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夢幻想 一

花みそまんじゅう

戸外、机を挟んで真向かいに男が座っている。
男は立ち上がって振り返り、歩いていってしまう。

取り残されるが、私から見て机の左側に手文庫が置いてあり、ふたを開けると時計などが入っている。男のものらしい。
戻ってくるだろうと思いながら、私も立ち上がって、男の歩いていったのとは逆の方角にある坂を登っていく。
山道を行くとほどなく峠に着く。男も登ってきて、二人で茶屋の前の棚にかざられた菓子を見る。
丸くて、てっぺんを潰して平たくしてある黄色いまんじゅうと緑のまんじゅうの上に『花まんじゅう』と書かれている。

店に入り、緑のまんじゅうをもらおうと思い、花まんじゅうを注文すると、
「ああ、緑のは、花みそまんじゅうだよ」
店番の婆に言われる。
「そうそう」
もうひとりの婆とうなずき合っている。
では、花みそまんじゅうを頂こうと、店の中を見渡すと、大きな木の食卓が一つあり客がまばらに座っている。

一つずつしか席が空いていないので、私が悩んでいると男は構わずさっさと座った。
男の右に座っていた男児が母親に促され、母親共々一つ席を詰め、一つ席が空いたので、私はそこに座った。


(十九年八月九日)