樹璃「だって。あきらめるしかないさ。奇跡なんてこの世にはないんだから」
キンッ
パチパチパチ
樹璃「次っ」
カンッ
男子生徒「はっ」
男子生徒「うりゃっ」
キンッ
ピー
樹璃「次っ」
キンッ カンッ
パチパチパチパチ
樹璃「はぁっ。次!
ふああ、はっ」
幹「あれだけの人数を連続で。さすがです。もう樹璃さんに敵うものはいないですねー」
樹璃「それで私は一体、何を手にいれるのかな?」
男子生徒「うあっ はっ」
樹璃「世界の殻を、破れるのかな」
教頭「有栖川くん、先週の地域研究会では、君たち生徒会が仕切ってくれて、助かったよ。
他の先生方も関心しておられた。例年以上の出来だってね。君たち今年の生徒会活動は、我が学園の伝統に残るものだよ」
樹璃「ありがとうございます」
教頭「ところで、昼食がてら今後の生徒会について議論したいのだが、どうかね?」
樹璃「はい」
教頭「ちょっとここで待っていてくれたまえ」
女教師「あなたは!本当に校則を守らない人ですねえ。学園内にペットを連れこんできていいなんて、校則のどこにそんなことが書いてあるんです?」
チュチュ「ちゅー!」
ウテナ「連れてきたんじゃなくて、ただお弁当を届けてくれただけなんですけどー。そういうのって違反なんですか?」
ヒュンッ
女教師「猿に忘れ物を届けさすなんて、校則以前の問題です!わかっているの!?天上ウテナさん!」
ウテナ「なこと言われてもなー」
女教師「なんですか、その反抗的な態度!もう絶対に許しま……あ、こらまてー!」
樹璃「やあきみ」
ウテナ「え?」
樹璃「きみが天上ウテナかい?」
ウテナ「あなたは、生徒会の人ですね?」
樹璃「少し話がしたいな」
女教師「ウテナさん!あなたも手伝いなさい!」
ウテナ「残念ですが、時間がとれそうにないので」
女教師「おし、袋小路よ!
ウテナさん、ドア閉めて!」
ウテナ「はいっ」
バタン
教頭「待たせたね。じゃ、行こうか」
樹璃「教頭先生」
教頭「は?」
樹璃「探していらした、生徒指導の女性教師。あそこの相談室に入っていきましたよ」
教頭「え?女性教師?」
樹璃「やだなあ。だってさっき言ってらしたじゃないですかー。ぜひ彼女と昼食がてら生徒指導について論議せねば、って」
教頭「有栖川くん、どういうことかね?私は君と食事の約束を」
樹璃「私は同じことを2度言いません。そういうことです」
コンコン
ガチャ
女教師「まー、教頭にお誘いいただけるなんて、光栄ですわー」
教頭「わかったから、早くしたまえ!」
女教師「ちょっと、お化粧なおさなきゃ」
教頭「んなものはいいから早くしたまえ!」
女教師「天上さん!すぐ戻りますから、ここで待ってらっしゃい!」
チュチュ「ちゅー」
樹璃「やあ、少しは時間ができたかな?」
チュチュ「ちゅ」
ウテナ「はー助かったー。奇跡とはこのことですよー。
先輩の噂は中等部でもよく耳にします。フェンシング部のキャプテンで、教師たちも一目おく、優秀な生徒会メンバー。でも、本当はすんごい不良で、裏の顔を知っているものは、決して10M以内には近づかないって」
樹璃「それじゃ猛獣だよ」
ウテナ「嘘か本当かしらないけど、有栖川先輩に睨まれたら、教師でも学園を追い出されるって聞きましたけど?」
樹璃「へー。下級生の情報網も侮れないな」
ウテナ「じゃ、噂は本当なんだ」
樹璃「さあ?君こそ、ずいぶん剣の腕が立つらしいね。噂はかねがね……」
ウテナ「いやあ、そんな。あんまし剣で戦うってのは好きじゃないし。そういえば、生徒会メンバーってことは、やっぱり薔薇の花嫁を狙っているんですよね?」
樹璃「君は知っているかい?なぜみんなが薔薇の花嫁を狙っているのか、その訳を。
薔薇の花嫁と、彼女とエンゲージすれば、何でも奇跡の力。世界を革命する力が手に入るそうだ」
ウテナ「そりゃすごいや。じゃ、今エンゲージしてる僕が、その奇跡の力を持っている訳だ。期末テストの時とか便利そうだな〜。勉強せずにオール満点とかー。
決闘で、姫宮を奪い合うなんて馬鹿げたこと、本当にみんなマジでやっているんですか?」
樹璃「君の言う通りだね。薔薇の花嫁を奪い合うなんて、確かに馬鹿げている」
?「奇跡を信じて。想いは届くと」
樹璃「そう、奇跡なんてある訳ないんだ」
ウテナ「先輩とは、話が合いそうですよ」
キンコンカンコーン
放送「中等部2年A組天上ウテナさん、至急生徒指導室まで来てください」
ウテナ「ん?
やれやれ、あの先生もしつこいなー。」
最終更新:2015年09月06日 19:13