Raika


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褒められたい! ただそれだけの事に、僕は皆より利口になろうって頑張ったんだ。僕を可愛がってくれる「あの人」の為に………

なんでって? ………だって自分を愛してくれる人の為なら、何だって頑張れるでしょ? えへへ、また「頑張ったね! お利口さん♪ 」って頭撫でてもらうんだ♪




―Raika―



闇に覆われて支配されていた夜も、段々と夜明けを迎える頃、私はそこでベッドの海に身を委ねた。
毎回のように私は、徹夜で夜更かし。さすがの私もこの生活はヤバいとは思ってるんだけど、今期は面白いアニメがやってるし……OTAKUの私には、やはりリアルタイムでアニメを観る! という使命感がある。まぁ、OTAKUの性というやつデスネ……


~♪
携帯の着信音が、私を深く沈んだ意識の彼方から、私を呼んでいる。
「……ん~ 」
半目開きの目で、私は視界に入った時計を見ると、午前10時を回っていた。
そして、右手で鳴る携帯を手繰り寄せると、着信源はつかさからだった。
「…ん~、んぁ? つかさぁ? 」
けれど私は、つかさの電話も眠気には勝てずに、そのまま意識の彼方へ落ちていった―



それからどのぐらい眠っただろうか? 私は目が覚めると、すぐに何らかの違和感に気付いた。その正体は………
「…ん~、あ、こなちゃん おはよ~」
「え? ちょ!? なんで、つかさが一緒に寝てるのさ!? 」

「えへへ、こなちゃんの寝顔可愛かったよぉ~」
どうやら、電話に出られなかったのを心配したらしく、わざわざ家まで来てしまったらしい。んで、今に至ると………

こなたはため息を一つ吐き、つかさの頭をポンポンと叩いた。
つかさは嬉しそうに笑っていた。

「で、つかさ、なんで電話したの? 何かあった? 」
今朝の電話の件を聞くと、つかさはPCデスクの方を指指した。
「あ! これカメラじゃん? どうしたの、これ? 」
「えへへ、お父さんがね、昔カメラが趣味だったんだって。で、もう使わないからって貰ったんだぁ~」
そう言うと、PCデスクの上のカメラを手に取って、大事そうに抱えた。
「ふ~ん、あの だたおさんがねぇ~ って、これライカじゃん!? 」
「え? ………ライカぁ? 」
こなたはつかさが持っていたカメラが、ライカと知って驚いた。
「こなちゃん、カメラに詳しいんだね♪ 」
「う、うん……ほら、うちのお父さんが……ね? 」
「あ………そ、そだね、えへへ… 」
二人は日頃のそうじろうの行動を思い浮かべて、苦笑いした。
そうじろうは「己の萌え」を求めるあまり、一歩間違ったら犯罪を起こすんじゃないかと、実の娘に心配させる程だ。


ふと、こなたは前にネットで読んだ小説を、思い出した。
「………ライカ」
「ふぇ? こなちゃん、どうかしたの? 」
「ん~? いや、前にさ、小説読んだんだけどさ、それのタイトルが「ライカ」で、思い出しちゃって……」
「ねぇ、こなちゃん、そのお話聞かせて♪ 」

こなたが答え終わる前に、つかさは瞳を輝かせ、興味津々に顔を覗かせた。
「……いいけど、つかさにはちょっと、キツいかもよ? 」

この話は必ずしも、ハッピーエンドで終わるような小説ではなかった。
それを懸念し、つかさに注意を促すが、それでもつかさの瞳の輝きはより一層、輝きを増した。
「ふぅ……じゃあ、話すね? 」
「わくわく♪ 」

………………
…………
……



0105 0720 3518 0010
5257 4862 7032 8105
6304 3150 4728……

無機質なその空間に、羅列の並んだ数字がPC画面に延々と続く………
大勢の白衣を纏った男女が、忙しそうに動き回っている。

僕が物心ついた時から、ずっと続いている風景だ。
ここでは何らかの実験を毎日繰り返している。その実験には僕が必要みたい。
だから僕も立派な研究員だ。

「はい! クドリャフカ 今日も元気そうね! 」
一人の女性の研究員が、僕の頭を優しく撫でてくれた。この人は僕の身の回りの世話を、色々と見てくれる。 ………実はと言うと、僕はこの人の事が好きなんだ。えへへ……

そしていつものように僕は訓練をする。え? 何の訓練だって? それはある「実験」の為に欠かせない訓練なんだってさ。詳しい事は僕にも分からないんだけどね……

訓練場には他にも僕の仲間がたくさん集まっていた。で、その訓練の内容だけど、始めは何もない部屋に一人でじっとしていられるかの訓練だった。それから段々と訓練の内容も変わっていって、今は狭くて暗い小さな箱で、何時間もじっとしていられるかの訓練に変わっていった。

クゥーン! クゥーン!
でも仲間達はこの箱に入るのを怖がり、なかなか入れないみたい……
僕も最初は怖かったけど、大好きなあの人の為に「頑張ったね! 偉いぞ! 」って、褒められたくて頑張った。そしてまたいつものようにたくさん甘えるんだ♪ いいでしょ?



そして月日は過ぎて、最初は1,000頭居た仲間も5頭に減っていった頃、この日はいつもに増して皆の様子が、少し変わっていた。なんて言うか、いつもに増して忙しそうなんだけど、皆ピリピリしている。
………何かあったのかなぁ?


いつもよりウルサイ、耳障りな機械音と電子音……それにスーツを着たたくさんの人達がいる。
……やっぱり今日は何か変だよ? それに今日に限って皆、僕に優しい。

替わるがわりに僕の頭を撫でてくれる。いつもは食べる事があまりない、僕の大好物のジャッキーをくれる人もいた。
皆、さっきまでピリピリしてたみたいだけど、今日はお祭りなのかな? だと嬉しいな♪

でもさ、

最後に僕の大好きなあの人は泣いていた。泣きながら、頭を優しく撫でてくれて、僕を抱きしめてくれた。そう言えば、誰かに抱きしめられるのって、これが初めてかもしれない。抱きしめられるって、とっても温かいんだね。僕、初めて知ったよ!

でも……

なんで泣いてたんだろう……何か悲しい事でもあったのかなぁ?


そしていつものように訓練場に入る。今日もあの暗くて狭い箱に入る訓練だ。でも、今日の箱はいつもより、一回り小さかった。
どれぐらいかって言うと、手足だけが辛うじて動ける程度の箱で、あまり自由に身体を動かすことが出来ない。

僕が箱に入ろうとした間際、大好きなあの人はまだ泣いていた。そしていつものように「頑張ってね! 」って言ってくれた。僕はそれに力強く「ワン! 」って答える。





ゴオォォォォォ!!!!
箱に入ってすぐに、その異変に気付いた。まるで地鳴り響きのような轟音が、箱の中まで響き伝わる。どうやら、空に打ち上げられたらしい。

でも一体何が起きたのか判らない! 一向に鳴り止まない轟音と振動。

―怖い! 凄く怖いよ! 一体何が起きてるの? ねぇ、誰か教えてよ? ねぇ!? ―

恐怖で怯えるそんな中、大好きなあの人の顔が思い浮かんだ。

そうだ! また訓練から帰って来て、僕の大好きなあの人にたくさん「頑張ったね! 」って、褒めてもらうんだ!

だから、僕……頑張るよ!




そんな事を思いながら、仔犬はさっきまでのあの怯えきった様子は、いつの間にか消えていた。ただ、自分を愛してくれる人を想いながら……二度と戻る事のない宇宙へと消えていった―




『テレメトリー取得シマシタ―
生体データ、オールゼロ―
クドリャフカ……死亡シマシタ―』

………………
…………
……

一通り話終えると、こなたはこの小説の内容を話すべきではなかったと、思った。大抵、このテの話に免疫のないつかさは、黙り込んでしまうか、泣きついてくるかの二つに一つだ。
そして案の定、つかさは黙り込んでしまった。

「あ、あのさ、つかさは? ……ほ、ほら、これはあくまで小説の中の話だしさ、そんなに思い詰める事じゃないって! あ、あはは」

「………ねぇ、こなちゃん、この仔犬は幸せだね」
「え? 」
まさかのつかさの言葉に、耳を疑った。幸せ? それはどうゆう意味だろう……普通なら自分が死ぬと知らなかった仔犬が、可哀想って思うところなんじゃないだろうか―
それをなんで、あえて「幸せ」と思ったのだろうか……

「つかさ、それはどうゆう意味? 」
「この仔犬はさ、自分を愛してくれる人の為に頑張ったんだよね? 」
「う、うん……」

「だからね、こなちゃん……この仔犬はきっと最後まで「一人」じゃなかったと思うんだ」
「つかさ……」

毎度の事ながら、つかさのその発想には驚かされてしまう。それと同時に、つかさは心が優しい持ち主なんだなぁ~って、思ってしまう。
「私ね、こなちゃんがその研究員の人で、私がその仔犬でも、同じように最後までこなちゃんの事想いながら、頑張れだと思うよ♪」
「つかさ……ありがと! 」



するとつかさが、こなたの胸に抱きついて泣き出した。どうやら、つかさにはまだまだ、このテの話には慣れないみたいで……ヤセ我慢してたみたい。

私はつかさの頭を優しく撫でてやると、涙目で「これじゃ、あの仔犬と同じだね♪ 」って言ってきて、また思い出し泣きするつかさに萌え死んだ。

しばらくして、つかさが泣き止むと、外はすっかり暗くなっていて、こんな夜道に大事な恋人を一人帰す訳にはいかない! と、半場強引に泊めさせる事にした。
お父さんはニヤニヤしながら笑っていたけど、そんなの気にしない! かがみにつかさを泊めさせる旨を、電話で伝えると「あ~はいはい、相変わらず熱々ですねぇ~」と茶化されるけど、そんなの気にしない。

だって今夜はつかさと居たいんだもん! たまには私の方から強引なのもいいよね?


そして小窓から見える夜空を見ながら、架空の中の仔犬「クドリャフカ」が今でも、大好きな人を想いながら、生きてる事を願い、二人でいつまでも夜空をながめていた。

さっきのつかさのあの言葉、きっと私も大好きなつかさの為なら、何だって頑張れる気がする。

時折見せるつかさの笑顔が、その気にさせてくれた。

  • END-



おまけ -後日談-

「こなちゃん、この前の写真出来たよ~」
「どれどれ、つかさの撮った写真は、上手く撮れてるかにゃ~? 」

「………て、ちょ!? つ、つかさ! こんなのいつの間に撮ったの!? 」
「えへへ、だって、こなちゃんの寝顔可愛いから、つい、ね? 」
「だ、だって、これ、キ……キス………ぷ、ぷしゅ~」

「あはは、困っちゃたね♪ こなちゃん♪ 」

その写真は無防備なこなたに、Dキスしてるつかさの写真が………

上手に撮れましたぁ~♪


  • END-





『-Raika- コラム』

この題材となった「ライカ」についてですが、このお話は今では現実のものとなった「人」の宇宙への打ち上げ。これを成功させる為の実験として、人の身勝手な理由で、人類の新たな発展と未来を背負って、一匹の仔犬を犠牲にした悲しい実話のお話です。

ライカ犬のクドリャフカ。(のちにライカに改名)
打ち上げの時、秒速8km/sの世界が轟音の衝撃と激しく揺れる宇宙船への振動―

それがどれ程までの恐怖なのか、解りますか?

きっと想像を絶する程の恐怖に、怯えたのだろうと思います。

今回の作品は、こな×つかには直接関わりのない内容ですが、実際にこんな実話があったんだよ! って、知って頂ければ幸いですm(_ _)m

すみません、自重出来ませんでした(´・ω・`)


※この「ライカ」について詳しく知りたい方は、『星になったクドリャフカ』、『スプートニク計画』などで、検索してみて下さい。
あと、ニコ動に初音ミクで『ライカ』という曲があるので、それも是非聴いて見て下さいヾ(´・ω・`)/







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