文藝春秋「諸君」2008年9月号

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#contents ---- *文藝春秋「諸君」2008年9月号P262〜267 佐々木俊尚 ネット論壇時評より一部引用 **毎日新聞低俗記事配信で抗議殺到 ***顔の見えない敵ネット・ゲリラに新聞は為す術もない 【変態報道】毎日社員「騒動の背後に読売新聞がいる」、顔の見えない敵に新聞は為す術なく見える相手を探した結果か…雑誌・諸君 http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1217857005/1-6 1 :ぽこたん( ・∀・ )φ ★:2008/08/04(月) 22:36:45 ID:???0 文藝春秋「諸君」2008年9月号P262〜267 佐々木俊尚 ネット論壇時評より一部引用 http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/index.htm 毎日新聞低俗記事配信で抗議殺到 顔の見えない敵ネット・ゲリラに新聞は為す術もない 2001年にニューヨークの世界貿易センタービルを崩壊させたテロリスト集団、アルカイーダは頭部の存在しない アメーバのような組織である。もともとは首謀者のオサマ・ビンラディンが豊富な資金力にものを言わせてこの組織を立ち上げ、 90年代後半にアフガニスタンを制圧していたタリバン勢力に庇護されることによって、同国内で訓練を行う軍事力として成長した。 だが、同時多発テロを引き起こして以降、米軍の攻撃を受けて組織体としてのアルカイーダは崩壊している。 しかし、アルカイーダは、今もしぶとく生き残っている。ビンラディンをリーダーとするピラミッド型の組織は存在していないが、 組織は細かく分裂し、それら分裂した小さな組織と小さな組織が、インターネットや携帯電話でコミュニケーションを取り合うことによって有機的にテロ活動を行うようになった。 戦前戦後の一時期、日本共産党は末端組織を「細胞」と呼んだ。1951年に開かれた4全協(第4回全国協議会)で採択された党規約草案には、次のように記されている。 「党の基本組織は細胞である。細胞は党員3名以上によって組織され、その指導部をもつ。全党員は原則として、いずれかの細胞に所属する」 アルカイーダはこの共産党細胞と似たような構造を持っているが、本質的な差異がひとつある。共産党細胞が中央委員会という頭脳の命令を受けて、 一糸乱れず従う身体の1部分となっていたのに対し、アルカイーダはひとつひとつの組織が独立して活動を行っている。 ある種のアメーバのような単細胞生命体になっており、いくつかの組織を破壊しても、残りの組織は何ごともなかったように生き続ける。 (中略) こうしたアメーバ組織が次々生まれ、これらの組織があちこちで同時多発的に戦争を仕掛けていく状態−それは軍事分野では「非対称戦争」と呼んでいる。 古くはベトナム戦争がそうだったし、現在進行中のイラク戦争もそうだ。小規模なゲリラが、米軍のような強大な組織を相手に神出鬼没のテロを仕掛け、かく乱し続けるのだ。 >>2-10辺りに続く 2 :ぽこたん( ・∀・ )φ ★:2008/08/04(月) 22:37:07 ID:???0 そして、この非対称戦争は、何も物理的な戦争の中だけで起きる現象ではなくなってきている。たとえば端的な例が、インターネットにおける非対称戦争だ。 マスメディアと個人の言論がフラットになってきているインターネットの世界においては、個人の発言力は今までにないほどエンパワーされており、この力がいまや 2ちゃんねるやブログ、SNSなどのメディアを媒介にしてゲリラ化し、マスメディアや大企業をかく乱させることが可能になってきたのだ。 2008年夏、そのことを象徴する事件が起きた。 毎日新聞とインターネットの間で勃発した紛争である。きっかけとなったのは毎日新聞の海外向け英語サイト「毎日デイリーニューズ」で 「ファーストフードで女子高生が性的狂乱状態」「六本木では獣姦した豚を料理として出している」「息子の成績を上げるために、勉強前に性的な関係を持つ母親がいる」 といった低俗な内容の記事が過去5年間の間に大量に配信されていたのが発覚したことだった。 (中略) 2ちゃんねるでは過去に例を見ないほどに書き込みが集中し、1週間も経たないうちにスレッド数は230を突破した。 ひとつのスレッドには約1000の書き込みが可能だから、書き込み総数は23万を超えたことになる。リアルの抗議行動に走る人も現れた。 毎日新聞のウェブサイトに広告を出している企業に電話をかけて抗議が行われ、職場や街角などで配るためのチラシも作成され、ネット上にばらまかれた。 (中略) さらには、東京・竹橋の毎日新聞本社前では保守系の政治団体が主導してデモも行われた。 こうした動きに対し、毎日側は6月20日、記事配信の事実を認めたうえで、当時の担当だった朝比奈豊常務を役員報酬10%1ヶ月返上、 担当のオーストラリア人記者を懲戒休職3ヶ月とするなどの処分を発表した。 だが、この発表文の中で「インターネット上には、今回の処分とは全く関係のない複数の女性記者、社員個人の人格を著しく 誹謗・中傷する映像や書き込みが相次いでいる。毎日新聞はこうした名誉を棄損するなど明らかな違法行為に対しては、法的措置を取る方針でいる」 と記したことから毎日批判はさらに激化。担当の朝比奈常務が6月、社長に昇格していたことなども炎上をさらに煽る結果となり、 抗議運動はますます燃えさかる結果となったのである。 (中略) 続く ***ネットをあなどる新聞社の愚 5 :ぽこたん( ・∀・ )φ ★:2008/08/04(月) 22:37:24 ID:???0 ネットをあなどる新聞社の愚 新聞社の主な収益源は新聞紙の販売益と広告益である。アメリカの新聞社ではこの比率が「販売2:広告8」といわれているが、 日本の新聞社の場合「販売5:広告5」となっている。さらに、毎日新聞に至っては、朝日や読売と比較してメディア力がきわめて弱いために 広告収益が低く、「販売8:広告2」程度だと見られている。さらに言えば、インターネット部門の収益比率はこの「広告2」の中の おそらく10%程度しかなく、ネット広告が全滅したとしても屋台骨が揺らぐわけではない。宅配制度が崩壊しない限り、毎日は潰れないのだ。 そして毎日を自宅で購読している中心層は60〜70代の高齢者であり、そもそも新聞を取っていない若いネット世代が不買運動を 行ってもあまり大きな影響はないと言える。とはいえ、毎日がこの事件で被った潜在的ダメージは計り知れなかった。 今後インターネットの世界でビジネス展開することがきわめて困難になったからだ。 ある社員は、私にこうメールで伝えてきた。 「担当のデジタルメディア局長は心労のあまり激やせしてしまっている。 ネットの世界といったいどうつきあえばいいのか、社内の人間からは打開策が出てきていないのが現状だ」 これは非対称戦争である。 ありとあらゆる階層、組織の個人が寄り集まって作り上げているインターネットという集合体は、いったん刃をひとつの方向性に集約させると、 大きなマスメディア組織でさえもひっくり返す可能性を秘めている。そしてこの刃を向けられた側は、いったい誰と戦えばいいのかわからない。 相手が多数過ぎて、その顔が見えてこないのだ。かりに毎日を誹謗中傷している書き込み者のひとりを名誉毀損で告発しても他の者の攻撃は それで収まるわけではない。いいや、それどころかかえって炎はさらに広がる可能性がある。 相手はアメーバのような不定形の組織なのだ。これが非対称戦争の恐ろしさである。 (中略) 続く 6 :ぽこたん( ・∀・ )φ ★:2008/08/04(月) 22:37:41 ID:???0 先の毎日新聞の社員はこうも話している、「社内では、この騒動の背後には読売新聞がいるという見方をしている人が少なくない。 読売が仕掛けて毎日つぶしに動いているのだと思われている」 今回の件を読売や日経が「漁夫の利」と見ている可能性はなきにしもあらずだが、しかしネットの抗議運動を いくらマスメディアといえども一企業が仕掛けられるはずもない。その意味で毎日社内のこの見方はあまりにも謀略史観に過ぎると言えるし、ネットの本質を見誤っていると言わざるを得ない。 いや、実はそうではなく−ネットというアメーバ型の敵と相まみえてどう反応していいのか判断できず、思考停止に追いやられた結果、 なんとか顔の見える相手を探そうと無意識に考えた結果が、「敵は読売だ」という結論だったのかもしれない。 2ちゃんねるの「既婚女性」掲示板で書き込まれたいくつかのやりとりを紹介しておこう(いずれも7月7日)。 「あちらさんの見解ではこの『騒ぎ』は裏で※※聞社さんが手を引いていると睨んでらっしゃるようですわ」 「※※が糸を引いてるとか、そんなことやってもバレたらどうなるかってことを考えたらやる筈もないのに」 「毎日が名無しの集団を探し求めるのは、金銭的な利益目的で動いていると思い込んでいるからでは? 結局、彼らは『お金では買えない物がある』ということを知らないだけ」 「首謀者などいない 同じ怒りに震えた者たちが 知恵を出し合い協力し合って   真実を世間に知らしめようとしているだけのこと ただそれだけなのに」 この驚くべきパワーを、あなどってはならない。 (終わり) ---- *関連ページ #related()
#contents ---- *文藝春秋「諸君」2008年9月号P262〜267 佐々木俊尚 ネット論壇時評より一部引用 **毎日新聞低俗記事配信で抗議殺到 ***顔の見えない敵ネット・ゲリラに新聞は為す術もない 【変態報道】毎日社員「騒動の背後に読売新聞がいる」、顔の見えない敵に新聞は為す術なく見える相手を探した結果か…雑誌・諸君 http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1217857005/1-6 1 :ぽこたん( ・∀・ )φ ★:2008/08/04(月) 22:36:45 ID:???0 文藝春秋「諸君」2008年9月号P262〜267 佐々木俊尚 ネット論壇時評より一部引用 http://www.bunshun.co.jp/mag/shokun/index.htm 毎日新聞低俗記事配信で抗議殺到 顔の見えない敵ネット・ゲリラに新聞は為す術もない 2001年にニューヨークの世界貿易センタービルを崩壊させたテロリスト集団、アルカイーダは頭部の存在しない アメーバのような組織である。もともとは首謀者のオサマ・ビンラディンが豊富な資金力にものを言わせてこの組織を立ち上げ、 90年代後半にアフガニスタンを制圧していたタリバン勢力に庇護されることによって、同国内で訓練を行う軍事力として成長した。 だが、同時多発テロを引き起こして以降、米軍の攻撃を受けて組織体としてのアルカイーダは崩壊している。 しかし、アルカイーダは、今もしぶとく生き残っている。ビンラディンをリーダーとするピラミッド型の組織は存在していないが、 組織は細かく分裂し、それら分裂した小さな組織と小さな組織が、インターネットや携帯電話でコミュニケーションを取り合うことによって有機的にテロ活動を行うようになった。 戦前戦後の一時期、日本共産党は末端組織を「細胞」と呼んだ。1951年に開かれた4全協(第4回全国協議会)で採択された党規約草案には、次のように記されている。 「党の基本組織は細胞である。細胞は党員3名以上によって組織され、その指導部をもつ。全党員は原則として、いずれかの細胞に所属する」 アルカイーダはこの共産党細胞と似たような構造を持っているが、本質的な差異がひとつある。共産党細胞が中央委員会という頭脳の命令を受けて、 一糸乱れず従う身体の1部分となっていたのに対し、アルカイーダはひとつひとつの組織が独立して活動を行っている。 ある種のアメーバのような単細胞生命体になっており、いくつかの組織を破壊しても、残りの組織は何ごともなかったように生き続ける。 (中略) こうしたアメーバ組織が次々生まれ、これらの組織があちこちで同時多発的に戦争を仕掛けていく状態−それは軍事分野では「非対称戦争」と呼んでいる。 古くはベトナム戦争がそうだったし、現在進行中のイラク戦争もそうだ。小規模なゲリラが、米軍のような強大な組織を相手に神出鬼没のテロを仕掛け、かく乱し続けるのだ。 >>2-10辺りに続く 2 :ぽこたん( ・∀・ )φ ★:2008/08/04(月) 22:37:07 ID:???0 そして、この非対称戦争は、何も物理的な戦争の中だけで起きる現象ではなくなってきている。たとえば端的な例が、インターネットにおける非対称戦争だ。 マスメディアと個人の言論がフラットになってきているインターネットの世界においては、個人の発言力は今までにないほどエンパワーされており、この力がいまや 2ちゃんねるやブログ、SNSなどのメディアを媒介にしてゲリラ化し、マスメディアや大企業をかく乱させることが可能になってきたのだ。 2008年夏、そのことを象徴する事件が起きた。 毎日新聞とインターネットの間で勃発した紛争である。きっかけとなったのは毎日新聞の海外向け英語サイト「毎日デイリーニューズ」で 「ファーストフードで女子高生が性的狂乱状態」「六本木では獣姦した豚を料理として出している」「息子の成績を上げるために、勉強前に性的な関係を持つ母親がいる」 といった低俗な内容の記事が過去5年間の間に大量に配信されていたのが発覚したことだった。 (中略) 2ちゃんねるでは過去に例を見ないほどに書き込みが集中し、1週間も経たないうちにスレッド数は230を突破した。 ひとつのスレッドには約1000の書き込みが可能だから、書き込み総数は23万を超えたことになる。リアルの抗議行動に走る人も現れた。 毎日新聞のウェブサイトに広告を出している企業に電話をかけて抗議が行われ、職場や街角などで配るためのチラシも作成され、ネット上にばらまかれた。 (中略) さらには、東京・竹橋の毎日新聞本社前では保守系の政治団体が主導してデモも行われた。 こうした動きに対し、毎日側は6月20日、記事配信の事実を認めたうえで、当時の担当だった朝比奈豊常務を役員報酬10%1ヶ月返上、 担当のオーストラリア人記者を懲戒休職3ヶ月とするなどの処分を発表した。 だが、この発表文の中で「インターネット上には、今回の処分とは全く関係のない複数の女性記者、社員個人の人格を著しく 誹謗・中傷する映像や書き込みが相次いでいる。毎日新聞はこうした名誉を棄損するなど明らかな違法行為に対しては、法的措置を取る方針でいる」 と記したことから毎日批判はさらに激化。担当の朝比奈常務が6月、社長に昇格していたことなども炎上をさらに煽る結果となり、 抗議運動はますます燃えさかる結果となったのである。 (中略) 続く ***ネットをあなどる新聞社の愚 5 :ぽこたん( ・∀・ )φ ★:2008/08/04(月) 22:37:24 ID:???0 ネットをあなどる新聞社の愚 新聞社の主な収益源は新聞紙の販売益と広告益である。アメリカの新聞社ではこの比率が「販売2:広告8」といわれているが、 日本の新聞社の場合「販売5:広告5」となっている。さらに、毎日新聞に至っては、朝日や読売と比較してメディア力がきわめて弱いために 広告収益が低く、「販売8:広告2」程度だと見られている。さらに言えば、インターネット部門の収益比率はこの「広告2」の中の おそらく10%程度しかなく、ネット広告が全滅したとしても屋台骨が揺らぐわけではない。宅配制度が崩壊しない限り、毎日は潰れないのだ。 そして毎日を自宅で購読している中心層は60〜70代の高齢者であり、そもそも新聞を取っていない若いネット世代が不買運動を 行ってもあまり大きな影響はないと言える。とはいえ、毎日がこの事件で被った潜在的ダメージは計り知れなかった。 今後インターネットの世界でビジネス展開することがきわめて困難になったからだ。 ある社員は、私にこうメールで伝えてきた。 「担当のデジタルメディア局長は心労のあまり激やせしてしまっている。 ネットの世界といったいどうつきあえばいいのか、社内の人間からは打開策が出てきていないのが現状だ」 これは非対称戦争である。 ありとあらゆる階層、組織の個人が寄り集まって作り上げているインターネットという集合体は、いったん刃をひとつの方向性に集約させると、 大きなマスメディア組織でさえもひっくり返す可能性を秘めている。そしてこの刃を向けられた側は、いったい誰と戦えばいいのかわからない。 相手が多数過ぎて、その顔が見えてこないのだ。かりに毎日を誹謗中傷している書き込み者のひとりを名誉毀損で告発しても他の者の攻撃は それで収まるわけではない。いいや、それどころかかえって炎はさらに広がる可能性がある。 相手はアメーバのような不定形の組織なのだ。これが非対称戦争の恐ろしさである。 (中略) 続く 6 :ぽこたん( ・∀・ )φ ★:2008/08/04(月) 22:37:41 ID:???0 先の毎日新聞の社員はこうも話している、「社内では、この騒動の背後には読売新聞がいるという見方をしている人が少なくない。 読売が仕掛けて毎日つぶしに動いているのだと思われている」 今回の件を読売や日経が「漁夫の利」と見ている可能性はなきにしもあらずだが、しかしネットの抗議運動を いくらマスメディアといえども一企業が仕掛けられるはずもない。その意味で毎日社内のこの見方は あまりにも謀略史観に過ぎると言えるし、ネットの本質を見誤っていると言わざるを得ない。 いや、実はそうではなく−ネットというアメーバ型の敵と相まみえてどう反応していいのか判断できず、思考停止に追いやられた結果、 なんとか顔の見える相手を探そうと無意識に考えた結果が、「敵は読売だ」という結論だったのかもしれない。 2ちゃんねるの「既婚女性」掲示板で書き込まれたいくつかのやりとりを紹介しておこう(いずれも7月7日)。 「あちらさんの見解ではこの『騒ぎ』は裏で※※聞社さんが手を引いていると睨んでらっしゃるようですわ」 「※※が糸を引いてるとか、そんなことやってもバレたらどうなるかってことを考えたらやる筈もないのに」 「毎日が名無しの集団を探し求めるのは、金銭的な利益目的で動いていると思い込んでいるからでは? 結局、彼らは『お金では買えない物がある』ということを知らないだけ」 「首謀者などいない 同じ怒りに震えた者たちが 知恵を出し合い協力し合って   真実を世間に知らしめようとしているだけのこと ただそれだけなのに」 この驚くべきパワーを、あなどってはならない。 (終わり) ---- *関連ページ #related()

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