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凡庸論~ナンバーワンにもオンリーワンにもなれない~」(2007/02/16 (金) 21:00:53) の最新版変更点

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<p>イントロダクション</p> <p> 真壁慧利(マカベ・エリ)1977年生まれ。<br>  本当は「アキトシ」と読むのだけど、みんな僕のことを「エリ」と呼ぶ。蔑みを込めて……かどうかは知らないが。</p> <p>  これは「論」というよりも雑感に近いものだから『凡庸考』とでもしたほうがいいのかもしれない。でもしっくりこないから語感を優先させた。あと「ナンバーワンにも~」っていうのは、べつにスマップが嫌いだからとかそういうわけじゃない。<br>  上には上がいるし、下にも下がいる。<br> 「人は決して自分で思うほど幸福でも不幸でもない(ラ・ロシュフーコー)」<br>  どうして天才やキ○ガイに生まれてこなかったのだろう。そういう意味だ。これはそういう日記なのだ。</p> <p>   1</p> <p><br> 僕は大したことない奴だ。ウダツのあがらない、冴えない、ハンパ者だ。つまり、つまらない人間なのである。<br>  僕は自分が、みんなにとって、取るに足らない小物だということがどうにも受け入れ難い。こんな状態にはとても耐えられない。そこで悲壮な努力をするんだけど、自分には己を世に知らしめるだけの才能とかセンスとかがない、ということを思い知らされるのだ。自分はついに「そこそこ」でしかないという事実。天才でもパーでもない他のみんなはどうやってこの現実と折り合いをつけているのだろう。なにか特別な存在になりたい、有名になりたい、大物になりたい……といった狂おしい熱情に身悶えた経験がないのだろうか? あっても人生の比較的早期の段階で諦めて、「天才でもバカでもない平凡な自己像」を受容するのだろうか?</p> <p>   2</p> <p><br> そうだ、きっと僕は甘えん坊のだだっ子みたいなことを言ってるのだろう。みんながみんな自分の夢を叶えられるわけじゃない。分不相応な幻想を抱いていたんだと気付いて、人は大人になっていくのだ。みんなそうやって、けっこう幸せに暮らしてたりするのだ。「灰色の人生」だとか、そんなことはない。人が生きていくのに、「夢」とか「希望」とか「生甲斐」なんてものは要らないんだ。この宇宙はそんなものを必要としないほどにも素晴らしいものなんだ。</p> <p>   3</p> <p><br> そう、スバラシイ世界。その中で僕は何者でもない。やはり僕はカツボウしているのだ。何ものかでありたいと</p> <p>   4</p> <p><br> 君の目は僕と同じだ。<br> 歪んだ現代社会の犠牲者みたいな「ひきこもり」にアイデンティファイしたいという、そんな人の目をしている。僕にはわかる。君は幼い頃夢見ていたものには永遠になれないことを知っている。君は知っている。わかっているんだ。結局僕たちは特別な存在ではないということを。神に選ばれし、卓越した技能も力も運も知性も持ち合わせちゃいない。凡人なんだよ。マザーハッカー!</p> <p>   5</p> <p><br> こんなことをくだくだしく話していてもしょうがない。本題に入ろうじゃないか!<br> ああ、それはしかしこれからもっとくだくだしい話が始まるということなのだ。</p> <p>   6</p> <p><br> 僕には特技がない。<br> 人に自慢できるような、いや僕は別に自慢がしたいわけじゃない。ただ胸を張って「これが私の取り柄です」と言えるような何かが欲しいと言っているだけなのだ。<br> 悲しいかな今の僕にはそれがない。<br> とてつもなく大きな音で舌打ちができるなんて、社会的にも私的にも何の意味もない。そんなことで友達の輪が広がるなんてありえない話だ。</p> <p>   7</p> <p><br> こんなことを言っている僕だけど、自分に対する自己肯定感、これに揺らぎはない。<br> 僕は僕じゃないから僕なので、だからそんな僕が存在することは意味がないことかもしれないけど、僕は僕でしかない以上、僕は僕を愛するのだ。<br> でも他者の目から見た自分はやっぱり駄目なのかもしれない。いや、きっとだめな奴さ。だって僕なんだもの。見捨てられて当然。愛想つかされて当然。<br> あんたもこんな日記、読んでたくないだろ? 気分が悪いのかい? 吐いちゃいな、僕の日記に吐いちゃいな。<br> なんでまだ僕と友達でいてくれるんだろう?<br> 僕がどんな本を読んでいて、どんな音楽が好きで、CDを何枚持っていて、贔屓の野球チームはどこか、<br> そういうことがみんなわかれば用済みのはずだ。<br> どうしてまだ友達なんだろう。</p> <p>   8</p> <p> 精神はそれ自体についてあまり深く反省しすぎると、その前進を挫くことになる。</p> <p> 上には上がいるというが、僕は「上には」にも値しない。この表現は95点の奴が100点を指して「まだ上がいる、俺は頂点を極めたわけではない」というニュアンスで使うものであって、僕はだいたい65~75点ぐらいだから、まあなんて言ったらいいか分からない。</p> <p> 下は、少しは自慢できるかもしれない。僕はひどい音痴だ。でも僕よりひどい人は大勢いるだろう。5点の奴が0点を見るレベルに近いが0点じゃない。<br> 結局僕は半端者なのだ。</p> <p>いや結論を急ぐことはない……</p> <p>   9</p> <p><br> ああ<br> ほんとオタクでもないし<br> 音楽ジャンキーでもないし<br> 映画とか全然くわしくないし<br> イカレテルわけでも狂ってるわけでもない<br> なんて特徴のない男なんだ僕は!</p> <p>野球でドラフトの指名に漏れる奴<br> 可哀相に抱きしめてやりたいよ</p> <p>才能がないのにどうしてもプロになりたい高校球児<br> 君はこれからどんな思いで一生を送るんだろうね<br> 僕にはとても耐えられないよ</p> <p> プロになれなくたってはずかしいことはないはずなんだけど</p> <p>そんな自分を受け入れることってできるのか</p> <p>挫折を経験することで人間的に成長なんて嫌だ<br> 俺はごめんだね</p> <p>   10</p> <p> ……さて、僕にはドストエフスキーの万分の一の才能もない。<br> ドストエフスキーの努力を100とすると、僕の今の努力は1にも満たないだろう。それは認めた上で言うのだが―おっと、ここで「努力なんてものを数値化するのはナンセンスだ」とか言い出さないでくれよ。あくまでも仮定の話なんだから。それともぼくがこう言うと、僕の親父みたいに「僕は現実主義者だからそういう仮定の話は好きじゃないんだ」とか言うのかい。嫌な奴。「いじけたふうなこと言ってないで、やってみればいいんだ。努力してみろ」とか何とか……僕は別にいじけてるわけじゃない。ただ純粋に思考実験として……<br> だまれ、だまれよ。話が進まないじゃないか。もういい、やめだ。そんな反駁に抗ってまで説明したいことじゃなかったよ。何、「おまえに文才がないってことくらい、ご丁寧に説明してくれなくても分かっているよ」だと。僕は「丁寧に」なんて説明していない。僕はこんなふうに乱暴な口をきくことも出来るんだぜ。俺の世界から消え失せろ。</p>

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