クッキー(柊家の掟 余談ミニSS)


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いつものようにつかさン家に遊びに来て
つかさにも楽しめるゲームを一緒にして
つかさの作ったクッキーを食べて
本当に何気ない休日だったんだ。

けれどつかさが飲み物を淹れなおして来るからと
いつもの笑顔で向かったキッチンから戻ってきた時
つかさの表情がしょんぼり翳った笑顔になっていたんだ。

さっきと同じように隣に座ってくれているのに
なぜか離れて座っているような寂しさを感じたんだ。
どんどん沈んでいくつかさ、リボンもぺっしゃんこ
身体の調子でも悪いのかと思って訊いてみたけど
そうではないとまたつくり笑いを浮かべてつかさは言った。
調子に乗りすぎてつかさの気にする様なことを
言ってしまったかと思ったが全く思い当たることはない。


いや、ひとつだけあった、
でもそんなことで? いやそんなことだから?


私はちょっと後悔しながらつかさに言った。
「つかさ、ごめん、このクッキー、いつものつかさの美味しさじゃない」
さっきからずっと俯き加減だったつかさが顔を上げた。
「本当は一口目で気付いたんだ、けれどつかさらしくないことだから
言うのを躊躇っておいしいって言ったんだ」
つかさはじっと私の瞳を覗き込みながら私の一言一言を聞いている
「でもそんなこと却ってつかさに失礼だった、ごめん」
言葉だけじゃ伝わらないかもしれない気がしてつかさの手をしっかりと握った。

「よかった…」
決して一呼吸とは言えない私にとっては長い間の後つかさは言った。
零れてはいないけれどつかさの目は涙で潤んでいた。
「さっき、キッチンに行った時におねえちゃんに作った甘みを控えた方と
間違っていたのに気付いたの、こなちゃんの口には合わないよね。
私ね、それに気付いた時ね…とても悲しくなったんだ…
こなちゃんが気を遣ってくれたのはわかったけれど…だけどね、こなちゃん
その気を遣ってくれたことがとても他人行儀なように思えて」
つかさの顔から翳りが消えていつものつかさらしいやわらかい表情が戻った。

「ありがとうこなちゃん、美味しくないって言ってくれて」

思わず抱きしめようとしたけれど、つかさが一瞬早く立ち上がってしまった。
「あ、こなちゃんに作った分と取り替えてくるね」
いつもの様に軽い足取りでキッチンに向かうつかさの後姿を見ながら
美味しくないって言ってもらえてうれしいと言うつかさの心の優しさを…
そのつかさを恋人に出来た自分の幸せを改めて私はかみしめた、ガラにもなく、ね。




※つかさとこなたの交際のきっかけについては、柊家の掟 をご覧下さい

『柊家の掟』シリーズは1-724氏作者ページから時系列順にアクセスできます


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