☆こなゆき☆『とりかえっこ☆(4話)』


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☆こなゆき☆『とりかえっこ☆(4話)』






とりかえっこ☆4話


とても長い授業時間はようやく終わりを告げた。窓の外には夕日が見え、教室の雰囲気にも開放感が見え隠れしている。
みゆきも例外ではなかったが、今朝思っていたよりは疲労は少ないと感じていた。昼休憩以降、こなたは『高良みゆき』をしっかりとこなしていたからだ。
午後の授業は2人とも指されることが無かったのは幸運というほか無い。

「やあっと終わりましたね~」
「そ、そうだね」
こなた(体はみゆき)は手を組み、思い切り体を伸ばした。口調はまだみゆきを演じている。みゆきもまたこなたの口調で言葉を返した。
「本当にお疲れ様。すみません、私の我侭で無理強いさせちゃって……」
「いやいや大丈夫ですよ」
ここまでになるとお互いの口調が既に自然に出てくるようになっていた。でもまだ若干おかしい。みゆきはそれが少しおかしかった。

「ゆきちゃん、こなちゃん!」
「2人とも、大丈夫?」
つかさとかがみが2人に近寄ってきた。みゆきが返事をせずとも、かがみは状況はよく読めたようだ。
「なんとか乗り切ったみたいね」
「ねえ、えっと………どうやって呼んだ方がいいかな?」
こなたは軽くあたりを見回す。もうかなりの生徒が下校したようだがまだわずかに残っている。
「まあ、とりあえず外見の方で呼んでください」
「じゃあ…ゆきちゃん。これからどうするの?」
「……どうしましょうかね」
こなたは少し宙を眺めた後、意見を求めるようにみゆきに視線を当ててきた。


これからというのは、もちろん下校のこと…ですよね。本当にどうするべきなのでしょう。
元の方の家に帰る…そんなことしたらお母さんも、泉さんのお父様も心配しますよね。

「じゃ、先に私の意見いいですか?」
「え?」
「とにかくこんな状況になったんだから…今、お互いに帰るべき所は決まっている。そう思いません?」
「それは……」
でも、確かにそうかもしれませんね。全ての答えがそこにあるのかもしれません。

「うん、分かった。それでは私は『自分の』家に帰るよ」
「交渉成立、ですね♪」

乗り気なこなたとは対照的に、隣のかがみは心配そうな面持ちでみゆきの顔を覗き込んだ。
「大丈夫?今日だって辛かったでしょうに。いっそ親御さんだけにでも本当のこと話したら?」
かがみの心遣いがみゆきは嬉しかった。が、みゆきの心は既に決まっていた。
「大丈夫、今日一日で大分慣れたので。………それに」
「ん?」

「少し楽しくなってきた…でしょう?」
今度はこなたが間に入る。図星をつかれ、みゆきは少し苦笑いになった。

「…ねえお姉ちゃん」
「どうしたの?」
「…誰がどうなってて、これからどうするのぉ…?」
「あー……」
目を回し、頭からぷすぷす煙をあげているつかさが居た。


――――――――――――――――――――――――――
【泉こなた】―中身はみゆき―泉家に帰宅する

【高良みゆき】―中身はこなた―高良家に帰宅する


事情を知っているのは柊姉妹のみ。
――――――――――――――――――――――――――


みゆき、つかさ、かがみの3人は電車の中にて体を休めていた。高良家は都内にあるため、こなたとは駅で別れたのだ。
「そういえばゆきちゃんと一緒に帰るなんて今までなかったよねえ」
「考えてみたらそうだね。こうやって話をするというのは不思議な感じがするよ」
これまで何度も乗ったことはあるものの、みゆきの心は新鮮さに躍っていた。
そんなみゆきにかがみも興味津々の様子である。
「ねえみゆき、こなたの体ってどんな感じ?」
咄嗟に問われ、みゆきは宙を眺めた。そして無意識に出た一言。

「体が軽くて動きやすいこと…かな?」

……泉さんが居たら怒られそうですね。でも実際問題すごく身軽なんですよね。…どこがとはいいませんが。
「それにしてもゆきちゃん、こなちゃんの喋り方上手くなったね」
「そうかな…?まだ少し不自然な気もするけど」
そういえば泉さんの方はどうなってるでしょうか。遅刻しながらも学校には来ていましたから迷うようなことはないと思いますけど。

「本当にどうしたら元に戻るんだろうね、2人とも」
「漫画とかドラマの域よね」
2人で派手に転ぶ、頭を打つ、不思議な箱に2人っきりで入る。御2人の話を聞いていると、そういった創作は良くあるみたいです。私自身もかつてそんな本を読んだことがあります。
ただ実際に起こったことを考えるとそれらとは全く関係ありません。朝起きたら突然…です。
先に挙げた話の中では、入れ替わる原因となった事と同じ状況になると元に戻る、という結末が殆んどですが、私たちのケースではどうしたらいいものか。
「じゃあさ、全部試してみるとかは?何回か2人で頭突きしてみるとか」
「…つかささん、もう他人事だね…」

「まあまあ…それにしてもみゆき、そこそこ吹っ切れたみたいね。昼食の時なんて見てられなかったけど」
「それは…でも不安が無いわけではないよ。泉さんがああ言ってくれなければ、こうも考えられなかっただろうし」
あの時みゆきの目に写った自分の体は、みゆきにとって自分の母を思い起こさせるものだった。
嫌な事、辛い事、悲しい事…どんな苦しい時だって笑顔で全て受け入れてくれた、みゆきが一番尊敬する人が他ならぬ母だ。
みゆきは昼休憩の時、かすかではあるがこなたに母親の面影を見た。今でも、自分の中で『泉こなた』という存在が大きくなっていくのを感じているのだ。

冷静に思い返してみれば、これまで泉さんの事をそんな風に見えたことが結構あったような気がします。
そうですね、まず思いつくのは私たちの間で『ドリル勝負』が流行った時などでしょうか。
勝ち負けにこだわらずみんなで楽しめばいい。そう言って励ましてくださいましたね。
甘えん坊でいたずら好き、でもいざという時には誰よりも頼りになる人。
みゆきは電車の窓に写った自分の顔を見て、その人の名前を静かに呟いた。



一方のこなた。
朝の寝坊、午後は珍しく集中していたが為の疲労によって、こなたは完全に睡魔に飲まれてしまっていた。

「くー…、くー…」
「!、みゆきさんもこの電車だったんですね」
「すー…、すー……んあっ………あ、みなみちゃ…さん」
「隣、いいですか?」
「構いませんよ」
眠い目を擦りつつ、こなたはみなみを招いた。
「…みゆきさん、もう大丈夫みたいですね」
「うん?何がですか?」
「その…朝、変にアグレッシブだったじゃないですか」

むう、そんなに変だったのかその時の私は。ここまで来るとちょっと見てみたいね、今日の自分を。
そういえばみなみちゃんと2人っきりって珍しいかも。みゆきさんと幼馴染だって話だし、ちょっとみゆきさんことでも聞いてみようかねえ。
「えっと、そういえばみなみさん、いつもこの時間…でしたっけ?」
「いえ今日はちょっと遅くなったんですけど。偶然ですよ今日は」
うーん。適当なことを聞いてみたけど、いざこんな機会がくると何聞いて良いやら?
まずみゆきさんは私だし、自分の事を聞くのはおかしいね。

「みゆきさん、実は相談したいことがあるんですが」
「は、はい!?」
みなみちゃんの方から話しかけてくるとは……。
うあ、結構真面目な顔だ…参ったなあ、みゆきさんの体で下手な事言えないよ。
みなみちゃんの悩みってなんだろう?勉強で分からないとこ――とかだったら一環の終わりだ…。
「な、何ですか?」
「実は……わ、笑わないで欲しいのですが……」


唾を飲み込み、みなみの言葉を待つ。
みなみは顔を俯かせている。耳が紅くなっている様に見えた。
そしてついにみなみは言葉を発した。

「さ、最近…成長していない気がするんです…」
「お?」
なんとなくオチ読めたね。
「ゆ、ゆたかや田村さんは少しずつ大きくなってるんですよ!ただ私はどうも…変化が無いような…」
必死なんだねえみなみちゃん。気持ちは良く分かるんだけどね。
つかそんなの私の方が聞きたいっつうの!この胸の重みが限りなく空しい…
…む、そういえば今この体ということは…
(みゆきさんに触り放題……!?トイレやお風呂の時も遠慮なくみゆきさんの裸を拝めるっ…!)

い、いや自重。自重しよう私。そう、大体一緒に温泉行ったことあんじゃん今更裸なんて……
………あーでもやっぱりっ…ちょっとだけっ!あの時に見えていなかったところも今なら!

「あの…みゆきさん…?」

こなたの苦悩は続く



つづく





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