リリアン女学園付属図書館 「体育祭準備中 後編」

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体育祭準備中 後編

二宮 央



「……こほん、そろそろ体育祭ですから。何か仕事があるかと思って顔を出したのですが」
咳払いをひとつして館に訪れた理由を話す。
一応…まかりなりにも館の住人。訪問をここまで驚かれるのは少し切ない。
「まぁ、そうでしたの」
納得した、というように聖香さんがうんうんと頷く。
「1年生の春菜さんに実行委員として指揮を執って頂いてますし。
何かサポートの要請があれば、と」
「春菜さんの方が、ロサ・キネンシスより薔薇の館に居る確率高いですしね」
自分の分の紅茶を煎れながら、芽衣子さんが目線だけこちらに向ける。
「案外、中等部の生徒なんかは春菜さんのことをロサ・キネンシスだと思ってるかも」
「芽衣子」
くすくすと笑う芽衣子さんを諫めるように聖香さんが名前を呼んだ。
ありえなくは無い微妙にリアルな話に苦笑する。
「まぁ、冗談は置いておくとして。
体育祭についてはいくつかの提案もありましたし後日改めて会議を招集しますわ」
春菜さんとの打合せに使われたのか、企画書のようなものを手渡された。
「大体の内容はこれに纏めてありますから」
「ありがとう、聖香さん」
白薔薇姉妹の生徒会活動に対する積極性にはいつもながら頭が下がる。
聖香さんの家の方角に足を向けて寝られないわ…なんて思ってみるものの、
聖香さんの家の方角なんて知らないのだ。今度聞いておこう。

受け取った企画書を鞄にしまうと薔薇の館を後にした。
秋の新人戦が近いのでどの運動部も練習に熱が入っている。
テニス部も然り。
館の入口で黄薔薇姉妹に遭遇。
「あれ?央ちゃん??今日って会議だったっけ?」
と、京さまに言われて苦笑いさえ引きつった。
「イエ、会議ジャアリマセン」
無意識にカトコトになってしまった日本語で本日3回目の台詞を口にすると、
2階から白薔薇姉妹の笑い声が聞こえてきた。
どうやら会話を聞かれていたらしい……。
「すいません、部活がありますので失礼します」
そう言って早足でテニスコートに向かう。
京さまと慧理奈さんは『?』の表情を浮かべながら館の中へ消えていった。

今頃、芽衣子さんから事の経緯を説明されていることだろう。
(今度から少なくとも週1ペースで顔を出そう)
と心に誓いながら打ったボールは、
フェンス越えの特大ホームランになった。