{(c_1-c_3)^2+4{c_2}^2}}{2}</math>
分裂後の固有状態は
:<math>(c_1-E_{\pm})\psi_0+c_2\psi_x</math>
==2005年==
===第1問===
====1.====
並進演算子
:<math>\hat{T}(a)=\exp\left(-a\frac{i}{\hbar}\hat{p}\right)</math>
に対し(このような基底の取替えを行う演算子は基本的にユニタリ)
:<math>T^\dagger\hat{H}T^\dagger=H</math>
を''a''微分、
:<math>\hat{T}^\dagger\left[\frac{i}{\hbar}\hat{p},\hat{H}\right]\hat{T}=0</math>
より<math>[\hat{p},\hat{H}]=0</math>
====2.====
可換ということは同時対角化可能、つまり双方に共通の固有関数を用いて正規直交基底を作れる。ただし、例えば自由粒子においてexp(''ikx'')+exp(-''ikx'')はエネルギー固有値''(ħk)''<sup>2</sup>/2''m''の固有関数だが、運動量の固有関数ではないので誤っている。
====3.====
Heisenberg描像で考えたら分かりやすい。
:<math>\frac{d}{dt}\hat{A}(t)=[\hat{H}(t),\hat{A}(t)]=0</math>
であれば、
:<math>\langle A\rangle=\langle\psi|\hat{A}(t)|\psi\rangle=0</math>
これは''ψ''がいかなるベクトルであろうと成立するので誤っている。
===第2問===
調和振動子、もう飽きたでしょ。
===第3問===
動径分布、つまり''r''<sup>2</sup>がかかっていることに注意。このせいで、必ず''r''=0で値が0になるので紛らわしい。これを除いた節の数が''n''-''l''で、これが同じ波動関数は''n''が大きいほど外側に来るので、順に10, 21, 22, 33, 32, 31
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