「ミックス☆ジュース」リメイク版 第九話

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*ミックス☆ジュース リメイク版 第九話 **私市 朔耶 「もしもし、そこなお嬢さん。  物陰に隠れて、何を見てらっしゃるのかな?」  寂しそうにテントを見つめる視線に気が付いたのは、彩だった。  ただ、今は忙しくて手が離せない、との事で、ちょうど休憩中の朔耶がそのお嬢さんのところへやってきた。  彼女はびくっと肩をすくませると、ぱっと振り返った。 「え!?  あ、朔耶さま・・・えっと・・・ごきげんよう」  少々クセのあるショートカット。  和服を身にまとい、新撰組のはっぴを着ているこの美少女は、二年生の葛城かずらだ。  かずらは、声の主が見知った顔であったことに少々安堵し、見つかってしまったことに不安を覚え、一応それでも挨拶をする。 「はい、ごきげんよう。  かずらさーん、こんな所にいないで、あっちに注文しにきたらいかがです?」 「でも、お姉さまは忙しそうだし・・・」  彼女の言うお姉さまとは、月城玲のことである。  校内、外にかなりの人気がある剣道部員たちだが、こと月城玲と常盤京の人気は群を抜いている。  そのツートップの片方なのだから、こういった行事は忙しくてたまらないだろう。  彼女はそれを気遣って、少し離れた木の陰から、こうして見守っていたのである。 「ん~、まぁ無理強いはできませんしねぇ。  そうだ、私、今休憩中なんですけど、よければジュース作りますよ?  くだものは何がいいですか?」 「え?そんな・・・」  申し出を断ろうとしたが、校風上強く出ることも出来ず。 「遠慮しなくていいですよ。  腕によりをかけて作ってあげるますから」 「・・・では、オレンジジュースを」 「はい、任せておいてください^^」  そう言うと、軽く駆け足でテントへ戻っていった。 「あれ?もう休憩終わりですか?」 「ええ、かずらさんが来てましたので」  彩と朔耶の話を聴いてぎゅんと振り返ったのは、言わずもがなの玲だ。 「なっ!?  朔耶、それは本当!?」 「ええ、その木の陰にいますよ?  ただ、玲さんは忙しいに過ぎるから注文しづらい、と。  オレンジジュースを飲みたいそうなんで、すっ飛んで戻ってきたんですよ」 「あの子・・・そんな事まで気を回して・・・」 「まぁ、それが彼女の優しさでしょう。  負担をかけまいとする、いい妹じゃないですか」 「・・・」  自分の妹の飲むジュースだ。  もちろん自分で作ってあげたかったのだろう。  知ってか知らずか、るんるんと鼻歌交じりにりんごをさばいてジュースを組み上げていく朔耶。  その隣には、むすっとした、いつもよりコワモテになってしまった玲。  この二人が一緒にいる空間は、すさまじく異様だった。 「さ、できました。  じゃ、ちょっと行ってきますね?」  たったった・・・と駆けて行く朔耶の背を、玲は不機嫌に睨み付けていた。 「はい、おまたせしました」 「・・・すみません朔耶さま、休憩中だったのに」 「いえいえ、いいんですよ、そんな事。  いやーしかし、見事に晴れましたねー、今日は」  そんなたわいも無い会話を一分ほど、続けていると。 「かずら」 「あっ、お姉さま・・・」  いつのまにか、すぐ近くに玲がいた。  朔耶は後方にいる玲の接近に気が付いていたのか、顔だけで振り返る。 「やぁ玲さん、どうかしました?」  驚くそぶりなど微塵も見せず、しれっと言い放つ、さっきから妙に意地悪な朔耶。  不機嫌な顔にやや赤味が差して、ふくれっつらのようになる。  それから、すっと右手を・・・右手に持っているものを、かずらの前に差し出した。 「・・・オレンジジュースだ」 「え?」 「飲みたかったんだろう?  オレンジジュースを作ったから、飲んでくれ」 「まぁ・・・ありがとうございます、お姉さま」  かずらはとても嬉しそうに、ジュースを受け取った。  視線が合うと、二人して赤くなる。  玲はかずらと親しくして、あまつさえジュースまで作って渡しに行くという朔耶の行動に、いたく腹を立て、ヤキモチをやいていたのだ。  その様子を見て、満足げに頷くと、朔耶も右手を上げた。 「はい、玲さん。  りんごジュースです、飲んでください」  ――りんごじゅーす?  言葉の意味が少々理解できなかった二人。  疑問を先にぶつけたのは、玲の方だった。 「・・・朔耶、それはかずらのためのオレンジジュースじゃなかったのか?」 「違いますとも。  だって、かずらさんのジュースは玲さんが作ってくれると思ってましたから」  にやにやとした表情で朔耶が笑う。  してやられた、という顔の玲。  そして姉がからかわれているのを知って、口をとがらせるかずら。 「あはは、そんな恨めしい顔しないで下さいよ。  じゃ、そーゆーわけで、玲さんは休憩時間ですから、かずらさんと一緒に文化祭を楽しんできてくださいね?」 『・・・』 「だいたい、二人ともお互いに遠慮しすぎなんです。  もっとこう、素直になってくださいね?  では、私はオーダーがあるので、失礼します」  スタスタと、朔耶は仕事に戻っていった。  朔耶は、わざと、玲にヤキモチをやかせたのだ。  そうしないと、きっとかずらは、ものの10分もしないうちにもうテントへ戻れといい、玲も申し訳ないとは思いつつ、盛況のテントを支えるべく戻ってきてしまうだろう。  少々荒療治だったが、せっかくの文化祭だ、楽しむべき相手がいる人は、ちゃんと楽しませなければ。  自分たちの本音に、気がつかせなければ。  二人による報復も少々怖かったが、いい事をしたと朔耶は思っていた。  戻る途中でふと振り返れば、仲むつまじく、手をつないで歩いていく二人の姿があった。 **あとがき 固定観念といいますと聞こえは悪いのですが、 彼女らのイメージは書き始める随分前から確立していまして。 楽しく書かせていただいたのを覚えています(^^) 本物の私は、こんなに演技のうまい策士ではありませんし、 おもいっきり美化してますので、こんな人だと思わないようにしてください(^^; [[目次へ戻る>「ミックス☆ジュース」リメイク版]]

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