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*ミックス☆ジュース リメイク版 第四話
**私市 朔耶
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*ミックス☆ジュース リメイク版 第四話
**私市 朔耶
「はいどーも、ありがとーございましたー♪」
「京ぉ~、ご指名だよ~」
「はいはーい、ちょっと待ってねー」
「香クン、ちょっとそこの蜂蜜とってほしい!あずすーんあずぽっしぶるぷりーず!」
「なんでそこ、微妙に英語?」
開店早々よもやの大盛況を奏した剣道部ジュースバー。
あまりの忙しさにタネを仕込むひまが無く、一発目のアレからはほとんどがベーシックな物で済まされてしまっている。
妙な被害が少なくていい、といえば聞こえも言いが、逆に各人のオリジナリティーや美味への工夫(挑戦?)には今ひとつ欠けていた。
「ごきげんよう、京さま」
「あら?
綺羅ちゃんじゃない、いらっしゃ~い。
ふふふっ、ご指名ありがとう(にっこり)
急かして悪いんだけど、何がいいのかしら?」
京はスッと頭を下げて邪気のない笑顔を見せる。
今回の客は、三条綺羅。
今はフジマツ喫茶の休憩時間なのだろう、巫女衣装でのご登場である。
日本人的な黒く長い髪が、白と赤の衣装にとてもよく似合っていてかわいい。
剣道部の面々にも負けず劣らず目立っていた。
彼女はあごを上げ、それでも上目遣い(京も大きいのだが、綺羅は小さい)の瞳を輝かせると。
「バナナのジュースがいいです!」
と、きっちりはっきり嬉しそうに注文をした。
「ん、オッケーよ。
じゃ、そこに座って、待っててね?
すぐに作ってくるから」
奥へ入ってからの京は素早かった。
手際よくバナナを剥くと、まな板へ。
ストン、ストン、ストン。
怪我をしないように、包丁を定位置に戻すと、両手に乗せたそれらをミルクを待機させたミキサーへ放り込み、スイッチを入れる。
にゅぃうぃぃぃーーーん。
程よく混ざったところで、軽くこし、カップへ注ぐと、蓋をしてストローをさす。
「はい、できたわよ」
うつむき加減で指先をいじりながら待っていた巫女の下へ、京は特製のジュースを持って駆けつけた。
「ありがとうございます、京さま」
「いえいえ、おいしく飲んでいただけると嬉しいわ」
「では、さっそくですがいただきます」
軽く頬を染めると、ぱくりと口をつけ、中身を吸い上げる。
ちゅーちゅーちゅ・・・ぐっ・・・ごほっ、ごほっ。
「げほっ、から、んーからーい!
最初は甘かったのにからいですー!!
京さま、これは・・・?」
「えっと、わたしの特製からしバナナミルクジュースよ。
お口に合わなかったかしら??」
「・・・・・・」
舌がしびれてしまって、これ以上口がきけなくなった綺羅。
「ねぇちょっと、だいじょうぶ?」
「・・・・・・」
顔を覗き込むようにして問われるが、綺羅は口元を抑えたまま、声も出ず首を横に振るだけだ。
顔色がさっと変わった京は、何か代用の飲み物を周囲に見出そうとする。
「朔耶あそこ。
アレってもしかして・・・」
「え?あ!
綺羅さん、もしかして被害者一号になっちゃいましたか!?」
口元を押さえて悶絶している綺羅を見つけた香と朔耶が、洗いものを一時中断しながら心配していた。
見かねた彩が、綺羅のそばへ駆け寄ってきた。
「綺羅さん、お水です、どうぞ」
「・・・・・・」
無言のまま水を口に流し込むと、やっと舌が回復してきたようだ。
「あ、ありがとう彩さん。
京さまって、びっくり箱だったんですね・・・」
京を見上げながら、さらっと怖い発言をする綺羅。
「え、なにそれ、まさか・・・知らずに・・・?」
「はい? なにをですか?」
「いえ・・・私の口からは・・・」
この間のやりとりをしかと聞いていた京。
スッ・・・と彩のあごに手を添えると、自分のほうへ向き直らせる。
一言で言えば、妖艶な表情。
付け加える事があるとすれば、中々に迫力のある目つきだった点だろう。
「彩さん、何か言いたいことがありそうね?」
「いえいえ私などはそんな滅相もございませんですわ」
「・・・ふーん?」
問い詰める京の視線に、彩はすっかり睨まれた蛙だ。
その二人の間で、綺羅はおろおろしている。
「京、そこまで」
京の右腕をつかみ、止めに入ったのはもちろん玲。
「後につかえてるお客さんをあんまり待たせないように。
それと、おいたが過ぎると中止になるかも知れない。
悪戯はほどほどにしておかないと・・・」
キュッとするどくなる眼光。
京とはまた別の意味で迫力を感じる目だ。
彩と綺羅はその強く美しい姿に頬を染め、京も玲を敵に回すつもりはないのか、大人しく引き下がった。
「玲さま~ありがとうございます~(T△T)」
「ん?あぁ、京の悪戯好きも困ったものだね。
綺羅さん、口と喉は大丈夫かい?」
「あ、はい、大丈夫・・・です・・・」
「そう、よかった」
にっこり笑った玲に瞳を奪われ、またもや頬を赤くする綺羅。
玲はナチュラルに優しい。
―――かずらさんが嫉妬しちゃうのも、わかるわよねぇ~。
彩は隣で見てて、そんなことを思った。
「ちょっといい?」
「きゃぁ!?」
玲と数秒見詰め合っていた綺羅の前へ、ひょっこりと顔を出す京。
「これ、バナナジュースだから」
と言って、いまだに綺羅の手でしっかりと握られていたからしバナナジュースを取り上げ、新たなカップを差し出す。
「・・・はい?」
訳がわからず首をかしげる綺羅。
「だから、さっきのお詫びよ。
下手なジュースしか作れない、なんて思われるのも嫌だし。
今度のは普通に作ったから、ちゃんと飲んでよね?」
言って、くるっと背を向けると、テントへ戻って行ってしまう。
「・・・・・・私が先に飲んでみましょうか?」
「・・・いえ、彩さん、これは私がいただいた物ですから」
そう言って、玲と彩が見守る中、綺羅は恐る恐る二本目のジュースに口を付けた。
「京さまー!」
少し遠くなった京を呼ぶ綺羅。
京は人ごみの中でくるっと振り返る。
存在感のある彼女は、服飾も手伝ってか、一挙手一投足が見て取れる。
その場で綺羅の言葉を待っているのも、雰囲気から見て取れた。
「バナナジュース、おいしいです!
ごちそうさまでしたー!」
大きく手を振って、嬉しそうに礼を言う綺羅。
京は軽く手を上げると、また背を向けてしまったが、満更ではなかったらしい。
テントへ戻ってきたその顔には、嬉しそうな笑みが張り付いていた。
**あとがき
他人を完璧把握できるとは思ってないですが・・・
綺羅さんとはこのシリーズを書く直前に知り合って、
正直掴みきれていない『彼女』と言うキャラクターに四苦八苦した思い出があります。
もちろん、京さんとも面識が浅かったので、もしかしたらとんでもない誤解を招くんじゃないかと思ってましたよ(^^;
からしなんか飲ませて、ごめんなさいでした。。
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