恋人同士

午後の授業は眠いよぉ。
もう、意識がなくなりそう…。

自分がいなくなった気がした。そしたら…

「つかさー、起きなよー」

「ふぇ…?」

しまった、寝ちゃってた…。
どうして私ってこんなに寝ちゃうんだろ…。
今は授業の後の休憩時間。
あ、先生に礼、してない…。

「わたし…顔洗ってくるね」

こなちゃんに告げて水道へ。
目、覚まさなくちゃ。

お水は冷たかった。
まるで氷のようだった。
お湯がでる水道、作ってくれないかなぁ。

目も覚めた。びしょぬれの顔をふこうとしたら…

…しまった。タオル教室だよぅ…。
また失敗しちゃった…。

どうしよう。

「はい、つかさ」

え?

隣をみると。

…タオルを私に差し出すこなちゃんがいた。

「ありがとう…こなちゃん…」

私、またこなちゃんに助けられちゃった。

いっつも、そう。
ドジやって、失敗して、つままずいて、転んで…。
何やるのにも、おっちょこちょいな私。

そんな私を、いつも助けてくれる。
手を伸ばしてくれる。

こなちゃんは、私のスーパーマンみたいなんだ…。



「後のこと、考えなくちゃ駄目だよ?」

お説教、されちゃった。
ありがとう、こなちゃん。

ドジな私だけど、こなちゃんに告げたい。

「いつもいつも、ありがとね…こなちゃん」

私が普段から感じてたことを込めた、お礼。

「…私、失敗ばっかりだけど…こなちゃんが、毎日助けてくれて…本当に、ありがとう…」

このまんまじゃ駄目だってわかってる。
もっとしっかり、しなくちゃ。
もっと、お姉ちゃんみたいに…。

「いや~、照れるなぁ…そんなストレートに言われちゃうと」

こなちゃんが言った。
頬を朱に染めていた…可愛いな、こなちゃん。
伝わったみたい。よかった…。

「当たり前じゃん。つかさは…私の恋人、なんだからさ」

こなちゃんに、言われた。

――“恋人”――。

高校に入ってできた、他には変えられない存在。
かけがえのない、私の…恋人。

こなちゃんの恋人になれて、本当に幸せだよ…。

か、感動しちゃった。
泣いちゃうよ…。

「ふぇ…、ぐすっ…」

涙が溢れちゃったよぉ…。



「って、つかさ、なに泣いてんの!」

すぐにこなちゃんが私の頭を撫でる。
また、救われてゆく…。

「ぐすっ…こなちゃん、あ、ありがと…」

「私と恋人なのは泣くほどイヤだとは」

っ!!
ちがう…!

「ち、ちがうよ…!わ、私、こなちゃんの恋人で、うれ、しくて…」

本当に本当に、ちがうんだよ。

「ふふ。わかってるよ。うれし泣きでしょ?つかさらしいなぁ」

…なんだ。冗談だったんだ。
また私、ひっかかっちゃったね。
こなちゃんって、人を乗せるの上手なんだから。

「もう…こなちゃん。酷いよぉ…」

「ごめんごめん、つかさ。ほら、次の授業になるしもう戻ろ?」

こなちゃんが言う。
時計みると…あと1分、ないや。

「…うん!」

急いで、私は恋人と教室に入った。





コメントフォーム

名前:
コメント:
  • すっきり読めて楽しかったです -- 名無しさん (2009-05-08 15:14:09)












最終更新:2009年05月08日 15:14