7月7日は何の日?


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ここ最近降り続いた雨も空気を読んだのか、窓の外にはコバルトブルーの青空が広がっている。
天気予報では今日は終日降水確率0%とのこと。織姫と彦星も年に一度の逢瀬を楽しむ事ができるだろう。
野球中継が中止になることを考えれば雨という天気は決して嫌いではないけど、今日はつかさとかがみの誕生日だからね。
このような日はやはり晴れて欲しいと願うのは人情というものだろう。
初夏の太陽のように眩しいつかさの笑顔を思いながら、私はカーテンを閉じて鏡の前に戻った。
「ん~やっぱり子どもっぽいかな?やっぱりこの間買ったパーカーのほうが…でもつかさって白が好きだしな~」
ベッドの上には色・種類ともに様々な服が広げられていた。
ジャケット、カーディガン、パーカー、ワンピース、キャミソール、サマーセーター、ブラウス、スカート、ショートパンツ、デニム等々。
早起きして正解だった。
鏡の前に立って早1時間が経過しようとしているのに、つかさとのデートに着ていく服が決まらない…
今まであまりファッションというものを意識してこなかった私にとって、デートに着ていく服を選ぶ、というのはなかなかの難問だった。
どのような服が流行なのかとか、どのようなコーディネートが可愛いとかまったくわからず、wahooの知恵袋とかで「恋人とのデートにどんな服を着ていけばいいですか?」みたいな質問を投下したりもした。
でも返ってきた答えと言えば、「自分が気に入った服ならいいんじゃない?」「地味じゃなきゃなんでもいい」といったような無難なものばかりだった。
中には「脱ぎやすい服装。もしくは脱がせやすい服装。『私がプレゼント(ハート)』で相手はイチコロさ!」などという回答もあり、心の中でツッコミをいれたりもした。
でも、もしも私が友達に同じことを相談されたら、おそらくそんな無難な答えを返していたと思う。
ファッションに執着の薄い私にだって、何着かはお気に入りの服くらいある。だけど、それじゃなんとなく不安なのだ。
自分が気に入っている服が、世間の人たちやつかさにとっても同じ印象を与えているとは限らない。今まではそんなこと気にしてこなかったし、自分が気に入ったものを着ればいいって思ってた。
だけどつかさのことを好きになって、付き合うようになって…初めて私は、可愛く見られたいって思うようになった。
ゆーちゃんにアドバイスを求めて、シャンプーやボディソープを代えた。
にきびが出たり肌が荒れたりしないように、夜遅くまでゲームするのを控えたり間食をやめたりした。
それでも5歳は年下に見えるこの身長と幼児体型はどうしようもなく、「貧乳はステータスだ!希少価値だ!」なんて強がり言っていた自分が少し情けなくなる。
可愛いって言われたい…キレイな女の子になりたい…つかさの彼女として、恥ずかしくない自分でいたい……恋をした女の子はみんなこんな悩みと戦っているのかな……
私も普段なら本屋に行けばコンプ○ィークやアニ○ディアしか買わないところを、ティーンのファッション雑誌なんかを買って勉強してみたりするんだけど、そんな付け焼刃の勉強ではなかなか知識は身につかないでいた。
普段は東京に出て山手線に乗れば秋葉原か池袋しか行かないのに、原宿や渋谷なんかに行って服を見たりもした。
そうやって色々試してみたはいいけど、こうして待ち合わせの時間直前になっても着ていく服が決まらない……


さらに吟味すること30分。


散々悩み悩んで、結局今回は原宿のお店で一目ぼれしたシャツワンピにすることにした。
ストライプのシャツにブラックの3段フリルがかわいいワンピースに、サスペンダーとネクタイを合わせてみる。
少し大人な雰囲気がでるのでお気に入りのコーデだ。
それにプラスで黒の帽子をかぶってみる。
そういえば以前、帽子でアホ毛が隠れてて、待ち合わせのとき私だって気付いてもらえなかった事があったっけ。

コンコン

「お姉ちゃーん、開けていい?」
ドアがノックされてゆーちゃんがその愛らしい顔をのぞかせる。
「そろそろつかさ先輩との約束の時間だよ?」
「あ、うん。なんか着ていく服選びに手間取っちゃって…」
「そうなんだ~。あ、それこの間買ったって言ってた服?」
「うん。…どうかな?ヘンなとこ、ないかな?」
「うん、大丈夫。すっごく可愛いよ!」
「そ、そう?よかったぁ~。……ゆーちゃん、ありがとね」
「え?なにが?」
「ファッションの事とか、今日までたくさん相談に乗ってもらって」
「そんな……お姉ちゃんの恋のためだもん。私でよかったらいくらでも力になるよ!」
「ゆーちゃん……」
「そのかわり、今日のデート!どこ行ったとか、どんなコトしたとか、ちゃんと報告してね♪」
「んなっ!思わぬところから攻撃が……」
「えへへ~あ、お姉ちゃん、時間大丈夫?」
「ふぉっ!ちょっと急いだほうがいいかも!ゆーちゃん、ありがとね!」
「うん、いってらっしゃ~い。つかさ先輩と仲良くね~」

「ふぅ………こなたお姉ちゃん、いいなぁ~私も、みなみちゃんと……あれ?この綺麗な箱、もしかしてつかさ先輩への…………」



ゆーちゃんに見送られて、つかさとの待ち合わせの場所へ向かう。
結構時間に余裕はあったハズだが、服選びに手間取ったせいで結構ぎりぎりだ。
多分つかさは先にきてるんだろうな~
『ごめんね、待った?』『ううん、私も今来たとこ♪』
なんて恋人同士のデフォな会話に憧れなくもないけど遅刻はしたくない。
「はぁ…はぁ…」
駅の改札をぬけ、待ち合わせの噴水のある広場をみると、
「こなちゃ~ん!」
「ごめんつかさ!ちょっと遅れ……た……?」
とてとてと小動物のように駆け寄ってくるつかさに、私は言葉を失った。
「ううん、私も今来たところだから。ちょっと寝坊しちゃって遅刻したかと思ったけど、こなちゃんまだ来てなかったから………こなちゃん?」


「へ?あ………」
「どうしたの?ボーっとして…」
「あ…ううん。つかさ、その髪……」
「あ、気付いてくれた?ポニーテールだよ。去年みんなでやったよね~」
7月7日。七夕でありつかさとかがみの誕生日だけど、実はそれ以外にもいろんな記念日だったりする。
まずゆかたの日。
日本ゆかた連合会が1981(昭和56)年に制定した記念日で、七夕の日、女の子は色の附いた糸を結び、7本の針と瓜を供え、裁縫の上達を祈り、衣類に感謝していたという中国の故事に因んでいるとか。
そしてそれに便乗するように制定されたのがポニーテールの日。
日本ポニーテール協会が1995(平成7)年に制定した記念日で、ポニーテールが浴衣に似合うこと等から、だそうだ。
去年のこの日、つかさの家にお邪魔したときにかがみと三人でポニーテールにして遊んだけど、あのときつかさはショートながら可愛らしいポニーテールを披露してくれた。
そして今目の前にいるつかさの姿を見て、私の好きな人は、私が思っていたよりもずっとずっと可愛い女の子だったってことを思い知らされた。
つかさはピンタックデザインのチュニックに青のスキニーデニムを穿いていた。
チュニックのソフトピンクがインナーの白と相まって甘い雰囲気を醸し出し、胸元、裾にあしらったガーリーなレースがつかさの女の子らしさを引き立てている。
去年よりは少し伸びた髪をチュニックと同じ色のシュシュでまとめたポニーテールは、多分世界中のどの女の子よりも可愛らしい。
どうしよう…ドキドキがとまらない…つかさから目が離せない…
「こなちゃん?おーい」
「はぅっ!」
「どうしたの?」
「ご、ごめん…ちょっとボーっとしちゃって…つかさ、そのポニーテール可愛いね。服もよく似合ってるよ」
「えへへ~ありがと~こなちゃんと二人っきりで遊ぶから、ちょっと頑張ってみたんだよ」
頬を赤らめて照れるつかさに、私の胸は高鳴っていく一方だった。
わかりきっていた事だったけど、つかさは可愛い。
笑った顔も、怒った顔も、今みたいに照れた顔も、全部全部可愛い。
今みたいにファッションを整えるとその可愛さには魅了されてしまう。
それに比べて、私はどうなんだろう……
ファッションの勉強とか必死でやっても、結局は自分に自信がもてないでいる。
私の姿って他の人から見てどうなのかな?ヘンじゃ、ないよね?ゆーちゃんは大丈夫って言ってくれたけど…
「こなちゃん」
あ………
いけない、またボーっとしてたみたい。
「ごめん、つか……」
またも私の言葉はそこで止まってしまった。
つかさの憂いを帯びて潤んだ瞳が私の心を捕らえた。
つかさの瞳から目をそらすことができない。
「………ぁ………」
どうしよう……なんか、ヘンなスイッチが入っちゃったみたい……
どんどんつかさのことが好きになっていく……


つかさの瞳に吸い込まれて、帰ってこれなくなる…
「こなちゃん……」
つかさの顔がゆっくりと近づいて……
互いの吐息が感じられるくらいの距離になって……

コツン

私とつかさのおでこが触れ合った。
「ん……熱は、ないみたいだけど……こなちゃん、ひょっとして体調悪かった?…って、こなちゃん?!」
腰がくだけた私は、しばらくつかさに揺さぶられながらおでこに残った余韻を楽しむのだった。



「こなちゃん、もう大丈夫?」
「ん……なんとか……それに体調が悪いわけじゃないから」
「……本当に?」
「……うん」
私とつかさは噴水のそばにあるベンチに腰掛けて休憩をとっていた。
「ねえ、つかさ」
「なに?」
「つかさはさ、私のドコを好きになってくれたの?」
「こなちゃん?」
「つかさは可愛くて、将来の目標もキチンとあって、なんか…すごいなぁって、いつも思ってた」
「…………」
「私さ…オタクだし、勉強できないし、社交性ないし…ほんとダメダメでさ…私じゃつかさにつりあわないんじゃないかって…」
「こなちゃん」
ハッとしてつかさの顔を見ると、つかさには珍しく怒った顔をしていた。
「こなちゃん、それ以上私の好きな人を悪く言ったら、怒るよ」
「つ、つかさ……?」
「いい?こなちゃんは私が好になった人なの。世界で一番大好きで、ずっと一緒にいたい人なの。その人を悪く言うのはたとえこなちゃん本人でも許せないよ」
「ぁ………」
「こなちゃん…私ね、こなちゃんに受け取ってほしいものがあるんだ」
つかさはそう言うと、バッグのなかからきれいにラッピングされた箱を取り出した。
「こなちゃん、今日は何の日か知ってる?」
「?今日はつかさとかがみの誕生日で……」
「ぶっぶ~」
「??…七夕?」
「ぶっぶ~」
「???……ポニーテールの日……」
「残念。というか、全部正解なんだけど、私が言いたいのはね、今日はサマーバレンタインデーっていう記念日だってこと。


古くから『七夕』の伝説により夏の愛の日とされるこの日を、家族や恋人や友だちなどに愛情や友情、感謝の気持ちなどを伝えるためにスィーツを贈る日にと、株式会社メリーチョコレートカムパニーが提案した記念日なの」
「サマー……バレン、タイン……?」
「そう…だから、私が一番大好きな人にチョコレートを贈りたいの」
「ぁ……ぅ……」
「ああ~もう、泣かないでよこなちゃん」
「だって……だって……」
「もう、困ったこなちゃん」
「ぐすっ……」
「ふふっ。こなちゃんだって可愛いよ。その服、私の為に選んでくれたんでしょ?」
「あ……」
「私の為にお洋服の勉強いっぱいしてたよね。私、ちゃんと見てるんだよ」
「つかさ……」
「ね、こなちゃん。変わりたい…可愛くなりたい…って思うのは、もう変わり始めてる証拠なんだよ。無理しないで、ゆっくり…歩いていこうよ。一緒に…ね」
「……うん………うんっ!」
それから、つかさがくれたチョコレートを一緒に食べた。
義理や友チョコですら力を入れるつかさが作った本命チョコはとても美味しかった。
「自信作なんだ♪」と言って微笑んだつかさを見て思わずキスしてしまったことと、そのキスがすっごく甘かったのは二人だけの秘密だ。


(おしまい)



「ところでこなちゃん、私の誕生日プレゼントは?」
「え?あ…………」
「どうしたの?」
「ごめん、つかさ……家に忘れてきたみたい……」
「え?『私がプレゼント(ハート)』じゃないの?期待してたのに……」
「///」






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  • 5-939氏
    規制ご愁傷様です m(._.)m


    普段と違う、おにゃのこモードのこなた、良いですね〜
    オチも良い感じです〜


    GJ!! -- ナハト (2010-07-10 18:10:36)