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*ある日の午後 前編
**常磐 京
ある日の午後、薔薇の館にて―...。
そこには山百合会2年生の二宮央、正木聖香、五条慧理奈の3
人が集まり、何やらこそこそと話している。
「ええ、そうですわ...直接が1番よ...だってロサ・フ
ェティダは...」
「聖香さんの言うとおり。慧理奈、頑張り時よ、ここが...
」
「え、ええ...でも....」
このいかにも不思議なやりとりをビスケット型の扉の向こうで
聞いていた私は首を思いっきり傾げた。そして驚かせようとそ
っと扉を開け、聖香の肩をそっと叩いた。
「きゃああああああ...っ」可愛い乙女らしい声をあげて驚
く聖香。
「あ、あら...ごきげんよう、ロサ・フェティダ...」引
きつる笑顔を必死に保って挨拶する央。
そして...「またバカバカしいことをなさって...昔から
こうですものね、お姉さまは...」可愛くないことを言う不
届き者の妹、慧理奈。
三者三様の驚きをじっくり楽しんだ後で、私は単刀直入に質問
した。
「なーに?3人で秘密の相談?まさか私の愚痴とか?」そうい
いつつも実は内心焦っていた。自治活動に積極的な後輩に頼り
きりな自分を不甲斐なく思っていた。言われていたとしても仕
方がない、そういう覚悟も込めて聞いたことだった。
しかし3人は一向に言おうとしない。終いには
「お姉さまには関係ありません、お引取り下さい」とまで言わ
れてしまう始末である。
「一体何なの...」
大切な妹である慧理奈までが混じって話すこととは一体何なの
だろうか...頭を掻きむしりながらそんなことを考えていた
ら、いつの間にか朝日が昇っていた...。