リリアン女学園付属図書館 「たとえ一億光年離れても、」(りなさん&萌さん姉妹)

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たとえ一億光年離れても、

月城 玲



 窓ガラスの向こうで星がきらきらしている。萌は教室にただ一人立って、ぼんやりと空を眺めていた。

いつからだろうか。
 萌はお姉さまを探し出すことが上手になった。
 例え人ごみの中からだって見つけてみせる。これは自慢なんかじゃなくて、本当のこと。
 お姉さまの明るい髪の色が目立つからだって言われてしまえばそれまでなんだけど。
 でも、たとえば今この夜空に幾億も瞬く星の中にお姉さまがいたって、絶対に見つけてみせる、って。
 萌は自分を信じている。

「ごきげんよう、萌さん。私、2年藤組の久保りなって言うの。どうぞよろしくね?」
 萌は自分の目の前で微笑む上級生の方を見つめながら、やたらとどきどきする自分の鼓動を感じていた。
 学園に転入してきてから、数人の生徒に声をかけてもらったけれど。こんなに素敵な方が自分に声をかけてくださるなんて、思ってもみなかった。
 明るい色の髪の毛が光に透けてすごくきれいで。
 まさか、あの方が自分のお姉さまになってくださるなんて。
 夢みたいだった。

「…萌…、…萌?」
「――んっ…?」
 ぱちりと目を開けば、そこは自分の教室だった。どうやら星を見ている最中、机に突っ伏して寝てしまっていたらしい。ということは。さっきまで見ていたのは――夢、なのだろうか。お姉さまと始めて言葉を交わしたときの、そう……夢、なんだ。
「萌? 起きなさい。もう最終下校の時間よ」
 えっ? じゃ、この声の主は一体誰なの?
「あっ。お、お姉さま!」
 萌はびっくりして飛び上がった。明るい色の髪の毛、スレンダーなのに女らしさを感じるスタイルの、萌のお姉さま。お姉さまは、萌の机の前にすっくと立って、萌が起きるのをじっと待ってくれていたらしかった。
「何よ、そんなにびっくりしなくてもいいじゃないの。私が来たのがそんなに厭だったの?」
「い、いいえ! 違いますっ、あの、夢を見てて…お姉さまの夢で、えっと、それで…! あ痛ッ」
 駄目だ、説明になっていない。焦って舌を噛んでしまった萌を、お姉さまはくすくす笑った。
「お姉さま、ひどいですっ…」
「うふふ。だってあんまり萌が可愛いんだもの」
 ぼんっ!と一瞬にして萌の頬は赤くなった。沸騰した血が全身を駆け巡るのがわかる。
「あの、そんな。お姉さま」
「そんなに赤くならなくてもいいわよ。それより、もう校門閉められちゃうわよ? 一緒に帰りましょう」
 そう言ってお姉さまは萌の手を取った。今度はお姉さまに握られた手に血液が集中するのがわかる。
 どうしようもなくどきどきするの。お姉さまといると。

 お姉さまと手を繋いで校門まで向かう。冬だから日が暮れるのが早くて、空にはいくつもの星がきらきらしていた。
「こうしてるとあったかいわね」
 お姉さまがにっこりと微笑んだ。
 その笑みにどうしようもなく胸がきゅんとなって、萌はつい、言ってしまった。

「私、お姉さまがあの空の星の、たくさんあるうちの一個になってしまったって、きっとお姉さまを見つけてみせますっ…!」

 言ってから急に気恥ずかしくなって目をそらした。
 するとお姉さまは、小さい声で「ありがとう」と耳元に囁いてくれた。萌はもう寒さなんて感じないくらいに顔が熱くて、お姉さまの顔をまともに見ることはできなかったのだけれど。


 …例え一億光年離れていたって、きっとこの想いは、冷めたりなんてしないの。


あとがき



りなさんの絵はいつも拝見しているが、とても上手くて驚くばかりだ。
妹の萌さんとどうか仲良く。

口調や行動など「これは私じゃない!」という点もあるかもしれないので、何か訂正したい点があったら、遠慮なく言いつけてくれ。
それでは。楽しんでいただければ幸いだ。