第1話 黒き手の処女(おとめ)たち


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2体の石像

ボボッ

霧香「NOIR。 そは 古(いにしえ)よりの定めの名
死を司る2人の乙女
黒き御手は嬰児(みどりご)の
安らかなるを守りたもう」

ブシュッ

バババババ(バイク音)

ポン

ミレイユ「んっ」

カチカチッ

ピッ

ミレイユ「は……」

ポン

ミレイユ「Make a pilgrimage for the Past, with me.

過去への、巡礼?何よ、馬鹿馬鹿しい」

カチ、カチ

カタッ

オルゴール音

ミレイユ「ハッ」

女子生徒「それでさ、昨日見た?」

女子生徒「見たー。やっぱいいよねー。」

女子生徒「あ、じゃあまたねー、ばいばーい」


ゴオオオオ(トラック音)

カツ

ミレイユ「話して。

アンタ、一体何者?」

オルゴール音

ミレイユ「くぅ……」

ドオン

バッ(工事現場に入る霧香)

ミレイユ「ああっ……」

カッカッカッカッ(走る)


カツカツカツカツ(階段を上る)



カツカツカツカツ(走る)

オルゴール音

ミレイユ「そこまでよ」

カチャ(銃を構える)

ミレイユ「とんだ巡礼ね」

カチッ(懐中時計を閉める)

ミレイユ「もう一度だけ聞くわ。アンタ、何者?」

霧香「NOIR」

ミレイユ「えっ」

霧香「待っていたわ、あなたを」

バンッ バンッ(銃声)

バン、バンバン(銃声)

男「うおあ」

バッ(霧香降りる)

ミレイユ「あっ」

カンッカンッ

バンッ、バンッ

男「うおわ」

カッカッカッカッカッカッ

ミレイユ「あいつ……」

バタバタバタバタ(走る男達)

ミレイユ「えっ」

ガンッ(着地音)

カチッ(銃を構える)

サッ、バン!バン!バン!

男「うおあ」

バンバンバン、バンバン!

ミレイユ「狙われているのは、私?違う」

カツ、カツ、カツ、カツ(靴音)

カチャッ(銃を蹴る音)

ミレイユ「全部、あいつがやったって言うの」

ミレイユ「エッ」

スタッ

カチ……カチ……(銃を構える)

ミレイユ「ハッ」

男「ハッ」

ドガッ(殴られる)

ミレイユ「うっ……くぅ……」

男「フン」

カチッ(銃がこめかみに当たる)

バンッ

男「うおっ」

バンッバンッバンッ

男「うおあ」

男「フフフ」

バンッ

男「うおあ」

バンッ

男「うおあ」

男「うわ」

ガッ

男「うおあ」

霧香「私……人を殺せる。こんなに、簡単に」

ミレイユ「……」

霧香「なのに私、どうして悲しくないの?」

アイキャッチ

霧香「これでいいわ」

ミレイユ「ありがとう。随分慣れた処置ねー。看護婦でもやっていたの?」

霧香「分からない」

ミレイユ「ここはあんたの家ね」

霧香「うん」

ミレイユ「でも、あんたの家じゃない」

霧香「うん。夕叢霧香(ゆうむらきりか)。それが私の名前」

ミレイユ「それも本当の名前じゃない」

霧香「うん」

ミレイユ「調べさせてもらったわ。夕叢家の3人は半年前にこの家を購入し転居してきた。まもなくあんたの両親はアメリカに赴任し、あんたは1人でこの家から学校に通っている」

霧香「うん」

ミレイユ「ところがそれは全部偽りだった。役所や学校に提出された書類は全部偽造。あんたの戸籍も、両親の勤め先も何もかもが実在しない。夕叢夫妻は海外赴任の名目ですぐに姿を消した。
何者かが両親の役を演じていたのね。あんた誰?どこから来て、ここで何をやっていたの?

カチャッ(銃の分解)

ミレイユ「どうかした?」

霧香「分からないの。どうしてこんなことが出来るのか」

ミレイユ「ん……」

霧香「それだけじゃない。私は……全てが分からない。

気がついたら私はここにいた。私は誰?私は、NOIR。それ以外は何も、分からない」

ガタッ(クローゼットを開ける)

カチャッ(服を寄せる)

カチャ(押し入れを開ける)

ガタ……(引き出しを開ける)

霧香「そして、これを見つけたの」

ガチャ、ガタッ(充填音)

霧香「それだけじゃない。もっと恐ろしいことも知っている。私は、どうして」

カタ(銃を取る)

ミレイユ「自分のことは覚えていない」

霧香「うん」

ミレイユ「あたしのことは?」

霧香「ミレイユ・ブーケ。最も信頼できる殺人代行業者」

ミレイユ「そう。じゃ肝心な話しに移りましょうか。見つけたのはこの銃だけじゃないはずよ。あんたは、もう1つ隠してるものが、ある」

霧香「ん」

ミレイユ「出して」

カチ

オルゴール音

ミレイユ「ハッ

止めて」

カチ

霧香「あっ」

ミレイユ「知っているのね」

霧香「あ?」

ミレイユ「知っているのね」

霧香「え……」

ガタタ(引き出しを開ける)

霧香「ああ……」

霧香「ハッ」

サアア……(舞い散る笹)

ガチャ(車のスポットライト)

バタバタバタバタバタバタ

霧香「はあはあはあはあはあはあ」

バンッブシュバンッブシュ

プップップ!(サイレンサー銃)

バタバタバタバタ

バンッバンッ

ミレイユ「そして、あんたは私を呼んだ」

ミレイユ「とんだ巡礼ね」

霧香「NOIR。私とあなたの、過去への巡礼」

カチッ(銃を構えるミレイユ)

霧香「あっ」

ミレイユ「1つ、あたしの仕事は人を殺すこと。助けることじゃない」

カチャッ、カチャ(銃を霧香へ渡す)

ミレイユ「2つ、あたしは今まで1人でやってきた。これからもずっと……」

霧香「力を貸してミレイユ。私が一体何者なのか、その答えが、見つかるまで」


ミレイユ「出国の手配は済ませたわ」

霧香「ありがとう」

ミレイユ「もういいでしょう」

霧香「うん」

ミレイユ「分からないわね。こんなところで名残を惜しむなんて」

霧香「うん」

ミレイユ「私はいろいろな人と一緒にいるときは、いつもひとりぼっちだった」

霧香「えっ」

ミレイユ「私じゃないわ。アーネスト・ヘミングウェイよ」

霧香「行きましょう、ミレイユ」


ミレイユ(あんたは私の仕事を知っている。生かしてはおけない。分かっているわね?)

霧香(ええ)

ミレイユ(いいわ、あんたと手を組んでも。ヤツらはきっとまた仕掛けてくる。私はヤツらに聞きたいことがある。それが終われば、あたしがあんたを殺す)

霧香(待っているわ。その時を)

カチカチ、カチッ