「袴競争出場手続きのおはなし 黄薔薇編」

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*袴競争出場手続きのおはなし 黄薔薇編 **中司 春菜  放課後の空き教室。今は体育祭実行委員会が利用している。その扉が開き一人の生徒が顔を出した。 「ごきげんよう、春菜ちゃん」  微笑みながら入って来たのはロサ・フェティダこと常盤京。入り口そばの机に座っている春菜に挨拶する。 「ごきげんよう、京さま」 「久しぶりだねー、春菜ちゃん。体育祭実行委員会、何にもできなくてごめんね?何か手伝えることあったら何でもするから言ってね」 「はい、ありがとうございます」  挨拶を交わした京は春菜の席に貼りつけられてる紙を見て言う。 「体育祭競技の参加申し込みなんだけど、春菜ちゃんに言えば良いわけね」 「あ、はい袴競争ですね」  クラス会議以外で出場を決める競技は、袴競争とクラブ対抗リレー位なのだから春菜はすぐに京の言いたいことを察する。 「そう。慧理奈と2人で、っていうことで、よろしくね」 「はい、ではこちらにクラスとお名前を」  そう言って京に出場申込書を渡す春菜。京は整った、それでいて優雅な筆跡で姉妹の名前を書き、 「それじゃ、色々大変だと思うけど私でよければ力になるからいつでも頼みに来てね」  そう言うと京は「ごきげんよう」の一言を残して去っていった。  その1時間後、相変わらず受付席にいた春菜の前に現れたのは、 「ごきげんよう、春菜さん」 「ごきげんよう、慧理奈さま」  京のプティスールである慧理奈だった。 「ところで実行委員は大変でしょう?何かあったら、私でよければなんなりと言いつけてちょうだいね」 「ありがとうございます。でも流石姉妹ですね」  その春菜の台詞にこくびを優雅に傾げる慧理奈。 「どう言うことかしら?」 「先ほど来られた、京さまも同じことを仰られまして」 「あら、お姉さまもなの」と答えた慧理奈。続けて、「そうお姉さまと言えば、お姉さまと袴競争をやらせていただきたいと思っているの。まだ、受け付けてくださるかしら?」  と言う。春菜は、 「あ、袴競争なら京さまが既に」  と先ほど京が書いていった申込書を見せる。 「もう、お姉さまったら。言ってくだされば良かったのに……」  そう文句をつけつつも嬉しそうに微笑む慧理奈。そんな慧理奈を少し羨ましそうに見る春菜。そんな春菜を見て慧理奈は、 「そういえば春菜さんはグラン・スールはいらっしゃるのかしら?」 「いえ、いないんです」 「そうなの。突然聞いてごめんなさいね、少し気になったものだから」  わずかな間、微苦笑を浮かべた慧理奈だが、再び優雅に微笑みつつ、 「それではごきげんよう、春菜さん」  そう言うと、教室から出ていったのでした。

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