第21話 黒いオートマトン

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第21話 黒いオートマトン」(2015/07/15 (水) 07:25:10) の最新版変更点

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ヤサコ「メガネの開発の歴史によると、昔は様々な投影技術が研究されていたそうです」 イサコ「このお人形はお兄ちゃんと私。だから、私のこと忘れないでね」 イサコ兄「忘れないさ。勇子こそ、ぼくのこと忘れるなよ」 メガばあ「うーん、古い空間に長くいたせいでバグが溜まっているようじゃ」 ヤサコ「よくなるの?」 キョウコ「なるのー?」 メガばあ「うん、しばらく安静にしておれば、安定してくるじゃろ」 ヤサコ「そう、よかった。じゃあおばば、頼んだわよ」 メガばあ「ううーん……」 ダイチ「チコクチコクー!ふう、いやー、危なかったぜ。始業式から遅刻……あ、アルマゲドン……じゃない、校舎間違えたー!ぶむっ。で、出た!」 おばちゃん「ちょっと頼みがあるんだけど」 ダイチ「え?今度は何だよ」 おばちゃん「代わりに、いい情報をやるわ」 ダイチ「んー?」 アイコ「おはよ」 フミエ「おはよ」 ヤサコ「おはよう」 アイコ「宿題終わった?」 フミエ「ギリギリセーフよ」 アイコ「どうしたの?元気ないわね」 ヤサコ「んーん、何でもないの」 ウチクネ先生「オラオラー、遅刻すんぞー」 アイコ「にしてもさー、普通ビルの最上階に小学校を作るー?」 フミエ「大黒市の行政は、日本で二例目のハンガンハンミンなの。それで色々と変わった政策が多いらしいわ。一説によると、メガマスも系列会社らしいわよー」 アイコ「へー」 フミエ「ヤサコ、まだアイコたちには言えないわよね、ハラケンのこと」 ヤサコ「うん、でも今朝おばちゃんに電話した時はまだ眠ったままだって。一度目を覚ましたそうだから、無事なのは確かみたい」 フミエ「よかったじゃない。早く元気になるといいわね」 アイコ「ねね、あれ。駅向こうの子たちだわ」 ヤサコ「あ」 アイコ「ハラケン、せっかく再編成で同じクラスになったのに、今日は休みなんだね。病気かなあ?」 フミエ「きっと、夏風邪でもひいたんじゃない?そのうち元気に出てくるわよ」 アイコ「あ、それで?自由研究は?」 フミエ「ふー、バッチリよ。ほら!」 アイコ「んー?へー、よくできてるじゃない!あら、この間のテレビとそっくりだわ」 フミエ「げぇっ、見てたの?」 アイコ「まさか、丸写ししたの?」 フミエ「ひ、人聞き悪いわね。インスパイアよ!それに、3割くらいは、完全オリジナルなのよ?例えば、この辺とか……」 ヤサコ「ハラケン、何で目が覚めないのかしら」 イサコ「あの時使った暗号が不完全だったのかもしれない」 ヤサコ「あ、天沢さん」 イサコ「電脳コイルという現象、電脳体が分離すると意識も失う原理は今も分かっていない。私の暗号も昔使われていたものを再現しているだけなんだ。だが心配するな。電脳体のリンクは、綺麗に復元されていた。意識は間違いなくこっちに戻っている。今回のことは、私にも責任がある。すまないと思ってる」 ヤサコ「天沢さん……。天沢さんのお兄さんに何が起こったの?」 イサコ「兄の存在は、公式には伏せられている。イマーゴが原因で兄が意識不明になったことは、メガマスにとってまずい出来事だったから」 ヤサコ「何故、意識不明に?」 イサコ「その頃のことは、よく覚えていない。私も一緒に意識を失ったから。後で一緒にお兄ちゃんを探してくれる人から聞いた。私のお兄ちゃんを攫ったのは、ミチコさんだって」 ヤサコ「ミチコさんって、本当にいるの?」 イサコ「私も知らない。それに、あまり人には話してはいけない約束なんだ。もう、古い空間には近寄るな」 ヤサコ「え」 イサコ「通路やヌルはイマーゴに反応するんだ。イマーゴは新しい空間では無効になるから、古い空間にさえ行かなければ危険はない」 ヤサコ「天沢さん、こないだ私にくれた暗号って、もしかしてお兄さんを助けるために必要だったんじゃ」 イサコ「お前には関係ない。どのみち、キラバグを使った方法にはもう見込みはないだろう。もともと不安定なものだったし、別な方法を探るさ」 ナメッチ「でさあ、サッチーをやっつけたんだー、オレとガチャで」 女生徒「ばーか。んなことあるわけないでしょう?バカバカしい」 ナメッチ「それだけじゃないんだ。イサコさんは、キラ」 ガチャギリ「このバーカ!口の軽さは身のためにならねぇぞ」 ナメッチ「でででだっ」 イサコ「ん……。まただ。一体何の感覚なんだ」 マイコ先生「はい、今日からー、第一小のお友達と一緒になります。みなさん喧嘩せずに仲良くしてくださいね〜。では、プリントを。大事なお知らせなので、これお家の方に、必ず見せてくださいね〜。制服だから、みんなびっくりしたと思うけど、今年の間はこのままだそうですー。それにしても制服とか着てるとしっかりしてるわよね〜。元3小のみんなも見習ってくださいね〜。特にダイチ!新学期早々、大遅刻してんじゃねえ!」 クラス「あはははははははは」 フミエ「さすがに新築ねえ。ピカピカだわ。掃除する意味あるのかしらー」 アイコ「今までの校舎が古すぎたのよー。楽でいいじゃない」 フミエ「むしろ、あいつらを掃除したいわ……」 ヤサコ「あ……タケルくん?タケルくん!」 タケル「ん。あ、ヤサコ!久しぶり。そういえば第3小だったね」 ヤサコ「うん、これから半年一緒だね」 タケル「探してた場所はみつかった?」 ヤサコ「んーん。あれからちょっと、いろいろあって」 タケル「ごめん、今人を待たせてるんだ」 ヤサコ「そうなの?」 タケル「あとでメールするよ。じゃ」 ヤサコ「うん」 フミエ「だ、だれ、あれ」 アイコ「ヤサコもやるわね〜。いつの間に?」 ヤサコ「あ。あの子たち、あの時の」 イサコ「宗助。キラバグはきっとまだあるわ。古い空間を探しましょう」 猫目「聞くんだ勇子。今は動くな。本社と難しい交渉をはじめている」 イサコ「どういうこと?」 猫目「今は詳しくは言えない。とにかく、一切動くな。切るぞ」 イサコ「待って、宗助!宗助!……ん?まただ。もしや……誰かが。あいつらか」 男の子A&C「ああ!?」 イサコ「お前たち、一体何の」 男の子C「えっ!」 イサコ「暗号?」 イサコ「きさま、どこでその暗号を覚えた!」 男の子C「は、離せよ!」 イサコ「言え!」 男の子A「先生、あそこで3小の女子がいじめやってます!」 イサコ「待て、その人形を返せ!」 ガチャギリ「ん?おい、どうしたんだ?」 男の子C「あの女、思った以上の腕前ですよ。どうします、ボス」 フミエ「おばちゃん何て言ってた?」 ヤサコ「ハラケン、まだ目が覚めないって。でも、天沢さんは心配ないって言ってた。暗号でちゃんと確かめたって」 フミエ「ヤサコ、それを信じるの?」 ヤサコ「え?」 フミエ「あのあと、何があったか知らないけど、なんで急にイサコの味方になったの」 ヤサコ「味方って。でも、天沢さんが助けてくれたから」 フミエ「全くお人好しなんだから」 ヤサコ「え?」 フミエ「いーい?全部イサコの自作自演かもしれないのよ」 ヤサコ「どういう意味?」 フミエ「イサコのお兄さんの話しだって、どこまで本当だか。それに、あの通路ってのを開いたのも、イサコなんでしょう?もしかしたら、あのイリーガルを呼びたしたのも、イサコかもしれない。あれから、おばちゃんの話しを調べたの。最初のイリーガル」 ヤサコ「フミエちゃん」 フミエ「あのイリーガルは、京子ちゃんやハラケンを連れて行こうとしたわ。子供をあっちに連れていく、それって。ヤサコ、気をつけて。イサコに気を緩めちゃだめよ」 ヤサコ「フミエちゃん」 フミエ「あたしはもう、関わりたくない。ごめんね」 おばちゃん「キラバグは、ミチコさんの体の一部がこっちの世界で物質化したものだと言われてた」 ヤサコ「ミチコさん……」 おばちゃん「イリーガルがキラバグを蓄積する理由は、今も分かってないイサコのバックには、誰か黒幕がいるのは確かね。最も、首になった私には、何も出来ないけど」 ヤサコ「でも、天沢さんはハラケンを助けてくれたわ」 おばちゃん「そうね。私、保護者失格ね」 ヤサコ「え?」 おばちゃん「一度はメガネを取り上げたんだけど、ケンちゃんは、カンナのメガネを使ってたの」 ヤサコ「カンナちゃんの」 おばちゃん「そしてコイル現象に襲われた。こうなることを心配して、サッチーを5機も持ってきたのに。私、バカみたいね。あんたのお父さんにこってり油絞られちゃった」 ヤサコ「あ。ごめんなさい」 おばちゃん「あんたが謝ることないわよ」 ヤサコ「おばちゃん」 おばちゃん「ん?」 ヤサコ「天沢さんのお兄さんのこと、どうだったの?」 イサコ「魂が電脳の体と共にあっちに行ったままだ」 おばちゃん「実は、確認が取れなかったの」 ヤサコ「え?」 おばちゃん「奇妙な点がいくつかあって、病院に問いただしたら、メガマスに聞いてくれって言い出したのよ。この病院も市役所と同じで、メガマスに関連のある患者も、大勢入ってる。まだまだ裏がありそうよ。さ、もう帰りなさい。日が暮れちゃうわ」 ヤサコ「おばちゃん」 おばちゃん「ん?」 ヤサコ「ありがとう」 おばちゃん「えへ。やめてよ。礼を言うのは、私の方よ」 ヤサコ「じゃあ、また来るわ。ハラケンが目を覚ましたらすぐに知らせてね」 おばちゃん「あ、そうだ」 ヤサコ「え?」 おばちゃん「これ、ケンちゃんが目を覚ました時描いたらしいんだけど 心当たりある?」 ヤサコ「う、うーん、ないわ」 イサコ「あ……ああ……」 ヤサコ「天沢さん、もしあれがお兄さんを助ける最後の方法だったとしたら、何かできることはないかしら。それに、あの夢。何かある。私と関係ある何かが おお……気のせいかな」 アイキャッチ
ヤサコ「メガネの開発の歴史によると、昔は様々な投影技術が研究されていたそうです」 イサコ「このお人形はお兄ちゃんと私。だから、私のこと忘れないでね」 イサコ兄「忘れないさ。勇子こそ、ぼくのこと忘れるなよ」 メガばあ「うーん、古い空間に長くいたせいでバグが溜まっているようじゃ」 ヤサコ「よくなるの?」 キョウコ「なるのー?」 メガばあ「うん、しばらく安静にしておれば、安定してくるじゃろ」 ヤサコ「そう、よかった。じゃあおばば、頼んだわよ」 メガばあ「ううーん……」 ダイチ「チコクチコクー!ふう、いやー、危なかったぜ。始業式から遅刻……あ、アルマゲドン……じゃない、校舎間違えたー!ぶむっ。で、出た!」 おばちゃん「ちょっと頼みがあるんだけど」 ダイチ「え?今度は何だよ」 おばちゃん「代わりに、いい情報をやるわ」 ダイチ「んー?」 アイコ「おはよ」 フミエ「おはよ」 ヤサコ「おはよう」 アイコ「宿題終わった?」 フミエ「ギリギリセーフよ」 アイコ「どうしたの?元気ないわね」 ヤサコ「んーん、何でもないの」 ウチクネ先生「オラオラー、遅刻すんぞー」 アイコ「にしてもさー、普通ビルの最上階に小学校を作るー?」 フミエ「大黒市の行政は、日本で二例目のハンガンハンミンなの。それで色々と変わった政策が多いらしいわ。一説によると、メガマスも系列会社らしいわよー」 アイコ「へー」 フミエ「ヤサコ、まだアイコたちには言えないわよね、ハラケンのこと」 ヤサコ「うん、でも今朝おばちゃんに電話した時はまだ眠ったままだって。一度目を覚ましたそうだから、無事なのは確かみたい」 フミエ「よかったじゃない。早く元気になるといいわね」 アイコ「ねね、あれ。駅向こうの子たちだわ」 ヤサコ「あ」 アイコ「ハラケン、せっかく再編成で同じクラスになったのに、今日は休みなんだね。病気かなあ?」 フミエ「きっと、夏風邪でもひいたんじゃない?そのうち元気に出てくるわよ」 アイコ「あ、それで?自由研究は?」 フミエ「ふー、バッチリよ。ほら!」 アイコ「んー?へー、よくできてるじゃない!あら、この間のテレビとそっくりだわ」 フミエ「げぇっ、見てたの?」 アイコ「まさか、丸写ししたの?」 フミエ「ひ、人聞き悪いわね。インスパイアよ!それに、3割くらいは、完全オリジナルなのよ?例えば、この辺とか……」 ヤサコ「ハラケン、何で目が覚めないのかしら」 イサコ「あの時使った暗号が不完全だったのかもしれない」 ヤサコ「あ、天沢さん」 イサコ「電脳コイルという現象、電脳体が分離すると意識も失う原理は今も分かっていない。私の暗号も昔使われていたものを再現しているだけなんだ。だが心配するな。電脳体のリンクは、綺麗に復元されていた。意識は間違いなくこっちに戻っている。今回のことは、私にも責任がある。すまないと思ってる」 ヤサコ「天沢さん……。天沢さんのお兄さんに何が起こったの?」 イサコ「兄の存在は、公式には伏せられている。イマーゴが原因で兄が意識不明になったことは、メガマスにとってまずい出来事だったから」 ヤサコ「何故、意識不明に?」 イサコ「その頃のことは、よく覚えていない。私も一緒に意識を失ったから。後で一緒にお兄ちゃんを探してくれる人から聞いた。私のお兄ちゃんを攫ったのは、ミチコさんだって」 ヤサコ「ミチコさんって、本当にいるの?」 イサコ「私も知らない。それに、あまり人には話してはいけない約束なんだ。もう、古い空間には近寄るな」 ヤサコ「え」 イサコ「通路やヌルはイマーゴに反応するんだ。イマーゴは新しい空間では無効になるから、古い空間にさえ行かなければ危険はない」 ヤサコ「天沢さん、こないだ私にくれた暗号って、もしかしてお兄さんを助けるために必要だったんじゃ」 イサコ「お前には関係ない。どのみち、キラバグを使った方法にはもう見込みはないだろう。もともと不安定なものだったし、別な方法を探るさ」 ナメッチ「でさあ、サッチーをやっつけたんだー、オレとガチャで」 女生徒「ばーか。んなことあるわけないでしょう?バカバカしい」 ナメッチ「それだけじゃないんだ。イサコさんは、キラ」 ガチャギリ「このバーカ!口の軽さは身のためにならねぇぞ」 ナメッチ「でででだっ」 イサコ「ん……。まただ。一体何の感覚なんだ」 マイコ先生「はい、今日からー、第一小のお友達と一緒になります。みなさん喧嘩せずに仲良くしてくださいね〜。では、プリントを。大事なお知らせなので、これお家の方に、必ず見せてくださいね〜。制服だから、みんなびっくりしたと思うけど、今年の間はこのままだそうですー。それにしても制服とか着てるとしっかりしてるわよね〜。元3小のみんなも見習ってくださいね〜。特にダイチ!新学期早々、大遅刻してんじゃねえ!」 クラス「あはははははははは」 フミエ「さすがに新築ねえ。ピカピカだわ。掃除する意味あるのかしらー」 アイコ「今までの校舎が古すぎたのよー。楽でいいじゃない」 フミエ「むしろ、あいつらを掃除したいわ……」 ヤサコ「あ……タケルくん?タケルくん!」 タケル「ん。あ、ヤサコ!久しぶり。そういえば第3小だったね」 ヤサコ「うん、これから半年一緒だね」 タケル「探してた場所はみつかった?」 ヤサコ「んーん。あれからちょっと、いろいろあって」 タケル「ごめん、今人を待たせてるんだ」 ヤサコ「そうなの?」 タケル「あとでメールするよ。じゃ」 ヤサコ「うん」 フミエ「だ、だれ、あれ」 アイコ「ヤサコもやるわね〜。いつの間に?」 ヤサコ「あ。あの子たち、あの時の」 イサコ「宗助。キラバグはきっとまだあるわ。古い空間を探しましょう」 猫目「聞くんだ勇子。今は動くな。本社と難しい交渉をはじめている」 イサコ「どういうこと?」 猫目「今は詳しくは言えない。とにかく、一切動くな。切るぞ」 イサコ「待って、宗助!宗助!……ん?まただ。もしや……誰かが。あいつらか」 男の子A&C「ああ!?」 イサコ「お前たち、一体何の」 男の子C「えっ!」 イサコ「暗号?」 イサコ「きさま、どこでその暗号を覚えた!」 男の子C「は、離せよ!」 イサコ「言え!」 男の子A「先生、あそこで3小の女子がいじめやってます!」 イサコ「待て、その人形を返せ!」 ガチャギリ「ん?おい、どうしたんだ?」 男の子C「あの女、思った以上の腕前ですよ。どうします、ボス」 フミエ「おばちゃん何て言ってた?」 ヤサコ「ハラケン、まだ目が覚めないって。でも、天沢さんは心配ないって言ってた。暗号でちゃんと確かめたって」 フミエ「ヤサコ、それを信じるの?」 ヤサコ「え?」 フミエ「あのあと、何があったか知らないけど、なんで急にイサコの味方になったの」 ヤサコ「味方って。でも、天沢さんが助けてくれたから」 フミエ「全くお人好しなんだから」 ヤサコ「え?」 フミエ「いーい?全部イサコの自作自演かもしれないのよ」 ヤサコ「どういう意味?」 フミエ「イサコのお兄さんの話しだって、どこまで本当だか。それに、あの通路ってのを開いたのも、イサコなんでしょう?もしかしたら、あのイリーガルを呼びたしたのも、イサコかもしれない。あれから、おばちゃんの話しを調べたの。最初のイリーガル」 ヤサコ「フミエちゃん」 フミエ「あのイリーガルは、京子ちゃんやハラケンを連れて行こうとしたわ。子供をあっちに連れていく、それって。ヤサコ、気をつけて。イサコに気を緩めちゃだめよ」 ヤサコ「フミエちゃん」 フミエ「あたしはもう、関わりたくない。ごめんね」 おばちゃん「キラバグは、ミチコさんの体の一部がこっちの世界で物質化したものだと言われてた」 ヤサコ「ミチコさん……」 おばちゃん「イリーガルがキラバグを蓄積する理由は、今も分かってないイサコのバックには、誰か黒幕がいるのは確かね。最も、首になった私には、何も出来ないけど」 ヤサコ「でも、天沢さんはハラケンを助けてくれたわ」 おばちゃん「そうね。私、保護者失格ね」 ヤサコ「え?」 おばちゃん「一度はメガネを取り上げたんだけど、ケンちゃんは、カンナのメガネを使ってたの」 ヤサコ「カンナちゃんの」 おばちゃん「そしてコイル現象に襲われた。こうなることを心配して、サッチーを5機も持ってきたのに。私、バカみたいね。あんたのお父さんにこってり油絞られちゃった」 ヤサコ「あ。ごめんなさい」 おばちゃん「あんたが謝ることないわよ」 ヤサコ「おばちゃん」 おばちゃん「ん?」 ヤサコ「天沢さんのお兄さんのこと、どうだったの?」 イサコ「魂が電脳の体と共にあっちに行ったままだ」 おばちゃん「実は、確認が取れなかったの」 ヤサコ「え?」 おばちゃん「奇妙な点がいくつかあって、病院に問いただしたら、メガマスに聞いてくれって言い出したのよ。この病院も市役所と同じで、メガマスに関連のある患者も、大勢入ってる。まだまだ裏がありそうよ。さ、もう帰りなさい。日が暮れちゃうわ」 ヤサコ「おばちゃん」 おばちゃん「ん?」 ヤサコ「ありがとう」 おばちゃん「えへ。やめてよ。礼を言うのは、私の方よ」 ヤサコ「じゃあ、また来るわ。ハラケンが目を覚ましたらすぐに知らせてね」 おばちゃん「あ、そうだ」 ヤサコ「え?」 おばちゃん「これ、ケンちゃんが目を覚ました時描いたらしいんだけど 心当たりある?」 ヤサコ「う、うーん、ないわ」 イサコ「あ……ああ……」 ヤサコ「天沢さん、もしあれがお兄さんを助ける最後の方法だったとしたら、何かできることはないかしら。それに、あの夢。何かある。私と関係ある何かが おお……気のせいかな」 アイキャッチ イサコおば「サチコさん、もうすぐ家に戻れるそうよ。どうしたの?嬉しくないの?」 イサコ「いえ、別に」 イサコおば「あなたのその言い方、サチコさんにそっくりね。おばさん、あなたにここにずっといてもらってもいいと思ってるわ。本当よ。もっとも、私はすっかり嫌われているみたいだけど。私の買ってあげた服も着ようともしないで。やっぱり、サチコさんの件が済んだら、金沢で一緒に住むべきだと思うわ。待ちなさいまだ話しは終わってないわ」 イサコ「行ってきます」 イサコおば「ふう」 ヤサコ「行ってきまーす。デンスケ、頼んだわよ」 キョウコ「うん。ん?メモリアル?デンスケ、メモリアルって何?」 ヤサコ「あ……」 イサコ「あ……あ……あ……」 ヤサコ「あ」 男子生徒「手伝ったらお前もミチコに連れていかれるぞ?」 マイコ先生「おはよー。あら、どうしたの、天沢さん? 何?何かあったの?」 男子生徒「この暗号屋ってもしかして」 ヤサコ「天沢さん。私、昨日夢で」 イサコ「近寄るな。 私に話しかけたら呪われるんだろう?なら二度と近づくな。お前たちもだ!」 男の子C「死神!ミチコだ!イサコはミチコを呼び出したんだ!」 男子生徒「次は誰をあっちに連れていく気だ!」 男子生徒「イサコに近づくと、生贄にされるぞ!」 ヤサコ「あ……」 マイコ先生「天沢さん?どこに行くの?」 フミエ「ヤサコも、もう構わない方がいいわよ」 男子生徒「おい見ろよ、怪奇倶楽部のページ」 フミエ「更新されているわ。これって、これ、やっぱりイサコ?あ、ちょっと、ヤサコどこ行くの?」 イサコ「出ない。宗助、なんで出ないの」 ?「黒幕と連絡が取れないようだな」 イサコ「誰だ?どこにいる?」 ?「何故連絡がつかないか」 イサコ「お前は何者だ」 ?「お前は切り捨てられる。全ての罪をきせられてな」 イサコ「捕らえろ」 ?「嘘だと思うか?それなら病院に行ってみるといい。あっはっはっはっはっはっは……」 ヤサコ「はあ、はあ……」 アキラ「ヤサコさん?」 ヤサコ「あら、アキラくん」 イサコ「はあはあはあ……ああ!なんだ、これは? 何故だ?何故開かない?」 アキラ「そんなことが」 ヤサコ「うん。天沢さんって誰にも気を許さないから。いずれこうなる気はしてた。ね、この間天沢さんのお兄さん、確かに見たわよね、一緒に」 アキラ「は、はい」 ヤサコ「なんだか、あれが本当のことだったのか、自分でもわかんなくなってきちゃった」 アキラ「そのことなんですけど。これ、見てください。あの時の画像なんです。動画もスチルも全部消えてて」 ヤサコ「消えた?」 アキラ「はい。ぼくも狐につままれたようで。夢かなんかだったんじゃないかって」 ヤサコ「でも、どうして?」 アキラ「前にも1回、こういうことがあったんです。これ、このミゼットと同じ型のマトンと会った時。もしかしたら、こいつが鍵を握っているのかもしれない」 ヤサコ「病院だわ」 アキラ「え?」 ヤサコ「天沢さんはきっと病院に行くはずだわ!」 アキラ「あ、ヤサコさん? それにしても、こいつ一体誰のペットなんだろう」 イサコ「くっ」 ?「無駄だ。お前のアカウントはすでにない。その病室には誰もいないんだから」 イサコ「何を、言っているんだ」 ?「最近、頭痛やめまいが酷くなってないか?イマーゴは完全には解明されていない不安定な技術だ。色々と無理のある手段を使っているそうだ。副作用も避けられない。特に人の記憶をいじったりする場合はね」 イサコ「どういう意味だ!」 ?「お前の兄は、この病院にはいない。この病院はおろか、この世界のどこにも存在しない」 イサコ「一体、何の話しだ?」 ?「お前の兄、天沢ノブヒコは、数年前に死んでいる」 イサコ「なん、だと」 ?「お前は実験に使われていたんだ、天沢勇子」 イサコ「だまれ!くそっ そんな……そんな、馬鹿な」 ?「あれは、無菌室なんかじゃない。年代物の立体投影装置さ」 イサコ「違う」 ?「お前はずっと騙されていたんだ。古い空間の調査のため。兄を助けると信じ込まされ、利用されていたんだ」 イサコ「そんなはずは……そんなはずはない」 ?「お前はもう用済みだ。天沢勇子。お前は逮捕されるんだ。原川研一の一件も、子供の失神事件も、そして葦原かんなの事件も、すべてお前の仕業になる」 イサコ「そんなはずはない!お兄ちゃんが、もう死んでいるなんて! 裏切ったな、裏切ったんだな、宗助! なんだ、この痛みは……」 ヤサコ「次回、電脳コイル 最後のコイル お楽しみに」

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