一緒にいられるだけで


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今日から高校生活が始まる
私は別に高校生になったからって今までの趣味を変えたりするわけでもない
将来就きたい大学・職業があるからこの学校を選んだわけじゃない
ただお父さんとの賭けがあるからこの学校を選んだだけ
中学の頃の友達とは離れてしまったけど、まあ話が合うだけから仲良かっただけで
別に離れて悲しいという感情も特にない
一人でいる事に慣れているし、私の話なんて興味ある人しか聞いてくれないと思うし
担任の黒井先生の自己紹介が終わり、今度は生徒の自己紹介へと移った
担任の印象は何か気さくな人だな~って感じかな
「・・・中学から来ました。泉こなたです」
これといって言いたい事があるわけじゃないし、趣味の話をしたって引かれるだけだろうから
簡単な挨拶を済ませて、他の人の自己紹介を聞いている
「白石みn「はい次~」」
ひど。でもこれであの人の3年間が決まったな・・・となんとなく感じた
「高良みゆきと申します。これから1年間皆様宜しくお願いします」
メガネっ子か~・・・敬語使うって言うのもなかなか萌えポイント高そうだな
・・・でも今までの人で趣味が合いそうな人いないし、この後もいなさそうだな~
まあ別にいっか
「それじゃあ・・・次の人~」
「え~とぉ・・・柊つかさと言います。趣味は料理で~・・・」
それまで横目で見ていたのにふと後ろを振り返ってなんとなく顔を見てみた
そして顔を見た瞬間何か強烈に引き寄せられる物を感じた
・・・なんだろう・・・この感じ・・・別に趣味が合いそうってわけじゃないのに・・・
・・・柊つかさ・・・さんか・・・一応覚えておこうかな・・・

入学式から1週間が過ぎた
1週間もあれば大体は近くの席の人や自己紹介で趣味が合った者同士仲良くなったりしている
・・・『ただ会話するだけ』の人は一応いるけど、私は趣味が合う人がいなかったしな~
トイレに行こうと廊下に出ると向こうから頭の高さを超えるプリントの山を抱えた人がふらふらと歩いてきてる
(ゲームとかだと転んだりしてプリント散乱させるんだよね~)
とりあえず道を空けると柊さんだった
(何かの委員だっけ?)
そう思いつつトイレに向かおうとすると
バン
「キャッ」
後ろから音がする
これはもしや・・・少し胸に期待を膨らませ音のする方を見てみると柊さんがドアにぶつかってプリントを散乱させていた
「あわわわわ~・・・」
転んでパニクってるのかおろおろしている
かわいいな・・・と純粋に思った。いつもの私だったらこのままトイレに向かってると思ったけど
なんとなく気まぐれでプリントを拾ってあげようかなと思った。
トイレだって漏れそうってわけじゃないし、ドジっこを放って置くなんて私には出来ないし
そう思い柊さんに声をかけた
「大丈夫?」「大丈夫ですか?」
私の他にもう一人声がした。メガネッ子の高良さんだ
「あ・・・うん大丈夫です・・・委員長と・・・泉・・・さん?」
委員長?あぁそういえば高良さんは委員長に任命されていたっけ。ほとんど押し付けにも見えたけどね・・・
私の名前はうろ覚えっぽいけど話した事ないし仕方ないか
3人でプリントを拾ってるとき柊さんと手がぶつかった
「あ・・・」
「あっ、ごめんなさい・・・」
「いや、いいよ」
なんてことない普通の出来事だけど、これはフラグたった!?とか一瞬思ってしまった
女同士でフラグ立つような事あってもこんな事思わなかったのに・・・なんでだろ・・・

その日の帰り道
私は何で何でフラグたったとか思ったのか考えながら歩いていると柊さんが見知らぬ外国人(ガイル似)に話しかけられてた
一見するとただ話しかけられてるだけなのに見た瞬間に考えるより先に体が動いていた
気づくと昇竜拳やら竜巻旋風脚で(イメージだけど)外国人をフルボッコにしてた
何でかな・・・柊さんの困ってる顔見たら助けずにいられなかった
「大丈夫?えーと・・・柊さんだっけ?」
名前だって覚えてるのに何となくうろ覚えみたいに言ってしまった
「ありがとう・・・え~と泉さん?」
これがつかさとの運命の出会いだったのかな・・・

あの出来事があってから早2年が過ぎた
最初の事あった胸の違和感なんて事はすっかり忘れていた
つまらない高校生活になるかと思ってたけど、つかさやかがみ、そしてみゆきさんと仲良くなったおかげで随分充実した高校生活になった
そんなある日の事
「でさ~、長門の長回しがさ」
「ったくあんたって奴は・・・話通じるかどうかも考えないで話振るわよね」
「えぇ~、ハルヒの事だからかがみんは通じてるでしょ!?」
「なっ、た、確かに分かるけど・・・オタクってわけじゃないわよ!私は」
「誰もオタクなんて言ってないのにね」
「うるさい!私はただラノベが好きだから・・・」
「はいはい」
「何よその態度はー!それに私がいったのは私の事じゃなくてつかさやみゆきの事よ!」
「・・・あ」
そういえば・・・つかさやみゆきさんは何でこんな私と仲良くしてくれてるんだろ
話が合うかがみはともかく・・・つかさやみゆきさんはこんな話詰まらないはずなのに・・・
・・・つかさにいたってはアニメショップにまで付き添ってくれるし
「どうしたの?」
「・・・え?何でもないよ」
「ふ~ん・・・あっそういえば今度の日曜だけどさ~・・・」
何気ないかがみの一言が始めの頃あった胸の違和感を思い出させた気がする・・・
(ん~・・・何なんだろうな~・・・この感覚・・・)
家に帰ってゲームしながらもずっと胸の違和感を覚えていた
そこにお父さんがやってきた
「こなたー、ゲームしてるなら対戦やろー」
「別にいいよ」
「っく、この!食らえ!ギャリック砲!」
「何のそのタイミング~、余裕で避けれるよ~。ファイナルリベンジャー!」
「あー・・・また負けたな・・・すっかりお父さんよりゲーム上手くなっちゃったなー、こなたは」
「お父さんが今のゲームの操作性についていけてないんじゃない?」
「何おう!これでもお父さんはかなたとデートしてる時はゲーセンの格ゲーでは無敗の帝王と呼ばれてたんだぞ!」
・・・お母さん?・・・そうだ!
「ねぇ・・・お父さん」
「ん?どうしたんだ?」
お父さんなら分かるかな・・・そんな期待があった
だってお父さんとお母さんの関係も・・・私とつかさに似ている・・・そんな気がしたからだ

「お母さんってさオタクでマダ男なお父さんと」
「おいおい・・・オタクはまだしもマダ男はひどくないか・・・?」
「とにかく!・・・デートだってお母さんが興味ないような所ばっかだったでしょ?ゲーセンとかおもちゃ屋とかアニメショップとか」
「まぁ・・・比較的多かったかな」
「そんな所ばっかで・・・お母さん楽しそうだったの?嫌がってるとか思わなかったの?」
「んー・・・確かに俺もそう思ってかなたに聞いた事あるぞ『こんな所にばっか来る俺と一緒にいて楽しいか』って」
「・・・それで・・・お母さんは・・・?」
「・・・『確かに他の人と来てたらこんな所ばかりは嫌だな・・・でもね、そう君と”一緒だから”楽しくて来るんじゃない』
『私はそう君の話は分からないけど、例え会話が合わなくても”ただ一緒にいられるだけ”で嬉しいんだよ』って言ってくれたんだ」
・・・お父さんと一緒だからこそ・・・?
「あぁ、それで俺は感動してなー、人前なのに涙ボロボロ流してかなたに迷惑かけちゃったんだよ」
・・・つかさも・・・もしかしてお母さんと同じ・・・?
そう思うと胸がものすごく熱くなってきた。この感じって・・・まさか・・・
「さて・・・昔話も終わったし、2回戦へと行くか!今度俺はブロリー使うぞ!ブロリー!」
アーマー持ちの強キャラですか・・・といつもなら突っ込む所だけど・・・今は別の事で頭がいっぱいでそんな事を言う気にならなかった
「何してるんですか~?」
「お、ゆーちゃんも来たからこれ止めて皆でマリパやるか!ねえゆうちゃん?」
「マリパなら私も出来るからやりたいですー」
「よ~し、それじゃあ変えるぞ?・・・こなた?」
「お姉ちゃん?」
・・・もしかして・・・私・・・
「こなた大丈夫か?」「お姉ちゃんどうしたの?」
「・・・え?」
気づくとお父さんとゆーちゃんが心配そうな顔でこちらを見ていた
「お姉ちゃん・・・顔赤いよ?風邪でも引いたの?」
「え・・・そ、そんな事ないよ!」
「でも様子がおかしいぞ?」
「あ・・・宿題あったの思い出しただけだよ!だから私部屋に戻るね!」
そういうと逃げるように自分の部屋に戻った
・・・私・・・つかさが・・・す・・・き?

・・・結局あれから一睡も出来なかった・・・
好きだと確信が持てるものはあるわけでもないけど・・・・・・好きじゃないって確信を持てるものもない・・・
私は百合だったの・・・?でも、友達として好きって事も・・・微妙だ・・・
「おはよう、こなちゃん」
「ひゃう!?」
いきなりのつかさの声、思わず変な声が出てしまった・・・
「何あんた・・・変な声出してるのよ・・・」
「いや・・・昨日あまり寝てなくて・・・寝ぼけてる頭にいきなり話しかけられたから・・・」
「ま~た、アニメか・・・いい加減卒業しなさいよ」
「・・・そ、そうなんだよ~!最近のアニメは面白くってさ~」
「いい加減そろそろ卒業しろよな・・・まったく」
こんな時にネトゲーやアニメで毎日寝不足な自分の生活に感謝しないと、変に勘ぐられる心配ないし
・・・つかさは・・・この話どう思ってるかな・・・
ちらっとつかさの方を見るとつかさは・・・笑っていた

それから話をしているだけなのに、何かとつかさの顔色を伺う機会が増えていった
「これは・・・完璧かも・・・」
私はつかさが好き。これはもう変えようのない事実だと思う
確かに話をしてて楽しいのはかがみだ。ある程度話も合うし、私のボケにもちゃんと気づいてくれる
・・・だけどお母さんが言った”一緒にいるだけで楽しい”のは・・・?
・・・試しにかがみと何も話さないで、ただ一緒にいるだけの光景を浮かべてみる・・・
・・・・・・・・・・・
だ、ダメだ・・・話さずにいるのはちょっと無理かも・・・
みゆきさんは・・・話さなくてもいけそうだけど・・・何か・・・こうオーラ的な物で威圧されそう気がする・・・
じゃあつかさは・・・大丈夫
だってつかさと2人きりの時は・・・私がゲームして隣のつかさが見てるだけ・・・とか
ひなたぼっこしてるだけとかあるもん
そしてそれは・・・楽しかった。少なくとも私は楽しかった
「・・・つかさ・・・」

自分の気持ちに気づいてたら1週間がたった
そんな時に偶然というか運命というか・・・かがみが休んだらしい
「え?今日かがみ風邪で休みなの?」
「そうなの、でもあまり大した事はなさそうだから明日には来れるかも」
まいったな・・・今日欲しい物あるからゲマズ行こうかと思ってたのに・・・
仕方ない一人で・・・
「やっぱり・・・こなちゃんお姉ちゃんいないと寂しい?」
・・・え?
「何かお姉ちゃんが休みって聞いたときのこなちゃんの顔・・・寂しそうだったから」
「いや・・・そんな事はないよ?」
ちょっとつかさの顔が暗いように見えたけど・・・私がそう答えるといつもの笑顔に戻ってた
「そうなんだ~」
まあ一人で行かなきゃいけないっていうのは寂しいけどね・・・そうだ・・・つかさを誘ってみよう・・・
いつもかがみ誘ってオマケみたいに付いてきてるだけだし・・・もし・・・つかさを誘って『いいよ』って言ってくれたら・・・
「ねぇ・・・つかさ」
「ん?どうしたのこなちゃん?」
いつものつかさスマイルでこっちを見ている・・・断られたら・・・
ふとそんな事を思い浮かんだけど、聞かないで後悔するより、聞いて後悔した方がいいよね・・・
「今日ゲマズ寄ろうと思ってたんだけど・・・つかさ・・・一緒に行って・・・くれる・・・?」
「う~ん・・・」
悩んでる・・・ということはやっぱりお母さん達みたいにはならないよね・・・
「えと・・・嫌ならいいんだよ?一人でも行けるし・・・」
「いいよ~。一緒に行こう♪」
「・・・」
「?どうしたのこなちゃん?」
「え・・・いいの・・・?」
「うん。何で?」
「だって・・・つかさはあそこ行っても分からない物ばっかでつまらないんじゃないかなって思って」
「こなちゃんと一緒ならどこ行っても楽しいよ~。私は」
・・・私と一緒ならどこ行っても楽しい・・・これってお母さんがお父さんに言った事と同じ・・・意味・・・?
やばい、そんな事考えたら顔が熱くなってる・・・
「・・・こなちゃん?」
「はヒ!?」
気づくとつかさの顔が私の数センチ前にあった
びっくりして裏声になっちゃった・・・
「こなちゃんも熱あるんじゃない?顔赤いよ~?」
「そ・・・そんな事ないよ!あ、えと・・・じゃあ放課後に寄ろうか?」
「うん!」

そして放課後になった
いつも放課後になるのは楽しみだけど、今ほど待ち遠しい放課後はなかった
初めてつかさと2人きりで行くゲマズ・・・何かデートみたいだな・・・
でもデートだとしたら・・・もっとロマンがあるところがいいよね・・・
そんな事を考えながら目当ての物を買って私たちは店を出た
「こなちゃん何買ったの?」
「えとね~・・・ハルヒの5巻と平野綾の新曲」
「へ~そうなんだ~」
「前から出てたんだけどお金なくてね~、今日やっとバイト代入ったのだ~」
「良かったね~こなちゃん」
「まったくバイト様々だよ~。欲しいものが何でも買える・・・うわ」
油断してたせいで店の前の段差で躓いてしまった
やばい、これはこける!と思い私は思わず目を閉じた


・・・?

やわらかい・・・?

何でやわらかいのか分からない、目を開けてみると・・・
つかさが私の事を抑えてくれていた
「大丈夫?こなちゃん?」
「うん・・・ダイジョウブ・・・」
痛みがなくて良かったとかそういう事は頭になかった
・・・私の顔がつかさの胸に埋まっている
その事で私の頭の中はいっぱいにだった
「よかった~、いきなりこけたからびっくりしたよ~」
「・・・いや・・・つかさ・・・」
「?どしたの?こなちゃん」
どうしたもこうしたも何で離さないの?何でギュッと抱き締めたままなの?
「あの・・・つかさ?もう大丈夫だよ?」
「・・・こなちゃんの髪の毛ってサラサラしてて良い匂いするね~」
そう言いながら私の髪の毛を撫でてる。・・・好きな人にそんな事言われたせいか
抑えていた私の理性は飛んだ
「つかさ・・・」
「?何~?こなちゃ・・・ん!?」
私はつかさの胸から無理やり離れ、つかさの手を掴んで人気のない道に走り出した
もう自分の気持ちを抑える事が出来なかった
この気持ちを伝えた・・・!きっと・・・きっと大丈夫なはず・・・!
お父さんとお母さんだって上手く行ったんだ・・・!似た境遇の私たちもいけるはず!
・・・性別の壁だって越えて!


この辺なら大丈夫かな・・・
私が知ってる限りじゃここの公園はあまり人が来ないはず
だって1人でゲマズ寄った後にここで読書とかしてたりしてるからね
「はぁ・・・はぁ・・・どうしたのこなちゃん?いきなり走り出して?」
「ん~・・・ちょっとね・・・」
・・・いざ決意して言おうと思っても・・・なかなか切り出せない・・・
・・・そりゃそうだよね。そんな軽々しく言えるなら皆苦労しないか
「わ~綺麗な夕日~」
「・・・だよね~」
ここの公園は結構高台にあるからか、鉄のジャングルとかしている街の向こうにある山が見える
そしてその山に沈みかけている夕日からの光が鉄のジャングルに降り注いで街全体がオレンジ色をしてる
「私はここの光景は結構好きだな」
「こなちゃんよく来るの?」
「よく・・・ではないけど、一人でゲマズに来た時とかは寄る事多いかな」
「そうなんだ~」
「うん・・・こういう光景見てるとさ・・・高校生になったばかりの自分の事思い出す気がするんだ」
「最初の頃のこなちゃん?」
「うん・・・私さ、最初は別に友達なんて出来なくてもいいかなって思ってたんだ。
どうせ私と趣味が合う人なんていないだろうし・・・と思って・・・」
「・・・」
つかさが真面目な顔で真剣に聞いてくれている。これがかがみとかならちゃかされてただろうな・・・
こういう何でもない話でも真剣に聞いてくれる・・・そんなつかさに私は惚れちゃったのかな
「でも今は違う。かがみやみゆきさん・・・それにつかさがいない生活なんてもう私には考えられない」
私の話に突っ込むかがみがいて・・・私の疑問に答えてくれるみゆきさんがいて・・・
・・・そして・・・誰よりも私の事を考えてくれているつかさがいる・・・
こんな当たり前の毎日をくれたのは間違いなくつかさだ
ピンチの時に助けたけど、話なんて合うはずもないのにいつも隣で笑ってくれている・・・
「私・・・」
高校生活も後1年・・・皆それぞれの道を歩む為に離れ離れになる・・・
でも会おうと思えばいつでも会える訳だよね・・・だからここで私の気持ちを伝えなくても・・・つかさとは一緒にいられる・・・
「?何こなちゃん?」
違う・・・”一緒にいられる”のが私の理想じゃない
私はつかさと”一緒になりたい”んだ・・・!
だから・・・私は・・・!
「つかさの事が・・・」

『え・・・おかしいよこなちゃん』
―ドクン
今のは・・・つかさが言ったんじゃない。私はまだ言い切ってないんだから・・・今の葉・・・私の・・・妄想だ
でも・・・あり得ない未来じゃない・・・いくらつかさが私を好きだと言っててもそれが『友達』の枠としての好きなら・・・
引かれる・・・引かれるどころかもうつかさと会う事すら許されない・・・
次の言葉が出ない・・・いわゆるノーマルじゃない・・・自分でも気づいてるからこそ最後の歯止めがかかっているんだ
「・・・」
つかさが私の言葉を待っている。いつものキョトンとした顔で
「・・・す」
「す?」
ここまで来たら誤魔化せない・・・いくらつかさでもここまで感づくはずだし・・・
「~・・・」
駄目だ・・・出ない・・・今はまさにシュレーディンガーの猫と同じだ・・・
このまま何もせずにいたら「付き合える」と「付き合えない」かは分からない・・・
その方が幸せなのかもしれない・・・誰だってパンドラの箱を開けるのは怖いんだ・・・
誰だって『気持ちを伝える箱』を開けるのが怖いんだ・・・
ピロピロピロ
「!」
「あ・・・お父さんからだ」
つかさの携帯が鳴った音だった
「うん・・・うん・・・分かった。すぐ帰るね」
そういうとつかさは携帯を切った
つかさの言葉から大体の予想はつく・・・
「お父さんが早く帰ってきなさいって言うから帰ろう?こなちゃん」
「ぇ・・・あ・・・」
これは転機なのかもしれない
つかさは今の電話で私が言おうとした事の事なんて忘れたらしい
だから・・・言わないで・・・このパンドラの箱を開けないで過ごす為の最後のチャンスなのかも・・・
「ほら行こう?こなちゃん」
つかさが私の前に手を差し出す
「・・・」
「?こなちゃん?」
・・・確かにパンドラの箱は様々な災いが詰まっている・・・
「どうしたの?お腹痛いの?」
でもね・・・
「つかさ・・・笑わずに聞いて」
パンドラの箱から災いが飛び去った後に残っているのは
「?さっきの続き?」
『希望』か『絶望』だと言われている
「うん・・・私ね・・・」
・・・私のこのパンドラの箱に残ってるのがどっちか分からないけど
「・・・」
私は希望が残っていると信じて・・・開ける!

「つかさが・・・好き」


言ってしまった。もう後には戻れない・・・
「・・・え?」
つかさはキョトンとしている。意味がよく分からないのかな・・・
ここまできたんだ・・・最後まで突っ走るだけ・・・
「友達としてじゃなくて・・・その・・・あの・・・付き合うとかの好き・・・なんだけど」
「・・・」
まだキョトンとしてる・・・これは・・・ダメ・・・かな・・・?
「いや、あの・・・その・・・」
首を傾げている・・・やっぱりダメだったか・・・
「・・・分からなかったの・・・」
「・・・え?・・・何が?」
「ん~・・・最近・・・こなちゃんの事想うととね・・・胸がもやもやする感じがあったの」
・・・私と同じ・・・あの感じがつかさも・・・?
「後こなちゃんとお姉ちゃんが仲よさそうにしてるの見ると胸がムカムカして・・・」
「・・・つかさ・・・?」
「何なんだろう・・・ってずっと考えてたんだけど・・・でも今こなちゃんに告白されて・・・私もこなちゃんと同じだったのか・・・って分かったの」
私と同じ・・・ということは・・・?
「私もこなちゃんの事好き。もちろんこなちゃんのと同じ意味でね」
「・・・つかさ!」
「ひゃう!?」
私は思いっきりつかさに抱きついた、両想いだったなら何も悩む必要なかった
・・・けど・・・このつかさの反応は?
「・・・どうしたの?つかさ?」
「え、いや・・・なんか照れちゃって・・・」
「・・・プ・・・」
「?」
「あはははは!」
「え?どうしたの?こなちゃん??」
「いや・・・何かつかさらしいな・・・って思ってさ・・・」
「私らしい?」
「うん・・・純粋すぎるっていうかな?何かそんな所がつかさらしいな~って思って」
「ふ~ん???」
やっぱりつかさらしいな~・・・こんな所も好きだけど・・・
「じゃあつかさ・・・その・・・少ししゃがんで目を瞑って・・・?」
「?何で?」
「何でって・・・ほら・・・そのキ・・・キス・・・したいから・・・」
そう言うとつかさはようやく理解したのか私の背の高さまで屈んで目を閉じた
・・・うん・・・つかさは天然だからね・・・私がリードしていかなきゃいけないか・・・
「これでもギャルゲーは沢山してるから知識はあると思うし」
「?何か言った?こなちゃん?」
「え?いや・・・何でもないよ」
オレンジ一色に染まる人気のない公園で私はつかさと始めてのキスをした
誰が何て言おうと私はつかさが好き。つかさも私が好き・・・2人の気持ちさえあればどんな障害だって乗り越えられる
・・・私はそう信じている
「・・・じゃあ帰ろうかつかさ」
そう言って私はつかさの手を握る
「・・・うん!」
つかさも私の手を握り返す

「明日からが更に楽しみになるね」
「そだね~」
「あ・・・つかさ?まだこの事誰にも言っちゃダメよ?」
「え?何で?」
何でって・・・私はつかさの天然に翻弄されないように気をつけよう・・・
そう誓って駅へ向かう道でつかさに理由を教えながら歩いた
何だか駅までの道が今までと違う感じがするな・・・と思いながら




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