ふと資料を作る手を止めて窓の外を見やると、外はすっかり暗くなっていた。
「織屋君、そろそろトレーニング終わる頃かな…」
振り返って執行部のカレンダー付き時計を確認する。
時計は10月18日の午後7時半過ぎを示していた。
時計は10月18日の午後7時半過ぎを示していた。
10月18日。
今日は私にとって、18回目の誕生日。
そして…はじめて校則を破ってしまった日。
今日は私にとって、18回目の誕生日。
そして…はじめて校則を破ってしまった日。
破ったといっても、普通の感覚から言えば全然大したことじゃないことぐらいは分かってる。
持ち物検査があっても、身につけてさえいなければ見逃してもらえるぐらいのもの。
でも、ずっと「いい子」でいた私にとっては、とんでもない冒険だった。
それでも、今日だけは。今日のためのものだから。
持ち物検査があっても、身につけてさえいなければ見逃してもらえるぐらいのもの。
でも、ずっと「いい子」でいた私にとっては、とんでもない冒険だった。
それでも、今日だけは。今日のためのものだから。
「おーい、七瀬いるかー」
「あ、いらっしゃい」
「あ、いらっしゃい」
そう。この人が、私を今日一日ドキドキさせた原因をくれた人。
「毎日遅くまでご苦労だな。3年の10月だっていうのに、まだ引退させてもらえないのか?」
「ううん、本来の業務引き継ぎはほとんど終わっているのだけど、色々残しておきたいこともあるから」
「ふーん。まぁ、体を壊さない程度にしておけよ。ただでさえお前、頑張り過ぎることがあるからな」
「ありがとう。…ふふっ、あなたにお説教されるなんて、何か変な感じね」
「はっはっは、俺もそう思うぞ。…ん?」
「どうしたの?」
「説教ついでというか何というか…その胸のブローチ、もしかして昨日の」
「もしかしなくても貴方がくれたものよ。
せっかくの誕生日プレゼントなんだから、今日つけておかないと」
「今日って、まさか一日中それつけてたのか?」
「ううん、授業中にはちゃんとしまっておいたわよ。
執行部に来てから、ほら、この子と一緒に鞄から出して」
「ううん、本来の業務引き継ぎはほとんど終わっているのだけど、色々残しておきたいこともあるから」
「ふーん。まぁ、体を壊さない程度にしておけよ。ただでさえお前、頑張り過ぎることがあるからな」
「ありがとう。…ふふっ、あなたにお説教されるなんて、何か変な感じね」
「はっはっは、俺もそう思うぞ。…ん?」
「どうしたの?」
「説教ついでというか何というか…その胸のブローチ、もしかして昨日の」
「もしかしなくても貴方がくれたものよ。
せっかくの誕生日プレゼントなんだから、今日つけておかないと」
「今日って、まさか一日中それつけてたのか?」
「ううん、授業中にはちゃんとしまっておいたわよ。
執行部に来てから、ほら、この子と一緒に鞄から出して」
そういって指し示した机の上には、もうひとつの彼からの贈り物。ちっちゃなクマのぬいぐるみ。
「ありゃ、こいつもか。しかし、贈った方としては嬉しいけど…いいのか?」
「いいのかって、何が?」
「そりゃお前、その、自治会執行部副会長様ともあろうお方がだな」
「【勉強及び部活動、その他学園生活に不必要な物は学園内に持ち込まないこと】でしょ?」
「あ、ああ…」
「このぐらいは大丈夫よ。あなたなんて、もっととんでもないもの持ってきてるんじゃない?」
「まぁ、確かにそうなんだけど…って、おい!」
「ふーん、いったいどんなものを持ってきてるのかしら?」
「う゛…。そ、そろそろ閉め出される時間だぜ、帰らないと」
「ふふっ、今のは聞かなかったことにしておいてあげるわ。
じゃあ、そろそろ帰りましょう。
…それで、その、今日も」
「ああ、もちろん家まで送っていくぞ」
「ありがとう…」
「いいのかって、何が?」
「そりゃお前、その、自治会執行部副会長様ともあろうお方がだな」
「【勉強及び部活動、その他学園生活に不必要な物は学園内に持ち込まないこと】でしょ?」
「あ、ああ…」
「このぐらいは大丈夫よ。あなたなんて、もっととんでもないもの持ってきてるんじゃない?」
「まぁ、確かにそうなんだけど…って、おい!」
「ふーん、いったいどんなものを持ってきてるのかしら?」
「う゛…。そ、そろそろ閉め出される時間だぜ、帰らないと」
「ふふっ、今のは聞かなかったことにしておいてあげるわ。
じゃあ、そろそろ帰りましょう。
…それで、その、今日も」
「ああ、もちろん家まで送っていくぞ」
「ありがとう…」
50 名前:プレゼント <2>[sage] 投稿日:2006/10/19(木) 01:43:46 ID:???
学園の外に出ると、夜の秋風が私達の間を通り過ぎていく。
この風がもっと冷たくなる頃、私と織屋君の間のこの距離は今のままなのか、それとも…。
学園の外に出ると、夜の秋風が私達の間を通り過ぎていく。
この風がもっと冷たくなる頃、私と織屋君の間のこの距離は今のままなのか、それとも…。
「でもホント、嬉しかったけどビックリだぜ。そのブローチ」
「さっきも言ったけど、誕生日のお祝いで貰ったんだから、今日つけないとって思ったの」
「ってことは、明日はもう持ってこないのか?」
「そうね。家でちゃんとしまっておくわ」
「うーん、それはちょっと残念なような」
「もう、どっちなのよ」
「いやまぁ、先生達に見つかったら大騒ぎだろうからな。
『た、高遠君、いったい何があったのだねっ!』ってな感じで緊急職員会議が…」
「い、いくらなんでもそんなことには…」
「いーや、七瀬の場合は普段が普段だからな、そのぐらいは」
「もう、わかったわよ。ちゃんと家においてくるから」
「あ、いや、別に持ってくるなっていうわけじゃないんだぞ。
実際、ホント嬉しいんだぜ、それつけてくれてるの」
「それじゃあ、今度の日曜日にはつけてくるわね」
「ん?ということは、またデートしてくれるのか?」
「そうね。その、昨日がちょっと、その・・・ごめんなさいね?」
「ああもう、気にするなって、な?」
「さっきも言ったけど、誕生日のお祝いで貰ったんだから、今日つけないとって思ったの」
「ってことは、明日はもう持ってこないのか?」
「そうね。家でちゃんとしまっておくわ」
「うーん、それはちょっと残念なような」
「もう、どっちなのよ」
「いやまぁ、先生達に見つかったら大騒ぎだろうからな。
『た、高遠君、いったい何があったのだねっ!』ってな感じで緊急職員会議が…」
「い、いくらなんでもそんなことには…」
「いーや、七瀬の場合は普段が普段だからな、そのぐらいは」
「もう、わかったわよ。ちゃんと家においてくるから」
「あ、いや、別に持ってくるなっていうわけじゃないんだぞ。
実際、ホント嬉しいんだぜ、それつけてくれてるの」
「それじゃあ、今度の日曜日にはつけてくるわね」
「ん?ということは、またデートしてくれるのか?」
「そうね。その、昨日がちょっと、その・・・ごめんなさいね?」
「ああもう、気にするなって、な?」
そういえば、一昨日にあんなことがあったばかりなのに、
寂しい夜道を歩いていてもちっとも怖くない。
むしろ、ずっとこのまま一緒に歩いていたいぐらい。
寂しい夜道を歩いていてもちっとも怖くない。
むしろ、ずっとこのまま一緒に歩いていたいぐらい。
それはきっと、彼から貰った3つ目のプレゼントがあるから。
このプレゼントだけは、ずっとずっと、片時も離さないようにしようと強く思う。
このプレゼントだけは、ずっとずっと、片時も離さないようにしようと強く思う。
(これは風紀検査で見つかっても没収されたりはしないものね)
「大騒ぎにはなると思うけど・・・ふふっ」
「ん、なんだ?」
「ううん、何でもない」
「??」
「ん、なんだ?」
「ううん、何でもない」
「??」
(それに、この気持ちは、学園生活にあっていいものよね)
3年生の時期も半分をちょっと過ぎた、10月18日。
私の18歳の誕生日。
その日に合わせてもらったプレゼント。
私の18歳の誕生日。
その日に合わせてもらったプレゼント。
かわいい猫のブローチ。
ちっちゃなクマのぬいぐるみ。
そして、この気持ちが何なのか、気付かせてくれたこと。
ちっちゃなクマのぬいぐるみ。
そして、この気持ちが何なのか、気付かせてくれたこと。
私の、初恋。
貴男への、想い。
貴男への、想い。
「え?」
驚く七瀬
「コレで最後なのに、その……しないでいいの?」
「しないって何がだ?」
驚く七瀬
「コレで最後なのに、その……しないでいいの?」
「しないって何がだ?」
「何がって、その…
も、もう。こんなところでそんなこと言えるわけないでしょ?」
も、もう。こんなところでそんなこと言えるわけないでしょ?」
頬を朱に染め瞳を潤ませながら、七瀬はオレのことをジッ見つめた
「送っていってくれるんでしょ?さ、行きましょ」
「送っていってくれるんでしょ?さ、行きましょ」
「ついたぞ」
「うん、でも、もう少しこのままでいさせて…」
「うん、でも、もう少しこのままでいさせて…」
オレと腕を組んで、ピッタリと寄り添ってる七瀬は
目を閉じて余韻に浸るようにしている
「ん?もういいのか?」
「…ううん」
「へ?」
「よくはないけど、でも我慢する」
「そ、そうか」
「うん…」
七瀬の瞳は、何か言いたげだった
目を閉じて余韻に浸るようにしている
「ん?もういいのか?」
「…ううん」
「へ?」
「よくはないけど、でも我慢する」
「そ、そうか」
「うん…」
七瀬の瞳は、何か言いたげだった
「……七瀬、 キスをしよう」
「あんっ」
固く引き結ばれた七瀬の唇
徐々に力が抜けていき、オレを受け入れてくれる
「んっ…んん。 ああ……」
七瀬の唇、柔らかい…
「あんっ」
固く引き結ばれた七瀬の唇
徐々に力が抜けていき、オレを受け入れてくれる
「んっ…んん。 ああ……」
七瀬の唇、柔らかい…
「んじゃ、七瀬。 さよなら」
「え? ここで……いいえ、このスレでお別れなの?」
「あ、ああ。 もう新スレは立たないはずだよ」
「そ、そうなの……ごめんなさい。 わがままよね、こういうのって……」
「お別れだよ…七瀬……」
「また……ううん。 たまでいい…から思い出して・ね… 」 グスン
「え? ここで……いいえ、このスレでお別れなの?」
「あ、ああ。 もう新スレは立たないはずだよ」
「そ、そうなの……ごめんなさい。 わがままよね、こういうのって……」
「お別れだよ…七瀬……」
「また……ううん。 たまでいい…から思い出して・ね… 」 グスン
七瀬のヤツホントに寂しそうな目してたな…
かと言って、定住者の居ない次スレを立てるわけにもいかないし
まあしかたのないことだよな
かと言って、定住者の居ない次スレを立てるわけにもいかないし
まあしかたのないことだよな
『 青春とは流れゆくからこそ美しい。 またどこかで逢おう、七瀬は永遠に不滅だよ… 』
【氷解から】高遠七瀬への愛 12日目【情熱へ】
=完=