「eternity rose」(朋子さん&ひめ乃さん姉妹)

「「eternity rose」(朋子さん&ひめ乃さん姉妹)」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

「eternity rose」(朋子さん&ひめ乃さん姉妹)」(2006/01/27 (金) 19:56:31) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*eternity rose **月城 玲  …雪が降ってる。  貴水朋子は、ふわふわと落ちてくるその白い雪をてのひらに受けて、思わずびっくりしたような表情になった。  基本的に朋子は何が起っても動じたりしないタイプではあるのだけれど。 「絶妙のタイミング」  呟いて思わずくすりと笑った。  第二期山百合会選挙の結果が掲示されたのはつい先ほどのことで。  紅薔薇さまに立候補していた自分の当選をつい先ほど知ったばかり。  そんなときに、最高のタイミングでちらちらと降り始めた粉雪は、まるで朋子への祝福のようでもあったから。  と。 「お姉さまっ…!」  この寒い中コートも羽織らずに校舎から駆け出してきた影があった。  ふわふわの長い髪。折れそうに華奢な手足。白い肌。大きな瞳。 「ひめ乃?」  見間違えるはずもない。彼女は朋子の妹、一ノ瀬ひめ乃だった。  最愛の妹が、懸命に自分のもとへと走って来る。運動は苦手だと言っていたのに。ひめ乃は瞬く間に朋子に追いついて、何かを言おうとした。 「お…ねえさまっ、と、せんっ、…でとう、ざいます」  しかし急激な運動が祟ったのか、息を切らしているようでうまく喋れていない。 「どうしたの、ひめ乃。落ち着いて。私は逃げたりしないよ」  囁いてふわふわの髪をゆっくり撫でていると、やがて落ち着いたのか。ひめ乃はゆっくり、しかしはっきりと言葉を紡ぎ出した。 「お姉さま。あの、当選おめでとうございます」  にっこりと、疲れた表情に笑みを浮かべて。  ひめ乃は笑った。 「――――あ、…。 ああ、そうか。 ありがとう」  いまさらながら当選の事実を思い出す。朋子らしからぬ失態だった。ひめ乃の苦しげな表情に自分も胸が痛くなって、すっかり頭から離れていたのだった。 そして、思い出した瞬間、自分が計画していたさまざまな案が記憶の箱から溢れ出す。  自分が山百合会の中枢を担う紅薔薇さまなのだとはっきりと自覚した瞬間から、がぜん、わくわくしてきた。これは舞台に立っている瞬間に負けるとも劣らない、朋子にとっての最高の刺激だ。 「お姉さまなら、きっと素敵な山百合会がつくれます。わたしも精一杯、お手伝いしますので、お姉さまの力を存分に発揮してくださいね」 「もちろんよ。私ね、今すごくわくわくしているのよ。ひめ乃の顔を見たら、すごく頑張れる気がしてきたんだ」  姉妹の絆を深めたい。それが朋子の願いだった。そしてそれを自分の手で実現させるために立候補したのだ。  ひめ乃がいるなら、そして今の私が居るなら。今期の山百合会を今以上に良くしてみせる。そう朋子ははっきりと思った。 「ねえ、ひめ乃。私、あなたが妹で本当に良かったと思うのよ。あなたがいなきゃ、きっと私は頑張れないもの」  朋子は最愛の妹に向けて、にっこりと笑う。 「そうだ。これから一緒に帰りましょう。当選のお祝いをしたいの」 「はい、お姉さま」  ひめ乃はいつもの可憐な微笑でそれに答え、歩き出そうとする。  が。 「あ、教室から見かけて急いでお姉さまを追いかけてきたので、鞄を忘れてしまいました…! 急いで取ってきますので、待っておいてくださいっ」  急いで校舎へ向かって駆け出す妹の後姿を見つめる瞬間、朋子はこれ以上ないほど幸せだった。  私たちはきっと、いつまでも共に咲き誇れる永遠の薔薇だ。  朋子は柄にもなくふいに泣き出しそうな感覚に襲われながら、ただそれを確信した。 **あとがき 朋子さんとひめ乃さんの姉妹は、いつでも仲が良くて素敵な関係だと思う。 紅薔薇さまとして頑張っていって欲しい。 口調や行動など「これは私じゃない!」という点もあるかもしれないので、何か訂正したい点があったら、遠慮なく言いつけてくれ。 それでは。楽しんでいただければ幸いだ。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。