「セント・メアリの鐘の音は 0話 開店前」

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*セント・メアリの鐘の音は 0話 開店前 **中司 春菜 学園内のある教室で、執事とメイドが並んでいる。もっとも正確にはそれっぽい格好をしたリリアン女学園の生徒達だ。それを見ながら春菜は『何処でどう間違ったんだろう?』と思っていた。最初、彼女が立案したときの企画は『おにぎりとかサンドイッチを出す軽食店』だったのだ。ところがふたを開けてみれば『英国風喫茶店』に企画が変わり、気がつけば『これはメイド喫茶?』になっていた。しかし、そんなことを考えてる彼女も、ピンタックのブラウスに黒いロングスカートなんて格好をしてるのだから何と言うべきか。 「どう、春菜さん?」  メイド服を選んだ張本人、ひめ乃が春菜の前でくるりとターンをしてみせる。 「うーん、可愛いわよ。これならお姉さまも、ひめ乃ちゃんの魅力にノックアウトね」 「は、春菜さん!」  ひめ乃は春菜の台詞に慌てだす。しかし、髪を白いリボンでツインテールにして、メイド調の服を着たひめ乃は確かに可愛らしくて。 「確かに青薔薇さまも驚くでしょうね」 「がんばれ、ひめ乃さん」  なんて冗談じみた言葉さえ出てくる。もっとも先に驚くことになるのは、メイド服を着た彼女達になるのだが。そんな会話を交わしていると、 「春菜さん?」 「何、芽衣子さん?」  ひとりだけ男装の芽衣子が春菜に声をかける。 「春菜さんも、らしく髪型をいじらない?」 「え、えっと」 「一応、お店の女主人ということだし髪を纏めた方がらしく見えると思うのよ」 「そうかな?」 「あ、違う髪型の春菜さんも見てみたいな」  という、ひめ乃の意見にいくつか賛同が。 「じゃあ、髪は上げて纏めてみようか」  数分後、芽衣子の手で髪を纏められる春菜。 「春菜さんのうなじが見える」  芽衣子はそういいつつ、後ろからぎゅっと抱きつく。 「きゃ、芽衣子さん!」 「うーん、やっぱり春菜さんて抱き心地がいい」 「あ、あのね。もうすぐ開店時間」  そう春菜がいうと、 「さぁ、皆さん頑張りますよ」  ぱっと離れて一声上げる芽衣子。そして最初のお客さんがやってくる。

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