ビデオテープ


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日差しも穏やかな春休みの午後、本来なら絶好の『お昼寝タイム』。
だがしかし、私とみゆきさんは、柊家の居間につかさやかがみと一緒にいる。
共につかさとかがみから「見せたい物が有る」と言われて来たんだけど……。
何だろね?

――――――――――

  ビデオテープ

――――――――――

「見せたい物ってのは、これなんだけどね~。」
かがみが取り出したのは、1本のビデオテープ。
何だか古そうな感じがするけど、ちゃんと再生されるのかね?
「何か面白いものでも映っているんですか?」
みゆきさん、そうじゃなきゃ私等を呼ばないでしょ~。
「まぁまぁ、見てからのお楽しみだよぉ~、ゆきちゃん。」
つかさがそう言うと、かがみが再生ボタンを押した。



―さぁてさぁて、今週も始まりました『ふらっと寄り道下車の旅』。本日の旅人はぁ~、どちらに居るんですかねぇ~、あれ?あそこに居るのは、もしやぁ~。
「おはようございます『佐藤快』です。えー、現在、私は北千寿に居ます。今日はね、ここから糖武伊勢咲線に乗って、埼玉県の方に旅をしようと思います。それでは、行ってきま~す。」
―あ、もぉ行くんですかぁ~?あぁ~いかわらず、せっかちですねぇ~。

チャ~ラ~チャ~~~チャ~ラ~チャ~~~





「おぉぅっ!『寄り道下車』ですかぁ~。」
「何だか、佐藤さんが若い感じがするんですけど……どのくらい前に放送された物ですか?」
うん、確かに若いし、北千寿の駅も今と何か違う。
「ん~とねぇ~、確か10年以上前だよぉ~。」
「だから、こんなに若いんですね~。」
「えっとね、見せたい所はもっと先なんだー。」
そう言って、かがみが早送りのボタンを押した。
ははっ、再生しながらだから、佐藤さん忙しそう~。
「あ、ここからがそうよ。」



―佐藤さぁん、どぉちらへ向かわれるんですかぁ~?
「この先のね『鷹宮神社』に向かっています。なんでも、近所で評判の4姉妹が居るらしいんですよ~。」
―ほぉぉ~、4姉妹ですかぁ~。
「あ、ここですね~。……どうも、こんにちは~、宮司さんでいらっしゃいますか?」
「はい、ここの宮司を務めさせて戴いている『柊ただお』です。」
「で、こちらが奥様でいらっしゃいますか?」
「はい、妻の『みき』です。」



「おばさん……今と全然変わってないねぇ……。」
「こなた……それは言わない約束よ……。」



「ところで、こちらに近所で評判の4姉妹がいらっしゃると伺ったんですが……。」
―おぉ、そぉですよ、佐藤さん。
「今はどちらにおられるんですか?」
「境内の方に居ますよ、こちらです、どうぞ。」






「おぉっ!つ、ついに……。」
「若かりし頃のお二人に会えるのですね~。」



「こんにちは~。」
『こんにちは~!!』
―おっほっほ、げぇ~んきですねぇ~。
「お、元気一杯だねぇ~。こっちのお姉ちゃんから聞いてみようか、お名前は?」
「柊いのりです。」
「お名前は?」
「柊まつりだよ~。」
「こちらは双子ちゃんかな?お名前は?」
「ひいらぎかがみ、です!」
「お名前は?」
「……つかしゃ……。」
「だめでしょ~つかさ~、ちゃんとおへんじしないと~。」
「……だって~……はずかしぃ~……。」



「『つかしゃ』だってぇ~、か~わいぃ~。」
「姉妹の皆さんも、あどけなくて可愛らしいですね~。」
「みゆきさん、つかさの髪型が三つ編みだよぉ~。」
「かがみさんも、今と違ってショートカットですね~。とてもお似合いです~。」

「あ、二人とも……そんなに言われると……。」
「こなちゃん……ゆきちゃん……ちょっと……はずかしぃなぁ~……。」



「みんな、何をしていたのかな?」
「おままごと~。」
「……おじちゃんも……いっしょに……あそぼ?」
「つかさちゃんからお願いされたんじゃ、断る訳にはいかないなぁ~。よし!じゃぁ僕がお父さん役やりまーす!……よいしょっと。」
「じゃぁ、私がお母さんやるね~」
「んじゃ、わたしおにいちゃん。」
「んーと、かがみはおねえちゃんやるぅ~。」






次はつかさの番だね~、ん~……つかさの事だから『私もお姉ちゃん』かなぁ~。と、思っていたんだけど……。

『わたし……ここがいぃ~……』

テレビの中のつかさは、とてとて~と歩いて、胡座をかいた佐藤さんの膝の中にちょこんと座った。

……あ、……思い出した、……私、この番組見たことある。

「もしかしてさぁ~、この後につかさとかがみ以外の家族が、揃って装束を着て出てきたりしない?」
「へっ?こなた、これ見たことあるの?」
「うん、でも多分おとーさんが録画したやつだよ~。見たのって確か小学校3年か4年の頃だから。」
「おじさまは、なんで録画されていたのですか?」
「う~ん、たまたまなんだと思うんだけどね~、空きテープ探している時に見た……んだと、思う。」
「でも、良く覚えてたねぇ~、こなちゃんすごぉ~い。」「んー、さっきつかさがちょこんと座ったじゃん、それ見て思い出した。」

―ホントは、もう一つ思い出したんだけどね~。

その事は言わずにテレビの方を向いた。
みんなもテレビを見ている。
……誰もこっちを見ていない。
チャ~ンス!

私は見つからないように素早く携帯を取り出し、画面を見ずにメールを打つ。
チラッと確認。
良し、おk、送信。

暫くして、つかさの部屋の携帯が鳴った。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「あれ?つかさの携帯鳴ってる?」
え?あ、そうかもぉ~。
「ごめんねぇ~ちょっと行ってくるぅ~。」
私はみんなに断って、自分の部屋へといそいだ。
あれ?メール……こなちゃんからだ。でも、なんで?
とりあえず、メールを開いてっと。




★★★
from こなちゃん
subject もう一つ思い出した事があるんだ

あのね、テレビに出いてたつかさが、私の初恋の相手だよ。
★★★

え……、え?えぇぇーーーっっっ!!!!!

突然の告白に、思わず頭が真っ白になった。
まぁ、一応恋人同士だし、私からもこなちゃんからも『好き』っていう告白はしていたけど、でもこんな告白はいきなりすぎて……あぁぁぁぁ。
落ち着いて、私、落ち着いて。

ふぅ………。
深呼吸をしたら、少し落ち着いた。

……嬉しいな……。
私達が恋人同士になってからそんなに経っていないけれど……、こなちゃんはずーっと前から、私の事を想ってくれていたんだね……。

そして、私は返事のメールを送り、居間へと戻った。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


お、返事が来た。
二人はずっとテレビを見ている。
素早くメールを確認。

★★★
from つかさ
subject えへへ(=∩_∩=)

私は、こなちゃんの初恋の相手が私で、とっても嬉しいよ♪
こなちゃんは……初恋の相手と一緒になれて、良かった?
★★★

「お待たせ~。」
つかさが帰ってきた。手にはしっかりと携帯を握っている。
私は、さっきと同じ様にメールを打った。
送信するまえに確認する。

★★★
to つかさ
subject もちろん

良かったし、とっても嬉しいよ♪
★★★

……よし。

テレビを見ると、そろそろ番組も終わりらしい。

私はそっと、送信ボタンを押した。


<ビデオを取り出して、おしまい>






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