nanatan @Wiki ss@8スレ(その2)


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133 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/11(火) 09:19:05 ID:???
七瀬「ねえ浪馬くん客間にお布団と着替え出しておいたからお風呂から出たら着替えてね」
浪馬「おう、七瀬ありがと」
     :
     :
浪馬「七瀬~布団と着替えはどこだ?客間に何もなかったぞ?」
七瀬「えっ?そんなはずは無いわ ちゃんとだしたもの」
パパン「ささ浪馬くんそんなことよりこっちに来て一杯やろうではないか」
ママン「あらあら浪馬さんの布団と着替えはななちゃんの部屋に敷き直したわよ実家だからって遠慮
   しなくてもいいのよ同棲してるんだし」
パパン「若い者が遠慮はいかんぞ遠慮は、そんなことよりこっちに来て一杯やろう」
浪馬「・・・・」
七瀬「・・・・」


134 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/01/11(火) 12:10:52 ID:???
》133
浪馬:「おい七瀬。この布団は?」
七瀬:「えっ、この布団は私のじゃないわ」
浪馬:「じゃ誰が寝るんだよ・・…」
七瀬:「これって私に一緒にここで寝ろって事なのかしら??」
ママ登場!
ママ:「違うわよ、ななちゃん。それは私の。ななちゃんのはお部屋にひいているわよ」
浪馬:「えっ!」
七瀬:「な・な・な……」
ビックリし硬直する浪馬、顔を真っ赤にし般若面になる七瀬。
七瀬:「な・・なんですって! ママ!! 何を考えているの!!」
ママ:「だっていくらお付き合いしている人でも嫁入り前の娘を男の人と一緒に寝かせる事は出来ないわ」
七瀬:「だからと言ってママが織屋君と寝ていいわけが無いじゃない!」
ママ:「そぉ? ママは結婚しているし構わないわよ。織屋さんの事もっと良く知りたいし」
七瀬:「だ・か・ら、何でママは織屋君と寝ようとするのよ!!」
ママ:「よろしくね織屋さん。ああ、こんな気持ち新婚以来かしら。ルン」
・…………
浪馬:(えらい家に来てしまったぜ……)





336 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/02/01(火) 21:45:50 ID:???
パパン「母さん、この寒いのに玄関先で何やってたんだね?」
ママン 「ちょっとナナちゃんのお手伝いをね」
パパン「手伝い? 七瀬はまだ帰ってきてないじゃないか」
ママン 「だからなのよ、うふふふふ」
パパン「?」
キョトンとするパパンを尻目に、ママンは携帯を取り出した。
ママン「あ、ナナちゃん? 今夜は冷えるわね。雪までちらついてるわ」
   「え? 早く帰るから心配いらない?」
   「それがねえ、お母さんうっかり家の前に水を撒いちゃってね。ナナちゃん
   が帰る頃にはもうカチカチに凍ってると思うわ」
   「転んで怪我するといけないから、今日は誰かお友達のおうちに泊めて
   貰いなさい」
パパン「・・・・・・・・・・・・」
ママン「それくらい大丈夫? ダメよ無理しちゃ。それにもう玄関の鍵かけちゃった♪
   合鍵持ってるって? あらナナちゃん、チェーンを忘れてないかしら? 玄関
   の外からあれが外せると思って?、おほほほほ」
ママンは勝ち誇るように一方的に携帯を切った。
パパン「母さん、玄関先に水撒いたくらいじゃ人が通れないなんてことはないだろう」
ママン 「大事なのは通れる通れないじゃなくて、それらしい口実じゃありませんか?」
ママンはしれっと言ってのけると、明日はお赤飯にしましょうねと笑った。

高遠夫人、彼女は愛娘の幸せのためならシベリア寒気団すら利用する人だった。





542 名前:おちゃめな七瀬~予約~[sage] 投稿日:05/02/26(土) 08:24:17 ID:???
「う………」

眠っていた浪馬がふと目を覚ます。

「………あれ? 七瀬はどこいった?」

部屋を見回すが七瀬の姿はない。
そして眠る前の事を考える。

「あ、そうか。七瀬とHしたあとにそのまま眠っちまったのか…」

全裸の自分に気付き、状況を把握する浪馬。
ふと、テーブルの上の置手紙に気付く。

『疲れさせてしまってごめんなさい。
 今日のあなたも素敵だったわ。
 あまりにも気持ち良さそうに眠っていたから
 起こさないで帰るわね。

 起きたら返事の電話頂戴ね。
 待ってるわ。

 好きよ、織屋君。
                         七瀬 』

「返事????」

手紙の意味がよく解らない浪馬。
あれこれしばらく考えてみる。

「しゃーないな。しょんべんしてから電話してみるか」

そう言って起き上がった時に、自分の股間の変化に気付く。

「なんだぁ!? このリボンは……」

綺麗なリボンが子浪馬にちょうちょ結びにされている。
そしてそのリボンに書いてある文字を見つける。

『3月14日のホワイトデー、私が貸切り予約します。 七瀬』


550 名前:おちゃめな七瀬~後払い~[sage] 投稿日:05/02/26(土) 21:12:37 ID:???
七瀬の予約を受け付けた翌日。
今日も七瀬は浪馬の家にご訪問。
シャワーを浴び終え、浪馬のいるベッドにもぐりこむ。

「なあ、七瀬。ホワイトデーに何かプレゼントするつもりだったんだが、
 それだけじゃだめなのか?」
「もちろんもらえるならなんでも嬉しいわ。でも、あなた自身も予約しておきたかったの」
「でもなぁ、俺はバレンタインデーに七瀬自身をもらってないぜ?」
「いつもあなたにあげてるじゃない」
「いや、バレンタインデーにはもらってないぞ」
「確かにあの日はしてないけれど……」
「よし、バレンタインデーの分は今日で後払いでいい」
「それでいいなら喜んで」

不安げな顔から一瞬で満面の笑みへと変わる七瀬の表情。
勢い良く抱きつこうとする七瀬に浪馬の待ったがかかる。

「抱きついちゃだめ?」
「そうじゃない。ただな、後払いでいいと言った変わりに頼みがある」
「頼みって?」
「七瀬自身がプレゼントなんだよな?」
「ええ、そうよ」
「じゃあヘアバンドの替わりにこれをしろ」
「こ、これを?」
「ああ。でなければ後払いは認めん」
「………」

浪馬から手渡されたそれをみて七瀬が考え込む。

「あなたがそうして欲しいなら……いいわ。
 じゃあ準備するから向こうを向いていてちょうだい」
「おっけー」

そう言って浪馬が後ろをむくと、七瀬がなにやらごそごそ始めた。

「まだか?」
「……ちょ、ちょっと待って」
ガサゴソ
「……まだか?」
「……こ、これでいいのかしら?」
「振り向くぞ?」
「……え、ええ、いいわよ」

意気揚揚と振り向く浪馬の目に飛び込む七瀬の姿……
ヘアバンドの替わりに七瀬の頭にでっかいちょうちょ結び。
「はずかしいわ……」
「そんなことはない。最高にかわいいプレゼントだ」
「本当?」
「ああ」
浪馬の誉め言葉にまんざらでもない顔つきになる七瀬。
さっきまでの恥じらいもどこかに吹っ飛んで、思い切り浪馬に抱きつく。

「……ウフフッ、さぁ召し上がれ」



555 名前:後払い 改変 [sage] 投稿日:05/02/27(日) 04:34:03 ID:???
ここまで一緒

浪馬から手渡されたそれをみて七瀬が考え込む。

「あなたがそうして欲しいなら……いいわ。
 じゃあ準備するから向こうを向いていてちょうだい」
「おっけー」

そう言って浪馬が後ろをむくと、七瀬がなにやらごそごそ始めた。

「まだか?」
「……ちょ、ちょっと待って」
ガサゴソ
「……まだか?」
「……こ、これでいいのかしら?」
「振り向くぞ?」
「……え、ええ、いいわよ」

意気揚揚と振り向く浪馬の目に飛び込む七瀬の姿……
ヘアバンドの替わりに七瀬の頭にはふさふさのネコミミ。
「はずかしいわ……」
「そんなことはない。最高にかわいい仔猫ちゃんだ」
「本当?」
「ああ」
浪馬の誉め言葉にまんざらでもない顔つきになる七瀬。
さっきまでの恥じらいもどこかに吹っ飛んで、思い切り浪馬に抱きつく。

「……ウフフッ、さぁ召し上がれ」

》550サンゴメンナサイ

…そうかバレンタインか猫関係ないじゃんと書きながらキズイタ…





747 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/03/10(木) 20:53:58 ID:???
七瀬「次は八百屋ね」
浪馬「げっ? まだ買い物続けるのか?」
七瀬「だって材料が揃わないもの。夕ご飯ができなくてもいいの?」
浪馬「わ、わかったよ」
久しぶりに同時に休みが取れた七瀬は、浪馬を連れて近所の商店街で買い物をしていた。
浪馬「でもさあスーパーに行けば、こんなにあちこち店を回らなくて済むぜ?」
七瀬「生鮮食品は専門店に限るのよ。あ、こんにちわ、おばさん」
   「あら、奥さんいらっしゃい。最近顔見なかったけど、仕事忙しかったのかい?」
七瀬「ええ、そうなの」
   「奥さんも大変だね。あ、横の人、ひょっとしてご主人なのかい?」
七瀬「うふふふ」
   「奥さんもべっぴんさんだけど、ご主人、あんたもなかなかいい男だねえ」
浪馬「ど、どうも」
七瀬「おばさん、今日は大根と白菜と、それから・・・・・・」
   「毎度ありがとね。今日はご主人も来てくれたから、これもサービスしておこうかね」
七瀬「ありがとう」
   「美味しいもの食させて、ご主人に精力つけて貰わないとね。新婚さんなんだからさ」
七瀬「い、いやだわ、おばさんったら」
   「おやおや、赤くなったよ。ご主人も幸せもんだね。こんな可愛い奥さんを貰えて」
浪馬「はあ」
   「はあじゃないよ。今夜もナニを頑張るんだろ? ん?」
浪馬「はははは・・・さあ、何のことやら」
   (商店街のおばさんって、どうしてこうストレートなモノ言いするんだろう)
   (七瀬のヤツ、こんなこと言われて気分悪くないのかなあ?)

ざっくばらんな商店街のおかみさん達に「奥さん」と呼ばれ、時には新婚生活を冷やかされるのを、
七瀬がとても楽しみにしていることを浪馬は気づいてない。接客マニュアルが徹底し、世間話もし
なければ、自分を「お客さま」としか呼ばないスーパーに行っても、七瀬は嬉しくないのだ。





808 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/03/14(月) 23:58:05 ID:???
「俺、来年七瀬の大学に行くことにした」
その時七瀬は、浪馬が冗談を言い出したと思った。
「そうね、あなたと一緒に大学に通えたら、さぞかし楽しいでしょうね」
「それでさ七瀬の使ってた参考書や問題集を俺にくれよ。あの手の本って結構高いんだよな」
「えっ!?」
「とりあえずあれこれ揃え始めたんだけど、もう金がなくなっちまった、はっはっはっ」
「じょ、冗談じゃないの?」
「勿論だ」
事も無げに答える浪馬の顔を見て、七瀬は軽いめまいを覚えた。

「い、いったいどうしたの? いきなりそんなこと言い出すなんて」
「七瀬の話を聞いてたら、俺もなんとなく法律に興味が出てきたからさ」
「な、なんとなく? こんな大切なことをいい加減な気持ちで決めてどうするの?」
「いい加減な気持ちじゃない。なんとなく決めようが、思いつきで決めようが、俺は真剣だ」
「言ってる意味がわからないわよ・・・」
思慮深い七瀬にしてみれば、人生の重大事を『なんとなく』決めるなどという思考は受け入れ
難いものだったし、ましてやそれで真剣だと言われると、もう理解不能の領域だった。

「そんなおっかない顔するなよ。とにかく俺は決めたから」
「決めるって、卒業すら危なかったあなたが、どうやって私と同じ大学に合格するつもりなの?」
「ま、一年あればなんとかなるだろ」
「なるわけないでしょう? 現実を見なさいよ」
「俺は可能性に挑戦する男なんだって」
「ゼロに近い可能性にかけるなんて無謀過ぎるわ。もっと堅実な道を選ぶべきよ。ね?」
愛する浪馬が無謀な賭けに出るなど、七瀬には我慢ならなかった。しかし。
「無謀? そんなこと言ってたら、俺はおまえと付き合えなかったぜ。そうだろ?」
浪馬の投げかけた質問に七瀬は言葉を失った。


810 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:05/03/15(火) 00:44:12 ID:???
「心配すんなって」「絶対合格してみせるから」「これから一年、忙しくなるぜ」
一人盛り上がって話す浪馬を、七瀬はただ黙ってぼんやりと見つめた。

(ある日突然、あなたは自分の天敵だった私をデートに誘いに来たのよ)
(最初は冗談だと思った)(何バカなことを始めたんだと思った)(でもあなたは真剣だった)
(何度断っても、あなたは諦めなかった)(とうとう私をデートに引張り出して)
(それから何回も一緒に出かけて)(そして・・遂に)(私をあなたに夢中にさせちゃった・・・)

(学園のみんながビックリしてたわ)(あり得ないって)(嘘みたいだって)(信じられないって)
(当たり前よね)(この私自身ですら、時々夢でも見てるんじゃないかって思うもの)
(あなたはそれくらいスゴイことをやってのけた)(ゼロに近い可能性をモノにした)

(そしてまた、あなたは可能性に挑戦すると言うのね?)
(あなたと私、二人で大学に通うなんて、夢の様な未来を賭けて・・・)

「おい、七瀬。何ぼんやりしてるんだよ? 聞いてるか?」
「え、な、なに?」
「今日はホワイトデーだろ? まあ、今年はただのホワイトチョコだけど」
「う、うん」
「来年はチョコに合格通知添えて七瀬に渡すから、楽しみにしてろって言ったんだよ」
「お、織屋君・・・」
「だから来年のバレンタインもチョコレートくれよな。でないとお返しができないからさ」
「え?」
「忘れないでくれよ?」
「バ、バカ! 忘れるわけ・・・・・」
七瀬は最後まで言葉を続けられなかった。瞳から熱い涙が溢れた。


829 名前:おまけ[sage] 投稿日:05/03/15(火) 21:50:41 ID:???
「ほら、そこはさっき教えたでしょ? いい加減覚えなさいよ」
「頭使いすぎて、もう何も考えられない・・・・」
「情けないこと言わないの。あれだけ大口叩いておいて、泣き言なんて許さないんだから」
「七瀬、おまえの教え方は厳しすぎるぜ。もう少し優しくできないか?」
「七瀬じゃないわ。何度も言ったでしょ? 勉強中は高遠先生って呼びなさい」
あの日以来七瀬は浪馬の家庭教師となり、猛烈なスパルタ勉強を開始していた。
「ぜーはー、ぜーはー・・・・やっと終わった・・・・もう脳みそが沸騰しそうだ・・・・」
「じゃあ次は英文法の時間よ。数学で熱くなった頭を冷ましながらやりなさい」
「なんだよ? それ。使う頭は一緒じゃないか!」
「あら、理数系と文系じゃ脳の働く場所が違うのよ。だから交互にやるのが効果的なの」
「ほ、ほんとかよ・・・」

一時間後、浪馬が半死半生の体でボソボソと呟いた。「高遠先生・・・・・・終わった・・・・・よ」
「よろしい。それじゃ次は理系の物理のおさらいね」
「まだ続けるのかよ? 頼む、少し頭を休憩させてくれ。学校だって体育の授業とかあるだろ?」
「体育は受験に関係ないじゃない」
「こ、このままじゃ俺の頭は爆発しちまうよ。頼む、いや、頼みます、高遠先生っ!」
「も、もう、しょうがないわね。体育って、体操でもして気分転換でもするの?」
「いやいや、気分転換なら、もっといい方法があるぜ」
「いい方法って?」
「保健体育の勉強をしよう」
「ほ、保健体育?」
首をかしげる七瀬に、浪馬はニヤリと笑った。
「高遠先生っ! 僕に女の子の体の仕組みを教えてくださいっ!」
「は、はあっ? ちょ、ちょっと、いきなり何言い出すのよ? あ、あん!」
七瀬の抗議もどこ吹く風で、浪馬は彼女を激しく抱きしめた。
「先生の体ってなんて柔らかいんだ。ほら、先生、服を脱いでもっとよく見せてよ」
「へ、変なこと言わないでったら! だめ! 織屋君! あん、ばか! ひぁぁぁぁぁぁんっ」

こうして七瀬と浪馬のえっちバリエーションに、シュチエーションプレイが増えましたとさ。





219 名前:『姿なき恋人』 水曜日[sage] 投稿日:05/01/19(水) 22:30:08 ID:???
水曜日放課後 部室

「はあ・・・・・」
もう今日何度目になるだろう。部室の椅子に腰掛けたまま、
たまきは深い溜息をついた。「見つからないなあ」

発端は月曜の昼休みだった。
タマ「ね、ね、それでその子の顔は見たの?」
刃 「夜で暗かったし、女の子はちょうど浪馬の陰に隠れてたからさ」
タマ「声かければ良かったのに」
「無茶言わないでよ、たまきちゃん」刃が苦笑した。

日曜の夜、久しぶりに浪馬の部屋を訪れようとした刃は、ビックボディの前で
恋人と抱き合う浪馬と鉢合わせしたと言う。

タマ「友達だからいいじゃない」
刃 「友達だから遠慮するんだって」
タマ「どんな子かな?」
刃 「うちの学園の子だよ」
タマ「どうしてわかるの?」
刃 「慌てて逃げる時、『明日また学校で会えるよ』って浪馬の声が聞こえたんだ」
タマ「むふふふ、それじゃ見つけるのは簡単だね」
刃 「たまきちゃん、まさか・・・」
タマ「どうせ浪馬クンに聞いても答えてくれないだろうし、私たちで探そ?」
刃 「そっとしておいてやろうよ」
タマ「浪馬クンのお目付け役としてこれは見逃せないよ♪ それに刃君も興味ある
   でしょ?」
刃 「・・・・まあ、そりゃね」
「よし決まり!」たまきはニッコリと微笑んだ。



220 名前:『姿なき恋人』 水曜日2[sage] 投稿日:05/01/19(水) 23:15:02 ID:???
タマ「一人暮らしの浪馬クンの家に来るってことは相当深い仲だよね。だった
   ら学校でもそれらしいそぶりを見せるハズだよ。休み時間によく話すとか。
   放課後いつも一緒にいるとか」
そりゃそうだねと、早速仲間に引っ張り込まれた望が頷いた。
刃 「つまり浪馬を見張ればいいってことか」
タマ「さすが刃君、飲み込みが早い。まあ、すぐに見つかると思うよ、うふふ」

あれから三日、ところが浪馬の恋人はいまだ見つかっていなかった。手がかりす
らもない。原因ははっきりしている。行動を監視してわかったことだが、最近の
浪馬は休み時間に恋人と甘いひと時を過ごすどころではないらしい。

(もう完全に目の仇にされてる。自業自得とは言え、浪馬クンも災難だよね)
たまきが哀れみの視線を向ける方向にその元凶はいた。

「よくも追試ばかり受けられるものね。もしかしてテストが好きなのかしら?」
「んワケないだろ」
「一度で済むものを何度も受けるなんて、好きとしか思えないわ」
「嫌いだから何度も受けるハメになるんだよ」
「嫌いだったら一度で済むようにしなさい」
またしても追試を喰らったことをどこで聞きつけたのか、浪馬を部室のボロ机に
座らせ無理矢理勉強をさせ始めたのは、浪馬の天敵、頼津学園自治会執行部
副会長、高遠七瀬だった。

どう言うわけか、七瀬はこのところひっきりなしに浪馬のところに来る様になっ
ていた。以前から浪馬の顔を見れば説教を始める彼女だったが、今やそんな
レベルはではなく、もはや追い掛け回すと表現する方が正しかった。

タマ(お説教しすぎて、浪馬クンをとっちめるのが快感になっちゃったのかな?)
  (まさかねえ)



221 名前:『姿なき恋人』 水曜日3[sage] 投稿日:05/01/19(水) 23:35:41 ID:???
浪馬「七瀬、この問題どうやって解くんだ?」
七瀬「さっき言ったでしょ? 公式に当てはめるだけよ」
浪馬「ああ、あれか・・・えっと・・・これでいいのか?」
七瀬「そうそう、やればできるじゃないの。ほら次よ」
浪馬「ま、まだやるのか? ちょっと休憩しようぜ」
七瀬「このページ全部解くまでダメ。追試は明日なのよ。時間がないの」
浪馬「頭使いすぎてめまいがしてきた」
七瀬「まだぐずぐず言うなら、今夜部屋に押しかけて徹夜で勉強させるわよ?」
浪馬「お、恐ろしい冗談はやめてくれ」
七瀬「じゃあさっさとやりなさい。わからないところがあったら私に聞けばいい
   から、ね?」
浪馬「わ、わかったよ。でも執行部の仕事はいいのか?」
七瀬「私が執行部に戻ったら、その隙に逃げるつもりでしょ」
浪馬「いや、そういうつもりじゃ・・」
七瀬「あなたの考えてることなんてお見通しよ」
七瀬は悪戯っぽく微笑んだ。どうあっても浪馬を解放する気はないらしい。

タマ(校門が閉まるまでこの調子かな)
  (そう言えば昼休みも別のことで連行されたっけ)
  (こうも張り付かれたんじゃ、浪馬クンも恋人さんと合うどころじゃないね)
  (あーあ、今日も見つかりそうもないや)

明日以降に続く



238 名前:『姿なき恋人』 木曜日1 [sage] 投稿日:05/01/21(金) 11:51:21 ID:???
次の日の朝、たまきは校門の前で後から声をかけられた。
浪馬「おっす、タマ」
タマ「おはよう浪馬クン。今日は珍しく早いね」
浪馬「朝一番から失礼なこと言うなよ」
タマ「あははは、そういや最近遅刻しなくなったね」
浪馬「寝坊しようにも電話で叩き起こされちまうかなら」
タマ「電話?」
浪馬「いや、こっちの話だよ」

二人が校門をくぐると腕に腕章を巻いた執行部員達の姿が目に付いた。
今日は遅刻取締りの日らしい。

タマ「今日は堂々と通れるね」
浪馬「まあな」
タマ「で、さっきの話だけど電話って何のことなの?」
浪馬「だからタマには関係のないこと・・・」
  「織屋君、待ちなさい」
突然よく通る済んだ声が二人の会話に割り込みをかけて来た。
タマ「あ、おはよう高遠さん」
浪馬「七瀬じゃないか。なんだ今日も陣頭指揮やってたのか」
  「それが私の仕事なんだから当然でしょ?」
七瀬はそう答えるとツカツカと浪馬の前にやってきた。
七瀬「織屋君、ちょっとこっちいらっしゃい」
浪馬「え? なんだよ、俺今日は遅刻してないぜ?」
  「いいから」七瀬は浪馬の手を取ると校門の脇へと引っ張ってゆく。



239 名前:『姿なき恋人』 木曜日2[sage] 投稿日:05/01/21(金) 12:02:26 ID:???
「織屋君、あなたもう少しキチンとした格好できないの?」
「ブレザーの背中、しわが寄ってるわ」「袖のボタンが取れかかってるし」
七瀬は、浪馬の周りをグルグルと回りながら服装を細かくチェックし始めた。

浪馬「なあ、七瀬、今日は服装検査の日じゃないだろ?」
七瀬「検査の日じゃなかったら、だらしない格好してもいいの?」
浪馬「俺だって一応出来る限りのことはしてるんだぜ」
七瀬「あなた一人暮らしですものね。でも糸くずくらい取りなさいよ」
七瀬は浪馬の背中を手でパンパンと払い、ついでに着崩れを直した。
七瀬「うん、こんなものかしら? 後は・・・・」
再び浪馬の正面に戻ると、七瀬は両手で浪馬のネクタイを掴んだ。
七瀬「これもちゃんと締めた方がいいわ」
浪馬「うぐっ・・・な、七瀬、苦しいって」
七瀬「あら、少し強く締めすぎたかしら?」
浪馬「い、息ができねえよ」
七瀬「これでどう?」
浪馬「んー、まだ窮屈な感じだぞ」
七瀬「文句の多い人ね。少しくらい我慢しなさい」

タマ(高遠さんも、よくもまあ次々とお説教のネタを見つけるもんだね)
  (・・・・・はあ・・もう付き合ってらんないよ)
二人のやり取りを見ていたたまきは、半ば呆れ一人さっさと教室に向かった。



260 名前:姿なき恋人 木曜3 昼休の教室[sage] 投稿日:05/01/22(土) 19:58:02 ID:???
タマ「浪馬クンは、たぶん高遠さんを警戒してる」
刃 「浪馬に恋人がいるなんて高遠が知ったら」
望 「すぐにお小言のネタにされちゃうだろうからね」 
刃 「だから学校ではお互い他人のフリをしてる可能性が高い」
タマ「それなら浪馬クンを高遠さんから隔離すればいいんだけど・・・・」
刃 「こうも頻繁に捕縛されると、手が付けられないな」
昼食時で閑散とする教室で、三人は困り果てた様子で溜息をついた。

謎の恋人を捜し求めてはや四日目。今日は食堂に浪馬を誘い出し、彼女がやって
くるのを待つ、という計画を三人は練った。が、それは昼休みを告げるチャイムが
鳴ったとたん破綻した。放課後の追試に向けての最後の追い込みをしろと、七瀬が
乗り込んで来たからだ。

「今から勉強? 昼飯くらい食わせてくれよっ!」
悲鳴をあげる浪馬に「心配しなくても用意してあるから」と、七瀬はすました顔で
バッグからサンドイッチを取り出した。「飲み物もあるわ」わざわざ家で準備し
てきたらしい。彼女は紅茶を満たした保温ポットまで持っていた。

浪馬「七瀬、飯か勉強かどっちかにしないか?」
七瀬「時間がないでしょ? 本当はこんなお行儀の悪いことはよくないけれど」
浪馬「勉強しながらじゃ食べた気がしねえよ」
七瀬「追試なんて受けるあなたが悪いのよ。文句言わずに食べなさい」

望 「しかしお弁当付きの説教なんて初めて見たね」
刃 「高遠もスゴイ必殺技を持ってるもんだ」
タマ「でもさあ、浪馬クンの恋人は絶対ヤキモキしてるよ」
刃 「まあ、四六時中他の女に絡まれてるわけだから」
望 「そりゃいい気はしないよね」
タマ「これが原因で、浪馬クンとその子が別れたりしなきゃいいけどねえ」
七瀬のいれてくれた紅茶をすする浪馬を見て、たまきは眉をひそめた。



263 名前:姿なき恋人 木曜4[sage] 投稿日:05/01/22(土) 23:28:10 ID:???
放課後、追試が終わった頃を見計らってたまきは部室に向かった。
(恋人さんも追試のことは知ってるだろうし、ひょっとしたら一緒にいるかも)

部室のドアの前まで来ると中から人の気配がした。かすかに女の声が聞こえる。
(あれ? もしかしてビンゴかな? どれどれ・・・)
中を覗き込もうとドアを少し開いたとたん、鋭い叱責の声が飛んできた。
「書類はもっと丁寧な字で書きなさいって言ったでしょ?」
(なんだまた高遠さんだよ・・・)たまきはガックリと肩を落とした。
覗くと浪馬と七瀬の姿が丁度よく見えた。

浪馬「俺は丁寧に書いたつもりだぜ」
七瀬は書類を浪馬に突きつけた。月例部活報告書の様だ。
七瀬「こんなミミズみたいな字じゃ、私以外誰も読めないじゃない」
浪馬「七瀬が読めれば問題ないんじゃないか?」
七瀬「書類を整理する係りの者が困るのよ」
浪馬「なるほど」
七瀬「とにかく明日中に書き直して提出して頂戴」
浪馬「ええっ?! 俺今日は追試で疲れてるんだよ」
七瀬「そんなの関係ないわ。期限はもうとっくに過ぎてるのよ?」
浪馬「うぅ・・・わかったよ。今夜頑張って明日必ず出だすから」
七瀬「よろしい。じゃあ織屋君、右手出して」
浪馬「へ? こ、こうか?」
浪馬が手を差し出すと、七瀬は浪馬の小指に自分の小指を絡めた。
七瀬「指きりげんまん 嘘ついたら 針せんぼーん のーます♪」
浪馬「お、おい・・・」
七瀬「約束したわよ。忘れたらあなたが悲鳴をあげるくらいお仕置きしてあげるわ」
そう言うと、七瀬はクスクスと笑い出した。

(はぁ? ゆ、指きり?!)(けっこうお茶目なところあるんだね。い、意外だなあ・・・)
覗いていたたまきは目を白黒させた。



264 名前:姿なき恋人 木曜5[sage] 投稿日:05/01/22(土) 23:29:57 ID:???
七瀬「ところで追試の方はどうだったの?」
浪馬「うーん、まあまあ・・かな」
七瀬「大丈夫ってことかしら?」
浪馬「わかんねえけど、たぶん」
七瀬「頼りない返事ね。自分で受けたテストの感触くらいわかるでしょ?」
浪馬「それがわかるくらい勉強してたら追試受けずに済んでるさ、はははは」
七瀬「笑い事じゃないでしょう?」
浪馬「スマン」
七瀬「今度の定期テストは、執行部に監禁して毎日勉強させた方が良さそうね」
浪馬「またそんな冗談を」
七瀬「私は本気よ」
浪馬「げっ?」
七瀬「卒業できなくなったら大変でしょ?」

(あらら、また始まった。ホントお小言のネタが尽きないね)
(今日はこれ以上粘っても無駄みたい。もう帰ろうか・・)
たまきはそっとドアから離れた。

カバンを取りに教室に戻ったたまきを刃が待っていた。
刃 「部室に行ってたのかい? 浪馬の様子はどうだった?」
タマ「高遠さんに捕まってた」
刃 「また・・・高遠?」
タマ「う、うん、部活の書類と追試のことみたい」
刃 「こうも付きまとわれるなんて、高遠を本気で怒らせる真似でもしたかな?」
タマ「どうだろう? あ、でも・・・・」
ふいにたまきの頭に先ほどの光景が浮かんだ。
  (笑ってたよね、高遠さん)(子供みたいに指切りして、そして笑って・・・・)
  (・・・・・・・・高遠さんって、あんな風に笑う人だったっけ?)

金曜日 最終章に続く



272 名前:姿なき恋人 終章 夕璃の目1[sage] 投稿日:05/01/24(月) 22:43:30 ID:???
金曜日 放課後部室

「高遠さんに連れていかれたの?! また?」
たまきが素っ頓狂な声を上げると、備品を補充しながら夕璃はクスりと笑って頷いた。
昼休み報告書を七瀬に届けに行った浪馬は、そのまま授業開始寸前まで帰ってこなかった。
そして部室に顔を出せばこれである。彼は今日も事あるごとに拿捕されているらしい。
「まったくあの二人、一日何回顔を合わせれば気が済むんだろ?」
たまきは椅子に腰掛けて溜息をついた。「いい加減にしてほしいよね」
夕璃「仕方ないですよ、仲がいいんですから」
突如、意外なことを夕璃が言った。
タマ「今なんて言ったの? 仲がいい?」
夕璃「はい、最近は仲良すぎて側で見てると少し恥ずかしいくらいです、クスクスっ」
タマ「二人って? 浪馬クンと高遠さんのこと?」
夕璃「はい」
  「あの二人が仲いいなんて冗談キツイよ、あははははは」
夕璃が真面目な顔で頷くのを見て、たまきが弾ける様に笑い出した。
夕璃「あの・・冗談じゃないんですけど・・」

273 名前:姿なき恋人 終章 夕璃の目2[sage] 投稿日:05/01/24(月) 22:46:43 ID:???
タマ「だって知ってるでしょ? 高遠さんが浪馬クンと犬猿の仲なのを」
夕璃「上級生の方はみんなそう言いますけど、私にはそんな風に見えないです」
タマ「入学した時からずっと仲悪いよ。側で見てた私が断言する。あれくらい相性
    の悪い二人は、世界中探してもいないって」
たまきはそう言って苦笑いした。
しかし夕璃は納得できないらしく、しきりに小首をかしげる。
夕璃「以前のことは知りませんけど、今は仲いいでしょう? 朝だって二人でお話してましたし」
タマ「今朝? 今朝も会ってたの? あの二人」
夕璃「はい、下駄箱のところでお会いしました」
タマ「どんな話してたのかな?」
夕璃「ちゃんと朝ごはん食べてきたのとか? 風邪をひかないようにとか」
タマ「なんだ、やっぱりお小言だ」
再びたまきは笑い出した。
夕璃「どうしてみんなお二人の仲が悪いと決め付けちゃうんでしょうか」
ケタケタと笑うたまきを見て、夕璃は困った顔をした。
タマ「事実そうなんだから仕方ないよ」
夕璃「でも仲が悪い人にわざわざ風邪に気をつけてなんて言わないですよ?」
  「えっ・・・」
たまきは思わず言葉を失った。



290 名前:姿なき恋人 終章 夕璃の目3[sage] 投稿日:05/01/27(木) 00:13:03 ID:???
タマ「気がつかなかった。だ、だって高遠さん、浪馬クンの顔を見れば怒ってるのに」
やっとのことで口を開いたたまきに、夕璃は不思議そうな顔をした。
夕璃「私は、そんなことないと思います」
タマ「だってね、白井さん」
たまきはこの一週間、自分が見たことを話した。浪馬が毎日何回も七瀬に絡まれてること。追試の
件、服装の件、部活報告書の件、事細かく全て話した。夕璃はチャームポイントの大きな瞳をクル
クルと動かして興味深そうにたまきの話を聞いていたが、やがてクスクスと笑い出した。

タマ「な、何がおかしいの?」
夕璃「私が感じてる以上に、お二人は仲良くなってるんだなあと思って」
タマ「さっきの話のどこをどう取ればそうなるわけ?」
夕璃「全部ですけど・・・あの、わかりませんか?」
タマ「わ、わからないから聞いてるんだけど」

お嬢様っぽい品の良さを持つ夕璃が、珍しく露骨に眉間にしわを寄せた。よほど呆れたらしい。
だが善良な彼女はすぐ気を取り直すと、別の角度からアプローチをはじめた。

夕璃「私まだ経験がないから本で読んだりするだけですけど、男の人を好きになると、
   女の子って色んな事をするんですよね? 手編みのマフラープレゼントしたり」
タマ「え? うん、そうだね。やっぱり女の子らしいところ見せたくなるよね」
いきなり妙な質問をふられて、怪訝そうな顔でたまきは答えた。
たまきが話しに食いついてきたのを見て、夕璃は間髪をいれず質問を繰り出した。

夕璃「じゃあたまき先輩ならどんなことをしてあげたいですか?」
タマ「うーん、料理にはちょっと自信あるから、ご飯作ってあげたいかな」
夕璃「手作りのお弁当とか?」
タマ「あ! それそれ、手作り弁当! 男の人はすごく喜ぶらしいよね。うん、作りたい」
その返事を聞いて夕璃は満足そうな笑みを浮かべた。そして一撃必殺の質問をたまきに浴びせた。
  「じゃあ高遠先輩は、どうしてサンドイッチを作ったんでしょうか?」



291 名前:姿なき恋人 終章 解けた呪縛1[sage] 投稿日:05/01/27(木) 00:15:24 ID:???
校舎に向かってトボトボと歩くたまきの姿があった。彼女は時折立ち止まっては恐ろしく深い
溜息をつき、そしてまた暫くすると重い足取りで歩き出す。それを繰り返していた。
(私ってバっカみたい)

「どうして高遠先輩が他人の追試の心配をしなくちゃいけないんです?」
「たまき先輩は、嫌いな人のネクタイを自分で直してあげますか?」
「書類のやり直しだってそうです。わざわざ副会長の高遠先輩が持ってくる必要は
 ないと思います。普通は執行部に呼び出しされるんじゃないですか?」
今度こそグウの音も出なくなったたまきに、夕璃は事細かに七瀬の行動を説明をしてくれた。

(そうだよね。白井さんの言うとおりだよね)

(あの人は入学以来ずっと浪馬クンを捕まえては文句をつけてた)(もう当たり前の光景だった)
(だから浪馬クンを呼びに来ても、一緒にいても私は全然不思議に思わなかった)
(どうせまたお説教だと決め付けてた)

(私にはまるで見えてなかった)(高遠さんは、もう私の知ってる高遠さんじゃなくなってたのに)

「高遠先輩は、ああいった感じの人ですから、怒ってなくても怒ってるように見えちゃうかも
 知れませんね。お話の仕方もキツイところがありますし、それでみんな誤解するんでしょう」
哀れなほどへこんでしまったたまきを見かねて、夕璃は一生懸命フォローを入れてくれたが、
正直慰めにもならなかった。

(浪馬クンのネクタイを直すなんて、新婚さんみたいな真似事なんかしちゃってさ)
(指きりなんて手繋ぐより恥ずかしくない?)(浪馬クンの前で嬉しそうに笑ってた)
(それにお弁当! わざわざ勉強しながらでも食べられるようにサンドイッチだって)
(高遠さんがしたんだよ? あの高遠さんが! わかんないほうがどうかしてるよ!)

「わかんなかったバカがここにいるよね・・・・あはははは」
たまきの口から乾いた笑いが漏れた。



298 名前:姿なき恋人 終章 解けた呪縛2[sage] 投稿日:05/01/28(金) 13:02:20 ID:???
「命令口調はそのままだからな。それに説教といえば、あれも説教と言えなくもない」
「以前は学園の秩序を守るため。でも今じゃデキの悪い子供を持ったお母さんの心境?」
「それともバカ弟を案じる姉かな? そういや『七瀬って俺より年上に感じる時がある』
 なんて浪馬が言ったことがあったよ。どっちにせよ浪馬が心配でしかたないんだろう」
「と、いう事だってさ、たまきちゃん。わかりにくい愛情表現だよねえ」

「慰めてくれなくてもいいよ。あれがわかりにくい? バレバレだよ」
たまきは恐ろしく不機嫌な声で答えると「ホント私ってバカみたい」と呟いた。

教室に戻ったたまきは、その場に居た刃と望に浪馬の恋人の正体を告げると、そのまま
机に突っ伏してふてくされてしまっていた。

刃「しかし浪馬と高遠が付き合ってるなんて噂はまだ出てないよな?」
望「水と油で有名だったからね。今更仲良さそうにしてもみんなピンと来ないんでしょ。
  でもそろそろだと思うよ。白井さんだっけ?、彼女みたいにとっくに気づいてる子がい
  たわけだし、この前手作り弁当まで持ってきたからさすがにね」
「あの愛妻弁当見ても、ぜーんぜん気づかなかったニブチンが三人もいたんだけどね」
突っ伏したままのたまきがボソボソと横槍を入れてきた。刃と望は顔を見合わせて苦笑した。

刃「俺はあれ見てイルカショーを連想したんだ。頑張ったらエサやるぞってヤツ。お前は?」
望「あははは、ヒドイな刃君。まあ、僕は刑事ドラマだね。取調べ室のカツ丼」
刃「高遠が刑事、浪馬が犯人か。そりゃハマり過ぎだ、はっはっはっはっはっ」
「二人ともよく笑ってられるよ。私たち、浪馬クンのこと全然わかってなかったんだよ?」
刃と望の態度がよほど気に入らなかったのか、たまきは椅子から立ち上がると二人をジロリと
睨みつけ、カバンを手にするとそのまま廊下に出て行った。

凹んだたまきを励まそうとあれこれ話を振った二人の努力は、どうやら失敗に終わったらしい。
刃 「浪馬の恋人の話、黙ってた方が良かったかな?」
望 「たまきちゃん時々浪馬に差し入れ持っていくでしょ。その時いきなりご対面なんてのは」
「それを考えれば、まだマシか」と刃は肩をすくめた。



299 名前:姿なき恋人 終[sage] 投稿日:05/01/28(金) 13:10:53 ID:???
肩を落としたまま階段を降り、たまきは校舎玄関へと向かった。
(お目付け役失格だよね)(浪馬クンのことは何でも知ってるつもりだったのに)
(そもそも)(浪馬クン、どうして私に言ってくれなかったんだろう)(水くさいよ)
(あ・・・・)(私も浪馬クンに言ってなかった・・あの人のこと)(結局名前も教えなかった)
「そっか・・私、浪馬クンに水くさいなんて言う資格なかったんだ」 たまきは寂しく笑った。

「俺、これから練習だから」
げた箱で靴を履き替えようとした時、たまきのよく知る声が聞こえた。声の方向を振り向くと、
そこに七瀬と浪馬がいた。

七瀬「汗をかいたらしっかり拭くのよ? ロードワークに行く時はちゃんと右側通行を守りなさい」
浪馬「七瀬、あんまり俺を子ども扱いするなよ」
七瀬「子供よ。結局あの報告書、私が手伝わないと仕上がらなかったじゃないの」
浪馬「あんなにキッチリとした報告書を出せたのは初めてだぜ」
七瀬「一年間部の責任者やってたくせに、今更何言ってるのよ」
浪馬「ははははは」
七瀬「これだから目が離せないのよ。もう、本当に困った人だわ」
あい変らずのキツイ口調で浪馬と話す七瀬。しかし今のたまきにはもうハッキリと見えた。
かすかに赤らんだ頬。濡れたようにうるんだ瞳。浪馬を慈しむように小首をかしげるその仕草。
全身から浪馬への想いがほとばしっていた。

「また後でな」ひと時の別れを告げる浪馬に、「練習、頑張りなさい」と七瀬は手を振り、そして
こぼれるような笑顔を見せた。たまきは思わず息を呑んだ。
(・・・なんて眩しい笑顔なんだろう・・・・なんて・・・・・綺麗なんだろう・・・)

(そうだよ)(姿が無いわけじゃない)(隠れてたわけじゃない)(気づかなかっただけ)
(答えは最初から目の前にあったんだ)
(浪馬クンとよく話しをする女の子)(いつも側にいる女の子)(浪馬クンの大切な人)
(それは・・・)(あなただったんだね)(高遠さん・・・・・)
甘やかに微笑む七瀬を見つめるたまきの瞳から、ひとしずく涙がこぼれた。