「ミックス☆ジュース」リメイク版 第三話

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*ミックス☆ジュース リメイク版 第三話 **私市 朔耶 「いらっしゃいませ、ジュースバー『峠の茶屋』へようこそ♪」  どごん。  いきなり派手な音を奏でたのは京だ。 「・・・ちょっ、朔耶、なによ『峠の茶屋』ってのは?」 「はい?  いえ、剣士の休憩所と言えば『峠の茶屋』で間違いないかと」 「価値観の話じゃないわよ!  仮にも私たちは、これからジュースバーをやるんじゃないの?」  何か理不尽なものを見つけたように、少々怒り気味に問いただす京。 「でも、パンフレットにはこのように・・・・・・。  えっと~・・・ここです。  『剣道部-峠の茶屋』って書いてありますよ?」  黙って見守っていた玲と香が、すっと話に割って入ってくる。 「すまない京、パンフレット作成の実行委員に聞かれたときに、私がそう答えたんだ」 「玲に剣士の休憩所はどういう名前がいい?って聞かれた時に、峠の茶屋じゃない?って助言したの、僕だった気がする・・・」  気まずい沈黙が、少しの間流れた。 「・・・・・・わかりました。  もう、どうでも――」 「いっちばんのりー!・・・かな?」 『お。』  本日最初のお客様は、開店前にやってきてしまった。  学園一の元気印。  お騒がせ台風娘。  リリアンの校風に似つかわしくないあだ名を持つこの少女は、名前を宇都宮鈴という。  実はこの九月まで庶民で、二学期が始まってからすぐに編入してきたと言う、この学園ではかなり珍しい存在だ。  そして一つ気になるのが、彼女が今、確かに校門のほうから現れた、と言うことだ。 「・・・・・・あれ?  先輩たち、結局ホストクラブにしたんですか??」  部員たちが着ている服を見て、そう尋ねてくる。  疑問符の登場と一緒にコトン、と首を傾げると、ポニーテールがゆんっ、と跳ねた。  剣道部は高身長が多いので、彼女は必然的に上目遣いになるのだが、その仕草に妖艶さの要素はなく、むしろ子供に疑問を投げかけられたような感じがする。 「いいえぇ、ただのジュースバーですよ?」  真正面にいた朔耶が答えた。  鈴は困ったような、げんなりしたような、苦笑いのような表情を浮かべる。 「これが『ただの』だったら、日本のどこへ行けばホストクラブがあるって言うんですか?  ・・・・・・でも、ほんとに豪華絢爛。  先輩たちなら、歌舞伎町でお店が経営できるんじゃないですか?」 「そうか?」 「そうですとも」  褒め言葉と受け取った玲の口元が優しく緩む。  上機嫌、と表現するのが一番しっくり来るのだろうか。  この笑顔にやられた生徒も、数多くいることだろう。 「・・・!」 「さて、それではお客様。  ご指名、ご注文はいかがなさいますか?」  いきなり口調を変え、これぞホスト、と言った感じで鈴に注文を聞く朔耶。  今ここにいるのは、朔耶、京、香、玲。  三年生の四人だけだ。 「そーですね、それじゃ――きゃふぅ!?」 「ざーんねーんでした。  朔耶さま、この子のジュースは私が作らせてもらいますわ」  彩に後ろから近づかれて、いきなり抱きしめられた鈴は、たまらず悲鳴を上げた。  もちろん、接近してきた彩に気がついていた三年生諸君だが、そんなそぶりは微塵もみせずにいるあたりは、やはり類友というやつなのであろうか。  鈴があたふたして意味もなく暴れている内に、彩は彼女の腰に手を伸ばす。 「相っ変わらず細いわねぇ、ちゃんとごはん食べてるの?」 「あっ彩先輩!?  あ、だめです、そこは触っちゃ・・・ふぅ、んっ・・・」 「ふふっ、笑うのこらえてるんだ、かーわいー♪」  ほんの数秒間だが拘束してわき腹をちょちょいとくすぐり、膝が崩れる前にぱっと手を離す。  引き際はきちんとわきまえているのだが、行為のレベルは子供それだった。  鈴はもともと子供っぽいが、彼女と絡むと彩まで余計に幼く見えてくる。 「じゃ、ちょっと待っててね。  朔耶さま、ちょっとここ頼みます」 「はいはい、それじゃ、お手並み拝見としましょう。  鈴ちゃん、ひざは大丈夫ですか??  あっちに椅子を用意してありますから、腰掛けて待っててくれますか?」  手作りが売りのため、客を待たせてしまうジュースバー。  そのため、お客さんを座らせる椅子が用意されていた。 「は・・・はい」  弱点を触られて、精神的にも力の抜けたような状態の鈴。  くすぐりによって一気に血圧が上がったためか、腰を掛けて落ち着こうとしてもしばらく顔は真っ赤だった。  その一方で、やる気満々の彩は鼻歌を歌いながらジュース作りに励んでいる。  ぎゅがゎぃぃぃーーーん・・・・・・  ミキサーが彩の選んだ素材をかき混ぜていく。  ――あの硬いものを粉砕する音はなんだろう・・・?  横で見ていた玲がそう思ったとか思わなかったとか。  そんなことは露知らず、音符交じりの彩は出来上がったものをこし、香に取ってもらったカップに注いでストローをさす。 「さ、できたわよ鈴ちゃん。  わたしの特製リンゴとオレンジのミックスジュース!  さ、飲んでみて?」 「は、はい・・・ありがとうございます。  それじゃ、いただきますね?」  ――リンゴは皮ごと混ぜたのかな?  少し赤みの強いオレンジジュースを見つめ、そんなことを思った鈴だが、あまり気にせず口にした。  ちゅーーー~~~・・・  一同見守る中、鈴は。 「・・・美味しいジュースですね、なんかちょっと辛いけど。  彩先輩、意外とお料理上手だったんですね?」  なんと、唐辛子入りのジュースを美味だと言ってのけた。 「やっぱりー!?  ねー唐辛子ジュースは美味しいでしょう!?」 「へ?唐辛子・・・?」  ことん、とまたもや首をかしげる。  1、2、3。  思考の中心が「ジュース」状態の、割と軽く出来ている鈴の脳では、唐辛子とはなんぞや、と言う問いの検索にHITするまで、三秒ほどかかった。 「・・・先輩。  おちゃめ、じゃ、済まないですよ?」  ジト目で彩を見つめる鈴。  むすっとした顔で迎え撃つ彩は、どうにも不服のようだ。 「なによー。  鈴ちゃんはおいしいって言ったじゃなーい」 「あたしだから、飲めたような気もしますけど・・・」  うんうん、とうなずく後ろの4人。 「それにカプサイシンも沢山入ってるから、健康にもいいのよ~?」 「あのですねぇ、先輩、それとこれは―――」  彩と鈴の論争は、このあと十数分間にわたって続いたと言う。  なにげなく、両者唐辛子ジュースを飲みながら。  台所に残っていたのを興味本意で舐めた京によれば、少量でも舌が痺れたと言う。   「なんだかんだ言って、鈴ちゃんあのジュース気に入ってた?」 「そうですよね・・・私もそう見えましたけれど」 「ん~、そうですね。  きっと先輩方が思うほど、味はまずくはないですよ。  オススメはしないですけど・・・」 「やっぱり、唐辛子ジュースは推進っていう方こ―――」 『だからよしなさいってば。。』×5 **あとがき 当初の予定では、鈴ちゃんが犠牲者第一号だったんですよ。 彩の好みの味って、凄いですからね(^^; と、こ、ろ、が、そうは問屋がおろさなくてですね。 鈴ちゃんも実はすっごい辛党だそうで、結局こういう形の作品になったわけです。 遅刻をさせてしまったのはやりすぎたかなと思ったのですが、 本人には逆に好評でしたのでそのままにしました。 [[目次へ戻る>「ミックス☆ジュース」リメイク版]]

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