第3話 舞踏会の夜に


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プロローグ
「それは、むかしむかしのお話です。あるところに、お父様とお母様を亡くし、深い悲しみにくれる、幼いお姫様がいました。そんなお姫様の前に、白馬に乗った、旅の王子様が現れます。凛々しい姿、優しい微笑み、王子様は、お姫様を薔薇の香りで包み込むと、そっと涙を拭ってくれたのでした。「たった1人で、深い悲しみに耐える小さな君、その強さ、気高さをどうか大人になっても失わないで。今日の思い出にこれを」「私たち、また会えるわよね」「その指輪が、君を僕のところに導くだろう」王子様がくれた指輪は、やはりエンゲージリングだったのでしょうか?」……それはいいとして、お姫様は、王子様に憧れるあまり、自分も王子様になる決意をしてしまったのです。でもいいの〜?ほんとにそれで〜。」

ウテナ「ううん……」

プミップミッ

ウテナ「指輪だけは確かにここにあるんだ。あの出会いは、本当のことなんだ。決闘広場、薔薇の花嫁、全部この指輪の導きなのかなー」

ガチャ

ウテナ「あ……」

アンシー「おはようございます。ウテナ様」

カチャカチャカチャ

ウテナ「ごちそうさまー
朝と夜は、この2人きりの生活が続くわけかー」

アンシー「静かでいいですねー」

ウテナ「君さあ」

アンシー「はい」

ウテナ「君、クラスでもいつも1人だけど、本当に友達とかいないの?」

アンシー「いますよ?ここに」

チュッチュッ。
ぢゅー、ぢゅー!スポン!

ウテナ「ま、それはそれでいいとしてだ

その、ウテナ様っていい方はやめてよね」

アンシー「いけませんか?」

きゃー、ウテナさまよー!
ウテナさまー、おはようございまーす

ウテナ「やあ、おはよう」

ウテナさまー
おはようございまーす

ウテナ「おはよー。おはよー

あ。や、みんな確かにウテナ様って呼んでるけどさ、君の場合、なんか冗談になんないんだよなー」

アンシー「でも、私はウテナ様とエンゲージしましたから」

ウテナ「だからやめてくれよ、そのエンゲージしたとか薔薇の花嫁、ってのは」

アンシー「でも」

ウテナ「あのねー、こう見えても僕は健全な女子なの!花嫁とかそういうのじゃなくて、健全な男子にしか興味ないの!」

桐生「いやー、それはよかった」

ウテナ「ええ……」

桐生「どもー
健全な男子、生徒会長の桐生冬芽です」

アンシー「ふふっ、おはようございます」

ウテナ「親しいの?」

桐生「それはもう……なにせ彼女は薔薇の花嫁なのですから」

ウテナ「そうか。あんたもあの決闘ゲームとかの仲間なのか」

桐生「そのこと、誰かに話した?」

ウテナ「あんな馬鹿なこと誰にも話せるもんかー」

桐生「結構。いやー、怒った顔も凛々しくて素敵だねぇ。
天上、ウテナくん?」

ウテナ「んー……」

バシーン!

ウテナ「気安いな。生徒会長さん」

桐生「そうとんがるなよ。もっと仲良くしようぜ。
俺と君は、満更縁がない訳じゃないんだ」

ウテナ「あ……
あ……
あんたは……
あんたはなんでそれを持っているんだ?」

桐生「もちろん、君と出会うために決まってるじゃないか」

ウテナ「……あっ」

ウテナ(まさか)

桐生「フッ
君とはもっと、親しくなりたいな」

ウテナ「えっ」

カーン、コーン、カーン

ウテナ(まさか、彼が)


桐生「卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでゆく。我らが雛は、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでゆく。世界の殻を破壊せよ!」

ジジジジ、ガチャン!

桐生・樹璃・幹「世界を革命するために!」

桐生「昨日、再び西園寺が天上ウテナと決闘し、敗れた」

カチッ

幹「西園寺さんは、昨日から部屋に閉じこもったまま、今日は学園に来てないそうです」

樹璃「奴のことなどどうでもいい。それより天上ウテナだ。彼女もまた、我々同様世界を革命しようとしているのか?」

桐生「いや、彼女は我々と違い、世界の果てからの手紙を受け取っていないようだ」

樹璃「ならどうして、薔薇の刻印を持っている」

桐生「さて、どうしてかな」


若葉「ウーテナー!」

ウテナ「うおっうおっうおっ」

若葉「ウテナさまー。キャー」

ウテナ「うおっとお!」

スタッ

ウテナ「若葉、今のはかなり危険だったよ」

若葉「そう?
あら、冬芽さんを見てたのね?うん、なるほどそういうことか」

ウテナ「何がそういうことだよー」

若葉「フーン、でもあの人止めた方がいいわよ」

ウテナ「んー?」

若葉「学園一のプレイボーイで、かなりの子が泣かされてるって、噂!」

ウテナ「そんなプレイボーイが、白馬の王子様なわけないか」

若葉「んー?
あ、そういえばウテナって、寮は誰と同室になったの?」

ウテナ「姫宮アンシー」

若葉「えっ、マジ……」

ウテナ「んー……」

若葉「んー、外したわね」

ウテナ「外したって?」

若葉「あの子って、案外男子にモテるみたいで、よくない噂聞くんだよねー」

ウテナ「噂?」


バシッ

女子生徒「あんたのせいよ!あんたがタラしこんだから、私たちの西園寺さんは駄目になったんだ」

女子生徒B「西園寺先輩、剣道部もずーっと休んじゃってんのよー!」

女子生徒C「怖い子」

女子生徒「私たちの西園寺さんを、返してよ!」

女子生徒B「なんとか言いなさいよ!」

七実「何をしてるの?」

「あっ
七実さま!」

七実「一体これは何の騒ぎかしら?場合によっては生徒会に報告せねばいけませんねー」

女子生徒「い、いえあの」

女子生徒B「ち、違うんです」

七実「フーン」

「失礼しますっ」

七実「大丈夫?」

アンシー「ええ、どうもありがとう。あなた、七実さんでしたっけ」

七実「姫宮先輩は男子生徒に人気があるから、つい恨まれちゃうのねー」

アンシー「えっ」

七実「わたくし達1年の男子にも、姫宮先輩は一番人気なんですー。何しろ今年のダンスクイーンとしてノミネートされてるんですから」

アンシー「ダンスクイーン?」

七実「この週末のダンスパーティーで、学園一のダンスクイーンを選ぶことになっているの。姫宮先輩はその1人にノミネートされてるんですよー?必ずいらしてくださいね?男子達が喜ぶし、わたくしも、姫宮先輩と仲良くなりたいって、ずっと前から思ってたの」

アンシー「はあ……」

七実「んふふっ」

アイキャッチ

アンシー「うーん……えいっ!やーだー、引っかかっちゃった〜」

ウテナ「あのさあ、姫宮」

アンシー「はい」

ウテナ「君は本当に友達いないの?」

アンシー「いますよ?ここに」

チュチュ「ぢゅ!?」

ウテナ「あー……それはそれでいいとしてもだ」

ピンポーン

ウテナ「ん?」

男子生徒「姫宮アンシー、天上ウテナ様、お届け物を持って参りました」

男子生徒「ダンスパーティーのクイーンにノミネートされた証として、実行委員会も、このドレスを送らせていただきます」

ウテナ「あー」

アンシー「あ」

ウテナ「あー」

男子生徒「週末のパーティーには是非、それを着て出席してくださいますよう、委員会一同、心よりお待ちしております」

ウテナ「すごいなー」

アンシー「ウテナ様のは?」

ウテナ「えー」

男子生徒「それから、こちらの箱はウテナ様へ、桐生会長からです」

ウテナ「えー、僕にー?でも僕は関係ないよ。招待もされてないしさー」

男子生徒「箱の中に、招待状とメッセージカードがあるはずです。では、失礼します……」

ウテナ「うっ、げげー。なんだよこれー。僕がこんなの着て、パーティーに行くとでも思ってんのかなー」

アンシー「行かないのですか?」

ウテナ「うん、興味ないからね」

アンシー「では私も」

ウテナ「ええ?なーんでー?せっかくダンスクイーンにノミネートされているんだろ?」

アンシー「でも私、人が大勢いるような場所は苦手なんです」

カコ

アンシー「なんだか、みんな同じような顔の人に見えて、怖いんです」

ウテナ「……」

アンシー「さ、今度はチュチュの番よ?」

ウテナ「いや、君は行った方がいい。是非行くべきだよ!君には友達が必要だ!」

チュチュ「ちゅ?」

ウテナ「いや、そうだけど。もっと沢山作るべきだ!」

アンシー「フ。ウテナ様がそう言うのなら」

ウテナ「うん
それにしてもあの男、何考えてるんだか」

ゴーン

A子「かしらかしら、ご存知かしらー?」

B子「あーら奥様、ご存知ざますー」

犬「ワンッ」

A子「間も無く開かれる舞踏会の噂で、都は今、もちきりざます」

犬2「ワンッ、ツー」

A子・B子「ずんちゃっちゃ、ずんちゃっちゃ」

犬「ワンッ」

A子「舞踏会といえば聞こえはいいザマスが、早い話しがボーイハントザマス」

B子「最近お嬢様には困ったものザマス」

犬2「ワンッ、ツー」

A子・B子「ずんちゃっちゃ、ずんちゃっちゃ」

犬「ワンワンッ」

A子・B子「破廉恥ザマス〜」


ガチャ

七実「だーれだ」

桐生「よせよ、七実」

七実「いい夜ですわね。お兄様。ンフッ」

桐生「甘えん坊だな、我が妹君は」

男性「みなさま、今宵、よくぞお越しくださいました。恵多き春の一夜を楽しく催したこのささやかなダンスパーティーは、同じにまた、我らがダンスクイーンを選ぶ、コンテストでもあります。どうかみなさま、ご協力ください」

パチパチパチパチ

女性「ウテナ様だわー。かっこいい姿も決まってるけど、ドレス姿もきまっているわー」

女性「ウテナ様ー」

女性「ウテナ様ー」

七実「いかが?最近お兄様姫宮さんのことばかり話してるから、七実が招待したのー」

桐生「天上、ウテナ……」

ウテナ「やっぱりこんなもん着てくるんじゃなかったー」

アンシー「すみませんウテナ様。私のために、恥ずかしい格好を」

ウテナ「恥ずかしい?そうなのかー?」

七実「よくいらしてくださいましたー。姫宮先輩?」

アンシー「あ、七実さん」

七実「そのドレスとっても素敵ー。よくお似合いですわー。ンフッ」

アンシー「ありがとう」

七実「さ、ノミネートされた方はこちらにいらして?」

アンシー「あ、あの……」

ウテナ「なーんだ。姫宮にもちゃんと友達が居るじゃないかー」

チュチュ「ぢゅ……」

ウテナ「いや、それはそれとしてもだ」

桐生「素晴らしい!」

ウテナ「ええ?」

桐生「想像、以上だ!」

ウテナ「あ、何を想像したのかは知らないけど、こんなの僕には似合わないよー」

桐生「何を言う。君こそ、この学園のクイーンだ。そのドレス姿で、俺と踊ってくれると嬉しい」

ウテナ「うっ」

桐生「俺たちは、絵になるカップルだと思うけどな」

コツコツコツコツ

アンシー「あ、あの……」

女子生徒「七実様?ちゃんと送ったドレスを着てきましたねー」

女子生徒B「よく似合ってますこと」

七実(わたくしからお兄様を奪う人は、恥をかいてもらうわ)

アンシー「はっ!」

ポンッ、シャーーーーー

アンシー「キャー!」

ボーイ「こ、これは。し、失礼いたしました」

女子生徒「フフフフフ」

七実「あーら。せっかく私が送った特別製のドレスを濡らしちゃうなんて。そのドレスは水に濡れると大変なのよ?」

桐生「さ、踊ろう」

ウテナ「アッ、やめてくれ。
だいたい、こんなパーティーは僕の趣味じゃないんだ」

桐生「じゃ、なぜ来てくれたのかな?」

ウテナ「それは……」

桐生「それは?」

ウテナ「もしかしたら、あんたが」

桐生「俺が、何?」

ウテナ「……」

「キャー!」

ウテナ「あっ!
姫宮!」

桐生「七実の仕業か。どういうつもりだ。いいところだったのにな」

ウテナ「姫宮ー!」

七実「何?あれは」

ガチャン

「キャア!」

アンシー「ウテナ様」

ウテナ「踊ろう姫宮」

バッ

チュチュ「ちゅっ」

ガシャン!


七実(計画通りに運んでたのに、あの子何者!?)

桐生「七実。
おいたも、ほどほどにな」

七実「さあ、何のこと?それより姫宮さんと踊ってる子、誰?」

桐生「天上ウテナだ」

七実「天上ウテナ?」

桐生「ああ。イカすだろう?
しかし、俺の送ったドレスを脱ぎ捨てるとはね……」

七実(お兄様が……
あの女にドレスを……?
あの女に!)

次回予告
ウテナ「薫幹。通称ミッキー。ピアノとフェンシングの腕は全国レベルの美少年!」

アンシー「まあ」

ウテナ「まだ中一なのに、大学のカリキュラムを受けてる超秀才!」

アンシー「すごいんですねー」

ウテナ「彼は生徒会でも、唯一決闘に反対している人みたいなんだ。それどころか、姫宮の家庭教師さえしてくれるって言ってくれてるんだ」

アンシー「がんばっておもてなしをします」

ウテナ「次回、少女革命ウテナ 光さす庭・プレリュード 」

アンシー「絶対運命黙示録」