第2話 日々の糧


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2体の石像

ボボッ

霧香「NOIR。 そは 古(いにしえ)よりの定めの名
死を司る2人の乙女
黒き御手は嬰児(みどりご)の
安らかなるを守りたもう」

ブシュッ

ゴー(車の音)

男の子「5、6、おおっと。あ、パパだ!」

ガチャ

父親「ただいま、アンリ」

男の子「パパ、おかえり!」

母親「おかえりなさい。今日は早いのね」

父親「ああ。思ったより早く仕事が終わってね。ルイはよく寝てるなぁ」

母親「さっきまでた異変だったのよ。全然泣き止んでくれなくて」

父親「ハハハハ、そうかー、ハハハ。そうだアンリ、欲しがってたゲーム、明日パパと買いに行こうか」

男の子「ホントに!やったあ!」

バタン

ドオーン!

ピーポー……


ミレイユ「お。うーん」

カチッ ピピッ

入れイユ「依頼だわ」

霧香「どうする?」

ミレイユ「ま、検討してみましょ」


ミレイユ「ん?」

霧香「ん」

ミレイユ「退屈?」

霧香「んーん」

ミレイユ「さ、そろそろ帰るわよ」


牧師「慈しみ深い神よ、あなたは恩顧キリストの使徒、復活によって信じるものに永遠の命と復活の希望を与えて下さいました。ここに葬られる者を復活の日まで安らかに憩わせて下さい。復活であり、命であるキルストによって永遠の命を受ける喜びが出来ますように」

メガネの男「話しがある」

男「では公安局に戻って」

メガネの男「いや、私の車で話そう」

「アーメン」

ガチャ、バタン

メガネの男「殺されたのは、国家憲兵隊対テロ部隊の将校だ。国家に命を捧げた英雄を一警官であるとしか発表できないのは悔しいよ」

男「同感です」

メガネの男「これで3人目だ。最初の2人はGジェンの下士官、そして今度は将校。奴等は一体どうやってGジェン隊員の身元を割り出したのか」

男「まさか、次長は」

メガネの男「当局から情報が流出した可能性は否定できない」

男「うーん……」

メガネの男「我々としては、少なくとも国防省への情報書だけでも用意しておきたい。いいな」

男「分かりました。至急、調査に当たります」

メガネの男「極秘裏にな」

男「はい」

ガチャ バタン

メガネの男「はー」

ゴーンゴーンゴーン

メガネの男「単なる杞憂に終わってくれればよいのだが……」

男「私もそれを祈っております」

コツコツコツ

ガチャッ

カツカツ

ガチャ(ポストを開ける)

ミレイユ「ふう」

カツ、カツ、カツ

霧香「よいしょ」

カツカツカツ

キキ(扉を開ける)

霧香「ん?」

チャリ(懐中時計)

カチ、カチ(マウスクリック)

ミレイユ(なべて世はこともなし、か)


ミレイユ「そこのナイフ取ってちょうだい」

霧香「ええ」

シャッ

霧香「はい」

ミレイユ「……ありがと」


ミレイユ「日々の糧。すなわち天の恵みよ?ちょっとはおいしそうに食べたらどう?」

霧香「おいしいわ」

ミレイユ「全然そう見えないわよ」

霧香「そお?」

ミレイユ「そーよ」

ジャジャジャジャ(観葉植物に水をあげる)

オルゴールの音

カチャ(銃を置く)

ミレイユ「自分のことは覚えてない」

霧香「うん」

ミレイユ「あたしのことは?」

霧香「ミレイユ・ブーケ。最も信頼出来る殺人代行業者」

ミレイユ「そう。じゃ、肝心な話に移りましょうか。見つけたのはこの銃だけじゃないはずよ」

霧香「……」

ミレイユ「あんたは、もう一つ隠しているものが、ある」

霧香「ん」

ミレイユ「出して」

チャ、カチ(懐中時計を開ける)

ミレイユ「!」

ガタッ(観葉植物の位置を変える)

ガガ、ガタ(椅子に座る)

クレッソワ「アンタのお陰で犬を処刑することが出来たよ。Gジェンという名の犬を、3匹。全く。飼い主に忠実な猛犬ほど愚かしいものはない。アンタはフランスの未来に貢献した真の愛国者だよ」

ルグラン「金は」

クレッソワ「いつもの通りだ。それより公安の方は」

ルグラン「心配するな。私がついてる」

クレッソワ「頼りにしてるよ、同志」

ガタッ(立ち上がる)

クレッソワ「来週、またこの場所で」


ミレイユ「標的は、フランス国家公安局部長、ジャンジャック・ルグラン。に……極右テロ組織国民武装連合主流派幹部、ピエール・クレッソワ。ルグランはこいつにGジェンの名簿を売ったのね。そして逆にクレッソワから情報をもらって検挙の実績を上げていた。依頼人は国民武装派連合の分派。主流派に情報を流されて、ダメージ受けた連中がルグランと主流派幹部をまとめて始末しようってワケ。

ま、どっちもロクなもんじゃないけど、報酬はそれなりにってとこね」

カチッ(クリック)

アイキャッチ

コツコツコツコツ

メガネの男「ん」


ミレイユ「来たわ。依頼人の情報通りよ。ルグランは間違いなくクレッソワと繋がってるわ」

コツコツコツコツ

ミレイユ「ここが主流派のアジト。今時、よくこんな物件があったものね」

バサッ(地図を広げる)

ミレイユ「これがあのビルの見取り図よ。非常口はここと……」

キュキュッ

ミレイユ「ここ。正面は封鎖されていたから、侵入経路は限られてるわね。ルートは2つ。メインはあたしが抑える。残る脱出路は、あんた」

霧香「うん」

カタ、カタカタカタ、カタカタカタカタ(PCのキータッチ)香「うん」


カツ、カツ、カツ、カツ(階段を降りる)

シャーーーーーー(チョーク音)

カチッカチ

バン、バン、バン

カチッカチ

ドン、ドン、ドン

プシュ、プシュ、プシュ

ミレイユ「ふーん……」

カチャ、カチャ、ゴト(銃の手入れ)


グラサンの男「ん?」

クレッソワ「我らが砦へようこそ、同志」

ルグラン「私を呼びつけるとは、よほど重大な用なんだろうな」

クレッソワ「ああ、多分」

ルグラン「何事だ」

クレッソワ「分派の動きがこの数日、どうも気になってね。連中の1人を拉致してみた」

ルグラン「なんだと」

クレッソワ「こっちへ……」

キイ(扉を開ける)

クレッソワ「しぶとかったが、1時間前に吐いた。分派の連中は我々とあんたを始末するために、殺し屋を雇ったそうだ」

ルグラン「確かなのか」

クレッソワ「あーあ。連中の考えそうなことだ」

ルグラン「それで、暗殺者の名前は吐いたのか」

クレッソワ「NOIRというコードネーム。それ以外は知らないようだ」

ルグラン「NOIR!あのNOIRか。……いや、まさか」

クレッソワ「知っているのか?」

ルグラン「ああ、知っている。裏社会ではその名は特別な意味を持つ」

クレッソワ「ふーん……」

ルグラン「過去に我々も、フランス国家公安局もNOIRに仕事を依頼したことがある、だが、あれは70年代のことだった」

クレッソワ「ん?」

ルグラン「NOIRは活動を再開したというのか。それとも、別の誰かがNOIRを名乗っているのか」

プシュ(サイレンサー銃)

男「おわあ」

カチャ、カチ。

クレッソワ「NOIRが何者であろうと、仕掛けてくるのが分かっているんだ。いくらでも手の打ちようはある。心配ない。すぐにメンバーを集めよう」

グラサンの男「こいつは」

クレッソワ「好きにしろ」

グラサンの男「ふん……」

ピッ、シャーーーー

ダダダダダダダダダ

「??」

クレッソワ「お前は部長と一緒に非常口に回れ」

グラサンの男「わかった」

クレッソワ「あとは俺についてくるんだ」

ブッピュッピュッピュッ(サイレンサー銃)

パンッパンッ

ボスッボスッ(壁に銃が当たる)

クレッソワ「フンッ」

バンッバンッ

バンッ、カチ

クレッソワ「チッ」

バッ、ピュンピュンピュン(サイレンサー銃)

男「うわあ」

キィィィ

霧香「ああっ」

グラサンの男「うれえ!」

霧香「くっくっ……」

バッ、ガチャ(グラサンを取る)

ブシュ

グラサンの男「うおぁ」

ドサッ

プシュッ(サイレンサー銃)

グラサンの男「ああっ」

ルグラン「おお……。まさか……そんな……お前が、お前がNOIRなのか」

プシュッ(サイレンサー銃)

ルグラン「うおお!」

カチャ(扉を開ける)

ミレイユ「あんたの仕事は、いつも下品ね」


ミレイユ「今日はいい天気になりそうね」

霧香「日々の糧。私は人を殺して生きている。
なのに、私、どうして悲しくないの?」

ミレイユ「それがわかれば、私もあんたを殺せるのにね」