dear -Section17「育ち始めた苗木」 Part.2


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。



dear -Section17「育ち始めた苗木」 Part.2


「『……ムダだから。それじゃ、サヨナラ』……ふむ、こんな感じかなぁ?」

みゆきさんに「置き手紙を書いておいた方が良いですよ」って言われたから書いたけど……こんなことをしてもムダなんじゃないかなぁ~
……特におとーさんが相手じゃ……ねぇ

『お姉ちゃん……ちょっといい?』

そんな事を考えていると、不意にドアがノックされてゆーちゃんの声が聞こえてきた。

「いいよ~、どーぞー」
『あ、あのね、ちょっと……居間まで来てもらいたいんだけど……』
「ん……?わかった~、ちょっと待ってて~」

机の中に手紙を仕舞い、ドアへと向かう。

……居間に何があるんだろ……お菓子でも作ったのかな?
なんて……まさかね



dear -Section17「育ち始めた苗木」 Part.2



「おまたへ~。……ぬぉぅっ!」
「えへへ~。どう?凄いでしょ~」

私を出迎えたのは、笑顔満開のゆーちゃんとガラスの大皿に乗っかっている直径約二十五センチのフルーツゼリー。
梅雨の終わりで蒸し暑い今日にピッタリのデザートだ。

「みかん、桃、パイナップル、マンゴー……随分と頑張ったね~」
「なんか急に作りたくなって、缶詰探したらいっぱいあったから……つい」
「いやいや、今日みたいな日にはこれくらいの方が丁度良いよ~」
「そぉ?良かった~。じゃぁ取り分けるからそこに座って~」

いそいそと椅子に座り、ゆーちゃんが取り分けたゼリーを掬って口に入れる。

「ん~!うまい!」
「本当に?果物多過ぎる感じはしない?」
「全くもってもーまんたいだよ~」
「じゃぁ私も……。うん!美味しい!!」
「ちょっ!『うん!』って!もしかして私毒味役!?てゆーかそんなに自信無かったの?」
「うん……。ほら、フルーツ入れすぎちゃったかな~って思ったから」
「あ~、確かにね~。ゼラチンが固まるかどうか心配になる時あるよね~」
「あ、お姉ちゃんでもそうなんだ」
「伊達にゆーちゃんよりも料理歴は長くないからねぇ。生のパイナップル使った時なんか悲惨でさぁ~」
「ゼラチンが固まらなくなっちゃうんだよね~」
「おとーさんが居ない間に作っておいて、デザートにサプライズで出そうと思ったんだけど見事に固まらなくってさぁ~」
「その時はどうしたの?」
「えーっと、悪戦苦闘している間におとーさんが帰ってきちゃって、そのあとは……どうしたんだっけなぁ?」
「そのままゼリー風スープとして飲んだんじゃなかったかな」

むぅ……

「あ、おじさんも食べますか?」
「そうだな……丁度区切りも良いし、頂くとしようか」
「じゃぁ取り分けますね~」

折角美味しく食べてたのに……



「それじゃ、頂きまーす。……うん!美味しい!!」
「本当ですか?」
「本当だよ、お世辞抜きで美味しいよ。な、こなたもそうだろ?」
「……うん……」
「……こなた?」
「……おとーさんが来なければ、もっと美味しかったんだけどね」
「ははは……こりゃ参ったなぁ」

目の前には一口だけ食べたゼリー。
残すのは非常に勿体ない。

「……私、自分の部屋で食べるね」
「ちょっと!お姉ちゃん!?」
「ゆーちゃん、ごめんね。私、おとーさんと一緒には食べたくないんだ」
「……俺も、随分と嫌われたもんだな……」

そんな事……当たり前じゃん……
心の中でそう呟いて立ち上がる。
と、ゆーちゃんが不意に声を上げた。

「お姉ちゃん、ちょっと待って!」
「……何?」
「……聞いてもらいたい事があるの」
「今?」
「うん」
「ここで?」
「そう。だから、取り敢えず、座って」
「う……うん」

ゆーちゃんの顔はまるで何かを決意したかのように真剣な表情だ。
流石にこんな顔をされちゃ、おとなしく従うしかない。

「……それで?」
「お姉ちゃん……今までずっと、おじさんを避けてたよね」
「そりゃぁ……まぁ……」
「……一度で良いから……おじさんの話を……聞いて……お願いだから」

ゆーちゃんは今にも泣き出しそうな顔で懇願してきた。
それに対する答えは一つしか見当たらない。

「……わかった。それじゃ……おとーさん、どんな話?」

私は一応おとーさんの方を向き、話を聞く体勢に入る。

……まぁ、大した内容じゃないだろうな~

私がそう思っていると、おとーさんはやおら椅子から立ち上がり床に正座した。
この体勢って……まさか!?

「こなた……スマン!!おとーさんが全部悪かった!!」

……え?
なんで……今頃?
しかも土下座までして……



「おとーさん……それは、私達が付き合うのに反対した事?」
「それともう一つ……つかさちゃんとかがみちゃんが休学した事についても……」
「ふーん。……で?それを聞いた私はどうすればいいのかなぁ?……泣けばいいの?それとも……怒ればいいの?」

おとーさんは黙ったままだ。
それが余計癪に障る。

「ねぇ、私は聞いてるんだけど。それとも今ので話はおしまい?なら部屋に戻ってもいいよね」
「あ、いや……その……聞いてほしい事が……」
「ん?何?聞いてほしい事?さっきの事について?なら私は聞く気は無いから」

私は突き放すようにそう言って立ち上がると、ゼリーを持って扉へと向かう。
すると小さな人影が扉の前に立ちはだかった。

「お姉ちゃん!おじさんの話……まだ終わってないよ!」
「ゆーちゃん、どいて。どーせ大した事無い話しなんだろうからさ、聞いても無駄な事は聞きたくないんだ、私」
「聞きもしないでなんでわかるの!?」
「な・ん・で・も。だからさ、そこどいてもらえるかな?」
「嫌!!」
「……と・お・し・て!」
「絶対に、嫌!!」
「なんで?」
「だって!おじさんの話しが終わってない!!」

ふぅ……強情だなぁ~

「じゃぁいいよ。おとーさんの部屋を通って出るから」

そう告げてゆーちゃんに背を向けようとしたその時
パチンという乾いた音とお皿の割れる高い音が部屋に響き
強い痛みと衝撃が私の頬を走った

「お姉ちゃん!!!なんで……なんで逃げようとするの!?」
「ゆー……ちゃん?」

ゆーちゃんは泣いていた。
泣きながら、私の頬を叩いたのだ。

「おじさん……おじさんが可哀相だよぉ……」
「かわい……そう?」
「グズッ……おじさん……ずっと……ヒック……なかなおり……したかったんだよ!!それ……なのに……」
「なか……なおり?私……と?」
「そうだよぉ……ずっと……ずっと……そう思ってたんだよ!それなのに……それなのに……ウワァァァァーン」
「ゆーちゃん……」

仲直り……?
おとーさん……が?
どう……して?

「こなた……ちょっと、見てもらいたい物があるんだ。……ゆーちゃん、アレは何処かな?」
「ヒクッ……グズッ……あ……ここ……です……」

ゆーちゃんは泣きながらもポケットから紙を取り出しておとーさんに渡した。
おとーさんはそれを拡げると裏返しのまま渡しに差し出した。

「……これを見たうえで、俺の話しを聞くかどうか、判断してくれ」



一体何が書いてあるんだろう……?
恐る恐る紙を表に返す。

……!!

「え……こ、これって……」

それは私がゆーちゃんに渡した『誓約書』だった。

私が作った『誓約書』
どうすれば私の本気が皆に伝わるか
何度も何度も練り直して作った……
私の分身とも言える物

「こなた……そこになんて書いてあるか読めるよな」

言われなくてもわかる
だって、私の瞳は、瞬きを忘れる程にそれを注視しているのだから


~・~・~・~・~・~・~

「誓約書」
私は、柊つかさと泉こなたが駆け落ちする事を認めると共に、部外者へ口外しないことを誓います。

署名 泉そうじろう

~・~・~・~・~・~・~


「あの……さ、ちょっと聞きたいんだけど」
「ん?」
「なんで……おとーさんの名前がこの紙に書いてあるの?てゆーかさ、いつどこで手に入れたの」
「昨日、ゆーちゃんからだ」
「それじゃ……ゆーちゃん」
「グスッ……何?」
「なんで……これを……おとーさんに渡したの」
「それは……一昨日の夜中に……おじさんの話し声を聞いたから……」
「話し声?おとーさん、誰と話していたの?」
「……かなたと話していたんだ」
「……はぁっ!?」

私は思わず目を点にしていた。
よりによっておかーさんと話していただなんて……
一体この人はどれだけ私を馬鹿にすれば気が済むのだろう?

「まぁ、信じられないよな。だが、事実なんだ」
「何を言ってるのさ!ふざけるのも大概にしてよ!!」
「お姉ちゃん、おじさんはふざけてなんかいないよ!だって、私聞いたんだもん!!」
「ゆーちゃん、それって本当におとーさんとおかーさんだったの?」
「あ、えと、私が聞いたのは『誰かと話しをしているとしか思えないおじさんの声』だから……かなたさんかどうかはわからないんだけど……」
「……やっぱり!ゆーちゃん騙されてるよ!!おとーさんの小芝居に引っ掛かったんだよ!!!」
「え……でも……私がたまたま喉が渇いて水を飲みに行った時に聞いたんだよ?」
「おとーさんの事だから、ゆーちゃんが戻ってくるタイミングでそんな事したんだよ!全く……なんでそんな事するのさ!!」
「い、いや!断じて嘘じゃない!誓ってもいい!!」
「じゃぁ証拠を見せてよ!!嘘じゃないって言うんだから証拠の一つくらいあるんでしょ!!」
「……証拠は……無い。だがな!」
「……もういいよ……そこまでして私達を引き裂きたいんでしょ、だからもうこの話しは終わりにしようよ。私の気持ちは変わらないんだから」
「こなた!!!」



私はおとーさんとの話しを切り上げ立ち上がり、ドアの方へと向かう。
今回ばかりはゆーちゃんも私を止める気は無いみたいだ。
「……それじゃ」

一言残しドアを開けようとしたその時、ガタンという音が室内に響いた。

「……今の音は何?」
「おじさんの部屋から……だよね」
「あぁ。だがそんな音を立てるようなモン無かっ……、……こなた、ちょっとこっち来て見てみろ」
「ぁん?なんでそんな事しなきゃいけないの?」
「いいから見るんだ!」

ちょっ、そんな大声ださなくても……
はぁ……やれやれ、じゃぁ見てみますかね……

「何を見ろっての?」
「……あそこだ」

おとーさんが指で示した場所を見ると、細く黒い物が転がっていた。
あれは……

「お……おかーさんの……位牌?」
「……あぁ」

おとーさんはゆっくりと近寄り、位牌を優しく拾い上げた。
でも……なんで?
誰も……触っていないのに……

「多分、かなたじゃないかな」

不思議そうにしている私を見て、おとーさんがそう告げた。

「おかーさん……が?」
「あぁ……俺の言った事は本当だって……言いたいんじゃないのかな……」

そう言って位牌を元に戻し、蝋燭を点けお線香を立てた。
その炎は風も無いのに大きく揺らぎ、煙りはまるで私を心配するかのように室内を舞っている。

「おかーさん……本当に、おかーさんなの?」

私が問い掛けると、室内に拡散していた煙りがゆっくりと私の周囲に集い、それは首から胸にかけて纏わり付いた。

まるで、後ろから抱きしめるかのように……

「おかーさん……おかーさん!……おかーさぁーん!!!」

気付けば私は立ち尽くしたまま泣いていた。
掴むことの出来ない煙りに手をかけ、そこにあるはずの無い温もりを求めて……。

「こなた……」

優しい声と一緒に、大きくて、暖かくて、安心できる温もりが私を包んだ。

「お……とー……さん?」
「このままで……かなたと何を話したか……聞いてもらえないか」
「……うん……」



おとーさんは一昨日の晩にあった事を淡々と話した
余計な感情を加えないよう、静かに、でも、はっきりと


「……というのが、俺が話したかった事だ。スマンな……突拍子もない話しで。……こなた?」
「ウゥッ……グズッ……」

私はどれだけ愚か者なんだろう
おとーさんはこんなにも心配してくれているのに
話しもろくに聞かず悪者に仕立てあげるなんて

「こなた……」
「お……グズッ……おとーさん……ごめ……ウグッ……ごめんなさい……」
「……もう良いんだよ、俺が悪かったんだから……こなたは悪くない……悪くないんだよ……」
「おとーさん……エグッ……おとーさぁぁーーーん!!!」
「よしよし……」

おとーさんの腕の中
私が一番好きな場所
ずっと……ずっと……
欲しかった……温もり……
悲しい時や辛いとき……私は必ずここにいた
こんな大切な場所を……自分勝手な理論で遠ざけるなんて

私は……本当に……愚か者だ


「……落ち着いたかい?」
「……うん……ありがと……おとーさん、ごめんね……」
「いや、さっきも言ったがこなたは全く悪くないよ、悪いのは俺の方なんだから」
「でも、でも、……私がもっとちゃんとおとーさんの話しを聞いてれば良かったんだし」
「だが、その原因を作ったのは俺なんだからさ」
「だけどさぁ……」
「はいはいはいはいはいはい、お姉ちゃんもおじさんもそれくらいにしておいたら?このままじゃ明日の朝になっちゃうよ」

話しが堂々巡りになりそうになったところで、ゆーちゃんが手を叩きながら私達の間に入ってくれた。
ふぅ……正直いつ退こうか迷っていたから有り難かったよ……

「あ、そ、そうだな、うん」
「そ、そだねー、うん」
「じゃぁ、仲直りの握手……じゃぁなんだからハグ……もさっきしちゃったねぇ……」
「そだねー」
「うーん……あ、そうだ!ちょっと待ってて、良いこと思い付いたから!」

良いこと……?
てゆーか別に何かをしなくてもいいんじゃないのかなぁ~
そんな事を考えていたら、ゆーちゃんが満面の笑みを浮かべて両手に何かを持ちながら近づいてきた。

「はい、一つずつどーぞ」
「……ゼリーを一緒に食べて仲直り……てな感じかな?」
「うーん……半分当たりです」
「半分……?」
「はい、半分です。正解は……『あーん』で仲直り、でーすっ♪」
「「ぬぁっっ!?」」

おぅ……思わずハモっちゃったよ……
てかそれなんて罰ゲーム!?



「さ、遠慮なくどーぞ♪」
「遠慮なくって言われてもさぁ……」
「ゆーちゃん、流石にこの歳になるとするのもされるのも小恥ずかしいんだけど……」
「そう言わずに……仲直りなんですから」

あうぅ……そんなキラキラした眼差しで見つめないでおくれよ……
はぁ……仕方ないなぁ……

「それじゃ……おとーさん、あーん」
「えぇっ!?本当にやるのかぁっ!?」
「だって……多分やらないとゆーちゃんが許してくれないよ?」
「そう……なのか?」
「はい♪勿論ですよっ♪……あ、そうそう。お互い同時でお願いしますね♪」
「……わかった。じゃぁ……こなた」
「「あーん……パクッ……」」
「……はい、よくできました~♪これで完璧に仲直りですねっ♪」
「「ソウデスネー」」
「ムッ……そんな言い方するんだったら、もう一回してもらいますよっ!」
「はぇっ!?あ、んと、うん!仲直りだよー!ねっ、おとーさんっ♪」
「あ、ああ!そうだとも!完璧に仲直りしたぞー!」
「……本当ですか?」
「うん!ホントホント」
「間違いない、俺が保証するよ」
「フフッ……それなら良かったです♪」
「ちょっとゆーちゃ~ん、目が笑ってないよぉ~」
「えぇ~?そんな事ないですよぉ~……クスッ」
「いやいや、俺が見てもそう思うぞ、うん」
「そんなぁ……おじさんまで……」
「フフフッ♪お返しだよん」
「ハハハッ、俺もこなたに同じくだぞ~」
「もぉ……プッ……」
「……エヘヘッ……」
「……ハハハッ……」
「「「アハハハハハハハ……」」」

……こんなに大声で笑いあうのも……久し振りだなぁ……
おとーさん、ゆーちゃん、ありがとう

……あと……おかーさん……
……仲直りの手助けをしてくれて……ありがとう……

私は部屋に残った煙りを見ながら心の中で呟いた
すると煙りはまるで意思を持っているかのように集まり、一瞬でその場から消えた

「……やっぱり、かなただったのかな……」
「うん、そうだよ。間違いないよ」
「お?随分と自信タップリだなぁ」
「ま~ね~」

だって……聞こえたんだもん
消える瞬間……
「いつでも私はこなたの味方だからね」
って言う小さな声が……



「ところで、だ」

ゼリーを食べながら久し振りの団欒を楽しんでいると、唐突におとーさんがそんな言葉を発した。

「細かいところまで聞いていないからわからんのだが……『計画』では一体何時頃に停電が起こるんだ?」
「えっと、午後九時丁度ですよ」
「そして、停電が起きたら……」
「私が混乱に乗じて家を抜け出し、外の通りで待ってるみゆきさん達と合流して、つかさとの待ち合わせ場所まで行く……って流れだね~」
「成る程……えっと、今は……まだ三時半か……」

そう言ったきりおとーさんは考え込んでしまった。
ん~、説明どこかおかしかったかなぁ~

「こなた」
「な~に?」
「……今から、高良さんに連絡してもらえないか?……家に来てほしいと」
「おっけ~。……って!えぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!!」
「お、おじさん……本気、ですか?」
「あぁ、本気だとも。……二人共、よく考えてみな?もし俺が知っている事を伏せたまま『計画』を実行したら……どうなると思う?」
「どうって……」
「特に何も変わらないと思うんですけど……」
「最初は、な。だがもし、後々何かの拍子にこの事を知ったら……」

あ……そうか……

「……皆さんとの関係が……」
「……完全に壊れる……」
「その通りだ。だからな、俺は先に全てを知らせておいた方が良いと思うんだ」
「……うん、わかった。じゃぁ……電話するね」

とは言え……どうやって伝えよう?
『おとーさんに知られた』……いやいや、これはまずい
『おとーさんが呼んでる』……これも、なんか違うなぁ~
私が電話を前に思案していると突然おとーさんに声をかけられた。

「こなた」
「な、何?」
「高良さんには『おとーさんが謝りたいって言っている』と伝えてくれ」
「ほぇっ!?あ、謝る?どうして?」
「……親として、お前にできる最後の『けじめ』として……かな」
「『けじめ』?」
「あぁ、そうだ。ほれ、早くしないと時間が無くなるぞ」
「あ、うん。じゃぁ……そう伝えるよ?」
「頼んだぞ」

私は意を決して電話に手を伸ばし、みゆきさんの番号を選んで外線ボタンを押す。
受話器の向こうからコール音が数回聞こえ、次いでみゆきさんの声が聞こえた。

『はい、高良です』
「あ、みゆきさん……ちょっと良い?」
『あぁ、泉さん。どうかされました?』
「あのね……」


続く!!







コメントフォーム

名前:
コメント: