「午後の部」

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*午後の部 **正木 聖香 「お姉さま、一緒に踊りましょうよ~」芽衣子からお昼休みのフォークダンスに 誘われた。さぁここで問題発生!どちらが男性パートでどちらが女性パートで 踊るのか!?「お姉さまは、ぜひ男性パートに」「芽衣子のほうが男性パートに 似合ってるかも?」「お姉さまの意地悪~!」そんなこんなしていると 春菜さんがやってきて、「聖香さま、女性パートに回っていただけませんか? 男性パートにはロサ・フェティダとロサ・キネンシスが、いらっしゃるので 女性パートにも、目玉がほしいと思いまして」 「あはは、お姉さまが目玉だって、ただの数合わせじゃないの?」「もう、芽衣子ったら! 私だって、京様や央さんにはかなわないけれどファンの子だっているのよ、たぶん…… でも、これで芽衣子が男性パートで決まりね!」そしてオクラホマ・ミキサーが鳴りはじめた。 フォークダンスなんて、小学校の林間学校以来なので、ドキドキと心配だったけれど 芽衣子が上手くリードしてくれたおかげで、無難に踊ることができた。 余裕ができて、楽しく踊っているともうチェンジの時間…… 「お姉さま、次は袴競争でお会いしましょう!」芽衣子はけろりと言って 次のパートーナーの望さんの方を向いていた。 泣く泣く芽衣子の手を離すと「あら聖香ちゃん、寂しそうね 私じゃ不足かしら?」目の前につなみ先輩が現れた。 あれだけ「3年生の私は隠居だから」とか言っていたつなみ先輩だが、結構、体育祭を 楽しんでおられるみたいだ、記念に写真を撮ってもらってチェンジ。 その後も、央さんや京様とも踊ることができて、お昼休みもおなかいっぱいなフォークダンスの時間は終わった。 さぁ戦いの舞台は再び幕を開ける! 間に央さんの大活躍した、委員会対抗リレーを挟んで。 袴競争の時間だ、1組目は姉妹限定ということで。玲さま&かずらさん姉妹 明日香さん&志保子さん姉妹 京さま&慧理奈さん姉妹、そして私と芽衣子の姉妹である。ここは、ベストスール賞をいただいた私たちが 負けるわけにはいかない!でも、いざ袴を2人で履くと予想以上に走りずらそうだ。 「お姉さま、最初の一歩が大事ですよ。練習の通りやれば大丈夫です」そう私たちは秘かに特訓をしていた 袴は2人とも持っていなかったので、丈の長いスカートを使って練習を繰り返したのである。 「わかったわ、あとは呼吸をあわせて1.2.1.2ね」 「位置について!よ~い」パン!空砲とともに、レースはスタートした。重点をおいたスタートも成功 私たちはトップで、中間地点を過ぎた。その瞬間!ちらっと横を見ると、玲さま&かずらさん姉妹が視界に 入って来た。さすが運動神経抜群の玲さま、かずらさんを引っ張りグングン追い上げてくる。 明日香さん&志保子さん姉妹の姿も見えてきた。「芽衣子、ペースを上げるわよ!」「はい、お姉さま!」 1.2.1.2.1.2 そのまま駆け抜け、ゴール!私たちは1位でテープを切った。気になったのは 京さまと慧理奈さんだ、慧理奈さんは体が弱いので玉逃げや激しい動きをする競技は見学されていたのだが 袴競争には秋の陽気もよく、慧理奈さんの体調もよさそうなので参加されたのだった。 私たちや他の姉妹には遅れたけれど、確実に歩みを刻まれてゴール。順位こそ最下位だったが 会場は、拍手に包まれた。「この間のハーブティーが効いたのかしらね?」「はい、お姉さま」 私と芽衣子も心から2人を祝福した。 「やったわ、リリアンの校章入りノートよ芽衣子!」「お姉さま、はしゃぎすぎです……」 レースの後はやはり、私たちはいつものように姉妹漫才を繰り広げていた。 泣いても笑っても最後の競技、色別対抗リレーの時がやってきた。私は第5走者として アンカーにバトンを渡す役割を与えられた。やはり去年、大転倒を披露してしまったので 一番無難な位置に配置されてしまった。入場門で出番を待っていると「あら、聖香さん 今年も走るの?えらいわね」この声は…… 「幸恵さま!」「ふふ、お久しぶり、今年は違う組だけど お互いがんばりましょうね」大隈幸恵さま、3年桃組・ピンク組の団長であられる。去年は同じ紫組で 私がリレーで転んでしまった時、いろいろ世話を焼いてくださった先輩である。 「聖香さん、大丈夫?」「は はい、遅れてしまってごめんなさい……」「そんなことより、怪我はない? あら大変!血がでているじゃない?救護テントに行きましょう、こんなに足も汚れて……先にハンカチ濡らして拭いた ほうがいいわね、少し待ってて」 幸恵さまは、やさしく足についた砂を拭いてくださり、そして救護テントまで 片方の肩を貸してくださった。幸い私はかすり傷と軽い打撲だけで済んだのだけど、幸恵さまはその後も落ち込む私を 慰めてくれたのだった。「また、今度があるじゃない!来年も頑張れるといいわね」その時の幸恵さまの やさしく、微笑む顔はいまだに忘れられない。 そんな一年前の、淡い思い出に浸っていると「聖香さん、どうかした?白薔薇さまなんだからしっかりしなさいね」 あの時と同じ微笑だった…… 聞けば幸恵さまはリリアン卒業後、小児科医を目指されるそうだ。幸恵さまなら きっと、いいお医者様になられると私は思った。つい幸恵さまと話し込んでいると「リレー走者の方は位置について ください」放送が流れる。「じゃあ、お互いに頑張りましょうね。今度、芽衣子ちゃんも紹介して頂戴」ピンク組で アンカーを務められる幸恵さまを見送って。所定の位置につく。私は大事ななにかを忘れていたの かもしれない、幸恵さまはそれを気づかせてくれた。もちろん結果も大事だけど、一番大事なのは「思い出」なんだと。 今年も私はみんなからたくさんの「思い出」を貰った。短い3年の高校生活、もう折り返したけれど たくさんの、いい「思い出」を残せたらいいなと、私は思い、ふと赤組で出番を待つ芽衣子のほうを見た 芽衣子は、無邪気な笑顔を返してくれた「大丈夫」確信に近いなにかを私は感じたのだった。 リレーの結果? 私は悔いなしに、アンカーにバトンを渡すことができた。紫組としてリレーを制することは できなかったけど「また今度があるじゃない!来年も頑張れるといいわね」大好きな先輩の言葉がまた私の心の中で響いた。

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