☆こなゆき☆『とりかえっこ☆(2話)』


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☆こなゆき☆『とりかえっこ☆(2話)』






人は誰だって他人に憧れたりするものです。それは大抵、自分より優れた能力を持った人や、自分にはない考え方をする人などに惹かれたりします。
私も例外だったわけではありません。
私は幼い頃、母から褒められるのが嬉しくて、勉強や知識を得ることに躍起になっていきました。その事は実を結び、高校生になった今でも勉強は得意です。
かつて私の周りに居た方たちも、テスト前になると私の事を当てにしてくださって、一緒に勉強をしたりもしました。
ただ失礼な話かもしれませんが、彼女達と私の間には若干の距離感を感じていました。嫌われている―という風には思いませんでしたが、ちょっと気を使われているようには感じていたのです。
その時に出会ったのが泉こなたさん。
文化祭の準備をしている時、初めて会話を交わして…その時に言われた言葉が

『男に騙されそうな人だって思ってた』

色んな意味で衝撃を受けた言葉でした。
今まで言われた事などない、ストレートな言葉。初めて本音で語ってくれる人が現れた。そう思いました。
彼女の凄い所というのは、それが私だけに特別だというわけではないことです。
誰とでも、それこそと先生とだって友達のように接することが出来る人。
私はいつしかそんな泉さんに憧れるようになっていきました。私も泉さんのように振舞えたら。そう思うこともありました。


………………ですが。

「いやぁー、そりゃ見覚えあるはずだよね~。だって私の体なんだもんね~」

………………。

「朝起きたらいつもより視点が高くてさ。何か目もぼやけて見づらいし、何が起こったのかと思えばまさか体がみゆきさんと入れ替わってるなんてね~」

…私はやはり泉さんのようになれないのかもしれません。
泉さんの意識が入った自分の体を見て、そう考えるようになりました。



とりかえっこ☆(2話)




今、私(こなたの体)は泉さん(みゆきの体)と一緒にトイレの個室にいます。
あの校門での騒ぎで先生は激怒、みなみさんはすっかり放心状態になってました。
それでも構わず話を続けようとする泉さんに、いても立っても居られなく私は彼女の腕を無理矢理ひっぱって逃げるように校舎へ入ったのです。
ですがそのまま教室に入るわけに行かず、ひとまず人が来ないところに隠れようと考えた結果、あまり使う人が居ないトイレにやってきたのです。
ふと、泉さんと目が合いました。先ほどのおちゃらけた様子は無く、真面目な面持ちで見つめてきます。…やはり本当は泉さんも不安だったということでしょうか。
「やらないか」
「……何をですか?」
「ありゃ、やっぱ分かんないか」
何かの冗談だったみたいです。軽くため息が漏れてしまいました。…まあ余裕があるというのはある意味頼もしいことではありますが。
「それにしてもまさかこんな事になるなんて…」
「漫画ではよくあるけどね、こういうの」
「……何か心当たりのようなものはありますか?」
「と言われてもねえ」
あぁ、なんでこんな……今に頭の中がパンクしてしまいそうです…。
冷静に、冷静になって……でもそもそも体が入れ替わる実例なんて聞いたこともありませんし。
あの時にもっと…もっとたくさん本を読んでたら、もしかしたら……!!
「ねえ……とりあえず落ち着こうよみゆきさん」
「ですが………」
「焦ったってしょうがないよ。ある日突然入れ替わったんなら、ある日突然元に戻るかもしれないよ」
「もし、戻らなかったら…?」
「んー…そん時はまあ…」
「とにかく一刻も早く元に戻る方法を見つけましょう。…あ、いえ、やっぱり原因から探った方が………でもその原因が……」
…ダメです。必死で考えをめぐらせても、どこから解いていけば良いのか全く見当もつきません。やはりこのまま……。


「…………ふむ。失礼」
「きゃあ!?」
突然体がゆれ、顔が何か柔らかいものに包まれました。
(あ、これは……)
胸です。私は泉さんの豊満な胸(本当はみゆきの胸)の中に顔をうずめている状態でした。
泉さんが私のことを抱きしめていてくれていたのです。
「落ち着いたかな?」
「え?」
「私ね、みゆきさんに抱きいついてる時すごく落ち着くからさ。…どう?」
「はい……ちょっと変な感じですけど」
「んー、自分の体だとやっぱり同じにはいかないか」

あぁ…私、一人で何を焦ってたんでしょう。ここで慌てふためいたって仕方ありません。
それにしても顔色一つ変えず、こうやって私を安心させようとしてくれる、今の泉さんがいつもより凄く頼もしく見えます。やはり私は泉さんに憧れていたのだと再認識させられました。
そう、状況は泉さんだって同じなんです。一人じゃない…きっと大丈夫。
「…あら?」
「どったの?」
「いえその」
今、目の前にある泉さんの胸。元々は私の胸ですが。
制服の、白い胸の部分…ちゃんと綺麗で真っ白なようですが。目を凝らしてよく見てみると、なにかうっすら円いものが…ピンク色の…………透けて………?
「ッ!!?」
『それ』が何なのか分かった時、私はつい眼前の胸を鷲掴みにしてしまいました。
泉さんの短い悲鳴がありましたがもうそれどころではありません。
「い、泉さん…あ、あなた……!」
「ど、どうしたの?」
「あなた……ブ、ブブブ…ブラジャー着けてないじゃないですか~!!」
いまも胸を掴んでいる掌の感覚が嫌にリアルです。微妙に擦れていますし…何だか涙目になりそうです。
「えっ…とねえ、これは……朝起きて着替えてたら外れちゃって…。着けようと思ったんだけど、遅刻しそうだったから……」
「………」
「……そのまま来ちゃった☆」
「ど、どうしてですか~!?」
家で外れたということは、バスも、電車もノーブラで乗ったということ。
多くの人に見られたかもしれないと思うと、もはや生きた心地さえありませんでした。
「だ、大丈夫だって!冬服だし、よく見ないと分からないでしょ?」
それはちっともフォローになってません。
「あ、でもブラはちゃんと持ってきたよ!ね?ね?」
「…もういいですから……早く着けてください……」
「あ………うん」


一呼吸を置き、泉さんは制服を捲り上げました。大きな胸が、やはり素のままで露になりました。
「…?あら、胸、大きくなりました?」
「……それ、冗談なら最悪だけど本気ならもっと最悪だよ」
「え、いやすみません!!そんなつもりじゃ…!」
嫌味のつもりではなかったんです。本当に。ただ、いつも見てる自分の胸よりちょっとだけ大きく感じたんです。
まあ、とんでもない失言であったことは間違いありませんが……。泉さんの目(本当はみゆきの目)が恐ろしい事になってしまってます…。オーラすら迸っていそうなほどです。
しかしその違和感の正体にはすぐ気がつきました。
(なるほど、泉さんの視点から見ると、いつも見てる以上に大きく見えるんですね…)
声に出さないように考えていると泉さんが動きを止めていることに気付きました。手にしたブラジャーとにらめっこをしています。
「あの、泉さん?早く……」
「あー…、うん」
返事の歯切れが悪い?……………まさか…
「泉さん。ブラジャー…着けられないんですか?」
「………………じゃん」
「はい?」
「しょーがないじゃん!!勝手が違うんだよ!大きすぎるんだよ!ふんだ、どーせ私はスポブラ一筋さちくしょー!」
「きゃあああ!?あ、あの、泉さん落ち着いてください!」
結局、この時は私がつけて差し上げました。
泉さんのコンプレックスが意外に大きなものである。そう感じた瞬間でした。
さて、色々と不安ですが……体が入れ替わってまだ半日も立っていません。…果たしてどうなることやら……。



つづきたい






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