☆二人だけの織り姫と彦星☆


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   前文 泉こなたの誕生日



つ「こなちゃん、お誕生日おめでとう」
こ「ありがと~」
つ「はいこれ……プレゼントだよ」
こ「おぉ~、中身は何かなぁ~」
ガサガサ
こ「お、箱の中にはまた箱が」
ガサガサ
こ「その中にまた箱?焦らすねぇ~」
ガサガサ
こ「え……また?」
ガサガサ
こ「ねぇ……あと幾つ開ければ良いのかなぁ?」
ガサガサ
こ「なんか、飽きてきた」
ガサガサ
こ「あ、なんか違う箱が出てきた」
つ「頑張ったね~、開けて開けて~」
こ「言われ無くても開けますよっと……これって……」
つ「5月の誕生石、エメラルドの指輪だよっ!」
こ「こ、こんな高いの貰えないよぉ~」
つ「……受け取ってほしいなぁ……」
こ「で、でも……」
つ「私、こなちゃんの隣を予約したいんだ……だから……ね」
こ「つ……つかさ……」







   本文  ☆二人だけの織り姫と彦星☆




「よっと……ふぅ。えーっと次は……」
どうも、泉こなたです。ただ今台所で孤軍奮闘中どす。正直辛いっす。でも、愛するつかさのために頑張るでごわす。
「……はぁ、結構疲れてるなぁ~、私……。ちょっとコーヒーでも飲んで一休みするかなぁ~」
今日はつかさとかがみの誕生日、今年は上手い具合にみゆきさんも有休がとれたって言ったから、私のマンションでバースデーパーティーをすることになった。
「インスタントでいいか~、スプーン三杯っと」
みんなが揃うのはかなり久しぶり、だから朝から頑張って料理をいっぱい作っていたんだけど……流石に疲れたなぁ~。
「お・ゆ・を・入・れ・て~……いれて~……いれ……あれ……ぬぉっ!足りないじゃ~ん!!!」


☆二人だけの織り姫と彦星☆


チーン♪
「ふぃー」
砂糖を入れてほんのり甘くしたカフェオレを飲んで、やっと一息つけた。
「後は……パンとサラダとマリネはみんなが来てからで良いし、ミートローフは冷ましてるし……、おぉ!なんだかんだでちゃんと出来たじゃん。さっすが私!!」
ぐいっと親指を立て……たところでそれを見ている人は誰も居ないんだけどね……。
「……空しい……早くみゆきさん来ないかなぁ~、今何時だろ……って!もう一時半!?」
あちゃ~、全然気が付かなかったよぉ~。まずいなぁ、スピードアップしないと間に合わないかも。

ピンポーン
不意にインターホンが鳴った。
「はいはいはいはい、いまでますよ~。は~い、あ、みゆきさ~ん、鍵開いてるから勝手に入ってきて~」
よっしゃぁー!助っ人キター!これで何とか間に合うかもー!
「おじゃましまーす、泉さん、お久しぶりです」
「みゆきさ~ん、おひさぁ~。……初詣以来だっけ?」
「そのくらいですね、まぁ積もる話は後にして、取り合えず……ケーキのスポンジ、どこに置きますか?」
「あ、すぐにデコレーションするから、こっちに持ってきてもらえる?」
「それじゃぁ、失礼しますね」
みゆきさんが持ってきたのは、約30cmのスポンジケーキの土台。本当はそれも家で焼きたかったんだけど……、我が家のオーブンじゃどんなに頑張っても20cmが限界だからなぁ~。
「暑かったでしょ?麦茶で良ければあるけど、飲む?」
「あ、お願いします。丁度風が無くなって日差しが出てきたから、とても喉が渇いてしまって」
「そうなんだ~」
冷蔵庫から麦茶を出して、氷の入ったグラスに注ぎみゆきさんに渡した。
「いただきます。……ふぅ、冷たくて美味しいですね」
「そぉ?ありがと。私ケーキ仕上げるから、適当に休んでて良いよ~」
「はい、ありがとうございます」

さて、始めますか。まずは上下に分けてっと。
「麦茶、ありがとうございます。グラス、ここに置いておきますね」
「うん、適当に置いといて~。……えーっと、生クリームとフルーツを混ぜてっと」
「ところで、どんなケーキを作るのですか?」
「ん~とね、『甘さ控えめ七夕チョコケーキ』だよ~」
みゆきさんと話しながらも、手を休めることなくケーキをデコレーションしていく。
スポンジの間に今混ぜた物を塗って、上下を合わせて、周りにチョコクリームを塗って……。
「相変わらずお上手ですね~」
「ん~、まぁそれなりに作っているからね~。だけど、流石につかさには負けるよ~」
「まぁ、つかささんはプロですから、仕方がありませんね」
今、つかさは中規模なレストランの副料理長を任されている。結構繁盛しているらしく、残業をしない日は殆ど無いみたい。
「泉さん、最近つかささんと会いましたか?」
「ん~ん、忙しいみたいだし、休日も上手く合わないからね~。あ、でもほぼ毎日電話はしてるよ。最後に会ったのは私の誕生日かなぁ~。……よっし、取り合えずか~んせ~い」
「……随分とシンプルですね……」
出来上がったのは、飾り付けも何もされていないケーキ。まぁ、確かにシンプルだねぇ~。
「最後の仕上げは食べる直前にするからねぇ。それじゃ、君は冷蔵庫に隠れていてくれたまへ~」
ケーキを冷蔵庫にしまい、部屋の飾り付けを二人でして、気が付いたらもう三時半だった。

「ふぃ~、終わったぁ~、みゆきさん、ありがとぉ~」
「どういたしまして、泉さんも頑張りましたね」
「まぁ~ねぇ~、……一年に一度の誕生日だし。……それに、今年は……」


「泉さん……大丈夫ですよ。私も、かがみさんも応援してますよ」
「うん……ありがとう」
でも、やっぱり不安なんだよね……ちゃんとつかさに伝えられるかなぁ……。


ピンポーン
「今日の主役が到着したかなぁ~。はいはーい、どうぞ上がって~」
インターホンを置き、みゆきさんに合図を送ろうとしたけれど、もう既に扉の脇にスタンバイしていた。私も慌ててみゆきさんの逆側に立ち、二人が入ってくるのを待った。
「こなちゃん、おまたs」
『つかさ(さん)!!かがみ(さん)!!お誕生日おめでとう(ございます)!!!』
パーンパーンとクラッカーの音が二つ鳴った。部屋に入ってきた二人は茫然としている。
……まぁ、仕方ないか。いきなりのクラッカー攻撃だもんね。
「……びっくりしたぁ~!心臓が止まるかと思っちゃった」
「つかさ……そこまで驚く事じゃないでしょ。まぁ、私もちょっとはびっくりしたけどね」
「まぁまぁ、立ち話もなんですから、主役のお二人にはテーブルに腰掛けて頂いて……。それじゃ、泉さん」
「よっし、じゃぁみゆきさん手伝ってね~」
「はい!」

冷蔵庫から調理したおかずを取り出し、お皿に盛りつける。
今日のメニューは、ミートローフ、トマトと玉葱のマリネ、シーザーサラダ、それに焼きたてパン。勿論、デザートには特製ケーキがお待ちかねだ。
「泉さん、ワインオープナーはどこですか?」
「あ、そこの……そう、そのしたの真ん中の引き出し。うん、そこの左奥にソムリエナイフが入ってない?」
「んーと、あ、有りました!」
「ごめんね~、出しておくのすっかり忘れてたよ~」
「それじゃ、後はワインを持って行けばオッケーですね」
「うん、じゃぁワイン持っていくから、みゆきさんも座ってて~」
「はーい」

「お待たせ~」
「ん~ん、待ってないよぉ~」
「二人共、相変わらずねぇ~」
「本当ですね」
ナイフを使い、ラッピングを外す。
「えぇ~、そりゃないよぉかがみ~、これでもちょっとは成長しているんだから……」
「どこが成長したのよ?」
「こなちゃん、胸のサイズが大きくなったんだよね~」
「えぇっ!そうなんですか?」
「……みゆきさん、いくらなんでもその台詞は傷付くよ……」
「え、あ、す、すみません……ちょっと以外だったので……つい……」
スクリューをコルクに奥まで捩込む。
「以外って……まぁ、そりゃぁ、私もびっくりしたけどさ……よいしょっと」
ゆっくりと、力を加減しながら慎重にナイフを持ち上げ……。

ポン!!!

心地好い音とともに綺麗にコルクが抜けた。
「さぁ、乾杯しよぉ~」
それぞれのグラスにワインを注ぎ、各々手に持った。
「ケーキは最後に出すからね~。それでは、改めて。つかさ、かがみ誕生日おめでとう!」
「おめでとうございます!」
「ありがとね~」
「ありがとぉ~」
「では」
『かんぱーい!!!』

「みゆきさん、二人に取り分けてあげて、私パン持ってくるから」
「じゃぁ、二人ともお皿を貸して下さい」
「えぇ、良いよぉ~」


「別にそんな改まる必要無いじゃない」
「まぁまぁ、今日はお二人が『主役』なんですから」
「そうそう、気にしない気にしない。あ、でもお代わりは自分で取ってね~」
二人は仕方ないなって顔を見合わせてる。ま、年に一度の事なんだから、このくらいは楽しんでもらわないとね。

「はーい、焼きたてパンだよぉ~」
「おぉー!凄い!あんたこんなのまで作れるの?」
「とても美味しそうですね~」
「こなちゃんのパン、美味しいんだよぉ~」
「へぇ~、つかさがそう言うんだから、間違いは無いわね」
「一応、ピクルスでディップも作ったけど、おかずをサンドして食べてもオッケーだよ」
「ふーん。じゃ、私はマリネをサンドしようかな」
「それでは私はミートローフをサンドしてみますね」
「んじゃぁ私は……、そのディップが気になるからそれを塗ってみるわ」
「じゃぁ私はシーザーサラダを……って、わざわざみんなで別々にしなくても良いじゃーん」
『アハハハハ……』


「さてと、そろそろケーキを出すけど……みんな、お腹大丈夫?」
みんなで色々と話ながら食べていて、気が付くと用意した食事があらかた無くなっていた。
「大丈夫だよぉ~」
「私も平気だな」
「結構軽めでしたし、私も大丈夫です」
「んじゃ持ってくるから、ちょっと待ってて~」
食べ終わったお皿をみゆきさんと片付け、ケーキの準備を始める。
「みゆきさ~ん、そこに出してあるお皿とか持ってってもらえる~」
「良いですよ~。……何か仕上げをするんですか?」
私はケーキをお皿に載せて、最後の仕上げをしていた。
「うん……ちょっとね……よし、出来た」
「うわぁ~……素敵ですね~」
「でしょ~。さてと、持って行きますか。よいしょっと」

「お待たせ~。泉こなた特製の『甘さ控えめ七夕チョコケーキ』だよ~」
「はぁ~……これ、あんたが一人で作ったの?」
「いえーす……と言いたいんだけど、ウチのオーブンじゃこの大きさのスポンジ焼けないから、それだけはみゆきさんに作ってもらった」
「えぇ~、でも、じゃぁ、デコレーションは全部こなちゃんがやったんでしょ~、すご~い」
私が作ったケーキは、チョコクリームの上に紛糖で天の川を書き、その周りにアラザンの星を散りばめて、所々に星型の砂糖菓子を載せたケーキだ。
「ねぇ、こなちゃん……このマジパン人形も?」
「つかさとかがみをイメージして作ってみました~」
「へぇ……随分と手が混んでるのね~」
「まぁねぇ~、久しぶりにみんなが集まるから、ちょっとだけ本気出してみました!」
そう言って、親指をぐっと立てた。それを見て、みんなが拍手してくれた。
……うん!頑張って作った甲斐があったよぉ~!
「じゃぁ、蝋燭に火をつけてっと……じゃぁ、みゆきさん。せーの」

『ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデートゥーユー ハッピーバースデーディアつかさアンドかがみ~ ハッピーバースデートゥーユー』

歌い終わると同じに、二人で息を合わせて火を消した。
「もう一回、お誕生日おめでとう!!!!!」
「お誕生日おめでとうございます!!!!!」
「何度聞いても、やっぱり嬉しいわね、本当にありがとう!!」
「こなちゃん、ゆきちゃん、本当に、本当にありがとう!!」
「じゃぁ、切り分けるよぉ~」


「ふぅ~おなかいっぱ~い」
「私も~、ちょっと食べ過ぎたかも~」


本日の主役は、デザートを食べて満足したみたい。二人でソファーに腰掛けリラックスモードに入っている。
「ちょっとちょっと、そこのお二人さん。何か大切な事を忘れていませんか?」
「大切な事?お姉ちゃん、何かあったっけ?」
「さぁ……何だろ?」
全く、この二人ときたら……。
「誕生日と言ったら、プレゼントでしょ?」
「折角用意したんですし、受け取って頂けませんか?」
そう言いながら、私達は二人の目の前にプレゼントを差し出した。
「あ……ありがとう。あんな素敵なパーティーをやってくれたから、それで満足してたわ」
「私も~、すっかり忘れてた~、ありがとう~」
二人共今までに見たことの無い笑顔で、私達のプレゼントを受け取った。
「開けてみて良い?」
「良いよぉ~」
「どうぞ、開けてみて下さい」
「それじゃ、先ずはゆきちゃんのから……ペリッと……ん?これは……犬?」
「はい、犬型のペーパーウェイトです。つかささんはレシピを見ますよね、その時に使えるかなと思って」
「うん、良く使うよ~。ありがとう~、今までずっと適当な重り使ってたから、嬉しい~」
「私のは……兎のペーパーナイフ……かな?」
「はい。かがみさんは仕事で封筒を開ける事が多いと聞いたので……」
「そうなのよ~、今ではメールっていう便利なモノが有るってのに、お役所とかからの通達は全部封書だからね~。嬉しいなぁ~、ありがとう」
「お二人に喜んで頂けて光栄です」
「じゃぁ、私のも開けてみて~。あ、かがみからおねがいね」
「あ、そう?わかった……んと、あ、ここか……ん?指輪?あ、これってルビー?」
「ちっちゃいけど、ちゃんとルビーが入ったピンキーリングだよ~。かがみさぁ、この前『もっとステップアップしたい』って言ってたでしょ」
「そういえば……そんな事を言ったわね……あんたそれ覚えてたの!?」
「オタクの記憶力をナメちゃぁいけませんぜ~」
「はぁ、あんたって、時々物凄いわね……でも、嬉しいわ、ありがと」
「こなちゃん、私のも開けてみて良い?」
「うん、良いよぉ~」
「えへへ……何かなぁ~……んしょ……えと……ここを開けてっと……あれ?」
つかさが取り出したのは、かがみのよりも大粒のルビーが埋め込んである指輪。
「こなちゃん……これって……」
呆然としているつかさの手元から指輪を取り上げ、つかさの左手を優しく掴んだ。
「この前、私の誕生日の時、つかさ、言ったよね『私の隣を予約したい』って。これが、その答えだよ」
私はそう話しながら、まだ呆然としているつかさの左手薬指に指輪をはめた。
「これから先、ずっと、私の隣に居てもらえますか?」

沈黙が辺りを支配した。時計の時間を刻む音だけが聞こえる。かがみも、みゆきさんも黙ったままだ。

「ウッ……ウウッ……」
「つ、つかさ?泣いてる……の?」
沈黙を破って聞こえてきたのは、つかさの泣き声だった。
「ごめんね……変な事言っちゃって……」
「ううん……グズッ……違うの……嬉しかったの……。私、頑張って……エグッ……こなちゃんに、プロポーズしたのに……ウウッ……それから、ずっと……ヒック……会えなくって、不安で……」
「そっか、ごめんね、返事が遅くなっちゃって」
私はつかさの涙を拭きながら、話しを続けた。
「本当はね、もっと早くに伝えたかったんだ……。だけど、ある日突然『本当に私で良いの?』って思っちゃって……それで……今日まで伝えられなかったんだ……。本当にごめんね……」
「ううん、良いの。私だって、突然あんな事言ったんだもん。……こなちゃんの気持ちも考えずに……」
「うん、突然だったよね。……でもね、私物凄く嬉しかったんだよ、まさかつかさからあんな事を言ってもらえるとは、全然思ってなかったから」
「じゃぁ、おあいこって事で良いじゃない」
「そうですよ、お互いに相手を想った上での行動なんですから、良いも悪いも有りませんよ」
じっと黙って見守っていた二人が、そんな事を言ってくれた。
「お姉ちゃん……ゆきちゃん……そうだよね」
「かがみ……みゆきさん……うん!」

「さてと……じゃぁ、お姉ちゃんから妹とこなたへの、とっておきのプレゼントをあげようかな~」
「もしかして、アレですか?」
「そ、アレよ、ア・レ」
何それ、私そんなの聞いてないよ?


私が前以て二人に話したのは、つかさにプレゼントをあげてプロポーズの返事をするって事だけ……、一体何だろう?
そう思って見ていると、鞄の中から封筒を取り出した。
「まぁ、法的効力は無いけれど、持っておくのは自由だから。……ちょっと恥ずかしかったんだけどね。中を見て、それで全てがわかると思うから」
そう言われてつかさが取り出したのは一枚の紙。それを開くと……。
「婚姻届……?」
「そ、ちゃんと見てみなさい」
「ん……えっ……ええっ!!こなちゃん!!これ!!ここ!!!」
つかさが指差すその先は、父母の名前欄そこには既におとーさんとつかさの両親の名前が記入してあった。
「か、かがみ……これって……」
「ん?その通りの意味よ。私の両親も、あんたのお父さんも、二人が一緒に暮らす事を認めているって事。一応確認したら、同性婚が認められていたら、喜んで認めるってどっちも言ってたわよ」
「お姉ちゃん……それ……本当?」
「嘘つく必要ないでしょ~、本当に本当よ」
「じ、じゃぁ、つかさと一生一緒に居ても……」
「構わないって事」
ふぁ……ダメだ……もう我慢出来ないよ……。
「ウゥッ……つかさぁ~!!」
「グスッ……こなちゃ~ん!!」

私達は二人の目の前で思い切り抱き合って泣いた。
知らなかった。嬉しさでこんなにも泣けるなんて。

「泉さん、つかささん、おめでとうございます」
「二人共、ちゃんと幸せになるのよ」
ひとしきり泣いた後に、二人が祝福の言葉を言ってくれた。その二人にも、うっすらと涙の跡が見えた。


「こなちゃ~ん」
「なぁ~にぃ~」
「曇ってるねぇ~」
「そだね~」
あの後、かがみとみゆきさんは仕事が有るからと言って帰っていった。
つかさは、明日休みを取ることが出来たので、今日は久しぶりにお泊りだ。
「七夕なのに、織り姫と彦星は見えないねぇ~」
「織り姫と彦星じゃないけど……星なら見えるよぉ~」
「え~?どこに~?」
「ほら、ここに」
私は左手を目の前にゆっくりと差し出した。その薬指にはエメラルドの指輪がはまっている。
「あ~、そっかぁ~」
つかさも同様に差し出した。そこには真新しいルビーの指輪がはまっている。
「……ずっとずっと、おばあちゃんになっても、ずーっと一緒だよ……」
「……うん……」
その時、雲の切れ間から月明かりが漏れ、私達を照らした。
「……幸せになろうね……」
「……うん……」
月明かりに照らされて輝く私達だけの織り姫と彦星。
雲が月を隠すまで、私達はそれをずっと見つめていた。
「お月様、隠れちゃったね……」
「私達に遠慮したんじゃない?」
「……そっかぁ……」
誰も見ていない、二人きりの部屋。
私達は雲の向こうにいる織り姫と彦星に見つからないように、こっそりとキスをした。

☆おしまい☆






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