830 名前:1[sage] 投稿日:04/09/11(土) 15:26:43 ID:???
大学生 冬の寝物語 主人公の部屋にて
高ぶった心と体が静まってくる。
薄い毛布を通して部屋の冷機が感じとれた。
「七瀬、寒いのか?」
七瀬が体を寄せてきた。しなやかな手足が俺に絡んでくる。
「ん、ちょっと・・・」
「汗かいたからな。暖房入れようか?」
「いいの。このままでいい・・・・このままが・・・」
「でも」
「この方が貴方の温もりを感じられるから」
(七瀬っていくつになっても乙女ちっくな事いうな・・・わっ 冷たっ)
なお一層縋り付いてくる七瀬の冷え切った指先が俺のわき腹に触れた。
皮膚の下まで染みとおるような冷たさに俺の背筋はゾクゾクした。
(もっと抱き寄せてやれば七瀬の体も温まるかな?)
「七瀬」
「なあに」
「ちょっと向こうむいてよ」
「どうして?」
七瀬はふと顔を上げ、濡れた瞳が俺を見上げた。
「背中から抱いてやるから。その方がきっと暖かいぞ」
831 名前:2[sage] 投稿日:04/09/11(土) 15:29:00 ID:???
「ダメ」
七瀬は頭を振り、また俺の胸に頬を寄せてきた。
「だーめ」
イヤイヤする七瀬の髪が胸にこすれて少しくすぐったい。
「なんでダメなの?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「おい七瀬、教えてくれよ」
「だって・・・・・」
「だって?」
「後向きに抱きしめられたら、貴方の寝顔が見れないでしょう?」
再び顔を上げた七瀬が意外なことを言った。
「え?」
「好きなの、貴方の寝顔。私以外誰も知らない貴方の寝顔。
私だけの貴方の寝顔。貴方の寝顔を見ているととても幸せ
なの。夜ふと目を覚ましたとき、目の前に貴方の寝顔があ
るととても安心するの。だから・・・」
「七瀬・・・・」
俺は七瀬を抱きしめた。強く抱きしめた。
その拍子にまた七瀬の指が俺のわき腹に触れた。
今度は、でも冷たいとは感じなかった。