特別な日


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『特別な日』

『こういう誰もが特別って思える日に告白したり想いが通じ合えたら素敵だなって思うもん』

私は何時の頃か覚えていないけど
この時期が近づくといつもこんな事を考えていた
そんな事が想える人に出会えたらいいなってずっとずっと考えていた
それがどんな人か、どこに住んでるのか、どんな事をしている人か分からない
けど運命の赤い糸がきっと導いてくれるはずだよね



「あれ~?つかさまだ起きてたんだ?」
「あ、まつりお姉ちゃん。お姉ちゃんこそどしたの?」
後ろから声が聞こえてきたから誰なんだろ?と振り向くとそこにはまつりお姉ちゃんが立っていた
まつりお姉ちゃんは私に話しかけながら冷蔵庫へと歩いていった

「喉渇いたからジュースでも飲もうかなって思ってさー。つかさは?何しているの?」
ガチャ、と冷蔵庫の空く音がした
ひんやりとした空気がこっちに流れてきた
冬だからかな?いつもより少し冷たい気がした
まつりお姉ちゃんは中からオレンジジュースを取り出すと勢いよくバタン!と閉めてこっちに来た

「おぉチョコ作ってるの?」
「うん。今年もちゃんとお姉ちゃん達の分もあるよ」
「本当?つかさの作るチョコって美味しいから毎年楽しみなんだよね~」
コップを取り出してジュースを汲んでそのまま一気にグイっと飲み干した

「まつりお姉ちゃんは誰かにあげないの?良かったら一緒に作る?」
「いいよめんどいし、それにどうせ作ってもあげる相手なんかいないしさ。それより私のはでっかめでお願いね」
「アハハ・・・なるべくそうするね」
「じゃあ頼んだよー・・・ん?」          ・・
まつりお姉ちゃんが私の手元に視線を落として私のこれに気付いたみたいで私は慌てて隠した
でも遅かったみたいでまつりお姉ちゃんがニィっと笑って私の方を見た

「つかさー、今の何?」
「え、ち、違うんだよ!これは」
「いいっていいって、つかさもお年頃だもんねー」
「本当に違うんだって!」
「隠さなくてもいいじゃん、相手は?同じクラスの子?」
「あ~も~お姉ちゃんあっち行ってよ~」
「ハイハイ。そんじゃつかさが成功するように祈っててあげるよ~」
手だけを入り口から出して『バイバイ』と言った感じで振って行った

「も~・・・」
『本当に違うんだって』知られたくないからって咄嗟に出た言葉・・・
『あの人』に知られるわけでもないけど・・・自分で出した言葉に少し落ち込んでしまった

「・・・バカ・・・」

それがまつりお姉ちゃんに対してなのか、それとも自分に対してなのか
誰に対しての言葉なのか分からないまま静かな台所に響いた


あの後にかがみお姉ちゃんも来て一緒に作った
お姉ちゃんに言われるままあんな事書いちゃったけど・・・よく考えると凄く恥ずかしい・・・
出来れば人に見られたくないから・・・でも早くあげたいし

「――かさ?つかさ聞いてる?」
「ふえ!?」
いつ渡そうか悩んでてお姉ちゃんが私に話しかけているのに気づかなかった
そんな私の顔を覗き込むお姉ちゃんに思わず驚いちゃった

「どうしたの?いつになくボーっとしてるけど」
「ううん、何でもないの!・・・所でお姉ちゃん何か言ってた?」
「やっぱり聞いてなかったか・・・あんた昨日こなたの分のチョコ持ってきた?」
―――ギク

「ちゃ・・・ちゃんとあるよ?何で?」
「あるならいいけど・・・心配しなくてもこなたなら喜んで受け取るわよ、それ」
キシシと笑いながらこんな事を言った

「もう~からかわないでよ~?」
「はいはい分かりましたよー・・・あ」
「どしたの?お姉ちゃ」
―ドクン
お姉ちゃんが前に向かって走り出した

――ドクン
私はお姉ちゃんを目線で追った。その先には

―――ドクンドクン
地面に着きそうなぐらいの長い髪、ちょんと頭に立っている寝癖のようなアホ毛
長い髪とは対照的に小さめの体、そして振り向くと目元には特徴的なホクロとネコのような口


こなちゃんだ―――!

「おはようーかがみ~」
「あんたにしては珍しいわね?こんなに早いなんて」
「私だってたまには早起きするよ?つーかさ、かがみこそ何でこんなに早いの?・・・あ」
こなちゃんがこちらに目を向けて、私に気づいたらしくこっちに歩いてきた

「つかさ、おはよ」
「あ・・・お、おはようこなちゃん」
こなちゃんに聞こえちゃうんじゃないかってぐらい心臓がバクバク言ってる
落ち着いて・・・大丈夫だから・・・


う~・・・ダメだ~・・・全然落ち着かないよ~
やっぱり去年みたいにうまく渡せなさそうだよ・・・え~い、こうなったらやぶれかぶれだー!

「こなちゃんこれ!」
私はカバンからこなちゃんに上げるチョコを取り出してこなちゃんに差し出した

「おぉ・・・今年もずいぶんビックですな~」
「う・・・うん、頑張って作ったんだ・・・」
「中身見てみていい?」
「え?も、もちろんいいよ」
「やたー!どれどれ~」
こなちゃんがチョコの入った箱を開けた


中には巨大なハート型の白いチョコに黒いチョコペンで『ハッピーバレンタイン愛するこなちゃんへ』って書いてあるのが・・・

「お~・・・」
それをこなちゃんがマジマジと見ている

「えと、それは・・・私はハッピーバレンタインってだけ書こうかなって思ったんだけど」
「嬉しい!」
「・・・え?」
「つかさがこんな事書いてくれるなんて思ってなかったからさ!すっごい嬉しいよ!」
チョコの箱を頭の上に抱えたまま「ヤッター!」と大ハシャギするこなちゃんにあっけに取られているとお姉ちゃんが来た

「だから言ったでしょ?あいつなら喜ぶってさ?普通の人が少し引く・・・ていうのは変だけどそれぐらいのがあいつは喜ぶのあんたが一番知ってるでしょ?」
「え・・・そうだけど・・・」
「それなのにあんたは遠慮するんだから、バカよね~」
ほらバカ2号いつまでもはしゃいでんじゃないわよと言いながらお姉ちゃんはこなちゃんにチョップを入れて止めた
別にチョップは入れなくてもよかった様な・・・

「えー、だって嬉しいんだもん。この喜びはイスカンダルまで届く勢いなのだよかがみん」
「・・・どこだよ。イスカンダルって・・・」
「椅子噛んだタル?」
「椅子を噛んでるタルじゃないからね?つかさ」
「え?そんな事考えてないよ~」
・・・本当は少し想像しかけていたけどそれは内緒にしておこ

「つーかいつまでも出してないでさっさとそのチョコしまえよ」
「え~・・・もう少し見てたかったのに・・・そうそうつかさ」
「何こなちゃん?」
私の名前を呼ぶとカバンから箱を取り出して私に渡してくれた

「これって・・・」
「今年はつかさからだけじゃないよ?私からもチョコを上げる!」
「あ・・・開けてみても・・・いいかな?」
「ん~?もちろんだよ!どうぞ、つかさ」
私は丁寧にリボンを解いて箱の蓋を開けた
そこには私と同じハート型だけど、チョコの色は黒くて、文字も書いてなかったけど
脇の方にメッセージカードが入っていて、そこには『私の想いをチョコに込めてつかさにプレゼント』と書いてあった

「おー・・・あんたにしちゃ上出来じゃない。手作り?」
「もちろん!愛するつかさに上げる物を市販の物にするはずないじゃーん!」
「・・・私には?」
「ん?ないよ?」
「お前な~」
「ウソウソそんな怖い顔しないでよ~。みゆきさんとかがみの分もちゃんとあるよ。ハイ」
「って私とみゆきのは市販かよ!」
「だってゆーちゃんも使ってたし時間もなかったから一つしか作れなかったんだもん」
「・・・嬉しい」
他の人とも交換とかしてたことはあるけど・・・こんなに嬉しい気持ちになったのは初めてだった
私は箱ごとそのチョコをギュっと抱きしめた

「お・・・うん・・・そんなに喜んでもらえると・・・私も嬉しいよ」
「お?珍しく照れてるの?」
「そ、そんなことないもん!」
「皆さんお揃いで今日はお早いですね」
「あ、みゆきさーん!おはよー」
「おー、おはよー。聞いてよみゆき、こなたったらね」
「あらあら?そうなんですか?泉さんも中々隅に置けませんね」
「ちょ、みゆきさんまで!?別にそんなんじゃ――――――」

その日の放課後、私たちはお互いのチョコを机に並べながら食べていた
ゆきちゃんとお姉ちゃんは私たちに遠慮してなのか先に帰って、今教室には私たちしかいない

「つかさのチョコって本当においしいね~」
「こなちゃんのだってとってもおいしいよ」
「ふふーん、なんてったって特製の隠し味入れたからね」
「え?どんなの?」
「それはね」
よっとと言いながら椅子から立ち私の耳元で囁いた

「・・・つかさへの愛」
「!?」
「あ~、つかさきったなーい」
「だってこなちゃんが~」
思わず口に入れていたチョコを噴出しそうになった

「あはは、でもね?これは冗談でも何でもなくて、本当だからね?」
「・・・私だってそうだよ?」
「オォ?つかさも言うようになったね~」
「も~子供扱いしないでよ~」

お互いのチョコも食べ終わり
夕暮れ色に染まる教室で私たちは夕日が沈むのをただじっと見ていた


「・・・ねぇこなちゃん」
「ん?」
「この教室でこうしていられるのも後半月なんだよね」
「そうだね~・・・もうすぐ卒業だもんね」
「・・・こなちゃんは大学に行くんだよね?」
「まあね~。つかさはお料理の専門学校でしょ?」
「うん・・・別々になっちゃうよね」
「だね。そしたら今までみたいにあまり一緒にいられないね」
こなちゃんの顔にはあまり寂しいと言ったような表情は見えなかった
寂しいのは私だけなのかな・・・少しショックだな・・・

「・・・色々あったよね」
「だね~。お花見行ったり、海行ったり」
「花火大会も行ったよね?それから盆踊りにも」
「クリスマスパーティもしたよね?後コミケとかもね」
「こ・・・こみけ・・・」
「やっぱりまだトラウマだった?何となく知ってて言っちゃった。ゴメン」
「う・・・うん大丈夫」
「それからつかさの神社にも毎年行ったな~。正月に神社行ったのなんて久々だったんだよ?」
「そうなんだー」
「一昨年と去年はただ友達に会いに行くって感じだったけどね」
「・・・?今年は?」
「今年?・・・今年はね」
顔を窓に向けていたのを私の方へと向けるとそっと口を開いた

「・・・大好きな人に会いに行ったんだよ?」
「大好きな・・・」
夕日の光のせいかな?
・・・そこにはいつものこなちゃんじゃなくて、とても大人びて見えるこなちゃんがいた


「そ、私の大好きな・・・一番大切なつかさにね」
「こなちゃん・・・」
「さっき卒業しちゃったら今までみたいにはいられない・・・って言ったけど」
「え?」
「確かに離れ離れになっちゃうけど、心はいつでもつかさの傍にいるよ?」
「こなちゃ・・・」
「だから・・・寂しがる必要はないよ?・・・今までも、これからもずっと傍にいるから」







「何も殴る事はないのに・・・」
「アハハ・・・でも下校時間過ぎてもいた私たちも悪いんだし」
「でもさ、あんなに良い雰囲気だったら普通遠慮するでしょ!先生にはそういう空気読めないからいつまでも結婚できないんだよね!」
もうすぐキスする・・・ところまで行こうとしていた時に黒井先生がやってきて
「下校時間とっくに過ぎてるのに何してんや!さっさと帰れ!」と私たちの頭をゲンコツした

「あ~あ・・・もうすぐでつかさとキス出来たのに」
「こなちゃんそんなにキスしたいの?」
「そりゃしたいよ~?つかさはしたくない―――」
口をアヒルのようにしているこなちゃんの顔を私の方に向けてキスをした
私がこんな事するなんて思っていないみたいでこなちゃんの顔が真っ赤になった

「つ・・・つかささん!?」
「エヘヘ、これでどう?」
「どうって・・・」
「少し恥ずかしかったけど・・・私の不安な気持ち消してくれたお礼」
「え・・・?どういうこと?」
「ん・・・こっちの話!ほらバス来ちゃうから早くいこ?」
「つかさ―――」


私は真っ赤になっているこなちゃんの手を取り、走り出した
例え離れ離れになっても、どんなに会えなくても、こなちゃんとなら耐えられる気がする

だけど

「これからもよろしくね!こなちゃん?」
「・・・もちろんだよ!つかさ」


離れる前に
 もう少しだけ
  甘えさせてね?


こなちゃん・・・



「あ、でも離れ離れって言っても私とつかさの学校結構近いから会う気になれば毎日でも会えるよ?」
「え!?そうなの!?」
「驚かせようと思って内緒にしてたんだけどね」







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