第18話 異界への扉


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ヤサコ「ネットの噂によると、メガネの設計や開発の過程は複雑な利権と歴史に彩られているそうです」

ハラケン「ぼくを……ぼくをあっちに連れて行ってくれ!」

おばちゃん「構うな!イサコだけを狙え!」

猫目「猫目だ。作戦を忘れるな!通路が開くのを待つんだ」

おばちゃん「やはり通路を開かせるわけにはいかないわ!」

猫目「何!?」

おばちゃん「今現行犯で捉えればリスクを犯さずに済む!イサコの電脳体を狙え!

なんだ……!?

攻撃は、システム内部から?まずい……タマ、止まれ!」

猫目「通路はどうだ?」

イサコ「起動しているわ。リンクは?」

猫目「まだ繋がらない!」

イサコ「はっ!」

おばちゃん「逃したか!?」

ハラケン「遅い……まさか嘘を。

カンナ……」

おばちゃん「すでに通路は起動しているのか……。周囲の暗号を破壊しろ!

間に合ってくれ……」

イサコ「あいつ、勝手に動くなと言ったのに!暗号を破壊されたら、通路が現れる場所を制御できない!くそ!もしあいつが先に入ってしまったら」

ハラケン「カンナ……

これが……通路」

おばちゃん「なんて固い暗号式だ。打ち方やめ!違う、これは位置を制御する暗号だ。通路が、」

イサコ「通路が開いたのか?」

ハラケン「カンナ……」

イサコ「通路が開いた。リンクは!?」

猫目「まだ繋がらない。お前は通路を探せ!」

イサコ「くっ……」

ハラケン「やっと、やっと会えた。カンナ!」

イサコ「まずい!」

ヤサコ「あ……」

ハラケン「……あ……」

ヤサコ「ハラケン!」

ハラケン「! ヤサ、コ……」

ヤサコ「いる……近くにいる……こっちだわ!」

ハラケン「カンナ……ぼくは……」

ヤサコ「ハラケン……」

イサコ「くそ、どこだ?あ……あれだ!」

ハラケン「カンナ……。カンナー!」

イサコ「閉じる……閉じてしまう……!

なんてことだ……はっ」

ヤサコ「ハラケン!」

ハラケン「はあ……通路が……」

ヤサコ「これ……」

ハラケン「くっ……」

ヤサコ「ハラケン!電脳の体が、ずれてる。あの時と同じ」

おばちゃん「待て!。今は電源を切るな」

タケル「新しい空間に戻るまで、絶対にメガネを外さないこと」

ハラケン「ヤサコ。ポシェットからメタタグを。黒いやつ」

ヤサコ「これ?

ずれが、戻っていくわ」

イサコ「なんともなかったか……。場所の制御はともかく、通路は開いた。うまくいってくれ!」

おばちゃん「これだ。通路は一旦開いて、崩壊したか……」

通行人「あれ、なんだ?また事故か?見ろ、信号機が全くでたらめだ」

おばちゃん「ともかく、イサコの行動は、阻止した。一時撤退だ!」

猫目「ああ、通路は開いたのだが、リンクは確立しなかった。引き続きモニターを続けてくれ。……まずいな。厄介なことになった」

ヤサコ「大丈夫?ハラケン」

ハラケン「……」

ヤサコ「あ……

ハラケン、体、どこか悪いの?ご、ごめんなさい。言いたくないなら」

ハラケン「いいんだ。ぼくこそごめん。」

ヤサコ「う、うん」

ハラケン「1年くらい前から心臓が時々調子悪いんだ」

ヤサコ「例の、立ちくらみって」

ハラケン「うん、本当は心臓なんだ。でも、こないだも隣町の大学病院まで行って精密検査してもらったけど、特に悪いとこは見つからなかったって。おばちゃんはすごく心配してさ。メガネのせいだって言ってる」

ヤサコ「メガネの?」

ハラケン「メガネ取り上げるとか言い出して。自分こそ、メガネばっかりなのに。おかしいだろ?」

ヤサコ「ねえ、あの時の、天沢さんのお兄さんの話し。あっちに行ったまま帰れなくなるって。ハラケン、信じてるの?

それって、都市伝説とか、そういう」

ハラケン「普通、信じないよね。こんなの」

ヤサコ「そんなこと、ないけど。ハラケン、カンナちゃんに会いたいの?

カンナちゃんは可愛そうだと思う。でも、ハラケンは1年も苦しんだんだし、もう……。ハラケン?」

ハラケン「ヤサコに、なんでそんなことが分かるの?1年前にはいなかったのに」

ヤサコ「あ……」

ハラケン「カンナは、今もあの場所で、助けを求めている。ぼくが埋め合わせなきゃいけないんだ。信じてもらおうと、思ってない」

ヤサコ「ま、待って!そんなつもりで言ったんじゃないの!」

おばちゃん「ん……ケンちゃん!?イサコが開いた通路に、どうしてケンちゃんが……。ん……まさか」

ヤサコ「ハラケン!何かできることがあったら、何でも言って?友達なんだから。ハラケン、私」

ハラケン「もう、構わないで欲しいんだ」

ヤサコ「え……?」

ハラケン「自由研究なんて、本当は嘘なんだ」

ヤサコ「ハラケン……」

ハラケン「ヤサコ、ありがとう」

ヤサコ「え……」

ハラケン「さっき、呼んでくれただろう?あれでぼくはちょっと助かったんだ。ごめん」

職員「全損3機、半損1機。始末書じゃ済まんなぁ。ああ、顧問」

おばちゃん「やっぱり内部から破壊したんだ」

職員「内部から?でもそれは……」

おばちゃん「アクセスコードがないと、できない。ケンちゃん」

フミエ「あ、ヤサコ。どうしたのよー。電話何度もかけたのよーハラケンとも連絡とれないから、心配して」

ヤサコ「うん……」

フミエ「ヤサコ?なんかあったの?」

ハラケン「あれは……やっぱりカンナだ」

?「タスケテ……」

ハラケン「ずっとあそこに居たんだ。苦しんで。今も、ぼくが苦しめている。もう一度行かなきゃ

……!おばちゃん」

おばちゃん「何故。何故こんなことをしたの。ケンちゃん、大事なことなの。本当のことを言いなさい」

ハラケン「古い空間に、入りたかったんだ。ぼくが行かないと、ぼくが行かないとカンナの苦しみが終わらないんだ」

おばちゃん「ケンちゃん、カンナは死んだのよ」

ハラケン「カンナを死なせたのは、ぼくなんだ」

おばちゃん「ケンちゃん……」

ハラケン「最後に喧嘩した時、ぼく言ったんだ。カンナ、いつもぼくに頼らずたまには1人でやってみせろ、って。それで、それでカンナは1人で行ったんだ。それなのに、カンナのお母さんに真相を突き止めるなんて。いい顔したりして、ぼくは……。おばちゃん!返して、返し……!」

おばちゃん「死人なんかに、あなたを渡してなるもんですか」

アイキャッチ

イサコ「はあ、はあ、はあ……。やはり、通路を開いただけではだめなのか。

暗号のコントロールを失ったわ。予定と違う場所に開いて、結局間に合わなかった。空間局の動きを封じる予定だったんじゃないの?」

猫目「すまない。玉子が作戦を無視したんだ。念のため、サッチーには少々細工をしておいたんだが」

イサコ「それでも、通路は開いたわ。何故リンクが再現しなかったの」

猫目「通路のことは、ぼくらも全ては知らない。基本的には、先生のやり方を再現しているだけなんだ」

イサコ「もしかして、暗号が間違ってるんじゃ」

猫目「以前もこれで反応があったんだ。この方法で間違いはない。キラバグは、あとどれだけ残っている?」

イサコ「予定通り、通路を補強するために1かけらだけ残してあるわ。それを使えば」

猫目「いや、今はまずい。まだ空間が不安定で予想外の事態が起こりかねない」

イサコ「どういう意味?猫目!」

猫目「空間が安定するまでの間、おそらく今夜中に、コントロールできない通路が再び開く危険性がある」

イサコ「なんだって?」

ヤサコ「ありがとう、送ってくれて」

フミエ「ヤサコ、今晩泊まっていい?」

ヤサコ「え?」

フミエ「今晩は京子ちゃんしかいないんでしょ?おじさんもおばさんも親戚の結婚式で、メガばあは旅行だって言ってたじゃない」

ヤサコ「そうだけど、でも」

フミエ「別にあんたが心配だからじゃないわよ。あたしが勝手に泊まりたいだけ」

ヤサコ「フミエちゃん」

フミエ「ついでに今日はたくさん話し聞いてあげるからさ。ほーら、元気出せよ」

猫目「さっきの反応がまだ続いているんだ。通路は、キラバグの持つ特殊なリンクがきっかけで、古い空間に変質が起こって開く。だが今日のデータでは、きっかけはキラバグだけではない。」

イサコ「どういう意味!?」

猫目「何かもう1つの未知の要因、それに誘発されて通路は開くんだ。制御暗号がない今、どこに開くかわからない。」

イサコ「そんな!それじゃまた、1年前のようなことに!」

猫目「そうはならない。この要因自体滅多に発生しない。でなければ、以前ももっと発生してたはずだ。ここは待つんだ。データの蓄積を待って」

イサコ「ダメよ!もう、私のためにあんなことが起こるのは嫌。だからあれだけ用意したのに」

猫目「待て、どうする気だ!」

フミエ「今日、うちのひとが誰もいないらしいから、泊まってあげようと思って。夏休みなんだし、別にいいでしょ。ああー、うん、いるのは京子ちゃんだけなのよ。うん、分かった」

キョウコ「声がしたよ?」

フミエ「えっあっ、やめてよ、そういうの苦手なんだから」

イサコ「おかしい。どこにも空間の変質はない。もし、もしまた知らない場所に開いたりなんかしたら、またあの時のようなことになってしまう。手当たり次第に探すしかない!お前たち!古い空間を見張れ!異変が起こったら知らせるんだ!行け!」

キョウコ「きゃははは、きゃは、あははは」

ヤサコ「もう、京子、大人しくしなさいってー」

キョウコ「やははは、へー。ん?」

フミエ「ダメよ。ちゃんと髪の毛拭かないと風邪ひくわよ!ほら、来なさい」

キョウコ「ああー!」

ヤサコ「デンスケがそばで寝てるからね。潰しちゃだめよ」

フミエ「やっぱり出ない?」

ヤサコ「うん」

フミエ「あいつ、本当に言ったのね、自由研究なんて嘘だって」

ヤサコ「うん」

フミエ「どういうつもりよー。いいかげんなやつだとは思ってたけど」

ヤサコ「そんなんじゃないの」

フミエ「え?」

ヤサコ「体がずれる都市伝説、知ってる?」

フミエ「あっちに行っちゃうって話し」

ヤサコ「今日、ハラケンの体がずれてたの」

フミエ「え?」

ヤサコ「電脳の体と、現実の」

フミエ「う……いやだ脅かす気?あたしそういうの苦手なんだから」

ヤサコ「そういうわけじゃ、ないんだけど」

フミエ「ヤサコ、交差点で何があったの?」

ヤサコ「見たの。黒い鍵穴みたいなものを」

フミエ「それって、まさかあの子供の絵と同じ」

ヤサコ「分からない。でも、ただの映像じゃない。この黒い穴はただ電脳空間にあるものじゃないわ」

フミエ「ただの映像じゃなきゃ、一体何なのよ?」

ヤサコ「意識に影響を与えるんだわ」

フミエ「や、やめてよー」

ヤサコ「ハラケンは病気になりかけてる。それも、ただの病気じゃない。あの黒い穴から、黒い穴の中から何かがハラケンを呼んでるんだわ」

フミエ「ヤ、ヤサコ。止めてってば」

ヤサコ「あの黒い穴の中は、きっと違う世界に繋がっている。あの子供たちの絵が本当に見たものなら、きっと、あの先には死んだひとがいて!」

フミエ「やめて!そんなことあるわけないじゃない!ヤサコ変よ」

ヤサコ「フミエちゃん」

フミエ「そんなの、まるで都市伝説よ」

ヤサコ「私、思い出したの。最近」

キョウコ「うーん……うーん……うーん」

ヤサコ「私、この黒い穴、初めてじゃないの」

フミエ「えっ」

ヤサコ「見たことがあるの。小さい頃、メガネをかけてデンスケを探しに行って。夢だと思ってた。だけど、絶対何かある!あの黒い穴には、何か秘密が!」

フミエ「あっ!て、停電。あ、メガネは生きてる。ん?なんで霧がこんなところに?」

ヤサコ「あ!デンスケ!」

フミエ「あ……夕焼け……?」

ヤサコ「京子!?……あ!」

フミエ「なに、これ」

ヤサコ「あ!……京子」


ヤサコ「次回、電脳コイル 黒い訪問者 お楽しみに」