第23話 かなえられた願い


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ヤサコ「ヌルたちによると、彼らは苦しみの種を食べるうちに苦しみを求める生き物としての命を得たそうです」

イサコ「お前、何故暗号路が!」

ヤサコ「わ、分からないわ。さっきのメタタグを貼ったからかしら」

イサコ「それだけでは、暗号路が出来るわけ……まさか
あの時のキラバグが!」

ヤサコ「とにかく急ぎましょう」

イサコ「暗号路が自然発生するなんて」

ヤサコ「ねえどういうことなの?」

イサコ「さっきはすまなかった。もっとちゃんと説明してやれば、お前もこんなことはしなかっただろう。黒客に与えた暗号は、イマーゴがなくても使えるようにした擬似的なものだ。駅向こうもおそらく、同じだろう。だがお前のは違う。イマーゴと、直結してる。今のお前の状態は、おそらく私と同じだ。暗号路は、イマーゴと直結して、思考から直接暗号路を取りだす構造体だ。しかし、イマーゴと直結した暗号路は、あの新型のレベル3フォーマットから攻撃されたら、無事では済まない。特に、私のように深く直結している場合は。おまけに、この古流の暗号、イマーゴを消費して暗号を出している。危険すぎる」

ヤサコ「そんな」

イサコ「お前の暗号路はまだ浅い。これ以上、いじるな」

ヤサコ「う、うん」

イサコ「くそぉ」

ダイチ「ひ、ひぃいぃぃぃっぃいぃ!うわ、うわあああああああ!
神社にも入ってくるなら、どこに逃げればいいんだよ!」

おばちゃん「個人の家。家ならすぐには入れない!どこでもいいから、民家に逃げ込むのよ!」

ダイチ「民家って、他人の家から、そんなことできるか!ひっひええええええええ」

おじさん「こらぁ。人のうちで何やっとるー!」

ダイチ「ひええええ。ごめんなさーい!

他人の家に簡単に入れるかよ!」

おばちゃん「そうねえ。分かった!しょんべん知人関係は入れるの?」

ダイチ「えええええええ!」

フミエ「まさかアイゴだとは……ん」

ダイチ「フーミエー!」

フミエ「あ?」

ダイチ「しょ、しょ、」

フミエ「しょ?」

ダイチ「しょんべんちびりそうだー!」

おばちゃん「フミエ!」

フミエ「あ、おばちゃん」

おばちゃん「ダイチを見なかったか?」

フミエ「見たもなにも、さっきしょんべんちびったって絶叫しながら走りながら去っていったわよ!」

おばちゃん「どっちへ行った?」

ダイチ「どっちへ行けばいいんだー!

そうか、こういうところも大丈夫なのか。なんだ楽勝だぜ」

オートマトン「ただいまから、メガマス特例第三法を申請します。許可されました」

ダイチ「えっ?だ、だめじゃん!
ひい、ひい、ひい、ひい。ああ!」

イサコ「おい!」

ダイチ「おっ?イサコさん……じゃない、イサコ!」

イサコ「カプセルをこっちに投げろ!」

ダイチ「えいっ」

ヤサコ「それっ。
デンスケ、よかった」

おばちゃん「無事か!?」

ヤサコ「大丈夫よ。でも天沢さんが。天沢さん、大丈夫?」

ダイチ「お、おい。どうか、したのか?大丈夫か?」

イサコ「大丈夫だ」

ダイチ「あ!忘れてた!」

イサコ「なんだ?」

ダイチ「そいつを渡して欲しくば、大黒黒客をオレに返せ!」

ヤサコ「もう渡しちゃってるわよ」

ダイチ「あ、しまった」

イサコ「いいさ。終わったら全部返してやる。小此木、お前が証人だ。2人は元の黒客に戻れと言っておけ」

ダイチ「ホントか?」

イサコ「嘘だったら、私の命をくれてやるさ」

ダイチ「お前の命なんかいらねえ。黒客さえ返してもらえれば、それでいい」

「あ」

おばちゃん「これからどうする?」

イサコ「我々は、コイルスの空間を探す」

ヤサコ「おばちゃん、京子をお願い」

おばちゃん「わかった。
行くぞ!」

はあはあはあはあ

イサコ「くそっ」

フミエ「そもそも、この道順ってなんなの?」

おばちゃん「何故古い空間に入るのに道順がいるのか、焼け残った小此木家の資料にその答えがあったわ。コイルスは買収された時、公にされたくない実験資料を抱えていた。おそらく、イマーゴやイリーガルに関するね。」

メガばあ「それらを迷い道で封印したのが古い空間だったのじゃな」

フミエ「ヤサコやカンナが見つけた道がそれね」

おばちゃん「そうよ。浅い領域はすべて、私と2.0が潰してしまった」

イサコ「残ってるとすれば、深い道のりだけだ。おそらく、長い迷路のようになっているだろう。二手に別れよう」

ヤサコ「えっ?」

イサコ「その方が確立が高くなる。見つけたら、連絡をとって合流しよう」

ヤサコ「天沢さん、大丈夫?」

イサコ「私は心配される側なのか?私にだって、イマーゴはある」

ヤサコ「そうね」

イサコ「もうすぐフォーマットが終わる。そうしたら、お前はそっちを探せ。私はこっちだ」

おばちゃん「資料によると、イマーゴの発見は偶然だったらしい。量子回路に、ある特殊な基盤パターンが、過去、例を見ないほど高性能なアンテナになることに、コイルスの主任技師は気付いた。おかげで微弱な電磁波でも高速通信出来るようになり、今の電脳メガネと革命的な通信インフォを実現した。当然コイルスは、その現象の理論を解明しようとしたけど、原理すら分からなかった。しかし、現象の再現と回路のコピーだけは簡単だった。経営者が量産に踏み切り、コイルスは急成長した。でも、技師の発見はそれだけじゃなかった。回路が電磁波以外の何かを受信していたのを発見したの」

フミエ「何かって?」

おばちゃん「人間の意識よ。技師はそれをイマーゴと名付け、さらに実験を繰り返した。人間の意識を電脳空間に取り出したり、イマーゴを逆流させて、意識を操作した。そして、イマーゴを中心とした、コイルシステムを構築し、電脳医療に応用した。それらを隠した場所が、今もどこかで眠っているの」

メガばあ「時間じゃ」

フミエ「あ……」

放送「一斉フォーマットは、終了しました。引き続き、調整プログラムに入るため、許可された……」

猫目「これで少しやりやすくなるな
来た!先生のパスワード、まだ生きてた」

放送「……引き続き、強制プログラムに入るため……許可された……」

猫目「やはりそうか。今まで先生の首輪が、機能を封印していたんだ。この、コイルスノードをコイルドメインで接続すれば、キラバグほどではないが、通路が開ける。
あとは、贈り物を用意するだけだ」

ヤサコ「声が聞こえない。フォーマットのせいかしら。……あ!」

イサコ「まただ。そうだ。あの時も、こんな階段のある神社だった」

イサコ「このままずっと、ここで一緒に暮したい。あの子に壊されちゃう。お願い、この世界を守って!」

イサコ「はっ」

猫目「よかった、やっと繋がった」

イサコ「ごめん」

猫目「ずっと電話をしていたんだ。連絡が遅れてすまなかった」

イサコ「何を今更。お前が私を売ったんだろう」

猫目「違う!5年間も信彦を探してきた、ぼくを疑うのか?」

イサコ「説明して宗助。私のお兄ちゃんを、一体」

猫目「聞いてくれ、勇子ある勢力が、ぼくらの邪魔をしようとしている。奴らの偽情報を信じるな。信彦は、今も生きている」

イサコ「なんだって」

アイキャッチ

猫目「信彦の身柄は奴らが抑えている。奴らはお前に嘘を吹き込み、病室に細工をしたんだ」

イサコ「一体、奴らって誰なの?」

猫目「メガネの公表を恐れている奴らだ。だが、一番いい方法を見つけた。全てを解決し、皆が幸せになる方法だ」

イサコ「幸せ?」

猫目「ああ、コイルドメインを探しているんだろう?優子の犬を助けるために。ぼくはその道順を知っている。さっき、突き止めたんだ。偶然、本社が隠していたコイルスのデータを拾った。それだけじゃない。あの犬は、コイルスノードだ。コイルドメインで、あの犬を直接接続すれば、我々の目的も果たせる。」

イサコ「我々の?」

猫目「あっちへの通路を開けるんだ
浅い空間からだと、キラバグのような強引な方法が必要になる。だが、コイルドメインはコイルスノードで接続すれば、すぐに開くことができるんだ。信彦のいる、あっちへの通路をな。
いいか。必ず犬をこの場所まで連れてくるんだ。ただし、1人で」

イサコ「どういう、意味だ」

猫目「事情があるんだ。これが信彦と会える、最後のチャンスだ」

ヤサコ「天沢さん
デンスケが……それに、道順も見つからないの。」

イサコ「道順が分かった」

ヤサコ「ホントに?」

イサコ「ああ。時間がない。急ぐぞ
間違いない。空間の深度がどんどん深くなっている」

ヤサコ「私も感じるわ」

イサコ「ここは……」

ヤサコ「新校舎だわ。全然気づかなかった。まさか学校の下にあるなんて」

イサコ「このビルには、メガマスも入っている」

ヤサコ「守衛さん」

守衛「ん?」

イサコ「忘れ物をしちゃったんです。学校に行かせてください」

守衛「ええ」

ヤサコ「ママに怒られちゃう」

守衛「あー、仕方ないな。特別だよ?」

イサコ「ちょっと待て。様子を見る」

ヤサコ「なにか、いるの?
天沢さん?」

イサコ「すまない」

ヤサコ「うわっ
天沢さん!待って!」

イサコ「ここからは、私1人で行く。」

ヤサコ「なんで?こんなことやめて?」

イサコ「すまん」

おばちゃん「なんだと?」

メガばあ「どうしたのじゃ?」

ヤサコ「うん、エレベータの中。」

おばちゃん「分かった。アクセスしてみる」

ヤサコ「天沢さん切らないで」

イサコ「犬は必ず助ける。心配するな」

ヤサコ「そうじゃない。どうしてこんなことを」

イサコ「危険があるんだこの先に多分、罠が待っている」

ヤサコ「え?」

イサコ「しかし、犬を治せるデバイスを見つけるには、行くしかない。危険な目に合うのは、私1人でいい」

ヤサコ「そんな」

イサコ「お前とは、友達になれたのかどうか、よく分からない。私には、友達というものがよく分からないから。でも、こんなに近くまで来てくれた他人は、お前が初めてだ。でも、やはり私が住む世界は、進む道が違うんだ」

ヤサコ「天沢さん……」

イサコ「人と人の間には、距離がある。遠い距離が。私と兄さんの間に。でも、ゆっくりと丁寧に探せば、隔たりを繋げる道が見つかるかもしれない。その道はすごく細くて、ちょっと目をそらすと、すぐに見失ってしまう。だから、必死に目をこらして探さなきゃいけないんだ。道があることを信じられなくなったら、その道は本当になくなってしまうかもしれない。だから、必ず道はあると信じ続けなくちゃならない。すまない」

ヤサコ「えっ?」

イサコ「今までの出来事は、多分全て私が原因だ。この犬も、原川も。そして多分、葦原かんなも」

ヤサコ「天沢さん?」

イサコ「メガネで見えるものなんて、全てまやかしだ。もうメガネなんて捨てろ。そしたら、手で触れられるものだけを信じるんだ。さもないと、私のようになる。メガネに殺されるぞ」

ヤサコ「あ、天沢さん、切らないで!」

イサコ「さよなら」

おばちゃん「うっ……」

ヤサコ「天沢さん!」

イサコ「コイルスの空間か……

このデバイスだ。
じっとしてろよ。すぐに終わる。」

ヤサコ「こっちだわ」

イサコ「これは……。あの鍵が、コイルスのデバイスだったのか。

やはり、この首輪が修復を邪魔していたんだ。
よかった。うまくいったんだな……はっ
なんだ、これは。これはまるで、キラバグ!?」

猫目「ああ、その通りだ」

イサコ「宗助!」

猫目「よかったな。その犬、病気が治って。勇子、我々は全てを解決する方法を見つけたんだ。その犬の電脳体だ。このコイルドメインでは、コイルスノードがキラバグの代わりとして、燃料になるんだ」

イサコ「なんだって!?待て、やめろ!うっ、ううっ……」

猫目「何故邪魔をするんだ。もうこれが信彦に会える最後の方法なんだぞ」

イサコ「どういう、意味だ」

猫目「信彦は、やはりすでに死んでいる。肉体的にはな」

イサコ「嘘だ!」

猫目「嘘じゃない。信彦は生きている。あっちでな」

イサコ「何を、何を言って……」

猫目「だから、やっとこれで信彦に会えるんだ。勇子これでお前の望みも叶う。あの人も喜んでいる。お前に会いたがっていたぞ。」

イサコ「あの人……」

猫目「ミチコさん」

イサコ「宗助、お前は一体……何を?」

猫目「ミチコさんと契約した」

イサコ「宗助!」

猫目「君はあっちでお兄さんと暮らす。ぼくはあっちの存在を実証できる。これでみんな幸せになれる。君も嬉しいだろう?勇子。思い出したか。ミチコさんは、お前と信彦を引き離したんじゃない」

イサコ「違う」

猫目「願いを叶えたんだ。ずっと一緒に居られるように。信彦をずっとあっちに閉じ込めて欲しいと。お前の願いをな」

イサコ「やめろ!
くうっ、くっ……くっ」

猫目「何をする?」

イサコ「うわあ!」

ヤサコ「これは……
はっ、デンスケ!」

イサコ「行け!」

猫目「何をするんだ!?」

イサコ「これ以上、通路を広げたら、私の暗号路を暴走させる!」

猫目「何!?」

イサコ「その通路を閉じろ!」

猫目「馬鹿な。そんなことをしたら、お前は死ぬぞ!」

イサコ「構わない。」

猫目「信彦に会いたくないのか?もうすぐ会えるんだぞ!」

ヤサコ「デンスケ!
あ……。天沢さん!」

イサコ「来るな!」

ヤサコ「天沢さん!」

イサコ「やはり罠だった。お前の犬は、救ってやれなかった!」

ヤサコ「あ!」

イサコ「すまない。全ては私が……私が始まりなんだ。
思い出した。元々、私が願ったんだ!」

ヤサコ「天沢さん?」

イサコ「お兄ちゃんを、あっちに連れてってって。ミチコさんに。お兄ちゃんと一緒に、永遠に2人だけで暮らせる場所を願った」

ヌル「ちょうだい」

ヌル「ちょうだい」

ヌル「ちょうだい」

イサコ「兄は戻ってこられなかった」

ヤサコ「そんな!」

イサコ「私が願ったんだ!ミチコに!逃げろ!」

ヤサコ「あっ……ああっ!

デンスケ……デンスケーーーーー!」

猫目「くそっ。通路は不完全か!」

オートマトン「このフロアを、フォーマットします」

おばちゃん「ヤサコ、来い!」

ヤサコ「デンスケ……
あ、天沢さんが……」

おばちゃん「ヤサコ!ま、待て!」

ヤサコ「あ!
天沢、さん

いやーーーーーーーー!」


ヤサコ「次回、電脳コイル メガネを捨てる子供たち お楽しみに」