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*山百合会劇・衣装部買い出し編act1
**一ノ瀬 ひめ乃
体育祭も終わり、いよいよ学園祭もまじかという季節になってきた。
学園全体がクラスや部活動の出し物準備でとても忙しくなってきている。
三年菊組の私市朔耶、二年松組、三条綺羅、一年桃組の一ノ瀬ひめ乃は、
学園祭での山百合会劇の衣装係をする事になり、
放課後シスターに外出許可をもらい、衣装用の生地の買出しに出かける事になった。
それにしても豪華な面子だとひめ乃はつくづく幸せ者だと痛感していた。
リリアン四剣士のお一人の私市朔耶さまは高身長に焼けた肌がとても素敵だし、
三条綺羅さまは茶道部に所属する礼儀正しく麗しいお方。
そしてなんの変哲もないただの一年生のわたし。
経費を安く押さえる為に、やはり生地は日暮里の繊維街に赴く事になった。
洋裁が好きなひめ乃はたまに来る事はあるけれど、
家庭の事情というやつで一人歩き禁止令が出ているので、
必ずお姉さまとご一緒していたので、
他のお姉さま方と歩くのはなんだか少し不思議な気持ちになった。
繊維街を歩き、お店に向かいつつ、会話を楽しむ。
「へぇ~、日暮里って本当に生地屋さんが多いんですね。
私家庭は科苦手だから、買出しした物を運ぶくらいしかできないけど…」
「そうですね、朔耶さまが持ってくださったら助かります。ねぇ、ひめ乃さん?」
そういう綺羅さまはとてもにこやかだ。
「ええ。わたしもこれだけの人数分の生地だと持って帰れるか不安でしたし、
ありがとうございます、朔耶さま」
「いえいえ、むしろそれしかできなくて本当にすいませんね」
朔耶さまは少し苦笑い気味だった。
繊維街には本当にたくさんの生地屋がある。
目当てとおぼしき生地の量は計算してあるので、どこが一番安く買えるかが問題だった。
買出しというのもなかなか骨の折れる作業である。
数件回ったのち、一番安いお店に入った。
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*山百合会劇・衣装部買い出し編act4
**一ノ瀬 ひめ乃
時間もないので次は一気に王様と王子と姫とカラボス。
ラフイラストとして書いた当初のメモには、
王様のイメージは金色と書かれている。
王子とカラボスと姫はデザイン画がしっかり書かれている。
三人でしげしげとデザイン画を見つつ、いかに安く早く仕上げるかを悩む。
結果、王子が中に着るブラウスは芽衣子さんの着なくなった中学生時代のブラウスに、
ラッセルレースを縫い付ける事にした。
王子ならやはり気品溢れる別珍。
だけど、別珍は高価だから、少々難がある程度であまり問題はない、
割引品になっているモスグリーンの別珍にする事になった。
芽衣子さん曰く、
「わたくしが黒い王子服を着て髪をたばねたら 執事になってしまうわ」
という発言を尊重して上品なモスグリーンを選んだという訳である。
それに芽衣子さんには緑がよく似合う。
デザインは襟のないジャケット、
その縁取りは金のブレードで、中はひらひらしたブラウス、
そしてジャケットと共布のショートパンツ。
勿論裾にレース付き。
「うん、この色芽衣子さんにとても似合うんじゃないかな?
そういう色のイメージだな、私は」
「そうですね、芽衣子さんとてもお似合いになるんじゃないかし ら」
「ではこれも、ええと2m50cm買う事に致しましょうか」
時間がないので駆け足だが、とりあえず王子の件は一安心。
王子は第二の主役なんだから、多少値が張っても仕方がない。
是非輝いてほしいと学園中が思っていると思う。
芽衣子さんの王子姿はさぞかし凛々しい事だろう。
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