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*片足だけあげて 後編1
**正木 聖香
聖香は、いつものようにカメラ片手に公園をブラブラしていると、みたこともない小鳥を見つけ、必死に追っていた。木に止まっている小鳥を見つけ、無意識にベンチの背もたれに右足を架けて撮っていた。
(コロコロコロ)
聖香は自分の制服のポケットからレンズカバーが落ちているのも気づかずに撮影を続ける。レンズカバーは向かいのベンチの方へ転がっていく。
「落としましたよ」
撮影をしていると同年代らしき、女の子から声をかけられた。
「あら、私ったら気がつかなったわ。ありがとう」
その女の子はクロッキー帳を持って、写生をしているようだ。私はその絵をみて「はっ」っと思った。彼女が描いていた木はさっきから私が小鳥を追って駆け回っていた、木だったからだ。
「この木を描いていたのね、お邪魔だったかしら?」
彼女は苦笑しながら
「いえ、私は大丈夫ですけど。ベンチに颯爽と足なんか架けてらっしゃいましたよ」
私は顔を真っ赤にして
「またやってしまったわね、私写真となると。我を忘れてしまうの、本当に恥ずかしいわ」
彼女も人懐っこい笑顔で
「ええ、私も絵のことになると必死になって、周りが見えなくなってしまいますよ」
なんだか、親近感を覚えた私はいつになく積極的に
「お名前はなんと、おっしゃるの?」
「雪村芽衣子と申します、この近所に住んでいる、中学3年生です」
聖香の芽衣子に対する第一印象はこの子しっかりしているな、でも笑顔はとても無邪気でとてもかわいいという印象であった。