『magnet -不幸せな恋でも-』
薄暗い部屋。淡いネオンの光が、二人を妖しく魅せる。
「……こなちゃん」
「んっ……何も言わないで……つかさ」
不安そうにこなたを見るつかさ。その口をこなたの指が止める。
そのままつかさの髪を撫で、唇が重なった。
「好きだよ、つかさ」
「こなちゃん……愛してる」
互いに互いを確かめるように、でもその言葉は決して嘘じゃない。
ただ単純に声に、言葉にして伝えたかった言葉。
薄暗い部屋。淡く光るネオン。真夜中の深い闇に呑み込まれないように、二人は白いシーツの海に互いの身体を重ねた。
例え報われない恋だとしても……
いつか離れてしまうその時まで……
今はただ、この愛情の中で甘えていたい……
私はつかさが好き。でも解ってる……
それがどんなに常識から反しているか-
でも私はつかさが好きなんだ!
あの幼気な優しいつかさが大好き。
でも現実はそれを許してはくれない
所詮は報われることのない恋
もし……もし例えその恋が実ったとしても、周囲の目が怖い………
でも、つかさは私に言ってくれた。
もうどうにも出来なくて、抑えていた気持ちを伝えたくて、今にも泣き出しそうで、今にも逃げ出したい程の私が初めて伝えた『言葉(告白)』をー……
『私も! ……わ、私も好きだよ! こなちゃん』
-嬉しかった。もう絶対ダメだと思っていたのに、つかさは私を好きだと言ってくれた-
でも同時に不安もあった
これでつかさと付き合っていって、周囲の皆の目がそれを許してくれるか………
でもそんな心配も余所に、つかさは言った。
『私も今までずっと、こなちゃんの事好きだったんだけど……怖かったんだぁ~でも……これからはどんな事も二人ならきっと……ね♪』
あ……もぅ、やっぱり つかさには勝てないよ……
でもさ、つかさがあの時、そう言ってくれたから、私もつかさとどんな困難な壁も乗り越えて行けるって、思ったんだもん!
『-二人なら、幸せも痛みも二等分-』
きっとこの言葉はそう言う事なんだね。
……………
………
……
…
「……こなちゃん、泣かないで? 」
つかさに言われて気づいた。いつの間にか昔の事を思い出していたみたい
私を心配して抱きしめた。
あれ? でも何でつかさも泣いていたの?
もしかして、つかさも私と同じ夢でも見てたのかな?
だから私も抱きしめてくれたつかさをぎゅ~って、してあげた。
「こなちゃん……好き」
「つかさ……私も…だから、もっと愛してね? 」
薄暗い部屋で、淡いネオンの光だけが照らすこの部屋で、夜の闇に呑まれないように、二人は再び愛し合うー……
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最終更新:2010年05月14日 02:45