浪馬「ふう・・・・夕璃チャン少し休憩しよう」
夕璃「はい! 先輩っ」
浪馬「あー、川風が気持ちいいや」
夕璃「あのぉ、先輩?」
浪馬「ん?」
夕璃「先輩は、さっき前を通った解体工場さんの横に住んでるんですよね?」
浪馬「ああ」
夕璃「窓のところに女の人を見たように思うんですけど」
浪馬「え? 俺の部屋に!? まさか」
夕璃「一瞬だったんで私も自信ないんですけど、でもあの人は・・・」
浪馬「み、見覚えある子だったの?」
夕璃「はい、高遠先輩に見えました」
浪馬「げっ? 七瀬!?」
夕璃「はい。高遠先輩は髪が長いから、遠くからでもよくわかるんです」
浪馬「ゆ、夕璃チャン、やっぱり見間違いだよ。七瀬が俺の部屋にいるわけないじゃん」
夕璃「うーん・・・・やっぱりそうです・・・よね?」
浪馬「そうそう」
夕璃「先輩がまた悪戯して、高遠先輩がお家まで乗り込んできたのか
と思いました、クスクスクスっ」
浪馬「あはははは、そりゃ困るな。それじゃ今日は怖くて帰れないね」
(七瀬のヤツ本当に俺の部屋にいたのか?・・・後で確かめないと)
夕璃「はい! 先輩っ」
浪馬「あー、川風が気持ちいいや」
夕璃「あのぉ、先輩?」
浪馬「ん?」
夕璃「先輩は、さっき前を通った解体工場さんの横に住んでるんですよね?」
浪馬「ああ」
夕璃「窓のところに女の人を見たように思うんですけど」
浪馬「え? 俺の部屋に!? まさか」
夕璃「一瞬だったんで私も自信ないんですけど、でもあの人は・・・」
浪馬「み、見覚えある子だったの?」
夕璃「はい、高遠先輩に見えました」
浪馬「げっ? 七瀬!?」
夕璃「はい。高遠先輩は髪が長いから、遠くからでもよくわかるんです」
浪馬「ゆ、夕璃チャン、やっぱり見間違いだよ。七瀬が俺の部屋にいるわけないじゃん」
夕璃「うーん・・・・やっぱりそうです・・・よね?」
浪馬「そうそう」
夕璃「先輩がまた悪戯して、高遠先輩がお家まで乗り込んできたのか
と思いました、クスクスクスっ」
浪馬「あはははは、そりゃ困るな。それじゃ今日は怖くて帰れないね」
(七瀬のヤツ本当に俺の部屋にいたのか?・・・後で確かめないと)
60 名前:前スレ957の続き[sage] 投稿日:04/10/15(金) 00:59:49 ID:???
夜 浪馬の部屋
夜 浪馬の部屋
(部屋の灯りは消えてるな。やはり夕璃チャンの見間違いか)
「あ・・・」 灯りをつけるとテーブルに夕食とメモがあった。
おかえりなさい 夕食を用意したから食べてね 七瀬
(本当に居たんだ・・・・もう家かな? 携帯に電話入れてみよう)
「あ・・・」 灯りをつけるとテーブルに夕食とメモがあった。
おかえりなさい 夕食を用意したから食べてね 七瀬
(本当に居たんだ・・・・もう家かな? 携帯に電話入れてみよう)
七瀬「やっとご帰宅かしら? 浪馬君?」
浪馬「来てたんだな。ご飯まで作ってくれてありがとう」
七瀬「いいえ、どういたしまして」
浪馬「もう家か?」
七瀬「え?・・・・・・・う、うん」
浪馬「今日はどうしたんだ? 俺の留守に来るなんて」
七瀬「勝手に部屋に入って迷惑だったかしら?」
浪馬「そ、そうじゃないけど、珍しいなと思って」
七瀬「今日は自治会が早く終わったから、部室を尋ねたらあなたはいないし」
浪馬「ロードワークしてたからな」
七瀬「お昼休みに教室に行ったら、雨堂君とどこかへ行ってるし」
浪馬「あ・・・二人で屋上で飯食ってた」
七瀬「朝校門のところで待ってたのに、始業時間になっても来ないし」
浪馬「うっ・・・寝坊して遅刻したんだよ」
七瀬「そんなわけで、私は今日学校であなたに一度も合えずじまいよ?」
浪馬「スマン」
七瀬「だからね、部屋であなたを待とうと思ったんだけど・・・なかなか帰っ
て来てくれないし」
浪馬「重ね重ね、スマン・・・・」
浪馬「来てたんだな。ご飯まで作ってくれてありがとう」
七瀬「いいえ、どういたしまして」
浪馬「もう家か?」
七瀬「え?・・・・・・・う、うん」
浪馬「今日はどうしたんだ? 俺の留守に来るなんて」
七瀬「勝手に部屋に入って迷惑だったかしら?」
浪馬「そ、そうじゃないけど、珍しいなと思って」
七瀬「今日は自治会が早く終わったから、部室を尋ねたらあなたはいないし」
浪馬「ロードワークしてたからな」
七瀬「お昼休みに教室に行ったら、雨堂君とどこかへ行ってるし」
浪馬「あ・・・二人で屋上で飯食ってた」
七瀬「朝校門のところで待ってたのに、始業時間になっても来ないし」
浪馬「うっ・・・寝坊して遅刻したんだよ」
七瀬「そんなわけで、私は今日学校であなたに一度も合えずじまいよ?」
浪馬「スマン」
七瀬「だからね、部屋であなたを待とうと思ったんだけど・・・なかなか帰っ
て来てくれないし」
浪馬「重ね重ね、スマン・・・・」
61 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:04/10/15(金) 01:02:23 ID:???
七瀬「あなたって冷たい人ね。私をこんなにしちゃった癖に、
気が向かないと顔も見せてくれないなんて」
浪馬「うう・・・・」
七瀬「もう寂しくて寂しくて、さっきそこであなたの枕抱いて泣いちゃったのよ?」
浪馬「か、必ず埋め合わせはするから、そんな悲しそうな声出すなよ。頼むよ」
七瀬「・・・くすくすくす・・・・」
浪馬「な、何がおかしいんだ?」
七瀬「うふふふっ、ゴメンね、ちょっとあなたを困らせてみたくなっただけなの」
浪馬「えっ? じゃさっきの泣きそうな声は演技・・・?」
七瀬「くすくすくす」
浪馬「お、おい、七瀬・・・・・あんまり人をからかうなよ・・・・」
七瀬「ごめんさない。でも寂しかったのは本当よ?」
浪馬「う・・・これからは気をつけるから」
七瀬「本当よ?」
浪馬「ああ」
七瀬「わかったわ。じゃあ今日はキスしてくれたら許してあげる」
浪馬「キ、キス? 電話でか? どうやってするんだよ?」
七瀬「んー、やっぱりちょっと難しいかしら?」
浪馬「そりゃお前が今此処にいれば、五回でも十回でもキスしたいけど」
七瀬「本当なの? じゃあ・・・・・・」
七瀬「あなたって冷たい人ね。私をこんなにしちゃった癖に、
気が向かないと顔も見せてくれないなんて」
浪馬「うう・・・・」
七瀬「もう寂しくて寂しくて、さっきそこであなたの枕抱いて泣いちゃったのよ?」
浪馬「か、必ず埋め合わせはするから、そんな悲しそうな声出すなよ。頼むよ」
七瀬「・・・くすくすくす・・・・」
浪馬「な、何がおかしいんだ?」
七瀬「うふふふっ、ゴメンね、ちょっとあなたを困らせてみたくなっただけなの」
浪馬「えっ? じゃさっきの泣きそうな声は演技・・・?」
七瀬「くすくすくす」
浪馬「お、おい、七瀬・・・・・あんまり人をからかうなよ・・・・」
七瀬「ごめんさない。でも寂しかったのは本当よ?」
浪馬「う・・・これからは気をつけるから」
七瀬「本当よ?」
浪馬「ああ」
七瀬「わかったわ。じゃあ今日はキスしてくれたら許してあげる」
浪馬「キ、キス? 電話でか? どうやってするんだよ?」
七瀬「んー、やっぱりちょっと難しいかしら?」
浪馬「そりゃお前が今此処にいれば、五回でも十回でもキスしたいけど」
七瀬「本当なの? じゃあ・・・・・・」
62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:04/10/15(金) 01:04:39 ID:???
ガチャと音を立て入り口のドアが開いた。
七瀬「これならどうかしら? 浪馬君」
携帯を片手に微笑む七瀬がそこにいた。
ガチャと音を立て入り口のドアが開いた。
七瀬「これならどうかしら? 浪馬君」
携帯を片手に微笑む七瀬がそこにいた。
浪馬「わっ!? な、七瀬! おまえいつからそこにいたんだよ!?」
七瀬「今着いたところよ。帰る途中だったんだけど、あなたが電話くれ
たから、慌てて戻って来ちゃった♪」
浪馬「・・・・・あのな・・・・・・・」
七瀬「ビックリしたした? うふふふ」
浪馬「ああ、お前がこんな悪戯するヤツとは知らなかったぞ」
七瀬「悪戯好きのあなたの恋人ですもの。これくらい当然よ。
ねえ、そんなことより・・・浪馬君? キスして・・・くれるんでしょ?」
七瀬「今着いたところよ。帰る途中だったんだけど、あなたが電話くれ
たから、慌てて戻って来ちゃった♪」
浪馬「・・・・・あのな・・・・・・・」
七瀬「ビックリしたした? うふふふ」
浪馬「ああ、お前がこんな悪戯するヤツとは知らなかったぞ」
七瀬「悪戯好きのあなたの恋人ですもの。これくらい当然よ。
ねえ、そんなことより・・・浪馬君? キスして・・・くれるんでしょ?」
志藤「しかし全く困ったやつだな」
七瀬「そうですね。織屋君は朝が弱い癖に、夜更かしばかりしますから」
志藤「詳しいな」
七瀬「ええ、もちろんです。織屋君のことは誰よりも知っています」
志藤「は?」
七瀬「そうですね・・・ではこうしてはどうでしょうか?」
志藤「お、おう、何か良い手があるのか?」
七瀬「はい。毎朝織屋君にモーニングコールしましょう」
志藤「はぁ?」
七瀬「んー、でもそれでちゃんと起きてくれるかしら?
家まで迎えに行った方が確実かも知れませんね」
志藤「・・・・・・・・・・・・」
七瀬「先生?」
志藤「い、いや、少々執行部の業務を逸脱してやせんか?
仮にやるとしても電話やら迎えやら、部員達にはかなりの負担だ」
七瀬「そうですね。織屋君は朝が弱い癖に、夜更かしばかりしますから」
志藤「詳しいな」
七瀬「ええ、もちろんです。織屋君のことは誰よりも知っています」
志藤「は?」
七瀬「そうですね・・・ではこうしてはどうでしょうか?」
志藤「お、おう、何か良い手があるのか?」
七瀬「はい。毎朝織屋君にモーニングコールしましょう」
志藤「はぁ?」
七瀬「んー、でもそれでちゃんと起きてくれるかしら?
家まで迎えに行った方が確実かも知れませんね」
志藤「・・・・・・・・・・・・」
七瀬「先生?」
志藤「い、いや、少々執行部の業務を逸脱してやせんか?
仮にやるとしても電話やら迎えやら、部員達にはかなりの負担だ」
78 名前:その2[sage] 投稿日:04/10/15(金) 16:47:14 ID:???
七瀬「大丈夫です。全部私がやりますから」
志藤「お、おまえが?」
七瀬「はい。 あの・・・何か問題があるでしょうか?」
志藤「・・・・・・・・・・・い、いや」
七瀬「じゃあ明日から早速実行します」
志藤「・・・・・・わ、わかった」
七瀬「もう絶対織屋君を遅刻させたりしません」
志藤「・・・・・・・そ、そうか」
七瀬「はいっ。任せてください」
志藤「・・・・ま、まあ、よろしく頼むわ。少なくとも学園を卒業するまでは、
これであいつも遅刻とは無縁になろうだろ、はっはっはっはっ」
七瀬「心配ご無用です。卒業後も私がちゃんと面倒みますから」
志藤「・・・・・・・・・・・」
七瀬「では失礼します」
志藤「・・・・・」
七瀬「大丈夫です。全部私がやりますから」
志藤「お、おまえが?」
七瀬「はい。 あの・・・何か問題があるでしょうか?」
志藤「・・・・・・・・・・・い、いや」
七瀬「じゃあ明日から早速実行します」
志藤「・・・・・・わ、わかった」
七瀬「もう絶対織屋君を遅刻させたりしません」
志藤「・・・・・・・そ、そうか」
七瀬「はいっ。任せてください」
志藤「・・・・ま、まあ、よろしく頼むわ。少なくとも学園を卒業するまでは、
これであいつも遅刻とは無縁になろうだろ、はっはっはっはっ」
七瀬「心配ご無用です。卒業後も私がちゃんと面倒みますから」
志藤「・・・・・・・・・・・」
七瀬「では失礼します」
志藤「・・・・・」
151 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:04/10/16(土) 20:51:07 ID:???
七瀬は家に駆け込んできた。
「ナナちゃん、お帰り。ご飯は?」
ママが聞いてきたけど「いらない!」と
答えて部屋に入りそのままベットに臥せってしまう。
(恐かった。ほ、本当に恐かった・…もう信じられない!!)
(あのまま連れ去られていたら…そんなの死んでもイヤ!!)
(あの時浪馬君が居てくれなかったら・…ぞっとするわ)
(浪馬君には改めて御礼をしなきゃならないわね、私を救ってくれたんだから・・)
(でも、これってまるで白馬の王子様みたいな感じ・…)
(私の白馬の王子様って浪馬君なの?)
(あんないいかげんな人が…でも優しいし芯はしっかりしていて慕っている人も・・)
(やだ、私浪馬君の事ばかり考えている・…)
(この頃特に彼の事を考える事が多くなったけど・…これって恋?)
(ううん、そんな事無い・・でも彼が他の女の子といるのを見るとつらいし・…)
(彼と話している時はすごく楽しかったし話が出来ないと寂しいし・…)
(!!! 私、彼に恋していたんだ。いいえ、今までも恋している)
(でもどうすればいいか分からない、それに彼の本当の心が知りたい…)
(ヤダ、何考えているのかしら。こんな気持ちになったのも浪馬君のせいね・・…)
「お風呂に入らなきゃ」七瀬はベットから起き上がったに気付いた。
(!! し・下着が湿っている…)
230 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:04/10/17(日) 21:38:47 ID:???
(明日、学校で織屋君にどう接しよう・…)
七瀬は部屋で机に向かったまま考えていた。
(怒られたんだから無視してもいいんだけど助けてもらったんだし…)
(…それに何か話し掛けられたらきっと応じてしまう)
(! 怒られっぱなしじゃまるで私に非があるみたいじゃない…)
(・…でも彼は真剣に私の身を案じで怒っていた、いつものおちゃらけじゃなく)
(今度また彼に怒られたら今以上に考え込んでしまいそう)
(私が織屋君を好きなせいかな? 好きなのは確かだけど彼の気持ちが分からないし…)
(ホント、どうしたらいいんだろ…)
(とりあえず二人きりになったら一度お礼を言ってそれからでいいわね)
……
(明日、学校で織屋君にどう接しよう・…)
七瀬は部屋で机に向かったまま考えていた。
(怒られたんだから無視してもいいんだけど助けてもらったんだし…)
(…それに何か話し掛けられたらきっと応じてしまう)
(! 怒られっぱなしじゃまるで私に非があるみたいじゃない…)
(・…でも彼は真剣に私の身を案じで怒っていた、いつものおちゃらけじゃなく)
(今度また彼に怒られたら今以上に考え込んでしまいそう)
(私が織屋君を好きなせいかな? 好きなのは確かだけど彼の気持ちが分からないし…)
(ホント、どうしたらいいんだろ…)
(とりあえず二人きりになったら一度お礼を言ってそれからでいいわね)
……
この時点で七瀬は明日が自分の誕生日である事を頭からすっかり抜けていた。
改めて認識したのは翌日の朝、ママからの一言である。
改めて認識したのは翌日の朝、ママからの一言である。
浪馬「あのさ、七瀬」
七瀬「なあに? 織屋君」
浪馬「それだ。その織屋君ってのはもうやめないか?」
七瀬「ど、どうして?」
浪馬「俺達こんな風になってから結構経つだろ? どうせなら名前呼んでくれよ」
七瀬「あ・・・う、うん・・・じゃあ・・・・浪馬君・・・・」
浪馬「君はいらないぞ」
七瀬「よ、呼び捨てって・・・なんだか恥ずかしわ」
浪馬「そうか? 七瀬さん」
七瀬「え?」
浪馬「七瀬さん、七瀬さん、七瀬さん、七瀬さん、七瀬さん」
七瀬「い、今更そんな他人行儀な呼び方しないで、お願い」
浪馬「だろ? 俺も同じだ。ほら、七瀬」
七瀬「う、うん・・・ろ、ろ、ろ、ろ、ろ、ろう」
浪馬「できなかったら、ナナちゃんと呼ぶぞ?」
七瀬「それだけはやめてぇぇぇ! ろ、ろ、浪馬!」
浪馬「おー、できたできた。これからはそう呼んでくれよ?」
七瀬「うん、わかったわ、織屋君」
浪馬「・・・・・・・・・」
七瀬「あ・・・・・・」
(恥ずかしがり屋だからな。慣れるまで暫くかかりそうだ)
七瀬「なあに? 織屋君」
浪馬「それだ。その織屋君ってのはもうやめないか?」
七瀬「ど、どうして?」
浪馬「俺達こんな風になってから結構経つだろ? どうせなら名前呼んでくれよ」
七瀬「あ・・・う、うん・・・じゃあ・・・・浪馬君・・・・」
浪馬「君はいらないぞ」
七瀬「よ、呼び捨てって・・・なんだか恥ずかしわ」
浪馬「そうか? 七瀬さん」
七瀬「え?」
浪馬「七瀬さん、七瀬さん、七瀬さん、七瀬さん、七瀬さん」
七瀬「い、今更そんな他人行儀な呼び方しないで、お願い」
浪馬「だろ? 俺も同じだ。ほら、七瀬」
七瀬「う、うん・・・ろ、ろ、ろ、ろ、ろ、ろう」
浪馬「できなかったら、ナナちゃんと呼ぶぞ?」
七瀬「それだけはやめてぇぇぇ! ろ、ろ、浪馬!」
浪馬「おー、できたできた。これからはそう呼んでくれよ?」
七瀬「うん、わかったわ、織屋君」
浪馬「・・・・・・・・・」
七瀬「あ・・・・・・」
(恥ずかしがり屋だからな。慣れるまで暫くかかりそうだ)
267 名前:呼び捨てネタに便乗[sage] 投稿日:04/10/17(日) 23:04:01 ID:???
放課後 部室
放課後 部室
七瀬「ねえ、いる? ろ・う・ま♪」
「あれ? いないのかしら? 今日はここだって聞いてたのに」
「浪馬? 浪馬ぁー? 浪馬ったらー!」
夕璃「高遠先輩」
七瀬「きゃっ? し、白井さん。びっくりしたわ。奥で仕事してたのかしら?」
夕璃「はいっ。備品の整理してました」
七瀬「いつもご苦労さまね。浪馬は整理整頓苦手だから大変でしょ?」
夕璃「そんなことないです、クスクスっ」
七瀬「ねえ、白井さん、浪馬どこに行ったか知らないかしら?」
夕璃「・・・・・・私の手の届かないところに行っちゃったみたいですね・・・・・・」
七瀬「え?」
夕璃「な、なんでもないです。先輩は、志藤先生に呼ばれていきました」
七瀬「そう、ありがとう。じゃあちょっと見てくるわ」
夕璃「はーい」
「あれ? いないのかしら? 今日はここだって聞いてたのに」
「浪馬? 浪馬ぁー? 浪馬ったらー!」
夕璃「高遠先輩」
七瀬「きゃっ? し、白井さん。びっくりしたわ。奥で仕事してたのかしら?」
夕璃「はいっ。備品の整理してました」
七瀬「いつもご苦労さまね。浪馬は整理整頓苦手だから大変でしょ?」
夕璃「そんなことないです、クスクスっ」
七瀬「ねえ、白井さん、浪馬どこに行ったか知らないかしら?」
夕璃「・・・・・・私の手の届かないところに行っちゃったみたいですね・・・・・・」
七瀬「え?」
夕璃「な、なんでもないです。先輩は、志藤先生に呼ばれていきました」
七瀬「そう、ありがとう。じゃあちょっと見てくるわ」
夕璃「はーい」
夕璃「先輩の名前を呼び捨てにする女の人、初めて見ました」
(ちょっと悔しい感じがします)
(ちょっと悔しい感じがします)
- 七瀬 幼稚園時代
ママン「ナナちゃんが男の子を連れてくるなんて…もしかして初恋かしら?今夜はお赤飯炊かなくちゃ」
- 七瀬 小学校時代
ママン「ナナちゃん、何か最近ため息ばかりついてるわね…。もしかして今度こそ初恋!?今夜はお赤飯炊かなくちゃ」
- 七瀬 中学校時代
ママン「ナナちゃんもついに初潮なのね……(シミジミ)。今夜はお赤飯炊かなくちゃ!」
- 七瀬 ツンツン時代
ママン「ナナちゃん、「織屋くん」のことばっかり話してるわね。今度こそ本当に初恋なのかも!今夜はお赤飯炊かなくちゃ!」
- 七瀬 デレデレ時代
ママン「ナナちゃん、あなたもついに「女」になったのね……(ウルウル)。今夜はお赤飯炊かなくちゃ!」
- 七瀬・浪馬 両親への挨拶終了後 トシ
ママン「ナナちゃん、あなたももうこの高遠の家から出ていく年齢になったのね……。今夜はお赤飯よ~!」
- 七瀬 おめでた -
ママン「ナナちゃん、元気な子が生まれると良いわね。さあ、今夜はお赤飯炊かなくちゃ!」
七瀬「また赤飯……あの人、いったい何回作れば気が済むのかしら……ハァ」
321 名前:誕生日SS-1-[sage] 投稿日:04/10/18(月) 00:07:34 ID:???
「お母さん、そろそろ行って来るわね」
七瀬が玄関からそう声を掛けると、パタパタと足音を立てながら母親がやってきた。
「はい、いってらっしゃい、ナナちゃん」
「うん、行って来ます。帰ってくるのは19日になるから宜しくね」
「はいはい。でも明日の誕生日を挟んで二泊三日の出張なんて大変ねぇ…
本当だったら18日は御泊り込みで、織屋君と一緒に過ごすトコだったのにねぇ」
「え!? ええ…。で、でも仕事だから…」
「そうねぇ、仕事ならしょうがないわよねぇ。まぁ兎も角、お仕事頑張ってね、いってらっしゃい」
「い、行って来ます…」
「織屋君に宜しくねぇ」
「━ッ!」
全てを見通すかのような母親の細い目からの暖かい眼差しを背に、七瀬はそそくさと家を出た。
「全く、我が母親ながら、何ていう勘の良さなのかしら…」
家を出る際のやり取りを思い出しつつ、七瀬は呟いた。
確かに今日、明日は泊り込みの出張があるが、その仕事は明日の午前中には片付き、
18日の午後からはフリーになっていて、翌19日は休暇を取っていたので、誕生日は浪馬と一緒に過ごす事になっていた。
「ひょっとして私の生活全てを把握して…ううん、流石にそんなことは━━━って、あら…?」
駅に向かう途中の広場に見慣れた姿があった。
「あれは…浪馬? 何でこんな場所に居るのかしら…?」
そこにはベンチに座り何かをしている浪馬が居た。自分は出張のため、いつもより大分遅い時間に家を出たが、
仕事のある浪馬が、こんな時間にこんな場所に居るのは少しばかりおかしい。
「浪ま━━━」
「でも高遠さんには言わなくて良かったの?」
「そりゃあ、こんなこと言えやしませんよ」
何故此処に居るのか聞いてみれば分かることだと、浪馬に声を掛けようとした時、
浪馬の横に女性が座り、二人が話し合っていることに七瀬は気付いた。
家を出る際のやり取りを思い出しつつ、七瀬は呟いた。
確かに今日、明日は泊り込みの出張があるが、その仕事は明日の午前中には片付き、
18日の午後からはフリーになっていて、翌19日は休暇を取っていたので、誕生日は浪馬と一緒に過ごす事になっていた。
「ひょっとして私の生活全てを把握して…ううん、流石にそんなことは━━━って、あら…?」
駅に向かう途中の広場に見慣れた姿があった。
「あれは…浪馬? 何でこんな場所に居るのかしら…?」
そこにはベンチに座り何かをしている浪馬が居た。自分は出張のため、いつもより大分遅い時間に家を出たが、
仕事のある浪馬が、こんな時間にこんな場所に居るのは少しばかりおかしい。
「浪ま━━━」
「でも高遠さんには言わなくて良かったの?」
「そりゃあ、こんなこと言えやしませんよ」
何故此処に居るのか聞いてみれば分かることだと、浪馬に声を掛けようとした時、
浪馬の横に女性が座り、二人が話し合っていることに七瀬は気付いた。
345 名前:誕生日SS-2-[sage] 投稿日:04/10/18(月) 00:31:19 ID:???
(あの人は誰…? 何を話しているの…!?)
七瀬は思わず二人からは見えない様に身を隠した。
「でも…、貴方達が卒業してから随分経つから、そういうことも考えるわよねぇ…」
そのままの状態で、そっと浪馬と女性の様子を窺う。
浪馬の隣に座るのは、自分より年上であろう、髪に軽くウェーブのかかった綺麗な女性だった。
「いや、まぁ…って、そんな感慨深げにならないで下さいよ、みさき先生」
(みさき先生…? っ! 確か、私達が三年の時に赴任してきた美術教師…!)
体調を崩した美術教師に代わりにやってきた美術教師で、若く、そして綺麗な容姿をしていたため、
男子生徒からの人気があった女教師のことを、浪馬の言葉で思い出した。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか」
「そうですね」
二人の様子をもやもやとした気持ちで窺っていると、二人はベンチから立ち上がり駅へと向かい出した。
(何で、浪馬がそんな人と一緒に…? ━━━ッ!?)
そんな七瀬の目の前で、突然みさきは浪馬と腕組みを始めた。
「ちょっ…! せ、先生、人前ですよ!」
「いやぁ、やっぱりこういう幸せな気持ちは共有しないと駄目じゃない♪」
「共有って…! 誰かに見られたら…」
「いいから、いいから。しかし浪馬君、随分と言葉使いが丁寧に…」
「そりゃ、いい加減、俺も社会人ですから、それくらいは…」
仲睦まじげに駅構内へと入っていく浪馬とみさき。
そんな二人の背中を、七瀬はただ呆然と見詰めることしか出来なかった…
七瀬は思わず二人からは見えない様に身を隠した。
「でも…、貴方達が卒業してから随分経つから、そういうことも考えるわよねぇ…」
そのままの状態で、そっと浪馬と女性の様子を窺う。
浪馬の隣に座るのは、自分より年上であろう、髪に軽くウェーブのかかった綺麗な女性だった。
「いや、まぁ…って、そんな感慨深げにならないで下さいよ、みさき先生」
(みさき先生…? っ! 確か、私達が三年の時に赴任してきた美術教師…!)
体調を崩した美術教師に代わりにやってきた美術教師で、若く、そして綺麗な容姿をしていたため、
男子生徒からの人気があった女教師のことを、浪馬の言葉で思い出した。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか」
「そうですね」
二人の様子をもやもやとした気持ちで窺っていると、二人はベンチから立ち上がり駅へと向かい出した。
(何で、浪馬がそんな人と一緒に…? ━━━ッ!?)
そんな七瀬の目の前で、突然みさきは浪馬と腕組みを始めた。
「ちょっ…! せ、先生、人前ですよ!」
「いやぁ、やっぱりこういう幸せな気持ちは共有しないと駄目じゃない♪」
「共有って…! 誰かに見られたら…」
「いいから、いいから。しかし浪馬君、随分と言葉使いが丁寧に…」
「そりゃ、いい加減、俺も社会人ですから、それくらいは…」
仲睦まじげに駅構内へと入っていく浪馬とみさき。
そんな二人の背中を、七瀬はただ呆然と見詰めることしか出来なかった…
「何、これ…、どういうことなの……浪馬………」
371 名前:誕生日SS-3-[sage] 投稿日:04/10/18(月) 01:03:54 ID:???
18日夕方。七瀬は浪馬が予約したというレストランに一人先に着き、昨日の駅前広場でのことを考えていた。
『高遠さんには言わなくて良かったの?』
『貴方達が卒業してから随分経つから、そういうことも考えるわよねぇ…』
『やっぱりこういう幸せな気持ちは共有しないと駄目じゃない♪』
『貴方達が卒業してから随分経つから、そういうことも考えるわよねぇ…』
『やっぱりこういう幸せな気持ちは共有しないと駄目じゃない♪』
昨日から頭の中で響くみさきの言葉が、七瀬に嫌な予感を走らせていた。
(ううん…、そんなことはない。きっと昨日のアレは誤解よ………
いいえ、そもそもあれが浪馬っていうのも見間違え━━━)
「ワリィ、七瀬、遅れちまって、スマン!」
丁度その時、浪馬が店内に入ってきた。
「う、ううん。私も今来たところだから…」
「そうか? いや、今抱えている裁判がさ、急に厄介なことになっちゃって………」
さっきまで頭の中で考えていたことを忘れ、目の前に座った男を見詰める。
その表情は、今まで自分が愛してきた織屋浪馬その人の表情と何ら変わりなく、
自分が予想していたことを切り出そうとしている男とはとても思えなかった。
(うん、そうよ… 昨日のは何か用事で、私との仲を………)
「…んなわけで……って、おい、聞いてるか、七瀬?」
「…えっ、あっ……うん、な、何?」
浪馬の顔を見たら、先程まで考えていたことが馬鹿馬鹿しく思え、
急いでその考えを打ち消し、自分の誕生日を目の前の愛する男と楽しむことにした。
「いや、だからさ…、最近忙しかったから、お前のことを考えてやれる余裕がなくてさ…」
「あら、忙しいのはお互い様よ。それに私はこうして二人一緒に居られるだけで十分よ」
「でも……その、折角の誕生日なのにさ…」
「うん、誕生日なのに?」
「えっと、時間が無くてさ…、その…プレゼントの用意が出来なかったんだ…」
「…う、うん………」
ふと先程まで心を占めていた考えが再び頭の中を過ぎる。
(ううん…、そんなことはない。きっと昨日のアレは誤解よ………
いいえ、そもそもあれが浪馬っていうのも見間違え━━━)
「ワリィ、七瀬、遅れちまって、スマン!」
丁度その時、浪馬が店内に入ってきた。
「う、ううん。私も今来たところだから…」
「そうか? いや、今抱えている裁判がさ、急に厄介なことになっちゃって………」
さっきまで頭の中で考えていたことを忘れ、目の前に座った男を見詰める。
その表情は、今まで自分が愛してきた織屋浪馬その人の表情と何ら変わりなく、
自分が予想していたことを切り出そうとしている男とはとても思えなかった。
(うん、そうよ… 昨日のは何か用事で、私との仲を………)
「…んなわけで……って、おい、聞いてるか、七瀬?」
「…えっ、あっ……うん、な、何?」
浪馬の顔を見たら、先程まで考えていたことが馬鹿馬鹿しく思え、
急いでその考えを打ち消し、自分の誕生日を目の前の愛する男と楽しむことにした。
「いや、だからさ…、最近忙しかったから、お前のことを考えてやれる余裕がなくてさ…」
「あら、忙しいのはお互い様よ。それに私はこうして二人一緒に居られるだけで十分よ」
「でも……その、折角の誕生日なのにさ…」
「うん、誕生日なのに?」
「えっと、時間が無くてさ…、その…プレゼントの用意が出来なかったんだ…」
「…う、うん………」
ふと先程まで心を占めていた考えが再び頭の中を過ぎる。
392 名前:誕生日SS-4-[sage] 投稿日:04/10/18(月) 01:34:38 ID:???
浪馬という人間は、普段はふざけた所が見受けられるが、肝心な時にふざけることは絶対に無い。
事実、七瀬自身、誕生日やクリスマスなど、その手のイベントの時に愛されることを実感しても、
ガッカリさせられることは無かった。しかし…
「けどさ、プレゼント無しの誕生日ってのもアレだろ? でさ…」
昨日聴こえてしまった会話が頭の中で再び繰り返される。
事実、七瀬自身、誕生日やクリスマスなど、その手のイベントの時に愛されることを実感しても、
ガッカリさせられることは無かった。しかし…
「けどさ、プレゼント無しの誕生日ってのもアレだろ? でさ…」
昨日聴こえてしまった会話が頭の中で再び繰り返される。
『高遠さんには言わなくて良かったの?』
『こんなこと言えやしませんよ』
『こんなこと言えやしませんよ』
「…部屋を探したら、頼津通ってた頃には受け取って貰えなかった…」
やはりそうなのだろう。例え忙しくとも以前の浪馬なら彼女への想いを疎かにすることは無かった。
「…昔の物って思うかも知れんが、今だからこそっていうもあって…」
もう七瀬はこの場に居るのが耐えられなくなった。
「…コレを、その…う、受け取って……」
「もう、いいわ」
「…らえな……………え?」
最期の時くらいは、昔の自分に戻ろう━━━そう思い、七瀬は湧き上がって来る感情を抑え続けた。
「いいわ、そんな無理してプレゼントを渡してくれなくても。
新しい恋人の方に手が懸かって、こちらにお金を回す余裕が無いんでしょ」
「………へ?」
「いいのよ、演技なんてしなくても。………昨日、駅前で見させて貰いましたから」
「………ッ! 七瀬っ、みさき先生との…!」
「ええ、腕なんて組んじゃって随分と親密なようで」
「バ、馬鹿、あれは違くて…」
「もういいって言ってるでしょ!!」
とうとう堪えきれなくなり、七瀬は感情のまま立ち上がった。
そのまま浪馬の顔を見ないようにして出口へと向かう。
やはりそうなのだろう。例え忙しくとも以前の浪馬なら彼女への想いを疎かにすることは無かった。
「…昔の物って思うかも知れんが、今だからこそっていうもあって…」
もう七瀬はこの場に居るのが耐えられなくなった。
「…コレを、その…う、受け取って……」
「もう、いいわ」
「…らえな……………え?」
最期の時くらいは、昔の自分に戻ろう━━━そう思い、七瀬は湧き上がって来る感情を抑え続けた。
「いいわ、そんな無理してプレゼントを渡してくれなくても。
新しい恋人の方に手が懸かって、こちらにお金を回す余裕が無いんでしょ」
「………へ?」
「いいのよ、演技なんてしなくても。………昨日、駅前で見させて貰いましたから」
「………ッ! 七瀬っ、みさき先生との…!」
「ええ、腕なんて組んじゃって随分と親密なようで」
「バ、馬鹿、あれは違くて…」
「もういいって言ってるでしょ!!」
とうとう堪えきれなくなり、七瀬は感情のまま立ち上がった。
そのまま浪馬の顔を見ないようにして出口へと向かう。
402 名前:誕生日SS-5-[sage] 投稿日:04/10/18(月) 02:15:53 ID:???
「待てよ、七瀬っ!」
浪馬は七瀬の腕を掴み、止めようとした。
そんな浪馬に愛しさが込み上げる…が、自分を奮い立たせ七瀬は言葉を続けた。
「……うん、ありがとう……、貴方と過ごした時間、凄く楽しかったわ……
でも、もういいから……さようなら……!」
七瀬は力尽くで浪馬の手を振り解くと店を後にした。
浪馬は七瀬の腕を掴み、止めようとした。
そんな浪馬に愛しさが込み上げる…が、自分を奮い立たせ七瀬は言葉を続けた。
「……うん、ありがとう……、貴方と過ごした時間、凄く楽しかったわ……
でも、もういいから……さようなら……!」
七瀬は力尽くで浪馬の手を振り解くと店を後にした。
店外に出るともう駄目だった。
感情のまま、眼からは涙が、口からは声にならない嗚咽が溢れ出し、そのまま駆け出した。
「…っ……っ………っ!!」
哀しくてしょうがない、胸が張り裂けそうなくらいに辛いのに、頭の中では浪馬との想い出ばかりが繰り返される。
感情のまま、眼からは涙が、口からは声にならない嗚咽が溢れ出し、そのまま駆け出した。
「…っ……っ………っ!!」
哀しくてしょうがない、胸が張り裂けそうなくらいに辛いのに、頭の中では浪馬との想い出ばかりが繰り返される。
“初めて会った時は、自分が最も嫌うタイプの人だと思った”
“事実、彼のすることの多くはとんでもないことばかり。そんな彼を何度も怒鳴りつけた”
“いつからか、彼の存在が私の中で大きくなっている事に気付いた”
“三年生、秋と冬の間、彼が自分にとって大事な人だということに気付いた”
“一緒に居られることが一番の幸せだと思った”
“事実、彼のすることの多くはとんでもないことばかり。そんな彼を何度も怒鳴りつけた”
“いつからか、彼の存在が私の中で大きくなっている事に気付いた”
“三年生、秋と冬の間、彼が自分にとって大事な人だということに気付いた”
“一緒に居られることが一番の幸せだと思った”
「っ…グスッ………ッ!……きゃあっ!!」
突然、七瀬は大きくバランスを崩し、地面へと倒れ込んだ。
「………………ったぁ……」
倒れたまま周りを見ると、どこを走ってきたのか、此処は公園の広場らしく
近くには転んだ原因であろう靴のヒールが欠けて取れていた。
(顔は涙でグシャグシャ…、服は転んで埃塗れ…、靴はヒールが欠けて、おまけに男には振られたばかり…と)
笑っちゃうくらいに間抜けな状況、泣く以外は何も出来ない浪馬との別れ。
「フフ…フ……ッ……グスッ……ス…ッ!」
地面に転がりながら、天を仰ぎ、七瀬は顔を抑え、再び泣き始めた。
突然、七瀬は大きくバランスを崩し、地面へと倒れ込んだ。
「………………ったぁ……」
倒れたまま周りを見ると、どこを走ってきたのか、此処は公園の広場らしく
近くには転んだ原因であろう靴のヒールが欠けて取れていた。
(顔は涙でグシャグシャ…、服は転んで埃塗れ…、靴はヒールが欠けて、おまけに男には振られたばかり…と)
笑っちゃうくらいに間抜けな状況、泣く以外は何も出来ない浪馬との別れ。
「フフ…フ……ッ……グスッ……ス…ッ!」
地面に転がりながら、天を仰ぎ、七瀬は顔を抑え、再び泣き始めた。
416 名前:誕生日SS-6-[sage] 投稿日:04/10/18(月) 02:51:40 ID:???
「たくっ……何してんだよ」
そんな七瀬に誰かが近付いて来た。七瀬は「夜の公園」という今の自分が居る場所を思い出し、
この場を去ろうと慌てて立ち上がる…が、ヒールの欠けた靴だということを忘れ、再びバランスを崩した。
「きゃっ!」
「おっと!」
ぽす…っと誰かに抱きかかえられる。顔を上げると、そこには浪馬の顔があった。
「あーあ、服も靴も、おまけに顔まで汚くしちゃって…」
「浪馬………?」
「全く、人の話をちゃんと聞かずにどっか行っちゃうからこんなことになんだぞ」
浪馬は七瀬の身体を支えたまま、服についた汚れを掃っていく。
「え…あの………?」
「うむ、こんなものだろ。とりあえずそこに座って休むか」
呆然としている七瀬を園内のベンチに座らせ、浪馬もその隣へと座った。
そんな七瀬に誰かが近付いて来た。七瀬は「夜の公園」という今の自分が居る場所を思い出し、
この場を去ろうと慌てて立ち上がる…が、ヒールの欠けた靴だということを忘れ、再びバランスを崩した。
「きゃっ!」
「おっと!」
ぽす…っと誰かに抱きかかえられる。顔を上げると、そこには浪馬の顔があった。
「あーあ、服も靴も、おまけに顔まで汚くしちゃって…」
「浪馬………?」
「全く、人の話をちゃんと聞かずにどっか行っちゃうからこんなことになんだぞ」
浪馬は七瀬の身体を支えたまま、服についた汚れを掃っていく。
「え…あの………?」
「うむ、こんなものだろ。とりあえずそこに座って休むか」
呆然としている七瀬を園内のベンチに座らせ、浪馬もその隣へと座った。
「ほら、受け取るか受け取らないかはお前の自由だけど………忘れ物だぞ」
座るなり、浪馬は先程レストランで渡そうとしていた小箱を、七瀬の手に無理矢理押し付けた。
「え……な、何…?」
「いいから! 何かイロイロと勘違いしてるみたいだが、まずはそれを受け取れ。
それから順を追って説明するから!」
明後日の方を向きながら、ぶっきらぼうに喋る浪馬と、手のひらにのる小さい小箱。
その二つが何なのか全く分からないまま、とりあえず七瀬は小箱を開いた。
「えっ………!」
月と数えるくらいしかない星だけの明かりしかなかったが、
その箱の中には精彩な彫刻が施された綺麗な指輪があった。
座るなり、浪馬は先程レストランで渡そうとしていた小箱を、七瀬の手に無理矢理押し付けた。
「え……な、何…?」
「いいから! 何かイロイロと勘違いしてるみたいだが、まずはそれを受け取れ。
それから順を追って説明するから!」
明後日の方を向きながら、ぶっきらぼうに喋る浪馬と、手のひらにのる小さい小箱。
その二つが何なのか全く分からないまま、とりあえず七瀬は小箱を開いた。
「えっ………!」
月と数えるくらいしかない星だけの明かりしかなかったが、
その箱の中には精彩な彫刻が施された綺麗な指輪があった。
419 名前:誕生日SS-7-[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:16:15 ID:???
「へ……その…浪馬……これ…?」
「みさき先生に会ったのは、それを作ってもらえる人を紹介してもらうためだ」
七瀬の顔を見ないよう、浪馬が喋り始めた。
「あの人、美大出身だから、そういう職人の知り合いを教えてもらって、
で、昨日は、一緒にその職人のトコにそれを取りに行っただけで…
腕組まれたのは…その………幸せな俺にあやかりたいとか、やっかみだとかで…」
相変わらず明後日の方を向いているので、浪馬がどんな顔をしているかは分からなかったが、
耳がとてつもなく赤くなっているのは、七瀬の目に映った。
「みさき先生に会ったのは、それを作ってもらえる人を紹介してもらうためだ」
七瀬の顔を見ないよう、浪馬が喋り始めた。
「あの人、美大出身だから、そういう職人の知り合いを教えてもらって、
で、昨日は、一緒にその職人のトコにそれを取りに行っただけで…
腕組まれたのは…その………幸せな俺にあやかりたいとか、やっかみだとかで…」
相変わらず明後日の方を向いているので、浪馬がどんな顔をしているかは分からなかったが、
耳がとてつもなく赤くなっているのは、七瀬の目に映った。
『高遠さんには言わなくて良かったの?』
『貴方達が卒業してから随分経つから、そういうことも考えるわよねぇ…』
『貴方達が卒業してから随分経つから、そういうことも考えるわよねぇ…』
昨日のみさきの言葉が甦る。そして手の上には指輪。
「あの…浪馬………その、これって…」
「昔さ、まだ頼津に通ってた時の誕生日にさ、プレゼントに指輪渡そうとしたけど
七瀬、受け取ってくれなかったろ」
七瀬の言葉を遮り、浪馬は続けた。
「…でだ。もう結構長い間付き合ってきたし、俺もちゃんと職に付けたし、
それを受け取って貰ってもイイ頃かと思ってさ」
浪馬はベンチから立ち上がると、真っ赤な顔をして七瀬の前へ立った。
「あの…浪馬………その、これって…」
「昔さ、まだ頼津に通ってた時の誕生日にさ、プレゼントに指輪渡そうとしたけど
七瀬、受け取ってくれなかったろ」
七瀬の言葉を遮り、浪馬は続けた。
「…でだ。もう結構長い間付き合ってきたし、俺もちゃんと職に付けたし、
それを受け取って貰ってもイイ頃かと思ってさ」
浪馬はベンチから立ち上がると、真っ赤な顔をして七瀬の前へ立った。
421 名前:誕生日SS-終-[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:17:54 ID:???
「その、あれだ! 朝飯にお前の作る味噌汁が食いたい!」
「……えっ?」
「いや、えっと…、俺のパンツを洗ってくれ!」
「………」
七瀬は何も言わずに立ち上がると、浪馬の胸へと顔を埋め、静かに言った。
「もう……そういうのは…シンプルなので良いんだよ…」
「えっ、あっ……うん………」
浪馬はそっと七瀬の背に手を回し、優しく言った。
「七瀬…、俺と結婚してくれ…」
「…はい…」
二人は強く抱きしめあった。
「……えっ?」
「いや、えっと…、俺のパンツを洗ってくれ!」
「………」
七瀬は何も言わずに立ち上がると、浪馬の胸へと顔を埋め、静かに言った。
「もう……そういうのは…シンプルなので良いんだよ…」
「えっ、あっ……うん………」
浪馬はそっと七瀬の背に手を回し、優しく言った。
「七瀬…、俺と結婚してくれ…」
「…はい…」
二人は強く抱きしめあった。
ふと、浪馬は七瀬が震えていることに気付いた。
「何だ、寒いのか、七瀬?」
「…グスッ…違うわよぉ……、今までの人生で一番嬉しい瞬間を迎えて嬉しいのと…
その時を…スンッ……こんな汚い格好で迎えて悲しいのとで、泣いてるのぉ………」
「大丈夫、俺、どんな七瀬でも愛してるから」
「馬鹿ぁ………」
「何だ、寒いのか、七瀬?」
「…グスッ…違うわよぉ……、今までの人生で一番嬉しい瞬間を迎えて嬉しいのと…
その時を…スンッ……こんな汚い格好で迎えて悲しいのとで、泣いてるのぉ………」
「大丈夫、俺、どんな七瀬でも愛してるから」
「馬鹿ぁ………」
七瀬は埋めていた顔を上げると、月と星の下の公園で、浪馬と誓いの口付けを交わした………
―END―
404 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:04/10/18(月) 02:22:25 ID:???
「♪~」
(今日は夕方から駅前だったわね。遅れてきたりは…しないか。いつも時間までには必ずくるものね。)
「おはよう七瀬。ずいぶんご機嫌だけど、なんかいいことあったの?」
「♪~」
(一度帰って着替えようかしら?それともこのままのほうがいいのかな。彼ってそういうところに無頓着だから好みがよくわからないのよね。)
「??、七瀬、七瀬ってば。お~い、七瀬さ~ん。」
「きゃっ、な、なによ急に。」
「全然急じゃないわよ。夢見る顔でどうしたの?ほんとに寝てたとか?」
「そ、そんなことありませんっ!」
「そうだよね~。ナナちゃんが授業中に寝てるところなんて見たことないよ。」
「まったく…。授業中に寝るというのはどうかと思いますけど。」
「まぁまぁ、この子がそんなにまじめにできる子じゃない事は七瀬も知ってるでしょ?」
「わ~い、さっちゃんは優しいねぇ。鬼のナナちゃんとは大違いだ。」
「誰が鬼ですかっ!」
「きゃ~、ナナちゃん怒っちゃったぁ。」
「あなたも怒らせること言わないの。で、どうしたの本当に。ずいぶんご機嫌そうだけど。」
「え?」
「そうそう、お小言も長くないし。ねぇ、みんな?」
うんうん。あんまり広くない教室の中にいる知った顔全員が首を上下させる。
驚きの顔、少し笑った顔、ニヤニヤした顔…。
大学に入ってからの友達ばかりだがいい人ばかりだ。堅物と言われた自分でもすんなり溶け込む事が出来た。
ただ、他人の詮索が大好きでおせっかいなのが玉に瑕だが。
「で、ほんとにどうしたの?」
「べ、別に…。なんでもないわよ?」
「うそばっかり。ま、どうせ理由は一つしかないけれどもね。」
「ね~。」
「なによぉ。」
「カ・レ・シ。浪馬くんっていったっけ?彼がらみでしょ。」
「ど、どうしてそんな…」
「だって七瀬がそんな嬉しそうな顔するの、彼のノロケ話のときしか見たことないもの。」
「誰がノロケ話なんか…」
「してるじゃない。この間の飲み会なんかずっと彼の話してたじゃない。あの日何人の子が帰っちゃったと思ってるの。玉砕覚悟だろうけれども、ぶつかる前に弾幕に蹴散らされたようなもんよ。」
「あ、やっぱりそうなんだ。トイレやら入り口やらで何人も崩れ落ちてたのはそれで…」
「え、え?」
「しかも本人は自覚がないし。」
「いんんじゃないの?ナナちゃんには愛しの彼さえ居ればいいんだから。」
「い、愛しのって…」
「七瀬、顔真っ赤だよ(w」
405 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:04/10/18(月) 02:22:42 ID:???
「あ、そういえばナナちゃんの誕生日今日じゃなかった?」
「お、そういえばそうねぇ。じゃあ、パーティーでもぱっとやりましょうか。」
「ご、ごめんなさい。今日はちょっと…」
「あーあーあー、みなまで言わなくてもいいって。夜はデートって言うんでしょ?大丈夫よ。お昼に軽くやるだけにしましょ。」
「ううう…」
「いーなー、ナナちゃん。幸せそうで。」
「そのぶんたくさん冷やかしてあげればいいじゃない。」
「それもそっか。」
「ハァ…」
(なんで私の周りの人はみんなこんなに気が利きすぎるのかしら?昨日の母さんもそうだったし…。)
(父さんもずっと寂しそうにしながら鉄仮面磨いていたし。)
「じゃあ七瀬、またお昼ね。」
(でもそれだけ幸せに見えるのなら隠そうとするのも悪いのかしら。)
「お昼たのしみにね~。」
(うん、それなら…)
「ええ、楽しみにしておいて。幸せな話をいやになる位してあげるから。」
「う…?」
「え…?」
「あら、どうしたの?驚いた顔して。」
「なんだか…」
「すごい失敗したかも…」
「大丈夫よ。お昼休みがなくなるだけですもの。」
「ほんとに…?」
「夕方まで続くんじゃないの…?」
(私もこれだけ幸せなんですもの。浪馬くんも幸せでいてくれるよね。)
「さて、今日もがんばっていきましょうか。」
「「お、おー。」」
(そうでなければ私がなんとしても幸せにするんだから!!)
「あ、そういえばナナちゃんの誕生日今日じゃなかった?」
「お、そういえばそうねぇ。じゃあ、パーティーでもぱっとやりましょうか。」
「ご、ごめんなさい。今日はちょっと…」
「あーあーあー、みなまで言わなくてもいいって。夜はデートって言うんでしょ?大丈夫よ。お昼に軽くやるだけにしましょ。」
「ううう…」
「いーなー、ナナちゃん。幸せそうで。」
「そのぶんたくさん冷やかしてあげればいいじゃない。」
「それもそっか。」
「ハァ…」
(なんで私の周りの人はみんなこんなに気が利きすぎるのかしら?昨日の母さんもそうだったし…。)
(父さんもずっと寂しそうにしながら鉄仮面磨いていたし。)
「じゃあ七瀬、またお昼ね。」
(でもそれだけ幸せに見えるのなら隠そうとするのも悪いのかしら。)
「お昼たのしみにね~。」
(うん、それなら…)
「ええ、楽しみにしておいて。幸せな話をいやになる位してあげるから。」
「う…?」
「え…?」
「あら、どうしたの?驚いた顔して。」
「なんだか…」
「すごい失敗したかも…」
「大丈夫よ。お昼休みがなくなるだけですもの。」
「ほんとに…?」
「夕方まで続くんじゃないの…?」
(私もこれだけ幸せなんですもの。浪馬くんも幸せでいてくれるよね。)
「さて、今日もがんばっていきましょうか。」
「「お、おー。」」
(そうでなければ私がなんとしても幸せにするんだから!!)
418 名前:卒業前夜~初めて手を繋いだ日~1/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:16:05 ID:???
七瀬「あ……だめよ、ジッとしていて」
浪馬「そんな事言ったってさ、このままじゃ俺だけイッちまいそうだよ」
七瀬「だからね、今日は私が気持ち良くしてあげるって…あぁ、ダメ、下から突かないで!」
浪馬「ふたりで一緒にイクのは嫌か?俺はその方が良いんだけどな」
七瀬「だ、ダメよ…あぁ、ん…」
浪馬「うわ、急にしがみつくなよ…あ、やべぇ、俺もうイキそうだ」
七瀬「あ、だ、ダメ、動かないでって…ダメェ!!」
浪馬「クゥ……な、七瀬!!」
七瀬「ダメ、ダメェ!あ、アアッ!!」
抱きしめてくれて私の髪を撫でていた織屋くんがふと口にした。
浪馬「七瀬って時々すごくエッチになるよな、大胆になるって言うのか」
七瀬「急に何を言い出すの」
浪馬「イテッ、つねるなよ!」
七瀬「誰のせいだと思ってるの?」
浪馬「俺のせいか?」
七瀬「そうよ」
浪馬「そうか?誘ってきたのは七瀬が先だろ?」
七瀬「え?何言ってるの!?」
浪馬「ほらさ、おまえの誕生日の日…いや、一日前だったか、あの日にさ」
七瀬「あ…」
七瀬「急に何を言い出すの」
浪馬「イテッ、つねるなよ!」
七瀬「誰のせいだと思ってるの?」
浪馬「俺のせいか?」
七瀬「そうよ」
浪馬「そうか?誘ってきたのは七瀬が先だろ?」
七瀬「え?何言ってるの!?」
浪馬「ほらさ、おまえの誕生日の日…いや、一日前だったか、あの日にさ」
七瀬「あ…」
420 名前:卒業前夜~初めて手を繋いだ日~2/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:17:08 ID:???
そう、その日の前日に私は織屋くんに助けられた、そして怒られた。
家に帰って部屋で考えていると色々な感情が湧き上がってきた。
織屋くんに腹が立って怒ったり、織屋くんが助けてくれた事に安堵を覚えたり、
織屋くんが私を心配してくれた事が嬉しかったり、織屋くんに嫌われたのかもと悲しかったり、
織屋くんが……
『織屋くん』ばっかりな私、でも彼は?
そう、その日の前日に私は織屋くんに助けられた、そして怒られた。
家に帰って部屋で考えていると色々な感情が湧き上がってきた。
織屋くんに腹が立って怒ったり、織屋くんが助けてくれた事に安堵を覚えたり、
織屋くんが私を心配してくれた事が嬉しかったり、織屋くんに嫌われたのかもと悲しかったり、
織屋くんが……
『織屋くん』ばっかりな私、でも彼は?
次の日には会う約束があった、出来るだけ普通にと努めた。
でも内心はドキドキしていた、あの時の私は。
織屋くんは……いつもの織屋くんだった。
あえていつも通りにいてくれたの?それとも昨日の事は気にもならないの?
デートの内容は覚えていない…ずっと彼を見ていた、
彼が何を考えているか気になってどうしようもなかった。
でも内心はドキドキしていた、あの時の私は。
織屋くんは……いつもの織屋くんだった。
あえていつも通りにいてくれたの?それとも昨日の事は気にもならないの?
デートの内容は覚えていない…ずっと彼を見ていた、
彼が何を考えているか気になってどうしようもなかった。
422 名前:卒業前夜~初めて手を繋いだ日~3/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:18:09 ID:???
すっかりあたりも暗くなり別れの時間が近づいてきた。
そのころから彼は私を家まで送ってくれた、その日もそうだった。
二人で並んで歩いている間も
すっかりあたりも暗くなり別れの時間が近づいてきた。
そのころから彼は私を家まで送ってくれた、その日もそうだった。
二人で並んで歩いている間も
『織屋くんは私をどう思っているの?』
そればかりが頭の中を駆け巡っていた。
なにかと私に声をかけてくる、デートに行こうと誘ってくる。
そして…私のファーストキスは織屋くんに…
キスするなんてただの友達じゃない、そうよね?でも彼にはそうじゃないの?
織屋くんが何を考えているのかちっとも分からない……
そして…私のファーストキスは織屋くんに…
キスするなんてただの友達じゃない、そうよね?でも彼にはそうじゃないの?
織屋くんが何を考えているのかちっとも分からない……
浪馬「さすがに暗くなるのがはやくなったな~」
ふいに織屋くんがそう言った。
七瀬「そうね、十月ももう半分過ぎたし冬ももうすぐよ」
浪馬「最近すっかり寒くなったよな」
浪馬「最近すっかり寒くなったよな」
そう言って手をすりあわせて息を吹きかけるしぐさをした彼。
423 名前:卒業前夜~初めて手を繋いだ日~4/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:19:03 ID:???
自然に、無意識のうちに私の手が動いていた、ううん、きっとそうしたかったのだと思う。
自然に、無意識のうちに私の手が動いていた、ううん、きっとそうしたかったのだと思う。
浪馬「え?七瀬……」
七瀬「織屋くんの手、冷たいわよ」
七瀬「織屋くんの手、冷たいわよ」
彼の手を握り締める私、そのまま歩みを止めて二人で手を握り合っていた。
急に体温が上がったような気がする。
やだ…どうしよう…彼の顔を見れない…
急に体温が上がったような気がする。
やだ…どうしよう…彼の顔を見れない…
浪馬「七瀬の手も冷たいぞ?」
そう笑って彼は握っていた手を振りほどいた。
あ…一瞬悲しくなった私、でもそう思ったすぐに彼は手を繋ぎ直してくれた。
あ…一瞬悲しくなった私、でもそう思ったすぐに彼は手を繋ぎ直してくれた。
浪馬「さ、早く帰らないといけないんだろ?」
そう言って歩みをはじめる織屋くん。
七瀬「織屋くんの手、あったかい…」
浪馬「へ?さっきと言ってる事が違うぞ」
七瀬「やっぱりあったかいわ」
浪馬「へ?さっきと言ってる事が違うぞ」
七瀬「やっぱりあったかいわ」
彼の顔を見る事ができなくて家までずっと下を向いていた。
家についても彼の顔を見る事が出来なかった、でも繋いだ手を離すことも出来なかった。
そんな私を彼は優しく抱きしめてくれた。
そのうえ……
そんな私を彼は優しく抱きしめてくれた。
そのうえ……
誕生日を覚えていてくれた事も、プレゼントも、もちろん嬉しかったけど。
それ以上のものを彼から貰った。
それ以上のものを彼から貰った。
その翌週から私と織屋くんの『ふたりっきりの時間』が始まったのよね…
424 名前:卒業前夜~初めて手を繋いだ日~5/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:20:03 ID:???
浪馬「明日で卒業なんだよな、なんかあっという間だったなこの一年は」
浪馬「明日で卒業なんだよな、なんかあっという間だったなこの一年は」
織屋くんの言葉に現実に引き戻される。
七瀬「そ、そうね、私もこの一年はあっという間だったわ」
浪馬「七瀬は一流大の法学部に進学だしな~、俺はこれからが大変だな」
浪馬「七瀬は一流大の法学部に進学だしな~、俺はこれからが大変だな」
そう、彼は進路はどうするのかしら?
七瀬「ちっとも教えてくれないけどどうするのよ進路は?」
浪馬「ああ、明日話すよ」
浪馬「ああ、明日話すよ」
え?
これから別々の道を歩く事になるの?
もう二人で手を繋ぐ事は出来なくなるの?
これから別々の道を歩く事になるの?
もう二人で手を繋ぐ事は出来なくなるの?
425 名前:卒業前夜~初めて手を繋いだ日~6/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:21:03 ID:???
私は織屋くんの恋人…だよね?
学校で毎日話して、ほとんど毎週デートして、こうして二人っきりになって…
でも会えない日も在った、誘ってくれなかった日も在った。
悲しかった。
私から、とも思ったけど恥ずかしくて、そして怖くて出来なかった。
彼の周りには何人もの女性の影があった…
私は織屋くんの恋人…だよね?
学校で毎日話して、ほとんど毎週デートして、こうして二人っきりになって…
でも会えない日も在った、誘ってくれなかった日も在った。
悲しかった。
私から、とも思ったけど恥ずかしくて、そして怖くて出来なかった。
彼の周りには何人もの女性の影があった…
七瀬「どうするのよ、これから?」
浪馬「だから、明日話すって」
七瀬「だめよ、今教えて」
浪馬「だ~め、明日のお楽しみな」
七瀬「今話して!」
浪馬「お、おい七瀬、なんだよ、泣く事ないだろ」
浪馬「だから、明日話すって」
七瀬「だめよ、今教えて」
浪馬「だ~め、明日のお楽しみな」
七瀬「今話して!」
浪馬「お、おい七瀬、なんだよ、泣く事ないだろ」
え…
私、泣いてる?
自然と涙が零れている、そう思ったらもう止められない、やだ、止まらない。
私、泣いてる?
自然と涙が零れている、そう思ったらもう止められない、やだ、止まらない。
426 名前:卒業前夜~初めて手を繋いだ日~7/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 03:22:04 ID:???
織屋くんに背中を向けてうずくまってしまう。
そんな私を彼は後ろから抱きしめて頭を撫でてくれる。
織屋くんに背中を向けてうずくまってしまう。
そんな私を彼は後ろから抱きしめて頭を撫でてくれる。
浪馬「しょうがないな、ちょっとだけだぞ?詳しくは明日な」
七瀬「クスンクスン……」
浪馬「あのな、これからもよろしくな」
七瀬「スンスン……」
浪馬「誘ったのは七瀬なんだからな?これからも責任持って俺の面倒みてくれな?」
七瀬「……」
浪馬「ひょっとして嫌なのか?」
七瀬「私が誘ったなんて本気で言ってるの?違うわよ」
浪馬「おぉ?」
七瀬「織屋くんが罠を仕掛けたのよ、かわいそうな私は捕まってしまったの」
浪馬「なんだよ罠を仕掛けたって」
七瀬「違うって言うの?」
浪馬「捕まえたいな~とは思っていたけどな」
七瀬「やっぱりそうじゃない」
浪馬「まあ、その、なんだ、俺から逃げるなよ」
七瀬「きっと一生逃げられないわ」
七瀬「クスンクスン……」
浪馬「あのな、これからもよろしくな」
七瀬「スンスン……」
浪馬「誘ったのは七瀬なんだからな?これからも責任持って俺の面倒みてくれな?」
七瀬「……」
浪馬「ひょっとして嫌なのか?」
七瀬「私が誘ったなんて本気で言ってるの?違うわよ」
浪馬「おぉ?」
七瀬「織屋くんが罠を仕掛けたのよ、かわいそうな私は捕まってしまったの」
浪馬「なんだよ罠を仕掛けたって」
七瀬「違うって言うの?」
浪馬「捕まえたいな~とは思っていたけどな」
七瀬「やっぱりそうじゃない」
浪馬「まあ、その、なんだ、俺から逃げるなよ」
七瀬「きっと一生逃げられないわ」
織屋くんと手を繋いで歩きたい、それが私の願い。
これからの誕生日には私の手を握ってね、毎年。
一日早かったけど、あなたと出会って初めての誕生日、きっと忘れる事は無いと思う。
これからの誕生日には私の手を握ってね、毎年。
一日早かったけど、あなたと出会って初めての誕生日、きっと忘れる事は無いと思う。
435 名前:Happy Birthday!!七瀬[sage] 投稿日:04/10/18(月) 04:13:47 ID:???
カリカリ・・・、カリ。
浪「できた~!っと!!」
七「お疲れ様、浪馬クン。」
浪馬はただいま受験真っ最中。そして今日はセンターの過去問を解いていたのだ。
もうすこしでセンター試験。外は、雪こそ降っていないもののすっかり季節は冬である。
浪「ほんと、疲れた・・・。あ~、頭が重い・・・。」
七「ふふふっ、そりゃそうよ。だって90分間黙々と解いていたのだから。」
浪「まぁな、だがどうしても数学ってのは好きになれないな・・・。」
七「我慢しなさい、受験必須科目なんだから。でも、それにしては空欄が少ないわね・・・。」
浪「そりゃそうだ、なんたってオレには最高の家庭教師がついてるんだからな!!嫌いな教科だってへっちゃらさ!!」
七「・・・。あら、おだてたって何も出ませんからね。」
口ではそういってるが、七瀬はすごく嬉しそうである。
浪「まま、そんなに照れるなって!!」
七「べ、別に照れなんか・・・。」
浪「隠す必要なんかないだろ?俺とお前の間だし。」
浪馬が悪戯に笑う。
七「もう・・・、バカ。」
浪「ん?今なんか言ったか??」
七「いいえ。あなたの聞き間違えよ。」
浪「そうか。」
七「ええ。」
浪馬はふとカレンダーを見た。
浪『もう12月の15日か・・・。早いものだな。』
浪馬はふと、かつての自分を思い出す。
3月の終わり、浪馬は七瀬に、
お前と同じ大学へ行きたい、といった。
それからというもの、
七瀬は週に数回戻ってきて献身的に勉強を教えに来てくれるようになった。
大学はとても楽しいところである。当然、キャンパスライフもまんざらではないだろ・・・。
しかし、七瀬は来てくれた。
日にも日にも勉強漬けの毎日だが、浪馬は不思議と苦痛ではなかった。
時がたつごとに向上していく自分の学力。
それをまるで自分のことのように喜ぶ七瀬。こぼれる笑顔・・・。
浪『受験よりも、それを見るためにがんばってきたのかもな・・・。』
思わず微笑む浪馬であった。
436 名前:Happy Birthday!!七瀬 2/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 04:17:16 ID:???
七「ちょっと。サイフなんかもってどこへ行くのよ??」
浪「ああ、テストも終わったしちょっと散歩に行って来たいんだ。いいか??」
七「もう、しょうがないわね。少しだけならいいわよ。」
浪「やった。さすが七瀬。」
すぐに支度をして出て行く浪馬。
七「ちょっと。サイフなんかもってどこへ行くのよ??」
浪「ああ、テストも終わったしちょっと散歩に行って来たいんだ。いいか??」
七「もう、しょうがないわね。少しだけならいいわよ。」
浪「やった。さすが七瀬。」
すぐに支度をして出て行く浪馬。
やり取りが終わったあとすぐに採点に戻る七瀬。
七「あら・・・。よくできてるじゃないの!!すごい!すごい!!」
やはり、自分のことのように喜ぶ七瀬。どんどん顔がほころんでくる。
浪馬はもともと要領が良かったのかもしれない・・・。
今日解いた問題の中にはついこの間まで頭を悩ましていた問題もあった。
だが、その問題のほとんどは綺麗な赤マルがついている。
七『ほんと、浪馬クンはすごいわ・・・。』
週を重ねるごとに成長していく、浪馬。
七瀬はそんな浪馬をみるのが楽しくて、そして嬉しかった。
教えるたびに、それに答えてくれる浪馬。
七「あら・・・。よくできてるじゃないの!!すごい!すごい!!」
やはり、自分のことのように喜ぶ七瀬。どんどん顔がほころんでくる。
浪馬はもともと要領が良かったのかもしれない・・・。
今日解いた問題の中にはついこの間まで頭を悩ましていた問題もあった。
だが、その問題のほとんどは綺麗な赤マルがついている。
七『ほんと、浪馬クンはすごいわ・・・。』
週を重ねるごとに成長していく、浪馬。
七瀬はそんな浪馬をみるのが楽しくて、そして嬉しかった。
教えるたびに、それに答えてくれる浪馬。
離れ離れであっても、二人の絆は深くなっていくばかりだった・・・。
解答用紙を次々と、嬉しそうに添削していく七瀬であった。
437 名前:Happy Birthday!!七瀬 3/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 04:17:32 ID:???
一方、浪馬は、
浪「さてと、何を買おうかな・・・。」
華やかに装飾された駅前を歩いていた。
町はもうすっかりクリスマスモードである。
浪「七瀬には世話になったし・・・。」
そのとうりである。
浪馬は変わった。
テストにしても、今までまともに集中することはできなかった。
目の前の快楽におぼれ、ナンパに明け暮れる毎日。
正直、浪馬も自分がこんなに勉強をすることができるとは思ってもいなかった。
机に向かっても、15分と持たなかったかつての自分・・・。
浪馬を知るものが見たら、きっと驚くことだろう。机に向かう織屋浪馬を。
浪「う~ん、せっかくのクリスマスなんだ。少し高いものでも買おうか。
こんなときにケチケチしても仕方ないし。」
宝石店『ベル・エキップ』に立ち寄った浪馬。
眺めては見たもののなかなか、これといった物が見つからないようだ。
一方、浪馬は、
浪「さてと、何を買おうかな・・・。」
華やかに装飾された駅前を歩いていた。
町はもうすっかりクリスマスモードである。
浪「七瀬には世話になったし・・・。」
そのとうりである。
浪馬は変わった。
テストにしても、今までまともに集中することはできなかった。
目の前の快楽におぼれ、ナンパに明け暮れる毎日。
正直、浪馬も自分がこんなに勉強をすることができるとは思ってもいなかった。
机に向かっても、15分と持たなかったかつての自分・・・。
浪馬を知るものが見たら、きっと驚くことだろう。机に向かう織屋浪馬を。
浪「う~ん、せっかくのクリスマスなんだ。少し高いものでも買おうか。
こんなときにケチケチしても仕方ないし。」
宝石店『ベル・エキップ』に立ち寄った浪馬。
眺めては見たもののなかなか、これといった物が見つからないようだ。
ショーウィンドウと睨めっこすること数10分
浪「おお!これはぴったりじゃないか!!すみませ~ん、これいただけますか??」
どうやら見つかったようである・・・。
浪馬は来るべき日に胸を膨らませ、店をあとにした。
浪「おお!これはぴったりじゃないか!!すみませ~ん、これいただけますか??」
どうやら見つかったようである・・・。
浪馬は来るべき日に胸を膨らませ、店をあとにした。
七「少しだけって言ったのに・・・。1時間も、信じられないわ・・・。」
浪「ま、ま。そんなに怒るなって。そんなに怒っちゃせっかくの美人も台無しだぞ!」
七「もう・・・、あなたって本と口がうまいわね!」
浪「いや~、照れるな。」
七「皮肉でいったつもりよ。」
浪「・・・。それよりテストはどうだったんだ??」
七「ええ、まぁまぁの出来ね。この調子で続けたら、いいと思うわ。」
七瀬は微笑んだ。
浪「よし!がんばるぞ!!」
七「フフフ、外は寒かったでしょ?いまお茶を入れるわ。」
浪「おお、やったー!七瀬の入れる紅茶は格別だからな。」
七「あなたってほんと口がうまいわね。」
浪「それは皮肉か??」
七「いいえ、褒めているつもりよ。」
浪「そうか・・・。」
七「フフフ。」
浪「・・・。」
浪『七瀬って、ときどきわかんねぇ~~!』
浪「ま、ま。そんなに怒るなって。そんなに怒っちゃせっかくの美人も台無しだぞ!」
七「もう・・・、あなたって本と口がうまいわね!」
浪「いや~、照れるな。」
七「皮肉でいったつもりよ。」
浪「・・・。それよりテストはどうだったんだ??」
七「ええ、まぁまぁの出来ね。この調子で続けたら、いいと思うわ。」
七瀬は微笑んだ。
浪「よし!がんばるぞ!!」
七「フフフ、外は寒かったでしょ?いまお茶を入れるわ。」
浪「おお、やったー!七瀬の入れる紅茶は格別だからな。」
七「あなたってほんと口がうまいわね。」
浪「それは皮肉か??」
七「いいえ、褒めているつもりよ。」
浪「そうか・・・。」
七「フフフ。」
浪「・・・。」
浪『七瀬って、ときどきわかんねぇ~~!』
438 名前:Happy Birthday!!七瀬 4/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 04:18:03 ID:???
七「ちょっと!!浪馬クン、ちゃんと聞いてるの??」
浪「ああ、ちゃんと聞いてるよ。」
七「じゃぁ、私がさっき言ったことを言ってみて。」
浪「・・・。スマン・・・。」
七「ハァ・・・。」
七『今日の浪馬クン何かおかしいわ・・・。体の調子でも優れないのかしら?』
確かに今日の浪馬はおかしかった。
はじめから集中力というものが欠けていた
勉強をしている最中でも、しきりに七瀬を見てはニヤニヤと笑ったり。
普段の勉強の姿を見ている七瀬にとっては、その行動が不思議だった。
七「ちょっと!!浪馬クン、ちゃんと聞いてるの??」
浪「ああ、ちゃんと聞いてるよ。」
七「じゃぁ、私がさっき言ったことを言ってみて。」
浪「・・・。スマン・・・。」
七「ハァ・・・。」
七『今日の浪馬クン何かおかしいわ・・・。体の調子でも優れないのかしら?』
確かに今日の浪馬はおかしかった。
はじめから集中力というものが欠けていた
勉強をしている最中でも、しきりに七瀬を見てはニヤニヤと笑ったり。
普段の勉強の姿を見ている七瀬にとっては、その行動が不思議だった。
他のものから見ればごく自然なことなのだが・・・。
七「しょうがないわね~!休憩を挟みましょう。それが終わったら集中して勉強。いい??」
浪「おう!まかせろ!!」
七「はぁ~~。返事だけはいいのよね・・・。」
七瀬は少しあきれていた。
そんな七瀬を気にも留めずに浪馬が切り出した。
浪「な~なせ!!今日、実はお前に渡したいものがあるんだ!」
七「え?なんで・・・。誕生日はもうとっくに過ぎたはずよ?」
浪「チッチッチ。カレンダーを見てみろ。」
七「え?」
カレンダーを眺める。
七「あ・・・。」
浪「今日はクリスマスだろ??」
七「そういえば・・・、そうね。」
浪「愛する二人が愛を深める大切なイベントなのにお前ときたら・・・。」
浪馬が意地悪そうに言った。ほんの少し笑みを浮かべながら。
七「そんなこと言ったって、あなたは受験生だし・・・。」
浪「そうだよ、おれは受験生だよ。」
七「だったら、なんで・・・。受験生なら勉強優先でしょ・・・??
私のことなんか気にしないであなたは・・・。」
浪「まぁ、聞け。」
浪馬が続けた。
浪「おう!まかせろ!!」
七「はぁ~~。返事だけはいいのよね・・・。」
七瀬は少しあきれていた。
そんな七瀬を気にも留めずに浪馬が切り出した。
浪「な~なせ!!今日、実はお前に渡したいものがあるんだ!」
七「え?なんで・・・。誕生日はもうとっくに過ぎたはずよ?」
浪「チッチッチ。カレンダーを見てみろ。」
七「え?」
カレンダーを眺める。
七「あ・・・。」
浪「今日はクリスマスだろ??」
七「そういえば・・・、そうね。」
浪「愛する二人が愛を深める大切なイベントなのにお前ときたら・・・。」
浪馬が意地悪そうに言った。ほんの少し笑みを浮かべながら。
七「そんなこと言ったって、あなたは受験生だし・・・。」
浪「そうだよ、おれは受験生だよ。」
七「だったら、なんで・・・。受験生なら勉強優先でしょ・・・??
私のことなんか気にしないであなたは・・・。」
浪「まぁ、聞け。」
浪馬が続けた。
439 名前:Happy Birthday!!七瀬 5/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 04:18:54 ID:???
浪「俺は勉強がてんでだめだった。英語がだめなら、数学もだめだった。
今の俺なら言えるよ、その学力ならただの『自称受験生』だったとな。」
七「・・・。」
浪「まったく受験に臨むような学力でなかった俺を、
ここまでしてくれたのは他でもないお前なんだよ、七瀬。」
七「そんな・・・。それは浪馬クンががんばったからじゃないの。
私は週に数えるくらいしか来れてなかったのよ?」
非難する七瀬に浪馬はなおも続けた。
浪「いいや、お前のおかげだ。」
七「・・・。どうして?」
浪「おれが途中で投げ出さなかったのはな、お前の『笑顔』があったからなんだよ!」
七「私の『笑顔』・・・?」
浪「そうだ。』」
七「・・・。」
浪「難しい問題を解いたときや、俺の勉強の成果を見たとき、お前は本当に嬉しそうに笑うんだ。
それは俺の心の支えであり、俺が勉強するための原動力だった。」
七「浪馬クン・・・。」
浪「その笑顔を見るために、俺はがんばったと言ってもおかしくない。
こんな俺がいままでがんばれたのは、七瀬。お前のおかげなんだよ!」
七「・・・。」
浪馬に、言われうれしくなった七瀬は黙ってしまった。
七『私の笑顔のため・・・。浪馬クン・・・。』
浪「でな、七瀬。」
浪馬は続ける。
浪「これ、受け取ってくれよ・・・。」
綺麗な包装紙に包まれたそれは一言
『Merry Christmas』と書かれていた。
以前もらったことのある七瀬はわかった。
それが『ベル・エキップ』の包装紙であることを・・・。
七「浪馬クン・・・。うぅっ・・・・、うっ。」
浪「おいおい、泣くなよ・・・。」
七「だって・・・、こんな高いものを・・・。
わたし、そんなことも知らずにあなたに何もあげられない・・・。
去年もそうだった・・・。ごめんね、ごめんね・・・。」
浪「俺は勉強がてんでだめだった。英語がだめなら、数学もだめだった。
今の俺なら言えるよ、その学力ならただの『自称受験生』だったとな。」
七「・・・。」
浪「まったく受験に臨むような学力でなかった俺を、
ここまでしてくれたのは他でもないお前なんだよ、七瀬。」
七「そんな・・・。それは浪馬クンががんばったからじゃないの。
私は週に数えるくらいしか来れてなかったのよ?」
非難する七瀬に浪馬はなおも続けた。
浪「いいや、お前のおかげだ。」
七「・・・。どうして?」
浪「おれが途中で投げ出さなかったのはな、お前の『笑顔』があったからなんだよ!」
七「私の『笑顔』・・・?」
浪「そうだ。』」
七「・・・。」
浪「難しい問題を解いたときや、俺の勉強の成果を見たとき、お前は本当に嬉しそうに笑うんだ。
それは俺の心の支えであり、俺が勉強するための原動力だった。」
七「浪馬クン・・・。」
浪「その笑顔を見るために、俺はがんばったと言ってもおかしくない。
こんな俺がいままでがんばれたのは、七瀬。お前のおかげなんだよ!」
七「・・・。」
浪馬に、言われうれしくなった七瀬は黙ってしまった。
七『私の笑顔のため・・・。浪馬クン・・・。』
浪「でな、七瀬。」
浪馬は続ける。
浪「これ、受け取ってくれよ・・・。」
綺麗な包装紙に包まれたそれは一言
『Merry Christmas』と書かれていた。
以前もらったことのある七瀬はわかった。
それが『ベル・エキップ』の包装紙であることを・・・。
七「浪馬クン・・・。うぅっ・・・・、うっ。」
浪「おいおい、泣くなよ・・・。」
七「だって・・・、こんな高いものを・・・。
わたし、そんなことも知らずにあなたに何もあげられない・・・。
去年もそうだった・・・。ごめんね、ごめんね・・・。」
440 名前:Happy Birthday!!七瀬 6/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 04:19:15 ID:???
浪「な~んだそんなことかよ。」
七「え??」
浪「俺にはおまえの『最高の笑顔』っていうプレゼントがもらえるはずだっただろ?今日は。」
七「浪馬クン・・・。」
浪「ほら、笑え、笑えって。」
七「・・・。」
浪「笑えよ、七瀬。笑わないと無理にでも笑わせるぞ??」
七「・・・。もう・・・。バカなんだから。」
思わず七瀬から笑みがこぼれた。
浪「おおそれそれ、俺はお前のその笑顔がほしかったんだよ!!」
七「フフフ、ねぇ開けてもいい??」
浪「ああ、いいとも!」
浪「な~んだそんなことかよ。」
七「え??」
浪「俺にはおまえの『最高の笑顔』っていうプレゼントがもらえるはずだっただろ?今日は。」
七「浪馬クン・・・。」
浪「ほら、笑え、笑えって。」
七「・・・。」
浪「笑えよ、七瀬。笑わないと無理にでも笑わせるぞ??」
七「・・・。もう・・・。バカなんだから。」
思わず七瀬から笑みがこぼれた。
浪「おおそれそれ、俺はお前のその笑顔がほしかったんだよ!!」
七「フフフ、ねぇ開けてもいい??」
浪「ああ、いいとも!」
その高級そうな包みの中から出てきたのは
宝石だった・・・。
しかもただの宝石ではない。
浪馬がプレゼントした宝石は・・・。オパール。
浪馬は、宝石の知識なぞまったくない。
だが、偶然にもそれは七瀬の『誕生石』であった。
蒼く、そして魅力的に輝く七瀬の指輪
博識の七瀬が誕生石のことも、そして
自分の誕生石を知らないはずがなかった。
七『もしかして、浪馬クンわざわざ選んでくれてたの??』
再び、涙がこぼれそうなのを必死でこらえる七瀬。
七「どうして、この指輪を選んだの?」
たまらず七瀬は聞き出した。
浪「ん、どうしてって。そりゃぁお前のイメージにピッタリだったからだ。」
七「わたしにぴったり??」
浪「ああ、冷静で、たまにちょっとミステリアスなところがある。それがまさに『青』って感じだったから。」
七「・・・。(単純ね・・・。)」
浪「それだけじゃないぞ。上手くいえないが、その石の輝きってなんか柔らかい感じだろ?」
七「え・・・。言われてみれば・・・。たしかにそうね。」
浪「受験勉強のとき、俺のそばにはいつも七瀬がいた。勉強がぜんぜんだめな俺に腹を立てることなくな。
そんな、俺が困ったときに優しく柔らかく包んでくれるようなところ。そこがお前にピッタリかなってさ。」
七「浪馬クン・・・。」
浪「あれ、あまり嬉しくなかったか・・・?」
心配そうに覗き込む浪馬。
七「その逆よ・・・、うれしいにきまってるじゃないの!」
浪「そうか、それはよかった!!」
七「もう、肝心のところで鈍いんだから・・・。」
ボソっと七瀬が漏らす。
浪「ん?なにかいったか??」
七「ううん、なんでもない。」
浪「そうか・・・。」
うっとりと指輪を眺める七瀬本当に幸せそうである。
宝石だった・・・。
しかもただの宝石ではない。
浪馬がプレゼントした宝石は・・・。オパール。
浪馬は、宝石の知識なぞまったくない。
だが、偶然にもそれは七瀬の『誕生石』であった。
蒼く、そして魅力的に輝く七瀬の指輪
博識の七瀬が誕生石のことも、そして
自分の誕生石を知らないはずがなかった。
七『もしかして、浪馬クンわざわざ選んでくれてたの??』
再び、涙がこぼれそうなのを必死でこらえる七瀬。
七「どうして、この指輪を選んだの?」
たまらず七瀬は聞き出した。
浪「ん、どうしてって。そりゃぁお前のイメージにピッタリだったからだ。」
七「わたしにぴったり??」
浪「ああ、冷静で、たまにちょっとミステリアスなところがある。それがまさに『青』って感じだったから。」
七「・・・。(単純ね・・・。)」
浪「それだけじゃないぞ。上手くいえないが、その石の輝きってなんか柔らかい感じだろ?」
七「え・・・。言われてみれば・・・。たしかにそうね。」
浪「受験勉強のとき、俺のそばにはいつも七瀬がいた。勉強がぜんぜんだめな俺に腹を立てることなくな。
そんな、俺が困ったときに優しく柔らかく包んでくれるようなところ。そこがお前にピッタリかなってさ。」
七「浪馬クン・・・。」
浪「あれ、あまり嬉しくなかったか・・・?」
心配そうに覗き込む浪馬。
七「その逆よ・・・、うれしいにきまってるじゃないの!」
浪「そうか、それはよかった!!」
七「もう、肝心のところで鈍いんだから・・・。」
ボソっと七瀬が漏らす。
浪「ん?なにかいったか??」
七「ううん、なんでもない。」
浪「そうか・・・。」
うっとりと指輪を眺める七瀬本当に幸せそうである。
441 名前:Happy Birthday!!七瀬 7/7[sage] 投稿日:04/10/18(月) 04:22:21 ID:???
七「でもね、浪馬クン」
浪「なんだ、七瀬?」
七「本来は、私があなたにこれを渡したいくらいなのよ。」
七瀬の思いも知らずに続ける浪馬
浪「ん?オレもお前と同じく冷静でクールって意味なのか?なんかほめてもらうと照れちまうな・・・。」
七「もう、そういう意味じゃないわよ。」
おどける浪馬をひじで突付く七瀬。
浪「おい、七瀬・・・。」
七「ん?なぁに?」
浪「窓の外を見てみろ。」
七「・・・。うわーー!!」
外にはいつの間にか雪が降っていた。
七「綺麗ね・・・。」
浪「ホワイトクリスマスってわけだ。」
七「ほんと、そうね。」
浪「なんか、ロマンチックだな。」
七「クスクス、貴方にはその言葉似合わないわ。」
浪「失礼な!オレだって風流心ぐらいあるぞ。」
七「あーら、ごめんなさい。」
こんどは七瀬がおどける。平穏なクリスマスの風景。
七「ねぇ、勉強の具合はどうなの?」
浪「おいおい、クリスマスくらいはそんなこと忘れようぜ。」
七「そうもいきません。これも全部、貴方のためなんだから。」
浪「・・・。」
七「浪馬クン??」
浪「聞いて驚くなよ、この前の模試の結果、なんとA判定だったんだぜ!!」
七「うそ!!ほんとに!?信じられない・・・。」
七瀬が通ってる学校は難易度の高い大学である。そう簡単にA判定など出るはずもない。
七「ほんとうなの?」
浪「前にも言っただろ?『オレには最高の家庭教師がついてる』ってさ。」
七「・・・。もう、おだてても何も出ないわよ。」
浪「あ、その台詞前にも聞いたぞ!」
七「あら、そうかしら。」
浪「ああ、そうだ。」
七「そう、フフフ」
浪「ハハハ。」
七「ねぇ・・・。」
浪「ん、なんだ?」
ピタッと七瀬は寄り添ってきた。
七「まだまだ、気を抜かないでね。あと少し、あと少しの辛抱だから。」
浪「ああ、任せろ!!絶対に合格してやるから期待して待ってろよ!!」
七「フフフ、楽しみだわ。がんばってね!!」
浪「おう!」
七「終わったら、今までを取り返すくらい遊びましょうね!」
浪「当たり前だろ?」
七「たくさん、私を楽しましてね。いままで少ししか会えなくて寂しかったんだから・・・。」
さらに寄り添う七瀬。
浪「おう!!」
七「でもね、浪馬クン」
浪「なんだ、七瀬?」
七「本来は、私があなたにこれを渡したいくらいなのよ。」
七瀬の思いも知らずに続ける浪馬
浪「ん?オレもお前と同じく冷静でクールって意味なのか?なんかほめてもらうと照れちまうな・・・。」
七「もう、そういう意味じゃないわよ。」
おどける浪馬をひじで突付く七瀬。
浪「おい、七瀬・・・。」
七「ん?なぁに?」
浪「窓の外を見てみろ。」
七「・・・。うわーー!!」
外にはいつの間にか雪が降っていた。
七「綺麗ね・・・。」
浪「ホワイトクリスマスってわけだ。」
七「ほんと、そうね。」
浪「なんか、ロマンチックだな。」
七「クスクス、貴方にはその言葉似合わないわ。」
浪「失礼な!オレだって風流心ぐらいあるぞ。」
七「あーら、ごめんなさい。」
こんどは七瀬がおどける。平穏なクリスマスの風景。
七「ねぇ、勉強の具合はどうなの?」
浪「おいおい、クリスマスくらいはそんなこと忘れようぜ。」
七「そうもいきません。これも全部、貴方のためなんだから。」
浪「・・・。」
七「浪馬クン??」
浪「聞いて驚くなよ、この前の模試の結果、なんとA判定だったんだぜ!!」
七「うそ!!ほんとに!?信じられない・・・。」
七瀬が通ってる学校は難易度の高い大学である。そう簡単にA判定など出るはずもない。
七「ほんとうなの?」
浪「前にも言っただろ?『オレには最高の家庭教師がついてる』ってさ。」
七「・・・。もう、おだてても何も出ないわよ。」
浪「あ、その台詞前にも聞いたぞ!」
七「あら、そうかしら。」
浪「ああ、そうだ。」
七「そう、フフフ」
浪「ハハハ。」
七「ねぇ・・・。」
浪「ん、なんだ?」
ピタッと七瀬は寄り添ってきた。
七「まだまだ、気を抜かないでね。あと少し、あと少しの辛抱だから。」
浪「ああ、任せろ!!絶対に合格してやるから期待して待ってろよ!!」
七「フフフ、楽しみだわ。がんばってね!!」
浪「おう!」
七「終わったら、今までを取り返すくらい遊びましょうね!」
浪「当たり前だろ?」
七「たくさん、私を楽しましてね。いままで少ししか会えなくて寂しかったんだから・・・。」
さらに寄り添う七瀬。
浪「おう!!」
その指輪は外の雪景色に負けないくらい美しく、そして魅力的にきらめいていた・・・。
七瀬は知っていたのだ、
オパールは『安楽』の象徴であるということを・・・。
Fin.
オパールは『安楽』の象徴であるということを・・・。
Fin.