nanatan @Wiki ss@9スレ(その1)


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20 名前:夜の高遠家[sage] 投稿日:2005/04/04(月) 00:30:50 ID:???
パパン「七瀬は元気でやってるかな?」
ママン 「またナナちゃんの心配ですか? お父さん」
パパン「慣れない一人暮らしをしてるかと思うとな」
ママン 「ナナちゃんはしっかりしてますから、大丈夫ですよ」
パパン「しかし、しっかりしすぎて、それで気苦労ばかりする子じゃないか」
ママン 「寂しがり屋さんのところもありますわね」
パパン「なあ、母さん、明日にでも、また七瀬の様子を見に行ってやってくれないか」
ママン 「明日ですか? そんなに急に行ったらナナちゃんが困りますよ」
パパン「困る?」
ママン 「ナナちゃんの部屋に行く時は、何日か前に連絡入れておかないとダメなんです」
パパン「なぜだ?」
ママン 「うふふ、私を部屋に入れるのには色々準備が必要なんですよ、お父さん」
パパン「?」

「ここに来る前は連絡を必ず頂戴。絶対に忘れないでね」
事あるごとに七瀬が念を押す理由を、母はちゃんと知っている。





62 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/04/08(金) 19:44:44 ID:???
「GWはどうするんだ?」
「頼津に帰るわ。父さんと母さんが私にとても会いたがってるの」
「七瀬も親孝行だな。あ、そうそう、もし刃達に会ったらよろしく言っておいてくれ」
「なに言ってるの。あなたも帰るのよ」
「へ? いや、俺は帰る用事なんてないから」
「あなたが一緒に来てくれないと私が困るの」
「どうして?」
「枕が替わると眠れないのよ。まさかGWの間中、私にずっと寝不足で過ごせって言うの?」
「枕?」
「そ、あなたの腕枕」
「でもさ、あの部屋はもうおっちゃんが物置にしてるはずだぜ。どこで寝るんだよ?」
「ホテルでもどこでも。なんだったら夜に私の部屋に忍び込んでもいいわよ」
「じょ、冗談はよしてくれ」
「言っておくけど、私をこんな女にしちゃったのはあなたなんだから、拒否権はありませんからね」
「・・・・・・・」
「はい、これ。あなたの分の頼津までの切符」
「・・・・・・・」





82 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/04/10(日) 13:07:09 ID:???
卒業アルバムじゃないが

「あら、これはアルバム?」
「おう。1、2年の頃のやつだな」
「学園内にカメラを持ち込んでたのね・・・」
「い、いいだろ。思い出作りだ」
「見てもいいかしら?」
「別にいいぞ」
「この頃からあなたには悩まされてたわね、ふふふ・・・あら?」
「どうした?」
「な、なんでもないわ」
「と言いつつ、今隠したのはなーんだ?」
「あっ・・・」
「なんだ、俺の写真じゃないか・・・あれ?この後ろに写ってるの七瀬か?」
「そ、そうみたいね」
「よくこんな小さいのわかるな。おまけに後姿で横顔だし」
「自分なんだから当たり前でしょ」
「そりゃそうだな、ははは。これ欲しいのか?」
「う、うん」
「でももっと大きな写真撮ればいいだろ」
「だって、あの頃の織屋君と私が一緒にいた証拠だから・・・ダメかしら?」
「ダ、ダメじゃないぞ(七瀬可愛すぎるぜ)」





120 名前:初SS チョコレートvol.1-1[sage] 投稿日:2005/04/17(日) 01:43:17 ID:???
…2年生の冬、2月14日…

さて今週も全授業、無事終了だぜ。今日は学校全体の雰囲気がちがうな、
バレンタインデーだから、仕方ないか…。

【たまき】「ねえねえ、今年の収穫はどうなの?浪馬君」
【浪馬】 「収穫って、何のことだ?」
【たまき】「また、とぼけちゃって。バレンタインの事に決まってるじゃない」
【浪馬】 「んー、まあまあってトコだな」
 タマの義理チョコしか貰ってない、なんてカッコ悪くて言えねえよな…
【たまき】「うんうん、そうか、そうか。
      いつも通り私の義理チョコしかもらって無いんだね~」
って、バレてるのかよっ!
【浪馬】 「う、うるせー。俺だって、チョコの1個や2個くらいは…」
【たまき】「あははっ、ムリして強がっちゃって。ウソつかないの。
      でも、まだ午後もあるんだし期待しないで待ってみたら?」
【浪馬】 「も、もう充分に貰ったから、待つ必要なんてないんだよっ」
【たまき】「ふーん。まあ、そういうコトにしておいてあげるよ。
      せいぜい、がんばってねー」
くそ、言いたいこと言ってタマは行っちまったぞ。
でも、タマの義理チョコ1つだけってのは、正直、寂しいモノがあるよな…
とは言っても貰えるアテもないし、今日の所はさっさと帰るか。
これ以上、学校にいてミジメな思いは勘弁だもんな

121 名前:初SS チョコレートvol.1-2[sage] 投稿日:2005/04/17(日) 01:44:52 ID:???
…教室を出て、下駄箱にて…
あれ?一つだけ下駄箱の扉が半開きになってるぞ…
どうなってるんだ?うわ、チョコがたくさん下駄箱いっぱいに詰まってるぞ。
くそ、うらやましいヤツめ!一体、誰だ??…………雨堂………
って刃かよっ!はあ、トドメを刺された気分だぜ。さっさと帰ろう…。

【??】「何をしてるかと思えば、人のプライバイシーを覗き見?
     つくづく、あきれるわね…」
【浪馬】「えっ…あれ七瀬。いつから、そこにいたんだ?」
【七瀬】「通り掛かったら、あなたが悪事を働いていたものですから。
     そう、覗き?そんな趣味があったとわね。
     ハッキリ言って悪趣味…いや、もう犯罪の領域ね」
【浪馬】「はあ?俺は刃の下駄箱が半開きだっだから…」
【七瀬】「で、雨堂君の人気があるのを見て、羨んでいたのね…」
ぐっ、きっついなー。いつもの鋭い目で言われるとへこむぜ。
【浪馬】「いやいや七瀬、それは違うぞ。刃のホワイトデーの散財を
     哀れんでだな…」
自分で言ってて訳がわかんないぜ!!
【浪馬】「それに俺は今年も充分に貰ってるからな」
この状況で、幼なじみの義理チョコ一つ…なんて到底言えないしな。
【七瀬】「そうね。あなたは女性にだらしがないでしょうから、色々な娘から
     チョコをかすめ取っているんでしょうね。」
どう言っても俺は悪者なのな。
しかも、色々な娘からって事実無根だぁー。
むう……ここで七瀬にあったのも何かの運命に違いない!?
今年のバレンタイン、最後にダメで元々冒険してみるかな…
【七瀬】「あなた、聞いているの?」
【浪馬】「なあ七瀬、お前からも俺に一つくれよ」
【七瀬】「は、何を言ってるの?あなた」
【浪馬】「そんなに不思議なコトじゃないだろ?バレンタインデーに
     チョコを渡すってだけのコトなんだから」
【七瀬】「…言う相手を間違えてるんじゃないの?
     それに私、バレンタインだからって、やたらに義理チョコ撒いたり
     しませんから。」
【浪馬】「義理チョコ渡すくらい別にふつうだろ。どうこう言うことか?」
【七瀬】「…もし義理チョコ渡されたとして、それでうれしい?」
【浪馬】「へ?」
七瀬がちょっと困った顔で聞いてきたから、マヌケな返事をしちまった。
【七瀬】「他の人にも同じように渡してるチョコを
     貰ってもうれしくないんじゃない?」
【浪馬】「まあ…確かに…」
【七瀬】「そんなの渡す相手に失礼だわ」
七瀬はバレンタイン一つにも、一々こだわるんだな。七瀬らしいけど…
【七瀬】「だから、私は本当に大切な人に1つだけって決めているの。わかった?」
【浪馬】「うむ。よくわかった。じゃあ、その唯一の1個をくれ」
【七瀬】「はあ?お断りよ!あなたに渡すくらいなら、ゴミとして捨てるわ」
【浪馬】「ご、ゴミって…」
【七瀬】「わかったなら、私はもう行くわ。
     これ以上、話していても無駄でしょうから」
七瀬は、また鋭い目で捨てゼリフを放って、どっか行っちまった。
なんか、七瀬の女の子っぽいトコを見れた気がしたな。
…たった1個だけか…。七瀬のヤツ、今年は誰にやるんだろう?
ちくしょー、来年こそは七瀬に「受け取って!」って言わしめてやるぜ!!





373 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/05/11(水) 16:07:46 ID:???
春服、夏服でおさわりしようと、七瀬に頼んで服を着て貰う浪馬。ところが。

「んっ・・・・ダメだわ。ブラウスのボタンがとまらない」
「七瀬、おまえひょっとして太った?」
「太ってなんかないわよ。失礼なこと言わないでくれる?」
「す、すまん」
「最近胸が大きくなったみたいなのよ。ブラもきつくて新しいの買い揃えたくらいよ」
「冷たくされてた頃の仇を取ろうと思ったのに残念だぜ」
「何言ってるのよ? 胸が大きくなったのはあなたのせいでしょ?」
「えっ? お、俺?」
「毎晩あなたがいっぱい揉むからじゃない」(真っ赤)
「うーむ」
「私をこんないやらしい体にした責任、ちゃんと取って貰いますからね」
「責任取るって、どうしたらいいんだ?」
「それくらい自分で考えなさい」
「んー、じゃあ今日から毎晩吸ってみようか? 小さくなるかも知れないぞ」
「ば、ばか」(再び真っ赤)





247 名前:浪人中の浪馬が七瀬の元に転がり込んで後[sage] 投稿日:2005/04/28(木) 01:58:06 ID:???
「ん・・・・」
昼近くになって、ようやく七瀬は眠りから覚め始めた。日曜の彼女はいつもこうだ。土曜の夜が
来るたびに、七瀬と浪馬と明け方まで燃え上がってしまう。
「んぅ・・・・・・・・おりやく・・・ん・・・・・・もっと・・・・・こっち・・・来てったらぁ・・・・」
彼女らしくない寝ぼけ声と共に、白い手が傍らに眠る浪馬を求めてシーツの上を滑った。しかし。
「ん・・・・・・ん?・・・ん?ん?ん?ん?んっ?」 
ちっとも浪馬の体が触れてこない。七瀬の手が激しくベッドの上を這いまわる。
「織屋君?」七瀬がパチっと目を開けた。浪馬の姿は影も形も無い。
「どこに行ったのかしら・・・・・・あ」
その時、七瀬はバスルームから漏れてくる水音に気がついた。
「も、もう、一人でシャワー浴びに行くなんて!」
七瀬は裸体にシーツを巻くとベッドから飛び起きた。

「織屋君! どうして勝手に起きたりしたのよ?」
扉を開けるなり、バスタブにかかるカーテンの向こうに映る人影に、七瀬は抗議の声をぶつけた。
「あなたの寝顔に悪戯する私の楽しみを奪うなんて酷いじゃないの!」
「先に目を覚ましたら覚ましたで、おはようのキスくらいしてくれても罰は当たらないんじゃない?」
「昨日はあんなに私を可愛がってくれたのに、朝になったら知らんぷりなんて、ホント冷たい人」
ぷーっと頬を膨らませ、浪馬を散々なじる七瀬だが、もちろん本気で怒っているわけではない。
こうやってスネて見せるのも、彼女の愛情表現なのだ。

「それと、日曜日は必ず一緒にお風呂に入る約束でしょ? 忘れたとは言わせないわよ」
そう言うと、七瀬は洗面所にあったタオルで自慢の髪を纏め上げてゆく。どうやらバスタブに
乱入するつもりらしい。
「約束を破った罰として今から徹底的にあなたを綺麗にしてあげるわ。覚悟しなさい、うふふふ」
そこで七瀬は急に艶めいた忍び笑いを漏らした。シーツが床に落ち、白い体が露わになった。
「さあ、浪馬ちゃん、キレイキレイちまちょうねぇ♪」
これ以上はないくらい甘えた鼻声を出すと、七瀬はカーテンに手を掛けた。


248 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/04/28(木) 02:03:00 ID:???
浪馬(な、何がどうなってんだ?)
熟睡する七瀬を置いて、買出しに行っていた浪馬はドアを開けたきりその場で硬直していた。
七瀬「人の部屋で何勝手にシャワー浴びてるのよっ?!」
ママン 「今日は暑いでしょ? 母さん駅から歩いてきて汗かいちゃたから」
七瀬「へ、部屋に入ったら、声くらいかてよっ!」
ママン 「ナナちゃんよく寝てたから、起すの可哀想だったんですもの」
七瀬「まったくいつの間に入り込んでたのよ! ここに来る時は事前に連絡頂戴ってあれほど・・」
ママン 「だってナナちゃんたら、いつも勉強が忙しいとか、都合が悪いとかで来ていいって言ってく
   れないじゃない? 母さんもう寂しくって」
シーツを体に巻いただけの七瀬と、これまたバスタオルを巻いただけの高遠夫人。少々セクシー
すぎる格好の母娘は、浪馬が帰ってきたのも気づかず、大舌戦を繰り広げていた。
浪馬(俺と入れ違いに七瀬のお袋さんが来ちまったのか・・・・こりゃ参ったな)
事前に連絡があればまだ誤魔化しようがあったかも知れないが、こうも完璧に奇襲攻撃を受けて
はなす術もなかった。キッチンに仲良く並んだ二人の歯ブラシ。食器棚にはペアのカップとお皿。
窓の外にはふたりの洗濯物が干してある。そしてベッドの周りに散乱した二人の下着・・・。

ママン 「それにしてもナナちゃんたら、すっかり織屋君と新婚生活気分なのね、うふふふ」
七瀬「うっく・・・・・・・」 
ましてや七瀬は、まさかカーテンの向こうにいるのが自分の母親とは知らずに、これ以上無い
くらい恥ずかしいセリフを連発してしまっていた。もはや弁解もクソも無い。
ママン 「『寝顔に悪戯する楽しみを奪わないで』 『おはようのキスしてくれなきゃイヤ』、うふふふ」
高遠夫人は七瀬の声色を真似ると、くねくねと体を揺すって再現してみせた。七瀬は頭のてっぺ
んからつま先まで、見事なまでに真っ赤になった。
ママン 「それと『浪馬ちゃん、キレイキレイちまちょうねぇぇぇん♪』だったかしら? おほほほほ」
七瀬「きゃぁぁぁぁぁっ! やめてぇぇぇぇぇぇぇっ!」 七瀬が耳を押えてしゃがみこむ。
ママン 「ねえねえ、日曜はいつも一緒にお風呂入ってるの? うふふ、本当に仲いいのね♪」
七瀬が浪馬と暮らしていた事が余程嬉しかったらしい。夫人はもう有頂天のご様子だ。

浪馬(な、なんだか声をかけずらいぜ・・・・しかし見事なまでにバレたみたいだな)
浪馬は玄関先に突っ立ったまま。頭をポリポリと掻いた。





420 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/05/17(火) 18:48:14 ID:???
ふむ、同棲がバレたんだろう。

ママン「ナナちゃん、織屋君と暮らしてるってどう言うことなのっ!」
七瀬「あ、あの・・・」
ママン「織屋君、あなたを見損ないました。こんな大事なことを黙ってるなんて」
浪馬「す、すいません」
パパン「母さん、まあ、二人も悪気は無かったと思うし、そこまで言わなくても・・・」
ママン「あなたは黙ってなさいっ!」
パパン「は、はい・・」
ママン 「情けなくて涙が出てきちゃったわ。どうして・・・・どうして・・・・っ」
七瀬「か、母さん、ごめんなさい」
浪馬「おばさん、俺が悪いんだ。あんまり七瀬を怒らないでやってくれよ」
ママン「どうして最初から二人で暮らすって言ってくれなかったのっ!」
三人「は?」
ママン「二人で暮らすならもっと広い部屋を借りたのに、まったくこの子達ったら」
三人「・・・・・・・・・」
ママン「こんな部屋じゃせっかくの同棲生活も台無しよ。早速新しい部屋を探さないと」
三人「・・・・・・・・・」
ママン「織屋君、住宅情報誌を買って来て頂戴。ナナちゃんは今から私と不動産屋さん巡りよ」
二人「・・・・・・・・・・」
ママン「少々お家賃が高くなっても、お父さんのお小遣いを減らせば大丈夫。ね、お父さん?」
パパン「そ、そんな母さん・・・」
ママン「あらお父さん、ナナちゃんの幸せに協力できないとでも?」
パパン「い、いや、いくらでも減らしてくれ」
ママン「じゃあナナちゃん、織屋君、行動開始よ。お父さんはここでお留守番していてね」
三人「・・・・・・・・・」





437 名前:424[sage] 投稿日:2005/05/19(木) 21:45:41 ID:???

二人きりになりたい選択時1回目(12月前)
七瀬「えっ・・・あの、その今日は心の準備が・・・ごめんなさい!!」
(今日はってことは今度はいいんだよな?)

二人きりになりたい選択時2回目以降(12月前半)
(お、考えてる考えてる目をそらしてテレる七瀬も可愛いよな)
浪馬「なあ七瀬今日もダメなのか?俺のこと嫌いか?」
七瀬「嫌いなわけないでしょ!!そ、その・・・もっ、もうちょっとぐらい待ちなさいよ!!あっ・・・」
浪馬「えっ!?」
(もうちょっとってことは明日か明後日か?)
七瀬「もう・・・あなたって普段は気が利いて優しいクセにこういうことには鈍感なんだから」(ボソボソ)
浪馬「ん?なんだよく聞こえないぞ?」
七瀬「えっ!?あ、あの、その・・・とっとにかく!今日も明日も明後日もダメなの!!」
浪馬「今日も明日も明後日もダメなのか・・・」
七瀬「はぁ・・・仕方ないわね、ほら、こっち向いて目を閉じる!」
浪馬「うっす」
(チュ)
(おお、七瀬が俺の首に手を回してキスしているぞ)
七瀬「その・・・嫌ってわけじゃないからね、今日のところはこれで我慢してちょうだい」
七瀬「浪馬君・・・好きよ・・・」
(おお、あの七瀬が好きよだってよ、今日のところはこれでよしとしようぜ)





445 名前:いつの間に[sage] 投稿日:2005/05/21(土) 15:43:12 ID:???
刃 「そっちの調子はどうだい? 向こうでも相変わらず釣り三昧か?」
望 「まあね。刃君こそ大学のほうはどうなの?」
刃 「浪馬はどうしてるだろう。おっちゃんの話じゃ、あいつも街を出たらしいけど詳細は不明」
望 「連絡先も残しておかないなんて、浪馬らしいっちゃ浪馬らしいよね」
卒業後、久しぶりに再開した刃と望が頼津川の堤を一緒に歩いていると、一人の夫人が二人に
話しかけてきた。
女 「・・・・確か雨堂君と砂吹君だったかしら? こんにちは」
刃 「こ、こんにちは。えーっと・・・・」
女 「高遠七瀬の母です。在学中はお世話になりました」
望 「あ、ああ、高遠さんのお母さんですか。どうもこんにちは」
ママン「お二人は浪馬君の幼馴染なんですってね。彼に写真を見せて貰ったことがあるわ
刃 「そうです。ただあいつは今、行方知れずなんですけどね」
ママン「あら、あの子ったらお友達に何も言ってないのね」
望 「浪馬の居場所、ご存知なんですか?」
ママン「ええ。私から言って、あなたたちに連絡させるわ」
刃 「た、助かります。俺たちけっこう気にしてたんですよ」
ママン「ごめんなさいね、心配かけて」
望 「やれやれ、これで一安心だね、刃君」
ママン「連絡が取れたら、また浪馬君と遊んであげてね」
刃 「ええ、もちろんです」
ママン「じゃあ私これからお買い物だから。お二人とも、これからもうちの浪馬君をよろしくね」
二人「――!」

七瀬の母が立ち去った後、刃がぽつりとつぶやいた。
刃 「なあ、望、”うちの浪馬君”ってどう言う意味だ?」
望 「なんとなく予想つくけど、頭が痛くなりそうだから、僕は考えないことにする」
刃 「まさかもう籍を入れたなんてことは・・・・」
望 「刃君、やめときなよ。考え出すと今夜眠れないよ」
刃 「あ、ああ・・・・・・そうする」





452 名前:ママンに同棲がバレて一週間後[sage] 投稿日:2005/05/22(日) 02:26:25 ID:???
「織屋君、母さんからあなたに荷物よ」
「小さな箱だな。あれ? 携帯じゃないか。それと手紙・・なになに・・」
『織屋君へ ナナちゃんから聞いたのだけれど、織屋君は携帯を持っていないそうですね。
何かと不便だと思うのでこれを使ってください。料金はうちの方で払うから安心してね』

受験勉強で最低限のバイトしかできない浪馬には携帯を持つ余裕はなく、彼は頼津時代か
ら相変わらずの、今時珍しいノー携帯人間のままだった。

「有難い話だけど料金の面倒まで見て貰うなんて、幾らなんでも気が引けるぜ」
「あの人、何考えてるのかしら?」七瀬は自分の携帯で母を呼び出した。
「母さん? 荷物が届いたんだけど、織屋君が困ってるわよ。どういうつもり?」
「携帯のこと? どうして困るの? 便利でいいでしょう?」
「通話料金まで払うなんて言うからよ。織屋君はうちの親戚でもなんでもないのよ?」
「まあ、水臭い。ナナちゃんの携帯と同じ家族契約だから、ホンの僅かのお金なのに」
「だから金額の問題じゃなくて・・・え? 家族契約? お、織屋君がうちの家族?」
「そうよ。織屋君、あなたの部屋に住所移したでしょ? だから家族扱いなの」
受験勉強で公営図書館を利用するなど、地域のサービスを受けるには地域住民である
必要があるので、浪馬は住民票を移動していた。

「い、一緒に住んでても戸籍は別じゃない。そんな契約できるはずないわ」
「籍は入ってなくても同居してるから事実婚扱いになるんですって、うふふふ」
「じ、事実婚? 私と織屋君が?」
「それを聞いてね、うちの戸籍と二人の住民票を持って契約しに行ったのよ」 
「わ、私のはともかく織屋君の住民票をどうやって手に入れたのよ!?」
「彼のおじ様に頼んだのよ。わけを話したら快く引き受けてくれたわ」
「ビックボディのおじさんまで抱きこむなんて・・・・な、何考えてるのよ」
「それは二人が夫婦同然の証なんだから、ちゃんと使って貰ってね」


453 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/05/22(日) 02:27:30 ID:???
「ふ、夫婦だなんてそんな・・・」
「じゃあね、ナナちゃん。織屋君・・じゃなくてご主人様によろしくね♪」
「ちょ、ちょっと待って・・・・あ、切れちゃった」
七瀬はため息をつくと浪馬を振り返った。頬が幾分赤かった。

「事実婚とかおっちゃんとか、妙なこと言ってたよな? 何のことだ?」
「な、何でもないわ。とにかくその携帯はあなたが使えばいいから」
「え? なんだよ。お袋さん断ってくれたんじゃないのか?」
「いいから使いなさい。通話料はあなたのお小遣いから引いて、私が実家に返すから」
細々と続けているバイトのお金を、浪馬は一円残らず七瀬に渡している。高遠家の仕送
りと浪馬のバイト代、生活費をやりくりするのは、しっかり者の七瀬の担当だ。
「でもなあ」
「四の五の言わずに使いなさい。あなたが携帯を持ってくれれば、私も何かと助かるわ」
”夫婦同然の証”と殺し文句を囁かれては、七瀬も突き返せとは言えなかった。

その時浪馬の携帯が鳴った。
「さっそく電話だぜ。誰だろ?・・・げげっ!?」
「どうかしたの? 変な声だして。出ないの?」
浪馬は黙って七瀬に携帯を見せた。発信者名は『義母ハート』となっていた。
「こ、これって・・・まさか・・・」
七瀬は慌てて浪馬の手から携帯をもぎ取った。
「もしもし? 母さんっ? 母さんなのっ?」


455 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/05/22(日) 03:35:53 ID:???
「あらナナちゃん、織屋君じゃないのね。織屋君は?」
「今電話に出られないのよ。それよりこの『義母』ってなんのつもり?!」
「家族の番号全部登録しておいたの。あなたの番号は勿論『妻』になってるわ♪」
「あ、あのねえ・・・」
「それでさっき言い忘れたんだけど、織屋君に伝えておいて欲しいことがあるの」
「な、何よ?」
「今度頼津に帰る事があったら、必ずうちに来る様に言ってね」
「どうして?」
「おじ様の所に残してあった彼の荷物、昨日全部うちで預かっちゃったから」
「はぁ? な、なに勝手なことしてるのよっ!?」
「織屋君は、将来私の義理の息子になる人よ。その荷物を預かるのは当然でしょう?」
「黙って他人の荷物持ち出したら犯罪よ! 大体どうやってドアの鍵を開けたのよ?」
「『甥子さんは娘の夫になる人だから荷物を引き取りたい』と、おじ様に申し上げたの」
「信じられない・・・・」
「『浪馬に嫁ができた』って、おじ様すごく喜んでらしたわ、うふふ」
「『うふふ』じゃないわよっ!」
「とにかく頼津での織屋君の住まいはうちになったの。ちゃんと伝えてね」
「言えるわけないじゃない! さっさと織屋君の荷物返してきて!」
「可愛い義理の息子になる人の面倒を見て何が悪いの? 返すなんて絶対イヤ」
「帰省するたびに織屋君をうちに引っ張り込んで、ご近所から変な目で見らてもいいの?」
「私は全然かまわないわ♪ じゃあね」
そしてまた電話は一方的に切れた。





464 名前:ママン確信す    同棲バレてしばらく後[sage] 投稿日:2005/05/24(火) 00:58:14 ID:???
「でも驚いたわ。今まで男の子と全然縁のなかったナナちゃんが同棲なんて」
「はははは・・・スイマセン」
ママンにじっと見つめられて浪馬は首をすくめた。七瀬は買出しからまだ戻らない。

「家で男の子の話をすることも殆どなくて・・そうね、織屋君ともう一人くらいかしら」
「俺以外に? 誰だろ? バスケ繋がりで刃かな?」
「とにかく気に入らない子が学園にいたらしくてね。よく愚痴をこぼしてたわ。『理解
できない』 『顔を見るとイライラする』 『何度注意しても聞かない』って」
「ど、どこかで聞いた話しだな」
「確か一人暮らしして部活はボクシングだったかしら? でも去年の夏頃からその子の
話はふっつり聞かなくなったわね。代わりに出てきたのがあなただったわ、織屋君」
「ボクシング部・・・」
「たぶんあなたと仲良くなって、そんな子の事は忘れちゃったのね、うふふふふ」

浪馬は酷く困った顔をして黙り込んでいたが、やがて意を決したように口を開いた。
「ボクシング部に一人暮らしの奴なんていなかった。いたのはキックボクシング部さ」
「織屋君、その子の事知ってるの?」
「キックボクシング部部員。学園一の問題児。七瀬にお説教されるのが日課だった男。
知ってるかって? ああ、よく知ってる。織屋浪馬・・・それがそいつの名前だよ」
「えっ?」
「七瀬が気に入らない男って、この俺だったんだ」
浪馬の言葉を最後に、部屋を静寂が支配した。

「うっふふふふふふ」
やがてママンの口から笑い声が漏れ出した。
「な、なにがおかしいんだい?」
「だってナナちゃんは、あなたを白馬の王子様と気付かずに、二年間も顔を見るたびに
 叱り飛ばしてたって事よね? これが笑わずにいられるモンですか、うふふふふふ」


465 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/05/24(火) 01:00:34 ID:???
「いや、白状すると、今でも毎日のようにお説教されてるけどさ」
「そうなの? ナナちゃんって本当にお説教が得意なんだから、クスクスクス」
「得意・・・うん、確かにあれは一種の才能だ」
「織屋君、あなたナナちゃんに毎日お説教されて腹が立たないの? 嫌にならない?」
「まあ、説教される俺が悪いからさ。それに以前よりは優しくお説教してくれるよ」
「偉いのね。うちのお父さんでもナナちゃんにお説教されると慌てて逃げ出すのに」
「逃げると余計お説教が長引くぜ。謝るべき事を謝るのは勿論だけど、反論すべき事は
 きっちり反論するのも大事だ。逃げたり下手に言い訳するとますます怒っちまう」
「うふふふ、あなたナナちゃんをとてもよくわかってるのね」
「散々お説教され続けたから、七瀬の怒るパターンも収まるパターンもお見通しだぜ」
「うふふ、なるほどね」 ママンは感心したように頷いた。

「やっぱりこれで良いのかもしれないわ。ナナちゃんが同棲してるとわかって、さすがの
私も心配だったの」
「そりゃ・・まあ・・・なんせ俺たちまだガキだしな」
「私が言うのもなんだけど、ナナちゃんって難しい子なのよ」
「難しい?」
「気が強くてとっても口煩いの。それにプライドが高くて意地っ張りで」
「そ、そうかな?」
「だからなかなかお友達ができなかったり、周りから煙たがられたり」
「で、でもそれは自分をしっかり持ってる証拠だよ。それにあいつ、本当は・・・」
「本当は?」
「すげぇ優しいんだ。おまけに寂しがり屋で甘えん坊で、心配性ですぐに悩みを抱え
 ちまう不器用な子なんだ。みんな七瀬の本当の姿に気付かないだけだよ」
「ありがとう、織屋君。だからよ」
「だから?」
「こんなにもあの子を知ってくれているあなただから、私はこれで良いと思えるの。もし
織屋君がナナちゃんをぜ~んぜわかってなかったら、今夜私が引きずってでも家に連
れ戻したかもしれないわよ? うふふふふ」
「さ、左様ですか・・・」


466 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2005/05/24(火) 01:02:28 ID:???
「ねえ? 織屋君、あなたを目の敵にしてたナナちゃんにどうして興味を持ったの?」
「さ、さあ・・自分でもわかんねえや」
「そう。じゃあ今は? ナナちゃんのこと好き?」
「もちろんさ」
「ありがとう。あの子のキツーイお説教を跳ね除けて、好きになってくれて」
「べ、別に、礼を言われるようなもんじゃないよ」
「織屋君のその気持ちであの子を守ってあげてね。面倒見てあげてね」
「どっちかと言うと俺が面倒見てもらってるんだけどさ。炊事洗濯、それに勉強」
「心の支えって意味よ。寂しがり屋のナナちゃんのことだから、寝る時はあなたに子
 猫みたいに甘えてくるんでしょう? 一晩中しがみついて離れない。違うかしら?」
「えーっと・・・あはははは・・・そ、それはノーコメントってことで」
「なあに? 面と向かって聞かれると恥ずかしい? ほら、遠慮せずに言いなさい」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、優しく睨んでくるママンの顔に浪馬は息を呑んだ。
(いつもニコニコしてるから気がつかなかった。こう言う顔すると七瀬そっくりだぜ)

「ただいま。遅くなってごめんなさい。お腹すいたでしょ? すぐ用意するから」
そこへ七瀬が買い物から戻ってきた。
「お、おかえり、七瀬」
慌てて声をかけ、もう一度振り返ると、そこには見慣れた笑顔に戻ったママンがいた。
「織屋君、さっきの話はナナちゃんに内緒よ? いいわね?」
「あ、ああ、わかった」
浪馬が慌てて頷くのを見て、ママンは最後にまた満面の笑みを浮かべた。


と、まあ、こんな会話があって。ママンは浪馬を七瀬の運命の人だと改めて確信し、
実の息子同然に可愛がるようになった・・・みたいな妄想。