第16話 イサコの病室


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ヤサコ「業界の噂によると、最初にメガネを作った会社は、心で思いうかべたものを電脳物質化する技術を発明をしたそうです。でも、その後どうなったかは、誰も知りません」

?「ユウコ……ユウコ……」

ヤサコ「あ……」

?「だめだ……」

ヤサコ「え?」

?「来てはだめだ……」

ヤサコ「あなたは?」

?「こちら 側に 来ては いけない」

ヤサコ「4423……あなた4423でしょう?」

?「さようなら、ユウコ……」

ヤサコ「待って!聞きたいことが!」

ヤサコ「待って!……夢?……あいたた……まただわ……4423、一体何なの?」

ダイチ「ぐっ!ぐっ!」

ダイチ父「そりゃー!気合が入っとらん!グラッドれい!(?)あと20本追加!」

ダイチ「あ……よく来たな……」

デンパ「大丈夫?」

ダイチ「この間家の空間ぶっ壊したんで、オヤジに大目玉でさー。毎日これやらないとメガネ返してもらえないんだ」

デンパ「この間、ガチャギリとナメッチに会ったよ?イサコに暗号の特訓受けてるんだって」

ダイチ「イサコのやつにすっかり手懐けられおって……ん?アキラじゃねえか・あいつはガチャ達と一緒じゃないのか?」

デンパ「さあ……」

フミエ「あー、やっと算数終わりー」

ヤサコ「あとは自由研究だけよー」

フミエ「ねえハラケンはほっといて、今までのを適当にまとめましょう?これじゃいつまでたっても終わんないわー」

ヤサコ「それは言い過ぎよー。これはハラケンの研究なワケだしー。私たちが勝手にまとめちゃうのはまずいわ」

フミエ「夏休みはあと1週間しかないのよ。ね、なんでヒゲやサカナのこと書いちゃいけないの?あれ書きゃ終わるじゃん」

ヤサコ「だって、あんな騒ぎになったのよ?公表したらどこから文句言われるかわからないじゃない」

フミエ「じゃあ、クビナガは?騒ぎおこしてないわよ」

ヤサコ「もう死んじゃったし。デンパくんもそっとしておいてほしい、って」

フミエ「あのねえ、相手はコンピュータウィルスなのよ?ウィルスに気ぃ使ってどうすんのよー」

ヤサコ「そーいうフミエちゃんだって号泣してたじゃない。クビナガの時」

フミエ「うっ。あれは空気を読んで合わせてやったのよ。だいたいさ、イリーガルのことを調べてりゃカンナの事故のことが分かるってワケでもないしさー。このままじゃ自由研究にもならないよ」

ヤサコ「そうねえ……私もそのうち何かが見つかるって思ってたんだけど……ね、交通局に問い合わせてみた?」

フミエ「うん。それがさあ……メールで聞いたらそれは電脳局の管轄だって」

ヤサコ「それで?」

フミエ「で、電脳局に聞いたら、事件的なものは警察局だって。警察の連絡担当はあんたよね。どうだった?」

ヤサコ「交通局に聞けって言われたわ」

フミエ「子供だと思って馬鹿にしてるわねー。ちょっとトイレ。

ん?」

TV「電波状態の空間に、まるで霧が立ち込めているように見えるのです。しかし、これを見てほしい。なんと霧が少女の顔のように見えるではないか!この交差点では、黒い人影のもののような目撃例が絶えない。悲しそうな少女の顔だとも言われている。それは、子供達の恐怖の的、ミチコさんなのだろうか!衝撃の事実が今明かされる!」

フミエ「これだわ!」

ヤサコ「あ、もうこんな時間。ハラケンとの待ち合わせ忘れるとこだったー。そういえばメガばあ、病院から帰ってないわー。お留守番頼みたいのにー」

ヤサコ「はい、もしもし……大黒病院?……ええ……ええ?」

フミエ「ヤサコ、いいこと思いついたわ!この番組よ!」

ヤサコ「フミエちゃん!今病院からで、メガばあが大変なことになっているって!」

フミエ「はぇ……?」

メガばあ「あーっあーきゃーくぁーっ」

ヤサコ&フミエ「メガばあ!」

メガばあ「きゃーっおーっ老人のささやかな楽しみを奪うのかっこの罰当たりが!」

看護師「ですから、病院内でサンマの塩焼きは困るんですぅ!」

フミエ「ま、こんなことじゃないかと思ったけどねー」

ヤサコ「おばば……」

メガばあ「やーっ!……うごっ!おっ……腰が……」

フミエ「悪いけどあたし、先に図書館行ってるわー。自由研究さっさと終わらせたいしねー。じゃあ」

ヤサコ「ご、ご迷惑をおかけしました……

全くもう!お見舞いに来て患者になってどうするのよー!」

メガばあ「それにしても最近の医者や看護師ときたら、年寄りへの敬意というもんが、まるで感じられんわい!」

ヤサコ「おばばが無茶するからでしょう?」

メガばあ「ふん。この病院のために、うちのおじじがしてきた貢献に比べれば!そのくらい小さなことよ!」

ヤサコ「えっおじじってメガネの技術者だったんでしょう?」

メガばあ「おじじはこの病院でな、メガネの技術を医療に役立てる研究をしておったんじゃ」

ヤサコ「へー、初耳だわー。」

メガばあ「病院内で自由にメガネを使えるようにしたのも、おじじなんじゃ。そのおかげでどれだけ便利になったことか」

ヤサコ「よくわからないけど、おじじってそんなにえらい人だったんだ」

メガばあ「ああ、立派な人じゃった」

ヤサコ「あ……ねえ、おばば」

メガばあ「ん?」

ヤサコ「4423って聞いたことない?」

メガばあ「4423?」

ヤサコ「誰かの名前みたいなんだけど。どうしても思い出せなくて」

メガばあ「さて、どうじゃったかのう……。もうちょっとで思い出せそうなんじゃが。ワシも4年前にぶっ倒れて少々記憶が飛んでいるのでな」

ヤサコ「そう……」

メガばあ「そうじゃ!」

ヤサコ「どうしたの?」

メガばあ「腰の薬貰うの忘れてた!」

ヤサコ「ああ。それでロビーで待ってたのにー」

メガばあ「もうボケが始まっておるな」

ヤサコ「おばばが言わないでよ!

仕方ないわねー。おばば先帰ってて。私取ってくるからー」

おばちゃん「なぜ大黒市に限って、消しても消しても古い空間が発生するんだ。ん……あ!」

猫目「よう」

おばちゃん「ね、猫目!あ、あんたここで何やってんのよ!」

猫目「明日付けで、ここに入ることになった」

おばちゃん「なんですって!?あたし増援は頼んだけど、部下を増やしてとは……」

猫目「部下じゃない。君の上司だ」

おばちゃん「じょうしぃ!?」

ハラケン「やっぱりヒットしない」

ヤサコ「ん?

……この声。まさか、ここにも古い空間が

なんかいつもの声とは違うわね」

アキラ「えはははえひひ!撮れてる撮れてる」

ヤサコ「何が撮れてるの?」

アキラ「どあーっ!ぐおーおー」

ヤサコ「あ……こ、これは……盗撮……」

アキラ「観察です

この件、なにとぞ御内密に!」

ヤサコ「それにしても、ペットで隠し撮りしてたなんてねー。へー、なかなか面白く撮れてるわー」

アキラ「どうか姉に、姉にバラすのだけは……!あの姉から自分の尊厳を守るためには、こんなことでもするしか……」

ヤサコ「まあ反省してるみたいだし。今回は見逃しt……ぐっ!ちょっとあんた、私まで撮ってたの!?」

アキラ「おぅぇぃ……」

ヤサコ「なんでこんなとこばっか撮るのよ!もう盗み撮りなんか許しません!全部消去しなs……あ?

天沢さん?これ、この病院?ついさっきの画像じゃない」

アキラ「は、はい。イサコさん、ちょっと様子が変なんです」

ヤサコ「変?」

アキラ「これは、ぼくの推測なんですけど、この病院には、きっとイサコさんの秘密があるんです」

ヤサコ「天沢さんの秘密?」

アキラ「ここには、イサコさんの親戚か誰かが入院してて、ぼくは偶然、イサコさんがお見舞いに来てるのを見たんです。でもその人、とっくに退院してるのに、イサコさんはまだ病院に通ってくる」

ヤサコ「どこか体の具合でも悪いのかしら」

アキラ「いえ、イサコさんはやっぱり、お見舞いに来てるんだと思うんです」

ヤサコ「どうして?」

アキラ「見つけたんです。もう一つの病室を」

ヤサコ「もう一つの病室?」

アキラ「その病室なんですけど、これがちょっと怪しい」

ヤサコ「どういうこと?」

アキラ「中が覗けないんです。暗号の結界が貼られてて」

ヤサコ「病室に暗号……」

アキラ「ね、怪しいでしょう?だからぼく、暗号よけのパッチを作ってみたんです」

ヤサコ「それを使えば中が見られるの?早くやって!」

アキラ「盗み撮りの是非はどうします?」

ヤサコ「ふ、フミエちゃんにこの件バラすわよ」

アキラ「了解しました。パッチを当てます

うまくいった!こうなればあとは簡単だ!」

ヤサコ「あれ……」

アキラ「大丈夫です。ドメインが切り替わってるだけです。すぐに、画像出ます。でも、ヤサコさんどうしてそんなイサコさんのこと気にするんです?ヤサコさん?」

ヤサコ「ねえアキラくん。このナンバーって、今天沢さんが入った病室?」

アキラ「え?そうですけど……こっちの方が」

ヤサコ「44、23」

アイキャッチ

TV「この目撃者によると、周辺が奇妙な光に包まれ、横断歩道のようなものが見えたという。そしてそこで、黒い霊のようなものが手招きしていたという」

フミエ「ま、バカバカしいけど面白いでしょう?でさ、なんで急に4年前とか言い出したの?」

ハラケン「う、うん。ちょっとね」

TV「これらに関わったものは、呪われ、同じ運命をたどるのかもしれない」

フミエ「それよりちょっと相談なんだけどさあ。こいつを丸写しすれば、あっという間に終わると思わない?」

アキラ「来た!もっと近づけ、ミゼット」

イサコ「もうちょっとよ。今度は失敗しない。もうすぐだから、待ってて」

ヤサコ「4423は、部屋の番号。それになんで天沢さんが」

アキラ「この壁みたいなのなんだろう。無菌室か何かかな。ちょっと移動します。これは、寝たきりの人の姿を移さないようにするマスクですね。やっぱり誰かいるんだ。よーし、ちょっとアクセス手段を変えてみますね

来た!この人、動かないけど、生きてるんですよね」

ヤサコ「まさか……あの頃にあの背格好としたら……まさか」

アキラ「よーし。顔が見えるぞ」

ヤサコ「やめて!」

アキラ「えっ」

ヤサコ「やっぱり、いけないわ。こんなの」

アキラ「あ。そう、ですよね」

イサコ「そう、元気になる。私もがんばる。じゃ」

アキラ「ミゼット、一緒に出るんだ

ヤサコさん?」

ヤサコ「なんで、同じところに傷が。単なる偶然?まさか……まさかあの時の。アキラくん、この病室どこにあるの?」

アキラ「4号棟の4階ですけど」

ヤサコ「……んっ」

アキラ「ヤサコさん!」

おばちゃん「久しぶりね」

猫目「ああ、あの1件以来だな」

おばちゃん「あんた、また何か企んでいるんじゃ」

猫目「やめてくれよ。今回はきみの手伝いに来たんだ」

おばちゃん「手伝い?」

猫目「ああ、補充を持ってきた」

おばちゃん「上司の補充は頼んでないわ」

猫目「そうかい?猫の手も借りたいって顔してるけど?あの時と同じようにね」

おばちゃん「キラバグの件なら手伝いはいらないわ」

猫目「相変わらず何でもお見通しだな。玉子」

フミエ「なんでまたこんな面倒なことはじめたの?」

ハラケン「うん、電脳ナビの事件から事件全般に広げようと思ったんだ」

フミエ「あたしの言う通りにすれば楽できるのに。で、手応えは?」

ハラケン「うん、いくつか気になるものがあった。4年前に奇妙な記事があるんだ。あちこちで子供が失神する事件が、あちこちで続いたんだ。幸い、どの子供もすぐ意識を取り戻したから、大騒ぎにはならなかった」

フミエ「原因は?」

ハラケン「分からなかった。でも、こんな推測記事が流れたんだ。被害者全員がその時電脳メガネを使っていたって。しかも、事実かどうかも分からないけど、その記事では目覚めた子供が奇妙な幻覚を見たらしい」

フミエ「幻覚?どんな?」

ハラケン「それは書いてない」

フミエ「ふーん。何か裏がありそうな話ね」

ハラケン「そうだ。この記事」

フミエ「え?これも、メガネに関係あるの?」

ハラケン「うん。気になることが書いてあるんだ」

フミエ「電脳医療?」

ハラケン「よく分からないけど、これも手がかりにならないかな、って」

フミエ「探せばまだありそうね。あたし、もうちょっとみてくるわ」

ハラケン「あ……続きが……これは……まさか」

ヤサコ「入れるわけない……あ。天沢さん」

猫目「こんなに種類がいたとはな」

おばちゃん「ベータ型も、アルファ型と同じ、シングから出てきたのかな」

猫目「さあな・だがイマーゴに関しているのは確かだ」

おばちゃん「それより」

猫目「天沢勇子か。我々に警察権がない以上、現行犯で抑えるしかない。天沢がキラバグを集め終わるまで待つんだ」

おばちゃん「分かってるわ」

猫目「もし失敗した場合、ことは公けになり、本社はレベル3のフォーマットを実行するだろう」

おばちゃん「1つだけ疑問がある。イサコは何のためにキラバグを?」

猫目「情報を持ってきた。彼女の兄妹に関するものだ」

ハラケン「もしこの患者がイサコの家族か何かだとしたら。もしかして……」

フミエ「ハラケン!」

ハラケン「!」

フミエ「都市伝説を探していたら、面白いものみつけたんだけど」

ハラケン「それは?」

フミエ「4年前に目覚めた子供の証言を集めた本だってさ。事件の直後に描かれた絵とかが載ってるのよ」

ハラケン「ホントに?」

ヤサコ「天沢さん。

私、馬鹿みたい。天沢さんに会ってどうなるっていうの。あんな夢みたいな記憶。番号だって偶然……。違う。同じ人だ。あれは現実だったんだわ」

イサコ「どういうつもりだ」

ヤサコ「あ……」

イサコ「さっきから、何故私をつける」

ヤサコ「あ、天沢さん……わ、私、夢で、夢でみたの。それから、デンスケ一緒に探してくれて……。いやだ、私わけわかんないこと言ってるよね。私、私もしかしたらあの人に出会ってるの。あなたがいた4423って病室の人!」

イサコ「貴様!」

ヤサコ「あっ」

イサコ「一体どういうことだ!」

ヤサコ「待って」

イサコ「兄のことを、何故知ってるんだ!」

ヤサコ「兄?

じゃあ4423って、あなたのお兄さんなのね!私何年も前、小さい頃、あなたのお兄さんと会ってるかもしれないの!」

イサコ「なん、だと……」

ヤサコ「そこで何かが起きた。教えて、何があったの?あなたのお兄さんに!」

おばちゃん「天沢勇子の兄が意識不明?」

猫目「ああ、何年もな。天沢は、キラバグを集め、そして」

ハラケン「あ……!鍵穴……それにこの人影。カンナの日記にあった。証言では、鍵穴の中に横断歩道があり、夜だったのに、そこだけ夕焼けに染まっていたという。夕焼け……あ、まさか!あれが……あっち」

イサコ「そんなに知りたいなら教えてやる。でもお前は信じない。きっと私がおかしなことを言っているとしか。私の兄は、戻れなくなったんだ。魂が電脳の体と共にあっちに行ったままだ。今も」

ヤサコ「あっちって……都市伝説に出てくる。そんな……でもそんなことって」

イサコ「やはりな」

ヤサコ「え?」

イサコ「思った通り、お前も大人たちと同じだな。ああ、お前の言う通り、都市伝説だ。バカバカしい話だろう?気が済んだろう。私がおかしな子だって分かって満足か。満足したなら……もう二度と近づくな」

ヤサコ「天沢さん……」


ヤサコ「次回、電脳コイル 最後の夏休み お楽しみに」