「ふはははは!! 30万tのバナナがあれば、完成するぞ!」
#一瞬の間。
「ナスカの地上絵が!!!!」
#仮面の男の高笑い。すぐに消え、別シーンの主人公に切り替わり。
「たくさんだ――バナナはもうたくさんなんだ!!」
#黒背景に<プロジェクト・ナスカ>の文字。
それが消えると今度は白抜きのロゴが徐々にフェードしてくる。
『冬のナスカ』
#白抜き文字に縁がつき、背景は雪に変わる。
「トオルー!!」
「ノリコー!!」
#炎上する倉庫の中で、互いに叫びあう主人公とヒロイン。シーン切り替え。
#恋人が拉致された。失意に陥るヒロイン。
#しかしさらに事件は続く!!
「スナオがタンカーで自爆した!!?」
「タンカーの中身は……バナナだ」
「この国に輸送されるはずのバナナは30万t、」
「ちょっと、待って。それじゃあ」
「ああ、既に26万7000tが」
#戦慄する主人公チーム。
26万7000tのバナナの行方を追え!
#激しいカーチェイス。
#迫り来る敵艦隊。戦闘機!
#飛ぶ、ダットサン! その天井で銃を撃つヒロイン。
拉致された恋人トオルの運命は!!?
#保税倉庫の俯瞰が透けて地下の隠し倉庫が表れる図。
「バナナは使わせないわ。3万3000tのバナナと共に自爆したスナオの為にも」
総制作費50億! 感動の大スペクタクル!!
#3万t3000のバナナを積んだタンカーが真っ二つに割れて沈んでいく。
「スナオは無駄死にだった!」
#叫ぶ、ヒロインの恋人にしてバナナの開発者トオル。
「いいえ、無駄ではないわ。」
#笑うヒロイン
「スナオの意思が、あなたを止めるのだから、
スナオの見た明日があなたを止めるのよ!!」
ワイヤー無し!! 早回し無し!!!
もちろん、スタントマン無し!!!!
#敵のパワードスーツが投げるコンテナに張り付き、跳躍するヒロインのカット。
「裏切るのか、組織を!!」
#ヒロインたちを取り囲む黒服の魔の手
「バナナは使わせない! たとえ、ナスカの地上絵を作る前に死のうと。
明日死ぬことになろうと、未来をめざして今日を生きてやる!!」
「バナナは放棄する!! あれは悲しい力なんだ!!!!」
奇跡の復活!!
#パワードスーツ姿で倉庫に突っ込むスナオ。
「スナオ! 生きてたのか!!」
「馬鹿な、深海のタンカーの中!! 丸一ヶ月もどうやって!!」
「食べたのさ! バナナをな!!」
#爆発!!
ナスカが描く愛の地上図!!
#炎の中、ノリコに微笑むトオル
「50年後のこの国の空から、地上を見てくれ。そこにナスカの地上絵があれば。
――それが、俺だ!!」
「トオルー!!!!!!!」
#暗転
興行成績5週間売り上げ連続1位(記録更新)
豪華スタッフによる、超感動スペクタクル巨編!!
ナスカ4部作、最終章!!!
『冬のナスカ』~雪・バナナ、そして地上絵~
~好評レンタル中~
#ナスカの地上絵の鳥瞰から、あおりで航空機が映る。
#そして、その窓で微笑む女性の姿――フェードアウト。
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作品解説:『冬のナスカ』
ナスカ四部作の最終章。
監督は大久保賢治。ナスプロ作品としては初の外部より招いた監督である。
そのためか、ナスカシリーズ4作中異色のアクション有り・サスペンス有りのスピーディかつ娯楽性の高い作品となっている。
内容丸わかりのトレーラーからも、本作がストーリーよりもエンターテインメントを重視したものであるというスタッフの強気な姿勢が見て取れる。
ヒロイン役の大菜佳子は本作で初めてアクションに挑戦した。
興行成績的には前作の秋のナスカに及ばなかったものの、ナスカシリーズファンには概ね好評だった。
ただし、人気が海外にまで飛び火し空前のブームとなった――いわゆる「秋ナス現象」から入ったファンの間では評価が真っ二つに割れている。
この作品を機にして大舞台へと羽ばたいた役者は多い。
中でも海上のタンカー内で死闘を繰り広げたスナオ役の俳優は一躍名声を得ることとなる。
壮絶な自爆によって3万3000tのバナナと海に沈むスナオ。
後に奇跡の復活を果たし、トオルとともに敵国際シンジケートを壊滅に追い込む彼の姿は、老若男女問わず多くの人気を獲得した。
そして、スナオを主人公としたナスカシリーズでは異例のスピンアウト作「バナナよ海に沈め」が発表される。
余談だが、作中に登場するバナナは実際にも食された例がある。
人体にはほぼ無害で、食べると甘い。
バナナを構成する成分の中に甘味を感じさせる成分があるとのことである。
「バナナよ海に沈め」の試写会で、実際にスナオ役の大菜妹人氏がバナナの粉末を試食をしたエピソードがよく知られている。
また、バナナは劇中に実際に登場するナスカの地上絵(なんと荒野を借り切って本当に作った)の作成にも使われた。
嘘か誠か、その使用量はジャスト26万7000tだったという。
これには作品のテーマと矛盾すると一部で反発の声も上がったが、バナナは劇中のようなテロリズム的なものではなく、きちんとした資格を持つものの作業のもと平和的に使用されている。
文句を言うのは野暮というものだろう。
(はる@玄霧藩国)
最終更新:2008年05月21日 20:47