きっかけをくれた手


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『きっかけをくれた手』

「お父さーん、早くー」
「こなた~・・・まあ待てって、そんなに急ぐことは・・・」
「早くしないと見たいアニメ始めるじゃん!」
「予約してるんだから別にいいだろうに・・・」
「リアルタイムで1回見る、その後ビデオでもう1回見る!これが基本でしょ!」



今年もこの日がやってきた
お盆にももちろん来るけど、やはり命日・・・という特別な日にも来るべきだと私は思っている


今日は私のお母さんの命日だ

私にはお母さんと過ごしていた記憶はない
だってお母さんは私を生んですぐに死んでしまったのだから・・・
だからといってお母さんがどうでもいいわけじゃない
その証拠にこうやって毎年命日には来ているんだから

「お父さん遅いー」
「お前が早いんだろ・・・まったく誰に似てそんなに運動神経良くなったんだか・・・」
「お墓参り来るのに運動神経なんて関係ないでしょうが」
「いや、ほら俺はあまり外に出ないから・・・」

嘘ばっかり
私は知っているんだから

日にちはバラバラだけど毎月ここに来ている事を・・・
悟られない様にでもしてるつもりかな?残念だけどバレバレだけどね

「それじゃあとっとと済ませるか~」
「んー。お父さんは水かけて、それから線香用意しておいて。私はお供え物と花交換するからさ」
「おー」


・・・お参りをしている間って何を考えていればいいのか私にはいまいち分からなかった
なのでつかさに聞いてみた事があったな~・・・
答えはいたってつかさらしく『死んだ人の事を想えばいいんじゃないかな?』と返ってきた
だから私も今つかさの言うとおりにしてみる・・・会った事はないけど



「それじゃあ俺は寺の人とちょっと話してくるから」
「お~」
「こなた、暇だろうし先に車に戻っててもいいぞ?」
「いいよ。ここで待ってる」
「じゃあ終わったらメールするから戻って来いよー!」
「分かったよー」

そういうとお父さんはそそくさと行った
いつも何を話しているのか分からないけど別に興味はない
そしてお父さんがいつも通りお寺の人の所に行ったので
私も『いつもしている事』を始めた


「それでねゆーちゃんたらね・・・」

いつもしている事・・・それは私の近況報告
学校であった事・・・家で起きた事・・・最近のアニメ・・・はお母さん興味ないから言ってないけど
とにかく、そういった日常の出来事をいつも話している

だけど今日はいつもよりとても話したかった事もあった

「・・・で久々に中学の卒業アルバム見たんだ」
きっかけはつかさが見てみたいと言ったから。ただそれだけ
・・・これもそうだ

「それでさ、気づいたんだ」
あの時の私に、中学の頃の私の顔に

「何て酷い顔してるんだろって思ったよー」
世の中なんてくだらない、友達なんて必要ないなんて顔をしていた私に

「あんな顔じゃ友達も出来るわけないよね」
類友はいたけど、友達はいなくて孤独だった私に

「でも」
今は違う
私の周りには沢山の人がいる

「かがみは私の話に呆れながらもよく聞いてくれるしからかうととても面白いんだよ」
かがみは親友だと思う。多分かがみもそう思ってくれてるんじゃないかな

「みゆきさんはね、私の知らない事なんでも知ってるんだよ」
みゆきさんももちろん親友。こんなに完璧超人と仲良くなれたのは凄いと思う

「最近じゃみさきちと峰岸さんって人とも仲良くなってさー」
かがみからの紹介で仲良くなったんだよ。みさきちもからかうには最適な人種だし
峰岸さんもとても優しくて良い人

「それにゆーちゃんも陵桜学園に入ってきたんだよ」
従妹のゆーちゃんにはお母さん会った事ないけどいっつも話してたから分かるよね

「そのゆーちゃんからみなみちゃん、ひよりん、パティとも仲良くなってさ~」
みなみちゃんはとってもしっかりしているからゆーちゃんを安心して任せられてる
ひよりんとパティは同じオタク仲間として馬がとても合う

だけど

「中学の頃とは比べ物にもならないくらい充実しているんだよー」

こんな充実した毎日を過ごせるのは

「この人達がいなかったら私引きこもってたかもね~」

こんなに充実した毎日をくれたのは

「今言った人皆大事だよ?だけどさ・・・私気づいたんだ・・・」

一番大切な存在に


「こんなに充実した毎日を過ごせるのはさ~」

すべてはあの時の

「つかさのおかげなんだってさ」


そうあの時のつかさとの出会いがなければかがみやみさきち達はもちろん
同じクラスであるみゆきさんとも仲良くはなってなかったと思う

そうなったらあまり人前で話さない『中学の頃私のまま』の私がみなみちゃん達と仲良くなれたとも思えない

「前に私お母さんに言ったよね~。かがみと話している時が一番楽しい・・・一番の親友かなってさ」

去年のお盆くらいだっけかな?そう言ったの

「確かにかがみと話しているのは楽しいよ。でも一番じゃないと思うんだ」

かがみとはよく話すし、オタク入ってるから気も合う
だから一番だと思ってた

「だからあれはなしで」
なしで・・・っていうのもおかしいな。とにかく一番ではないって事で


「だってそうでしょ?いくら助けたといっても話なんか全然合わないんだよ?私達」
趣味もまるっきり合わないし・・・まるでお父さんとお母さんみたいだよ

「だけどつかさといると何か知らないけど楽しいんだよね」

皆と仲良くしてくれた『きっかけ』

私の心を明るくしてくれた『きっかけ』

今この時を過ごせるようになった『きっかけ』

さらにはこの事実に気づかせてくれた『きっかけ』

・・・元を正せばその先にはいつもつかさがいる


「だからさ、今度こそはっきりと言うよ」
つかさもかがみもみゆきさんも親友には違いない
これは間違いない

だけどその親友の中でもつかさは



つかさは特別なんだと気づいた

「つかさは私の一番大事な親友なの」


「今日はこれが伝えたかったの。だから急いで来たんだよー」
少しでも早く誤解を解きたかったし・・・誤解って言い方も変な気がするな

「今度からは私の一番の親友は『かがみ』じゃなくて『つかさ』だからね!」
そう言いながら私はお母さんが眠るお墓をなでた

「ふぅ・・・言いたい事言ったらすっきりしたなー」
と同時にタイミングを見計らったかの如くお父さんからメールが来た

「む・・・もう終わったのか・・・いつもより早いなー」
いつもならもう10分は遅いのに
アニメの事で急かしたからかな?あれはただの嘘なのに・・・
まあいっか

「それじゃあお母さん、そろそろ行くねー。次はお盆に来ると思うから」

そういって私はお墓から離れて車へと向かった


『・・・じゃあこんなに明るくなったこなたをくれたつかさちゃんをこれからも大事にしてあげなさいね・・・
もちろん他のお友達もよ?じゃないと・・・怒るからね』


「え?」

誰かの声がした気がしたので後ろを振り向いた
だけどそこには誰もいなかった

もしかして

「お母・・・さん?」

どことなく懐かしくて優しそうな声・・・


・・・そっか・・・ちゃんと私の声が届いてたのか

「もちろんだよ!誰がなんといおうと私の一番の親友はつかさ!これは絶対に変わらないよ!」

そういって私はお墓に手を振ってお父さんの待つ車へと走っていった

今の『私』のすべての『きっかけ』をくれたつかさを大事にするよ・・・
そうお母さんに誓って私は桜が舞い散る道を走っていった







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