第17話 最後の夏休み

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ヤサコ「人は死んだらどうなるのか。その心がどこに行くのか。本当のことは、誰も知りません」 ハラケン「誰?」 ?「ーーー助けて……」 ハラケン「どこ?」 ?「ーーー助けて……」 ハラケン「助けてあげる。どこにいるの?ハッ」 ?「助けて……」 ハラケン「ああ……あっ。ああ!」 ハラケン「あっ!……また同じ夢だ。いけない、今日は病院に行く日だった」 フミエ「ヤサコー!どうしたの?泳がないの?」 ヤサコ「うん」 フミエ「今日は元気ないのね……てっ、何すんのよー!こらー!」 ヤサコ「天沢さん……一体何をする気なんだろう」 イサコ「私の兄は、戻れなくなったんだ。魂が電脳の体と共にあっちに行ったままだ。今も」 ヤサコ「あっち……」 TV 「子供の噂では、暗号というおまじないが流行っているそうですよ」 「ほー。暗号ですか」 「それで、キラバグというアイテムを集めると、なんでも願い事が叶うという話で」 ハラケン「キラバグ……」 看護師「原川さーん」 ハラケン「あ、メガネは」 看護師「中では外してね。待合室なら使っていいけど」 医者「きみのおばさんから、徹底的に調べてくれって言われててねえ。今日は1人で来たの?」 ハラケン「はい」 医者「先日の大学病院での結果を見る限りでは、全く異常がなかったよ。きみのおばさんはメガネとの関連性をしつこく主張してるんだけど、今の医学ではメガネと頭痛や不整脈との関係は証明されてないんだ。ああ、もういいよ」 ハラケン「あの……おばちゃん、他に何か言ってましたか」 医者「メガネを取り上げたほうがいいでしょうか?って言ってたなあ。はっはっはっはっは。きっと本気じゃないさ。で、頭痛と心臓はなんともないだね?」 ハラケン「ええ。もう、全然」 医者「そうか。じゃあ、検査結果と一致するなぁ」
ヤサコ「人は死んだらどうなるのか。その心がどこに行くのか。本当のことは、誰も知りません」 ハラケン「誰?」 ?「ーーー助けて……」 ハラケン「どこ?」 ?「ーーー助けて……」 ハラケン「助けてあげる。どこにいるの?ハッ」 ?「助けて……」 ハラケン「ああ……あっ。ああ!」 ハラケン「あっ!……また同じ夢だ。いけない、今日は病院に行く日だった」 フミエ「ヤサコー!どうしたの?泳がないの?」 ヤサコ「うん」 フミエ「今日は元気ないのね……てっ、何すんのよー!こらー!」 ヤサコ「天沢さん……一体何をする気なんだろう」 イサコ「私の兄は、戻れなくなったんだ。魂が電脳の体と共にあっちに行ったままだ。今も」 ヤサコ「あっち……」 TV 「子供の噂では、暗号というおまじないが流行っているそうですよ」 「ほー。暗号ですか」 「それで、キラバグというアイテムを集めると、なんでも願い事が叶うという話で」 ハラケン「キラバグ……」 看護師「原川さーん」 ハラケン「あ、メガネは」 看護師「中では外してね。待合室なら使っていいけど」 医者「きみのおばさんから、徹底的に調べてくれって言われててねえ。今日は1人で来たの?」 ハラケン「はい」 医者「先日の大学病院での結果を見る限りでは、全く異常がなかったよ。きみのおばさんはメガネとの関連性をしつこく主張してるんだけど、今の医学ではメガネと頭痛や不整脈との関係は証明されてないんだ。ああ、もういいよ」 ハラケン「あの……おばちゃん、他に何か言ってましたか」 医者「メガネを取り上げたほうがいいでしょうか?って言ってたなあ。はっはっはっはっは。きっと本気じゃないさ。で、頭痛と心臓はなんともないだね?」 ハラケン「ええ。もう、全然」 医者「そうか。じゃあ、検査結果と一致するなぁ。まあ、メガネは目が疲れるし、医者としてもほどほどにしとけと言うべきところなんだけど、ぼくらも1日中手放せないし、そうえらいことは言えないねぇ。はっはっはっは。でもね、子供はもっと本物の何かで遊んだほうがいいかもしれないねぇ。ちゃんと手で触れる何かで」 看護師「さ、あとは放射線科の順番を待ってね」 フミエ「図書館行けなくってごめんね。昨日の分は共有フォルダに入ってるから。じゃ!」 ヤサコ「うん、あら?」 ガチャギリ「急げ!」 ヤサコ「まだ古い空間があったなんて。それもこんなに広い」 ガチャギリ「本当にサッチーには見えてないんだな」 イサコ「ああ。お前たちがヘマさえしなければな。キラバグは必ずこの近くにある。気をぬくな」 ヤサコ「天沢さん、キラバグで何を」 おばちゃん「今朝、ちょっと顔色が悪かったみたいね。姉さんから聞いたわ」 ハラケン「夢をみただけだよ。カンナの夢。カンナはまだどこかにとどまっていて、苦しんでいる。ぼくに会って、話したがっている」 おばちゃん「もうカンナのことは忘れなさい。もしまたこないだみたいなことがおこったら、今度こそメガネを取り上げるわ」 ハラケン「関係ない。自由研究なんだ」 おばちゃん「嘘つき。自由研究なんて口実なんでしょう。ケンちゃん、カンナは死んだのよ」 ハラケン「じゃあ、ぼくまだ検査があるから」 TV「都市伝説にもいろいろあって、中にはキラバグは異界への扉を開く通路だというというのもあるそうです」 ハラケン「キラバグ……イサコ、ひょっとして……」 ヤサコ「都市伝説……キラバグ……あ、質問してる人がいる。キラバグってなんですか?キラバグという言葉が語られはじめたのは、メタバグより後だと言われている。メタバグは大黒市でよく見られる、謎の電脳物質でどこからどのように生み出されるのかは全く確認されていない。メタバグには、砂漠に封じられた昆虫化石のように、時折音や文章といったデータが含まれている。それがマニアックな価値を生み、一時は高値で取引された。だが、そのうちさらに価値のあるメタバグがあるとの噂が広まった。それがキラバグである。だがキラバグは、オカルト的な存在でもあるこの電脳空間にあってはならない奇妙な物質だというのだ。ある伝説は、キラバグを集めるとミチコさんが現れてなんでも願い事を叶えてくれるという。大人も含め、キラバグ目当てのマニアが大黒市に殺到した時期もあった。だが、結局作り話として収束し、やがて忘れ去られていった。なんでも願い事を……。キラバグを集めると、どんなことが起こるんですか?一度だけ、キラバグの使い方がネットの掲示板でまことしやかに語られたことがあった。キラバグは本来、ある隔離された空間に接続するプログラムであり、それを集めて起動することにより、あっちとの通路を開くのだ」 ハラケン「ヤサコ」 ヤサコ「うわっ!」 ハラケン&ヤサコ「す、すみません」 ヤサコ「ごめんなさい。ちょっと怖いページを読んでたから」 ハラケン「怖いページ?」 ヤサコ「キラバグのページ。あ、そうだ。今日古い空間みつけたの」 ハラケン「本当に?」 ヤサコ「場所は、ここより北の方」 ハラケン「でも、どうやって」 ヤサコ「偶然天沢さんをみかけて」 ハラケン「イサコ」 ヤサコ「そうだ。その天沢さんのことなんだけど」 ハラケン「イサコが?」 ヤサコ「うん、都市伝説とか、そういうのを繋ぎ合わせると、天沢さんがキラバグを集めてるのお兄さんの意識を取り戻すために……フ、バカみたいね。そんなこと、本当にあるわけないよね」 ハラケン「でも、もし本当にそんなことがあるなら」 ヤサコ「え?」 ハラケン「意識だけ電脳空間に行ってしまって、肉体と切り離されてしまったらどんな感じなんだろう。意識は残ってるから、痛みとか、苦しみとか、気持ちはずっと残り続けているのかもしれない。もし、苦しみとか、悲しい気持ちとかそういうものがその原因を作ってしまった人が癒してあげない限り、永遠に消えないとしたら……」 ヤサコ「ハラケン、何か隠してる?」 ハラケン「!」 ヤサコ「もし何か、誰にも言わずに危ないこととかしようとしているんなら」 ハラケン「そんなことはないよ」 ヤサコ「そう。」 ハラケン「うん」 ヤサコ「あたし、時々ハラケンが急にふっといなくなっちゃうような、そんな気がして。あたしたち、最後の夏休みよね」 ハラケン「最後の……」 ヤサコ「あ、ううん、小学校で最後の」 ハラケン「ああ」 ヤサコ「あたしたち、もっと楽しいこととか面白いことをやっていいんじゃないかなって思う。ハラケンはずっと、この1年ずっと辛い気持ちでいたんじゃないかって。天沢さんと同じで、それを誰にも言わずに1人で。ご、ごめんなさい。変なこと言ってるわね」 ハラケン「ただの」 ヤサコ「えっ」 ハラケン「ただの好奇心なんだ。イリーガルとか、古い空間とか、見てみたくて。それだけ。カンナのことなんか、関係ない。ヤサコのいう通りだ。」 ヤサコ「え?」 ハラケン「ぼくは考えすぎてたんだ。ぼくたちは、もっと楽しいこととか、面白いことをして過ごすべきなんだ」 ヤサコ「ハラケン……」 ハラケン「ぼくはもう、カンナのことなんか気にしてないよ。心配してくれてありがとう、ヤサコ。だから、さっさと自由研究を終わらせて、残りの夏休みは楽しく過ごそう。プールに行ったり、遊園地でもいい」 ヤサコ「うん」 ハラケン「みんなで馬鹿みたいに騒ごう。ダイチとか、デンパも呼んで。」 ヤサコ「本当に?」 ハラケン「うん」 ヤサコ「ハラケン。ハラケン、あたし、あたしハラケンのこと」 ハラケン「明日。明日その古い空間に行ってみよう」 ヤサコ「うん」 ハラケン「それでもし何も見つからなかったら、自由研究はそれでおしまい」 ヤサコ「うん」 ハラケン「適当に済ませて終わらせちゃおう。その後は、楽しい場所に行こう」 ヤサコ「うん」 ハラケン「最後の、夏休みだから」 ヤサコ「うん」 アイキャッチ イサコ「えっ!……チッ。おい、ここは私が投げる段取りだろう」 ナメッチ「ひええ、す、すんません!」 イサコ「役立たずめ。追いかけるぞ」 ハラケン「いない……うわぁ!」 ガチャギリ「てめえ、ずっとつけてきやがったな!?」 ハラケン「頼む、イサコに会わせてくれ!」 ガチャギリ「ああ?何言ってんだ」 ナメッチ「おやびんに何の用だ」 ハラケン「君たちには言えない」 ガチャギリ「馬鹿にすんな!」 ナメッチ「まずいよ。こいつをやるとあのおばちゃんが」 ハラケン「頼む。話しをさせてくれ!」 ガチャギリ「なんだ、こいつ」 ハラケン「ああ……!……うっ!」 おばちゃん「この3ブロックを2時間封鎖しろ。ああ、責任は私がとる。イサコ、私が止めてあげる。あなたのやろうとしていることは間違いだ」 ガチャギリ「ハッ!……クソッ」 ナメッチ「うああ、来た!」 ガチャギリ「騒ぐな。暗号が起動しているはずだ」 おばちゃん「私を甘くみるな。思った通りだ。イサコの暗号のほとんどは解読可能だ。物理結界以外はほとんど破れるぞ。来い、ポチ、タマ!今回は容赦しない。総力戦で行く。チビ!まさか暗号のルーツがメタタグと同じとはな天沢勇子、お前は一体何者なんだ」 ヤサコ「ハラケン遅いなー。あ、さっきのページ。新しい質問が入ってる。もしミチコさんが何でも願い事を叶えてくれるなら、死んだ人の苦しみや痛みも許せますか?……これって」 ハラケン「もし、苦しみとか、悲しい気持ちとか、そういうものが、その原因を作った人が埋め合わせて癒してあげない限り」 ヤサコ「ハラケン!」 ナメッチ「こんなんで本当に捕まえられるのかなあ」 ガチャギリ「ああ、多分な。こいつは、結界で電脳物質を遮断すると同時に、レーダーの代わりもする暗号だ」 ナメッチ「へー。そんなこともわかるの」 ガチャギリ「ああ、なんとなく読めるようになってきたぜ。これでさっきのイリーガルを確実にキャッチするつもりだ」 ナメッチ「それにしても、イサコおやびんの目的って、一体何なんだろう。ちょっとやな噂を聞いたんだ。イサコおやびんがあるものを呼び出そうとしてるって」 ガチャギリ「あるもの?」 ナメッチ「ミチコさんを」 イサコ「また頭痛だ……ん、誰」 ナメッチ「それだけじゃないんだ。呼び出されたミチコさんが生贄を欲しがるんだって」 ガチャギリ「くだらねえ。そんな話しはどうでもいい。暗号を盗めばもっとでかい仕事に使える。おれの狙いはそれだけだ」 ナメッチ「あ、来た」 イサコ「よし!シフト2で追い込むぞ!」 ナメッチ「当たった!」 ガチャギリ「よくやったぁ!」 ナメッチ「うわーーー!……あ!」 ガチャギリ「っ!」 ナメッチ「な、なんで見えてるの?」 ガチャギリ「追うぞ!」 ナメッチ「うわー!」 ガチャギリ&ナメッチ「うわー!うわー!……ふう……」 サッチー「ぼくサッチー」 ナメッチ「きたー!さんけん!」 ガチャギリ「鉄壁だー!」 「「うわーーーー!」」 おばちゃん「チッ、雑魚は囮か!イサコだけを追え!」 イサコ「えいっ!……これで臨界だ!」 おばちゃん「くそ、イサコはどこだ?この暗号の、構造は……?全機、このポイントに向かえ!」 イサコ「あとちょっと、あとちょっとで通路が開く!」 ガチャギリ「今だ!」 ナメッチ「勝った!サッチー全部捕まえたぞー!」 ガチャギリ「3機も出したのに残念だったなあ!」 おばちゃん「くそっ、物理結界か!」 イサコ「集めた。今度こそ、1年前のようなことにはならない」 ガチャギリ「な」 ナメッチ「なんでー」 サッチー「ぼくサッチー」 ナメッチ「うっ」 おばちゃん「ここまでよ。ポチ、タマ、チビ。コロ、ミケ!」 ナメッチ&ガチャギリ「なにいー!?」 ナメッチ「3機」 ガチャギリ「じゃねえ」 ナメッチ「5機だー!」 おばちゃん「周囲の暗号を、潰せ!」 イサコ「あ……なんだ!」 ナメッチ「うへえー!」 ガチャギリ「手にあるもの全て使えー!」 おばちゃん「くだけ!その先にイサコがいる!通路を開いた瞬間を抑える」 イサコ「まずい。このままではコントロール系の暗号が破損してしまう。あのサッチーを止めなくては、またコントロールできない場所に開いてしまう! 去年の、あの時のように……あ……お前は。何故ここに?」 ハラケン「天沢勇子。きみと、きみと取引したい」 イサコ「取引、だと?」 ヤサコ「出ないわ」 ハラケン「ぼくはもう、カンナのことなんか気にしてないよ」 ヤサコ「今日の空間……カンナちゃんの事故の近くだ!」 ハラケン「ぼくは、サッチーの命令プロセスにアクセスできる。おばちゃんがそうしてくれたんだ。そのアクセスコードを、きみに教える」 イサコ「なん、だと?」 ハラケン「きみなら、これを使えば勝てるはずだ」 イサコ「しかし、お前が何故? お前の、お前の条件はなんだ?」 ハラケン「ぼくを……ぼくをあっちへ連れて行ってくれ!」 ヤサコ「あ……あ」 ヤサコ「次回、電脳コイル 異界への扉 お楽しみに」

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